あの文豪 松本清張のサスペンス小説のドラマ化。清張が人間同士の絡み合い、男と女の関係をミステリアスに描いた作品である。子供の頃に培われた思いというものは人の人生にどう影響するのか。人生は、本当に些細な事から全く違う方向へと進んで行ってしまう。
あらすじ
男が雨の中車を走らせている途中、不釣り合いなカップルにホテルまで乗せて行って欲しいと頼まれる。
男はカップルの片割れである美しい女性が何故かしら気になるのだが、彼らを降ろしてから女のしていたペンダントが座席に落ちているのに気付く。
そのペンダントには万葉集の歌が刻まれていた。男はその落とし物を返すという口実を見つけ、その彼女に会う事ができる。
しかし、女はペンダントを受け取るとさっさと去ってしまう。
その後、直ぐにカップルの男が殺害されたというニュースが流れる。
警察が重要参考人として探しているこの女は犯人なのか?
姿を消したカップルの女を自分だけが知っている。
キャスト
梅木隆介(演:東山紀之)
IT会社でクリエイティブ・プランナーとして働く有能な人材。
梅木の手段を選ばない仕事のやり方もあってか社内での人間関係はあまりスムーズではない。
あの雨の日のドライブ以来、梅木は江藤みゆきという女の事が頭から離れない。
江藤みゆき(演:中山美穂)
梅木がホテルまで乗せたカップルの憂いのある綺麗な女。
万葉集の恋歌、上の句が刻まれたペンダントをしている。
楠尾英通(演:小澤征悦)
今流行りのミラノ帰りの「Amy」というブランドのジュエリーデザイナー。
梅木から広告を手掛けたいと契約を持ちかけられる。
楠尾も手段を選ばない手腕でのし上がってきた人物らしい。
藤村真弓(演:相武紗季)
梅木と同じ会社で働く女性社員。
梅木とは同僚以上の関係にあるのだが、彼にとっては物分かりのある都合のいい女的存在。
その他のキャスト
不釣り合いなカップルの男:大和田獏
梅木の勤める会社の上司:渡辺いっけい
新聞記者:吹越満
ガラの悪い男:中原丈雄
梅木に聴き込みに来る刑事:寺島進
江藤みゆきを張り込む女:鷲尾真知子
文句のない適役な役者、面白い役者が抜擢されており、配役も面白い。
松本清張の原作小説
1962年頃『黄色い杜』のタイトルで『婦人画報』に連載され長編推理小説である。
光文社から現在と同じタイトルで『花実のない森』がノベルズとして刊行された。
このサスペンス・ミステリーの物語は、既に一度1965年に映画化されている。
1992年に82歳で亡くなったミステリー作家の代名詞ともいえる松本清張の小説が、50年以上もの年月を経て東山紀之と中山美穂を主演に今度はドラマ化。
時代の変化を加え、現代を背景に脚色された内容は半世紀以上も前に書かれた物語ながら新鮮な内容になっている。
松本清張の作品には、人間模様、男女関係が複雑に交差し合い人間の汚さ、悲哀、愚かさなどを目の当たりに見せられる。
見どころ
このドラマでは特に私達の生い立ちが大人になってからも何処かに引っかかっている内面的な葛藤や柵が関係してくる。
私達は、子供の頃から抱えてきた心の淀みや迷いを大人になって払い除ける事ができるのだろうか?
それとも、私達はそれを一生抱えて生きていかなくてはいけないのだろうか?
ストーリーの中で「愛」とは独り善がりで誰かを不幸にするだけと言う主人公のみゆき。それに近い感情を持つ梅木。
この二人はもとより、男と女がどの様に絡み合っていくのか愛するという事について考えさせられる。
そして、みゆきの周りで起こる連続殺人事件。犯人はやはり彼女なのか?
ストーリーの中に、山口県の情緒あふれる街並みが幾つか出てくる。中にはご当地グルメもあったりして興味をそそられる。
そんな背景もありながらのこのドラマは、観る楽しさも組み込まれたミステリードラマ。
是非色々推理しながら細かいところを見逃さずに鑑賞してもらいたい。
後でリプレイして確認してみたいシーンがいっぱいのドラマである。
参考元
- ・参照リンク:【ドラマ特別企画】松本清張「花実のない森」 | テレビ東京
- ・参照リンク:松本清張 - Wikipedia
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