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第壱話 桜

好奇心は人一倍おう盛で、怖いもの知らず。子供扱いされるのが大嫌いな少年が沖田総司との試合に挑む。勝てば新撰組の一員になれるのだ。「強くなれるなら…。俺は、新撰組の市村鉄之助になる！」何度打たれても立ち上がり、必死に沖田のスキを狙うが、真剣勝負のはてに狂気の眼差しに変わった沖田の一撃が、鉄之助の胴をつらぬいた！ 激しく突き飛ばされた鉄之助が見た沖田の眼は、昔両親を殺した男のそれによく似ていた…。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第弐話 志

鉄之助は新撰組入隊を認めてもらうために屯所の玄関先に座り込んで一歩も動こうとしない。雨にぬれながらも必死に訴えつづける鉄之助。「小せぇくせに、度胸だけは一人前って眼しやがって…」とうとう土方は鉄之助を受け入れる。ところが鉄之助が与えられた役目は土方の小姓だった。納得がいかない鉄之助は不満の言葉を沖田にもらす。「強くなるために新撰組に入ったのに…、お茶汲みなんて」(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第参話 紅

烝へのライバル心から、バレバレの女装をし彼の後をつける鉄之助。「他人の仕事に首っこむなや！」苦無を突きつけられ烝に責められる。鉄之助がムシャクシャしていると、数人の浪人が少女に因縁をつけていた。「俺は、ハンパ者なんかじゃねぇ！」くってかかる鉄之助だったが、帯刀を許されない小姓の身分だけに、あっという間にピンチに追い込まれる。非番の沖田、永倉、原田が偶然通りかかり事態は収まるが…。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第四話 影

頻発する不審火災の原因を調べていた土方は、その黒幕が長州藩士の吉田稔麿だと考えた。鉄之助は小姓の仕事をサボり、永倉や原田と稽古。そこに副長助勤の藤堂平助が帰還する。三人にからかわれ、困惑する鉄之助。楽しい時間もつかの間、サボりがバレて土方に厳しく怒られる。しかし、この世ならぬものの声を聞くことの出来るという三番隊隊長の斎藤一が、壬生屯所をあとにすると、おう盛な好奇心を押さえられずについて行く。「魔か、人か…」切っても起きあがる浪士たちによって窮地におちいる斉藤。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第伍話 月

島原から朝帰りの山南敬助と初めて会う鉄之助。心優しい印象が鉄之助のホンネを引き出す…。「俺、山南さんなら小姓やってもいいな」土方がオニの副長なら、山南はホトケの副長なのだ！ あゆ姉は鉄之助の気分を換えてあげようと、買い物を頼んで街へと送り出す。すると数日前に桝屋店先での騒ぎで助けた少女に再び出会う。沙夜も両親を亡くした身寄りだが、強くなって仇を討とうとする鉄之助に、ココロの声を届けようとする。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第六話 武

土方の留守中に新撰組隊士たちの武芸大会が開かれる。槍術勝ち抜き戦では原田左之助が文句ナシの一人勝ち。さて、壬生村一周の徒競走では？ 勝者はあゆ姉の特製大盛りおこわが食べられるのだ！ 一方、道場では鉄之助が沖田に一試合申し込む。胸のうちを沖田にぶつける鉄之助。…剣をとったところで人を斬ることなんてできない、と。答えを見つけようと焦る鉄之助に、沖田が語りかける…。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第七話 鈴

刀商の備前屋で一本の脇差に伸びる二本の腕。再会した鉄之助と鈴だが、店内で騒動を起こしてしまう。さらには来店していた侍の中山を怒らせる始末。仲介に入る辰之助の切切たる長広舌は圧巻！ しかし鈴は、そんな辰之助の兄という存在に何ものか想いがめぐる。鈴は吉田稔麿にある優しさと残忍さとの両極的な性格に戸惑っていたのだ。年若い鈴の悩みに優しく接する吉田は、鈴を自分の後継者として育てようとしていたのだった。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第八話 恋

土方に差料が欲しいと願い出たものの、呆気なく断られた鉄之助。藤堂がせめて竹光でもと手渡すが、鉄之助の逆鱗に触れてしまっただけ。近藤のお遣いで神社の出店へ行く鉄之助は黒飴屋の前で沙夜とハナに出会う。輪投げ屋で当てた景品は、沙夜が欲しがった瀬戸物の子豚でもなく、ハナが欲しがった赤いカンザシでもなく、オモチャの刀。お詫びにとオモチャの刀を差し出すが、ハナにとっては浪人の父の苦労が思い起こされるだけだった。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第九話 竜

鉄之助と辰之助は土方から兵庫港へ荷物を取りに行くように言いつかる。辰は道中、鉄が問題を起こすのではないかとヒヤヒヤ…。案の定、鈴を見かけた鉄はあとを追って兄とはぐれてしまう。鉄と鈴は迷子になりながらも辰がいる船着き場にたどり着く。鈴と別れたのち、船旅の半ばで大阪の枚方宿にいる時、アメリカ国家を熱唱しながら道を行く坂本竜馬が現われる。鉄は亡き父、龍之介の面影と重なる坂本を追いかける。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾話 幽

一年前、近藤、土方、沖田と行動をともにして芹沢鴨を暗殺した一件は、山南の心に深い傷を残した。土方と何かにつけて意見が対立する一方、もう一人の副長としての自分自身に自信をなくす山南。ある時、見回り組が浪士に襲われたという一報で現場へ行く土方と沖田を追う山南だが、そこには陰陽師の布瑠部神実と彼が操る武装した巨人、膕が待ち受けていた。布瑠部の呪術によって、山南は敵である膕に亡き芹沢の姿を見てしまう。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾壱話 企

辰之助が帳簿類を抱えて廊下を通っているところへ招かれざる客と出くわす。スカウトと称して壬生屯所に侵入した者は坂本龍馬。偶然通りかかった沖田にラブコールを送りつつ、一戦を交える龍馬は、平隊士たちの包囲網を突破し、辰にその名を告げて去っていく。入れかわりに家事手伝いの募集に応えて新撰組にやって来た、ほたるという少女。沖田のファンで、オッチョコチョイな性格の彼女だが、実は新撰組内偵の使命を帯びていた。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾弐話 兄

屯所前を道行く若い母親とその娘。鉄はその娘の姿に沙夜の面影を重ねる。この様子を見ていた永倉、原田、藤堂は、鉄が若い母親に憧れを抱いていると誤解する。膨らむ誤解の種は山南にも及び、鉄の小姓仕事をねぎらうための島原遊行へ発展する?! 大勢の芸者に囲まれ、可愛がられ、恐怖でビビる鉄！ 偶然にも鉄の行方を知った辰は、顔色を変えて屯所を飛び出して行く。弟の貞節を守る兄の務めは？ 辰之助、…いざ島原へ！(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾参話 眼

身分を隠そうとする沙夜。しかし鉄は純粋に沙夜に会いたかったのだと告げる。座敷で仲良く遊んでいるところへ、鈴が現れる。鈴は吉田に先立って、芸者として素性を隠す、くノ一の明里に会いに来たのだ。何かといがみ合うが、似た者同士の鉄と鈴。立ち去ろうとする鈴を、鉄と沙夜は引き止め、三人が遊んでいると、辰が血相を変えて鉄を迎えに到着。だが、直後に現れる吉田の眼は、鉄に忌まわしい記憶を呼び起こさせてしまう。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾四話 想

鉄之助は島原での一件以来、押し入れの中に閉じこもってしまった。一方、山崎烝は敵方に正体を暴かれた責任を感じて自刃の覚悟を決めるが、姉の歩から諭されて思いとどまる。そんな歩は弟に代わって、偵察の仕事を請けに土方のもとを訪れる。歩は、髪結いの弓として偵察の任務に就くことにしたのである。ショックから一時的に回復した鉄に、歩は弟、烝の良き友人になって欲しいと、涙ながらに語りかけるのであった。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾伍話 歌

阿鼻叫喚の巷と化した新撰組…。原因は豊玉発句集という名の俳句集にあった。沖田の手から鉄之助に託された句集は、なんとも珍妙な俳句の数々が収められていて、思わず吹き出してしまう作品ばかり?! 本来の持ち主である土方が奪還のために、真剣片手に鬼のような表情で大追跡劇が始まる！ 逃げる鉄、追う土方、そんな二人を追い越していく逃走中の龍馬?! ようやく奪取し、一安心の土方だが、それはすり替えられた偽物…。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾六話 偽

才谷屋と名乗る男が桝屋を訪れる。長州藩浪士のリーダー、吉田稔麿との会見に望むその男は坂本龍馬である。龍馬は持論を掲げて過激な吉田の思想を改めさせようとするが、吉田の意志は変わらない。一方、京都見廻組の役人が襲撃される事件が起こる。犯人は沖田に瓜二つの人斬り、夜毎屋の吉三郎。沖田と誤解した役人がかろうじて逃げ助かるが、それも計画のうち。ニセ沖田の姿をかりて新撰組に濡れ衣をきせ、混乱を招く思惑なのだ。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾七話 虚

暗躍する夜毎屋の吉三郎が屯所に侵入。沖田と見間違えた土方が襲われるが、斉藤の助太刀によって難を逃れる。しかし吉三郎を捕り逃がす。追跡捜査する土方、沖田、斉藤は青蛾中将邸にたどり着くが、布瑠部の術によって八門遁甲の陣に捕らわれてしまう。ピンチを救ったのは、あとをつけて来た、意外な人物…？(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾八話 雨

鉄之助は、山崎歩が一週間も屯所に帰っていないことを心配し、その理由を聞きに烝に詰め寄るがまともにとりあってもらえない。烝は姉の身を本当は心配していることを鉄にさとられないように感情を隠しているのである。一方、長州藩浪士の屋敷に弓と称して潜入していた歩だが、すでに桝屋にその正体がバレていた。浪士たちに囲まれ、万事休すの歩。少し経って屯所へ、髪結いの女が浪士たちに襲われているという通報が入ってくる。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第拾九話 空

髪結いの弓と称して長州藩浪士に接近し、情報を探っていた山崎歩は、正体を知られたうえに浪士たちに襲われる。新撰組が救助に出動する時も烝はかたくなに心を閉ざそうとするが、鉄之助から姉の遺言を聞くと、単独で行動を始める。雨の路上で、息絶えた姉を前に立ちつくす烝。この事件をきっかけに桝屋逮捕の命令を下す土方は、歩の死の責任を感じていた。一方、烝は初めて鉄之助に心を開き、涙を流して友情の暖かみを知る。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第弐拾話 刃

早朝、死んだはずの歩が桝屋を訪れる。慌てる番頭、平静を装う主人。それは姉に変装した弟の烝である！ 新撰組は桝屋喜右衛門と屋敷に潜伏する長州藩浪士たちを次々に逮捕する。遅れて現場に駆けつける鉄之助は途中で鈴に再会するが、案内された廃屋で突然刀を向けられる。いつもと違う友の姿に驚いていると、吉田稔麿が現れ、鉄を押し入れに追い込み、屋敷に火を放つ。火災の報を耳にした辰之助は火災現場に駆けつける。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第弐拾壱話 陣

桝屋喜右衛門こと古高俊太郎をはじめ、桝屋内に潜伏していた長州藩の浪士たちを逮捕した新撰組。屯所では土方が古高を執拗な拷問にかけ、京都に潜伏する浪士たちの陰謀を吐かせることに成功する。近藤以下、祇園会所に集合する新撰組の隊士たち。一方、鉄之助は再び押し入れの中に閉じこもってしまった。土方の命令で、鉄之助に隊服と差料を届ける烝が説得を試みるが、ショックから立ち直れない鉄之助は、かたくなに心を閉ざす。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第弐拾弐話 戦

かたくなに心を閉ざし、他人との接触を拒絶する鉄之助。事情を何も知らない沙夜が見舞いに訪れていることを知ると、何かに触発されたように正気に返り、甲斐もなく帰りかける沙夜を引き止め、出陣の意志を告げる。元治元（1864）年六月五日の夜、池田屋の空に打ち上げられた照明弾で一路、歴史的事件の渦中に向かう鉄之助。…強くなりたかったのは人を殺すためではなく、何もできない自分自身が憎かったからであると悟る。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第弐拾参話 誠

元治元（1864）年六月五日、夜。池田屋を舞台に繰り広げられた新撰組と長州藩浪士たちの死闘は終焉を迎えようとしていた。別動隊の土方たちが到着した時、彼の小姓鉄之助は一人吉田に立ち向かっていた。一方、長州藩邸に援兵を呼びに向かった鈴だが、邸内からは何の反応もない。失意の鈴が池田屋の裏庭に戻ると、そこには…。(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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第弐拾四話 鐵

池田屋事件の翌日、京都は祇園祭で賑わい、警戒中の隊士たちも祭り気分で心が踊っていた。鉄之助は辰之助、烝と一緒に祭り見物に出かけたが、沙夜を誘おうと島原の揚屋へ向かう。取り残された辰兄と烝は一昨日の不和を解消、仲直りをする。一方、揚屋を訪れた鉄は沙夜と約束をする。「刀は抜いても…絶対…ずっと…殺さないから」京都の夜空に打ちあがる花火。見あげる鉄の傍ら、烝はふと気づく…「お前、少し背ェ伸びたんか？」(C)2003黒乃奈々絵・MAGガーデン／新撰組屯所

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