2011年11月28日より集英社の週プレNEWS内で24年ぶりとなる連載が再開された『キン肉マン』。過去の作者自身が反省と原点回帰を掲げ、満を持して始まった新シリーズは超人界のルーツに迫る「完璧超人」を軸にしたストーリーです。過去に登場した人気超人である悪魔将軍や七人の悪魔超人など、初期の人気を支えた超人たちが活躍した本シリーズを振り返ってみました。
無印『キン肉マン』が24年ぶりに再開!
出典:amazon週刊少年ジャンプ誌上で1979年から1987年まで連載されていた『キン肉マン』は、少年たちを夢中にさせ、その人気は社会現象と言うべき勢いで全国に広まりました。
漫画だけにとどまらず、アニメ化や映画化、現実のプロレスラーが登場人物に扮するなど様々な舞台で華々しい活躍を見せてきました。
そんなキン肉マンが21世紀の現代で、24年ぶりに集英社の週プレニュース内でWEB連載として復活しました!
かつての少年たちが夢中になった本作は、30年以上経った現在でも、むしろ当時以上の熱気を放ち人気の健在ぶりをアピールしました。
『キン肉マン』とは?
主人公のキン肉マンは、日本の美波里公園を拠点として、日々地球の平和を守る正義超人です。
しかし、本人の思いとは裏腹に、守るべき人間たちからは「ダメ超人」のレッテルを貼られ、活躍の機会に恵まれませんでした。
そんなダメ超人キン肉マンことキン肉スグルは、じつはキン肉星の王子だったのです。
ある日、キン肉星から来た従者のアレキサンドリア・ミートこと「ミート君」から自身の出生と本名を知らされるのでした。
それからしばらく地球での相変わらずな生活を送っていたキン肉マンですが、超人オリンピックを機に世界中の強豪超人を破っていき、ついにはオリンピック王者にまで駆け上ります。
そしていつしか、彼は「奇跡の逆転ファイター」と呼ばれるのでした。
それからのキン肉マンは多くの正義超人と友情を育み、数々の難敵を仲間たちと力を合わせてこれを破っていきました。
そして物語はキン肉マンが数々の困難を乗り越え、キン肉星の王位を継いで終了したのでした。
本作の『キン肉マン』は、キン肉マンがキン肉星に帰還後の正義超人、悪魔超人、完璧超人との三属性超人不可侵条約の調印式から始まるのでした。
調印式に乱入してきた「完璧超人」とは?
調印式に現れた謎の超人たちは、キン肉マンたちがかつて倒した完璧超人「ビック・ザ・武道」と瓜二つの姿をした「ストロング・ザ・武道」と名乗る完璧超人でした。
完璧超人とは、全ての超人たちの頂点に立つ心技体のすべてにおいて完璧を自負する超人です。
その実力は、かつて超人タッグ編でブロッケンJr.とウルフマンを瞬殺し、バッファローマンとモンゴルマンを苦しめました。
今回現れた彼らは完璧・無量大数軍(パーフェクト・ラージナンバーズ)と呼ばれる完璧超人の中でも精鋭と呼ばれる集団です。
自らを「完璧」と名乗り、それ以外は下等と蔑む傲慢な彼らに対して、テリーマンは怒りの宣戦布告を表明しました。
キン肉マンやロビンマスクなどの主力メンバーを欠いた中、テリーマンの孤独な戦いが幕を開けたのでした。
キン肉マンの帰還と悪魔超人に舞い戻ったバッファローマンと7人の悪魔超人
テリーマンが満身創痍で勝利を掴んだその瞬間、リングサイドに倒れ込むテリーマンを支えたのはキン肉マンでした。
テリーの孤軍奮闘を、かつての王位継承サバイバルマッチに臨んだ自分とは今度は逆の立場で駆け付けます。
キン肉マンが参戦したとき、完璧超人軍はまだ6人残っていました。
ボロボロの体で次の戦いに進もうとするテリーマンですが、突如現れた黒衣の集団に吹き飛ばされます。
その黒衣の集団こそが、過去にアイドル超人たちを苦しめた7人の悪魔超人だったのです。
突然の彼らの参戦に場内は騒然とするものも、彼らには彼らの目的があったのでした。
遂にアイドル超人勢ぞろい
完璧・悪魔両軍の戦闘は佳境を迎え、両軍ともに被害を出しながらも全試合が終了して一旦の落ち着きを見せました。
しかし、その直後に完璧無量大数軍の第2陣が現れるのでした。
無量大数軍の挑発に乗るかのように悪魔超人軍は殺し合い宣言を始め、一触即発状態に入ります。
それを止めるかのように、各地で治療を受けていたアイドル超人たちが集結するのでした。
七人の悪魔超人編と同じようなシチュエーションで、今度は正義と悪魔の合同チームで完璧軍に挑むのでした。
完璧超人のルーツとキン肉マンとネメシスの因縁
完璧無量大数軍とのセカンドステージの最中、試合中も度々キン肉マンとの因縁をほのめかすネメシスに、キン肉マンは戸惑いを隠せません。
さらにネメシスは完璧超人のルーツであり、全ての超人の根源である「完璧超人始祖」について語るのでした。
太古の昔、堕落した超人たちは超人の神に怒りを買います。
全ての超人たちを処分することを決定した神々の中でただひとり、超人たちの可能性に賭け、神の座を捨てて超人として地上に降りた人物がいました。
それこそが最初の完璧超人であり、現在の全ての超人の始まりでした。
ネメシスたち完璧超人は、その下界に降りた元超人の神に見込まれ、生き延びた最初の超人たち「完璧始祖(パーフェクトオリジン)」の系譜だったのです。
完璧超人であるネメシスが、なぜキン肉マンに固執するのか? キン肉一族を憎み、超人たちの抹殺を謀るのか? 本シリーズの謎が深まっていくのでした。
そして謎が深まる中、セカンドステージの全試合終了後にキン肉星で祀られていた銀のマスクが大きく輝きを放ちました。
それを見たネメシスは謎を残したままどこかへと飛び立っていきました。
満を持して悪魔将軍登場!
ネメシスが飛び立った後、バッファローマンをはじめとした悪魔超人たちがしきりに語っていた「あのお方」の存在がついに判明するのでした。
その人物とは、悪魔の首領であり、キン肉マンにトラウマを植え付けた悪魔将軍だったのです。
彼らは七人の悪魔超人を陽動部隊とし、悪魔六騎士を本隊として完璧始祖を引きずり出すことが目的でした。
悪魔将軍の正体と完璧始祖
悪魔将軍ですが、元は戦いの神として崇められていた伝説の超人でした。
弟・シルバーマンとの決闘で共に命を落とし、その首は金のマスクとして兄弟共にキン肉星で祀られていました。
悪魔将軍の真の姿は「完璧始祖(パーフェクトオリジン)」のひとりで、最初に完璧と認められた「完璧・壱式(パーフェクト・ファースト)ゴールドマン」だったのです。
そして、弟のシルバーマンも「完璧・弐式(パーフェクト・セカンド)」と呼ばれていたのです。
今回の悪魔将軍が復活した真の目的こそ、自分たちこそが完璧と信じて疑わず、当初の目的を見失った完璧始祖を筆頭とした完璧超人の粛清だったのです。
超人の未来を夢見た「完璧零式(パーフェクトゼロ)ザ・マン」
全ての超人の始まりであり、超人の中の超人、「完璧・零式(パーフェクト・ゼロ)ザ・マン」。
それこそが悪魔将軍の口から語られたストロング・ザ・武道の真の正体でした。
下界に降りた元超人の神であったザ・マンは、見どころのある超人を10人集め、自身を含む11人の超人を始まりとして、超人界の再生を考えた太古の超人だったのです。
その後、超人墓場に侵攻した悪魔将軍は、次々と完璧始祖を撃破し、超人墓場の破壊に成功するのでした。
そして悪魔将軍の教え子たちである悪魔六騎士は、それぞれが悪魔将軍の教えを胸に完璧始祖たちに勝負を挑むのでした。
それは、かつて師事したザ・マンが道を誤ったことを自らが証明するための、悪魔将軍の恩返しと言うべき行動なのでしょう。
次々と謎が判明する最終局面
六騎士と完璧始祖との戦いは激しさを増し、各陣営も無事とは言えないほどの被害を伴います。そして今作の謎が次々と明かされていくのでした。
そして戦いは、完璧無量大数軍“完幻”グリムリパーこと「完璧・拾式(パーフェクト・テンス)」サイコマンや、伝説の裁きの神ジャスティスこと「完璧・陸式(パーフェクト・シックス)」ジャスティスマンなど、圧倒的な実力を誇るオリジンたちとの最終決戦が始まります。
ザ・マンが国立競技場に出現させた許されざる世界樹(アンフォーギブン・ユグドラシル)で開始されたのでした。
それぞれが思いを胸に秘めて始まった戦いの中、ネメシスとラーメンマンの一戦で、ついにネメシスとキン肉族の因縁が語られるのでした。
平和の神・シルバーマン参戦!
最終戦、サイコマンとブロッケンJr.の戦いが決着する寸前、とどめを刺される直前のブロッケンJr.を救ったのは、銀のマスクとしてキン肉星に祀られていたシルバーマンでした。
戦闘態勢に入ったシルバーマンは、お互いの主張のどちらが正しいかを示すためにサイコマンとの戦闘を開始しました。
正体を現して圧倒的な強さを見せるサイコマンに対し、シルバーマンは一進一退の攻防を繰り広げ、それでもサイコマンたち完璧始祖の間違いを説きます。
その姿にキン肉マンは胸を打たれ、シルバーマンとその子孫である自分の血統に改めて誇りを持つのでした。
キン肉王族の闇に終止符を打つネメシスとの決闘
オリジンたちの激戦が終結し、シルバーマンの意思を改めて受け止めた正義超人たちですが、完璧超人軍との決着はまだついていません。
ネメシスはシルバーマンの言葉通りにキン肉マンとの決着を望みますが、キン肉マンはネメシスの圧倒的な強さと深い闇に恐れおののいてしまうのでした。
そんな弱気に駆られて敵前逃亡を図るキン肉マンの前に現れたのが、かつての敵であった完璧超人ネプチューンマンなのです。
ピークア・ブーと共に現れたネプチューンマンはキン肉マンに襲い掛かりますが、キン肉マンはこれを火事場のクソ力でこらえます。
ネプチューンマンはキン肉マンを試すために、あえて試していたのです。
全てのわだかまりを振り切ってキン肉マンはネメシスに挑むことを決意するのでした。
試合当日、一方のネメシスはザ・マンから完璧超人の未来を託され、完璧超人の未来を背負うことを決意表明していました。
お互い譲れない思いを胸に秘め、超人界とキン肉族の未来をかけた世紀の一戦が始まるのでした。
最終戦、師弟の約束を果たす時
かつてゴールドマンだった頃の悪魔将軍は、ザ・マンとの約束をしていました。
「もしも道を誤った時は一番弟子のゴールドマンが止める」
その約束を果たす時が来たと悪魔将軍は語るのでした。
しかし、ザ・マンの実力は規格外で、キン肉マンが恐れる悪魔将軍を子ども扱いするほどでした。
「悪魔将軍でも敵わないのか」と思われたその時、ついに悪魔将軍が奥の手を見せるのでした。
かつての師であるザ・マンを倒すために編み出した硬度10ダイヤモンドパワーを超える「硬度10#ロンズデーライトパワー」です。
「師を超えるのは弟子の務め」
悪魔将軍は愛弟子たちには常々そう言い聞かせてきましたが、それは遥か昔に自分自身が師であるザ・マンに言われていた言葉だったのです。
決着、そして
お互いの思想や主張全てをぶつけ、全力を出し切った両者の戦いはザ・マンを破るためだけに編み出した完璧・壱式奥義「神威の断頭台」が決まり、遂に決着を迎えました。
最後の仕上げとしてケジメをつけようとする悪魔将軍、約束を受け入れるために覚悟を決めたザ・マン。
両者共に約束を果たす瞬間が訪れようとしていました。
完璧始祖編終了、そして物語は新章へ
それぞれの主義主張が反する正義、悪魔、完璧の3属性の抗争から始まり、それぞれの因縁が絡み合った本シリーズは結末を迎えました。
長年の伏線であったキン肉族のルーツや完璧超人の設定、伝説の超人たちなど、キン肉マンファンにとってとても内容の濃いシリーズでした。
圧倒的なその内容に、読者の歓喜の声がネット上でも至る所で聞こえてきます。また、30年経った今でも読者の期待を裏切らない作者ゆでたまごの才能には感嘆されることでしょう。
完璧無量大数軍の襲来から息もつかせぬ展開が続き、魅力的な超人の登場や謎の解明や伏線回収など、ファンには納得のシリーズであることは間違いありません。
敵役として描かれたオリジンたちは、自分たち以外の存在を認めない傲慢な集団としながらも、本心や心情、友情とも取れるその姿には愛着と親しみを覚える人も多いと思われます。
これほどまでに魅力的で強力な超人たちを生み出してしまい、新章ではこれ以上の作品が作れるのか? という声懸念を抱かれる方も少なくないはずです。
今作以上のさらなる熱い展開を期待して、新章の開幕を待ちましょう。
参考元
- ・参照リンク:ゆでたまご嶋田(@yude_shimada)さん | Twitter
- ・参照リンク:漫画WORKS - ゆでたまご公式サイト
- ・参照リンク:[第122話]キン肉マン - ゆでたまご | 少年ジャンプ+
- ・キン肉マン集英社
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