2019年5月24日に公開された映画『小さな恋のうた』。 本作はMONGOL800による同名の大ヒット曲「小さな恋のうた」をベースに作られた作品です。 主人公となるのは沖縄に暮らす軽音部の高校生たち。米軍基地の近くに暮らす彼らは、沖縄に根付く基地問題や友人の死を経験しながら一つのバンドとしてたくましく成長して行きます。 今回は号泣必須の作品『小さな恋のうた』のストーリーや感想をご紹介します!
映画『小さな恋のうた』はMONGOL800の名曲にインスパイアされた作品
出典:amazon2019年5月24日に公開となった映画『小さな恋のうた』。
タイトルからピン!と来た方もいらっしゃるはず、この作品はMONGOL800の代表曲(同名)にインスパイアされて制作された作品となっています!
MONGOL800は沖縄出身の3人のメンバーによって1998年に結成されたロックバンド。真っすぐに突き刺さる歌詞が魅力で、代表曲である「小さな恋のうた」の他にも、「あなたに」や「DON'T WORRY BE HAPPY」など数多くの楽曲が若い世代を中心に支持を集め、ヒットとなりました。
中学校・高校の青春を「ちい恋」と共に過ごしたモンパチ世代の方には、まさに本作はグッと来る作品なのではないでしょうか…!
『小さな恋のうた』のキャストは?
そんな『小さな恋のうた』。高校生に焦点を当てた作品ともあり、主要登場人物を演じるのは今後が期待される若手俳優ばかり!
映画を鑑賞する前に、本作のキャストもぜひチェックしてみましょう!
主人公・真栄城亮多(佐野勇斗)
主人公・真栄城亮多を演じるのは佐野勇斗(さのはやと)さん。
スターダストプロモーション所属のボーカルダンスユニット「M!LK(ミルク)」のメンバーです。
これまでに映画『くちびるに歌を』や『ちはやふる』などでの演技が評価されて来た佐野さん。
本作ではバンドのボーカル担当として、彼の圧倒的な歌唱力にも注目が集まります!
譜久村慎司(眞栄田郷敦)
主人公・亮多の親友であり、常にメンバーを温かく見守る存在だった慎司を演じたのは眞栄田郷敦(まえだごうどん)さん。
長身を活かしたファッションモデルの経験などを経て、なんと本作が役者としての初めての舞台だったそうです!
とてもデビュー作とは思えない演技に、今後の活躍が期待される俳優さんです。
池原航太郎(森永悠希)
いつも朗らかで優しく、ある意味でバンドの「オカン」的な存在であった航太郎を演じたのは俳優の森永悠希(もりながゆうき)さん。
主人公役を務めた佐野さんとは『ちはやふる』での共演経験があり、既に数多くの作品に主要登場人物として出演している演技派の俳優でもあります。
森永さん曰く航太郎は「ガジュマルの木のような人」というイメージだったのだそう。優しい雰囲気が森永さんにもピッタリハマっていて、主要キャラクターとしてぜひ注目していただきたい役柄となっています。
譜久村舞(山田杏奈)
本作に登場する数少ないヒロインの一人である慎司の妹・舞を演じたのは山田杏奈(やまだあんな)さん。
近年数多くのドラマや映画に出演し、今後の活躍が期待される女優さんです。
作中では亮多と共にボーカルとして実際に歌うシーンも。貴重な彼女の歌唱パートは必見です!
新里大輝(鈴木仁)
亮多のバンドの元メンバー、大輝を演じたのはドラマ『花のち晴れ』や『3年A組』への出演が記憶に新しい鈴木仁(すずきじん)さん。ファッションモデル業もこなすマルチな俳優さんです。
慎司の死をきっかけにバンドを抜けてしまった唯一のメンバーである大輝。
そんな彼について、鈴木さんは「本気でプロのミュージシャンを目指しているからこそ、夢を追いかけるためには妥協できなかったのだろうと思う」とコメント。
大輝に対する愛が感じられる鈴木さんの演技、ぜひ注目してみてくださいね。
【ネタバレ】『小さな恋のうた』のストーリーを徹底解説
ここからは『小さな恋のうた』のあらすじをご紹介します。ネタバレを含みますので、まだ鑑賞されていない方はご注意ください。
『小さな恋のうた』ストーリー①才能に溢れる4人組バンド
沖縄の高校に通う、亮多、航太郎、慎司、大輝の4人は軽音楽部でバンドを組んでいました。
彼らは早くから頭角を表し、校内で演奏をすればたちまち学校中の生徒が集まるほど。校則スレスレで活動を行う彼らを教師陣は疎んでいましたが、市内でライブハウスを営むオーナー・根間にも目を掛けられ、東京からデビューの話が舞い込みます。
「東京に行ける!」と大喜びの4人。デビューの声が掛かった日は期待に胸を膨らませて、それぞれの家路へつくのでした。
『小さな恋のうた』ストーリー②慎司の急死と記憶を失う亮多
主人公・亮多の親友である慎司は、メンバーの中でも特に落ち着いた性格で勉強もできる優等生でした。
米軍基地のすぐ近くに家がある慎司は、ある日基地の中で暮らす少女・リサと出会います。フェンス越しではありながらも音楽やバンドの話を通じてリサとの距離を縮める慎司。
高校からの帰り道、横断歩道を渡りながら亮多は慎司に「早く告白すればどうか」などとけしかけます。まんざらでもない様子の慎司でしたが、次の瞬間、二人は事故に巻き込まれ、病院へと搬送されてしまいます。
病室で目を覚ます亮多。命は助かりましたが、バンドを含めて過去のことを何も思い出すことができません。事故のショックで記憶を失ってしまったのだと医師は説明し、亮多の母や急いで病院へ駆けつけた航太郎は泣き崩れます。
呆然とする亮多の前に現れたのは一緒に事故に巻き込まれたはずの慎司。
彼は病院から亮多を高校や部室、ライブハウスなどに連れ出し、「忘れている場合じゃない。ちゃんと思い出せ」と叱りつけます。
気付けば米軍基地のすぐそばまで来ていた二人。
亮多はリサと慎司のことを思い出し、二人のことをからかおうとしますが、慎司が亮多に向けたのは、寂しそうな笑顔でした。
「亮多が助かって良かった」。
驚いて目を覚ます亮多。夢によって亮多は記憶を取り戻しますが、慎司は既に事故で他界していたのでした。
『小さな恋のうた』ストーリー③未完の曲を見つける慎司の妹・舞
慎司には同じ高校に通う、舞という妹がいました。
舞は非常に引っ込み思案な性格で、感情を表に出すことが苦手。それでも優しい兄である慎司の作る音楽を聴くことが大好きでした。
兄を失い、悲しみに暮れる中で舞は彼のパソコンに残されたとある曲を見つけます。
その曲はこれまでに一度も耳にしたことがなく、バンドでもまだ演奏されていものでした。
兄が遺した歌だと考えた舞は、勇気を出して同じくショックから立ち直れずにいる亮多にこの曲を歌って欲しいと頼みに行きます。
『小さな恋のうた』ストーリー④歌うことができない亮多
慎司の死があってから、バンドは解散の危機を迎えていました。
ベースを担当していた大輝は文化祭に出場するため別のバンドに入り直し、亮多は慎司のことを考えると歌うこともできません。「慎司が死んだのに今更歌う気持ちになんてなれるかよ」と舞の願いを跳ね返す亮多に、「じゃあお前以外誰が歌うんだよ」と航太郎は喝を入れます。
舞や航太郎の熱意に押された亮多は、渋々二人の願いを聞き入れることにしたのでした。
『小さな恋のうた』ストーリー⑤リサとの約束
舞から慎司の死を聞いたリサも、亮多たちと同じく悲しみに打ちひしがれていました。
ニュースでは連日慎司の事故を起こしたのは米兵の仕業だとの報道がなされ、基地の外では毎日のように激しいデモが行われています。
大好きだった人を死に追いやったのは自分と同じアメリカ人であるかもしれないという事実に、リサは涙が止まりません。
そんな中、基地のフェンスへ舞や亮多が訪れるようになります。慎司が遺した歌を文化祭で再び歌おうとしている話を聞いて、リサは勇気をもらいます。
「私も文化祭に行きたい。舞たちのバンドが聴きたい!」と喜ぶリサ。基地に住む人々は慎司の事故があってからは外出を控えるようにしていましたが、リサは従弟の助けを借りてこっそり基地の外へ出ることを決意します。
『小さな恋のうた』ストーリー⑥文化祭に出られるはずが…!?
時にぶつかり合いながらも練習を重ね、軽音部に所属する他の生徒の計らいもあって何とか文化祭への出場権を得ることができた亮多と舞、そして航太郎。
最終調整を兼ねた根間のライブハウスでの練習も無事に終了しますが、彼らの活躍を期待した根間や彼の友人がバンドの様子をSNSに流してしまったことで情報が拡散。高校に問い合わせが殺到するほどの騒ぎになってしまいます。
「校外活動は禁止されているはず」と亮多たちは教師陣に厳しく叱られてしまった上に、文化祭の出場権までもはく奪されてしまったのでした。
『小さな恋のうた』ストーリー⑦大輝との絆、そして屋上ライブへ
出典:amazon文化祭に出場するチャンスを奪われ、呆然とする亮多たち。
そんな彼らに責任を感じた根間やバンドを楽しみにやって来た友人たちは何とか発表の場を用意することができないかと画策します。
「屋上にステージを用意して、校内放送からライブの音声を配信すればどうか」と提案したのはバンドを抜けてすれ違いが続いていた元メンバーの大輝でした。
仲間の協力を得て屋上でのライブを決行した3人。慎司が遺した曲「小さな恋のうた」をはじめ定番曲「DON'T WORRY BE HAPPY」などを披露します。
3人が演奏する曲は文化祭に参加していた多くの人々の心を掴み、大喝采に包まれながら幕を下ろすはずでした…。
『小さな恋のうた』ストーリー⑧舞の本音
教師によって中断されてしまった屋上ライブ。
亮多と舞、航太郎は両親の呼び出しを食らった挙句停学処分を言い渡されてしまいます。
舞の父親・一幸は基地の中で仕事をしており、息子を失った父親の立場と基地の中で働いて給料をもらう立場、両者の立場に挟まれて苦しんでいました。
優秀だった慎司に強い期待を寄せており、かねてより慎司がバンドにのめり込むことを快くは思っていなかった一幸。そんな中で舞がこっそりバンドをしていたことを知り、彼の怒りは爆発。感情に任せて慎司が大切にしていたギターを地面に叩きつけて壊してしまいます。
一幸の行為に驚く亮多と航太郎。兄の形見とも言えるギターを壊された舞は初めて自分の感情を露わにします。
「お兄ちゃんの歌、ちゃんと聴いたことある? ステージを観たことある? すごかったんだから! 私、大切なことはお父さんからじゃない。全部お兄ちゃんに教わったんだ!」と泣き叫ぶのでした。
『小さな恋のうた』ストーリー⑨SAYONARA DOLL
停学処分を受けた上にギターを失い、投げやりになっていた舞。
そんなある日、リサが辺りを見回しながら基地のフェンスの外にこっそり何かを放り投げる様子を自宅の窓から目にします。
リサが去った後に舞がフェンスまで足を運ぶと、それは舞と亮多、航太郎に宛てたプレゼントでした。
文化祭の日、リサはこっそり基地を出て舞たちの高校へ向かおうとしましたが、デモによる妨害などに遭い結局基地の外へ出ることができませんでした。
そして沖縄へ暮らし続けることに懸念を覚える家族の希望などもあり、リサが予定よりも早くアメリカへ戻ってしまうことを知ります。
『小さな恋のうた』ストーリー⑩基地に向けて贈る歌
かつて慎司が亮多と共に鼻歌まじりで作っていた音楽を、リサからのプレゼントにちなんで「SAYONARA DOLL」という楽曲として完成させた3人。リサへの想いを込めて、舞は歌詞を考えます。
サヨナラドールは米軍基地の中で実際に販売されているお土産だそうで、こけしのような形をしています。人形の胴体の部分に紙が巻かれていて、そこに寄せ書きなどを書いて沖縄を去る米軍関係者にプレゼントするのだそう。
根間の協力を得て、ライブハウスなどで再び練習に励む3人。壊されてしまった舞のギターも、彼女の熱意に心を動かされた一幸によって修理から戻って来ました。
今度こそリサにちゃんと届けるために、3人は基地のフェンスの外で機器をセッティングして楽器を奏でます。音に驚いて警察がやって来ますが、根間が頭を下げて何とか見逃してもらいます。
音に気付いて駆け寄って来たリサは、涙ながらに最初で最後の演奏を楽しむのでした。
『小さな恋のうた』ストーリー⑪地下ライブで目にしたものは・・・?
リサが沖縄を去った後も、3人は相変わらず停学期間が続いていました。時間を持て余す3人に根間は「ライブをしないか」と持ち掛けます。
ほどなくして開催されたライブには、会場が満員になるほどのファンが集まっていました。これまでに紡いで来た楽曲を力の限り奏で尽くす3人。
全てを終えた後、壇上の亮多は会場の隅でひっそりと3人の演奏を眺めて微笑む慎司の姿を見つけます。
驚きながらも思わず彼に向かって手を振る亮多。
気付けば隣で、舞と航太郎も同じ方向へ向かって笑顔で手を振っていたのでした。
エンドロールでは、メンバーの思い出の写真に加えて沖縄で小学生の通学路の交通整備をする米兵の姿が映されています。
一人の高校生の死をきっかけに、少しずつではありながらも互いに歩み寄ろうとする基地問題の、希望ある未来を描いて物語は幕を下ろします。
『小さな恋のうた』感想!映画で描かれる、沖縄の問題とは?
主人公が高校生であることから、つい「よくある感じの青春映画かな?」と思ってしまいがちなのですが…。
実際に鑑賞された他の方の感想を見ても分かる通り、主人公の行く先を阻む壁として「沖縄の今」が描かれた、非常に強いメッセージが込められた作品でした。
全国のニュースでも取り上げられることの多い、沖縄の基地問題。『小さな恋のうた』の登場人物にも、基地関係者は数多く登場します。
まず、慎司と舞の父・一幸は米軍基地で働いています。亮多の母親も米軍を相手にしたスナックを経営しており、作中では米軍の客がいないと経営が成り立たないことを匂わせるシーンも登場していました。
一方リサは米軍基地で暮らす少女。慎司のことは大好きですが、自身は彼と同じ日本人ではなく、アメリカ人です。作中には米軍基地内の様子も描かれており、自分たちを追い出そうとするデモを目にしたり、慎司の事故によって外出禁止令が敷かれて休日も基地内でしか過ごせないことに辟易する米軍関係者の様子が映し出されていました。
互いに利害関係が絡んでいるからこそ、大人の方は一向に事態が進展しません。慎司を死に至らしめた犯人も大人の事情で見つからず終いです。
一方舞たち高校生は音楽を通じていとも簡単に国境を超えて行きます。
大切な人のためなら自らが危険に晒されることも厭いません。実際に舞や亮多はリサに音楽を届けようとして停職処分を食らい、リサは舞に会いに行こうとして両親や基地関係者から激しい叱責を受けます。
それでも希望を捨てない高校生の姿を前にして、大人たちの頑なになっていた心も次第に変わって行く。
作品を通して描かれる登場人物の気持ちの変化に、胸が熱くなる作品でした。
映画『小さな恋のうた』は5月24日公開!
今回はMONGOL800の楽曲を元に作られた映画『小さな恋のうた』のストーリーや感想などをご紹介しました。
登場人物の絆が国境を越え、人の心を動かす。始めから終わりまで、涙なしでは見られない作品となっています!
モンパチ世代ではなかった方、『小さな恋のうた』を知らない方でも十分楽しめる作品となっています。沖縄が好きな方、かつて軽音部で仲間と一緒に楽器を演奏していた経験のある方などにもおすすめ!
映画『小さな恋のうた』は5月24日より東宝系の映画館などで公開されています。
ぜひ青春を共にした友人を誘って観に行ってみてはいかがでしょうか。
※2020年4月現在、以下の動画配信サイトで『小さな恋うた』を配信中!気になる方はチェックしてみよう。
当社は、本記事に起因して利用者に生じたあらゆる行動・損害について一切の責任を負うものではありません。 本記事を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者本人の責任において行っていただきますようお願いいたします。
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