名作「SLAM DUNK」の作者である井上雄彦が車椅子バスケを題材に描いた漫画「リアル」。 高校を辞め生き方を模索する野宮朋美18歳、中学時代に骨肉腫を患い右脚を失いながらも車椅子バスケで日本一のプレイヤーを目指す戸川清春19歳で、野宮の同級生でバスケ部キャプテンだったが自転車事故で脊損の大怪我を負った高橋久信18歳。 それぞれ3人のリアルが描かれた作品の名言をご紹介します。
野宮朋美の名言
バスケしてぇなぁ
高校ではバスケ部に所属していた野宮でしたが、バイク事故が原因で高校を退学します。
部員とは上手くいってなかったとはいえ、在学中はバスケをすることだけが唯一の楽しみだった野宮にとって退学後は退屈で仕方ありませんでした。
「バスケしてぇなぁ」。
在学中は毎日のようにやっていたバスケが突然できなくなったことに対する寂しさが現れています。
きっと、バスケ部への未練が物凄くあったのでしょう。
番狂わせの可能性ってのはな、 全員が信じて初めてゼロじゃなくなるんだ。
車椅子バスケの東京都大会で戸川が所属するタイガースは、全国大会常連で日本代表を2人擁する調布ドリームスと対戦します。
過去2度の対戦ではタイガースが大差で敗れています。
しかし、日本代表候補の長野満が加入したことによってチーム力がアップし、この試合では大接戦を演じます。
ベンチで見ていた野宮が、同じくベンチで戦況を見ていた新人選手・水島亮に対して
「番狂わせの可能性ってのはな、全員が信じて初めてゼロじゃなくなるんだ。」
という言葉をかけます。
全員が同じ思いを持つことの大切さと、ベンチメンバーも一緒に戦っているということを伝えたかったのでしょう。
結果は善戦むなしく敗れたものの、チームの成長が見られた大会となりました。
俺の道は今と地続きだってこと
高校退学後まったく仕事をしていなかった野宮が、引っ越し業者のアルバイトを始めます。
その仕事中に野宮が自分自身に問いかけます。
「俺の道は今と地続きだってこと。」
良い日だろうと悪い日だろうと、1日1日に意味があって無駄な日なんてないということに気付いた野宮は、任された仕事を一生懸命やり、バイク事故で下半身麻痺の大けがを負わせてしまった女性の為、戸川が所属するタイガースのサポートをする為に地道に生きていくことを誓いました。
戸川清春の名言
誰よりも早く
中学時代に友人からのすすめで陸上部へ入部した清春。
短距離選手として夢の10秒台を目指し練習を積んできました。
その際に清春が抱いていた目標が「誰よりも早く」。
しかし、清春の右脚には既に病魔が潜んでいました。
練習中に痛みを感じるようになりましたが、ハードワークによるものだとして特に気にしていませんでした。
その後、清春は全国大会決勝まで勝ち進みます。
目標達成まであと少しというところで右脚が限界を迎えます。
骨肉腫と診断され、右膝から下を切断し車椅子生活となりました。
清春の目標だった「誰よりも早く」はもう叶うことはありませんでした。
他に行くとこはねぇんだ・・・!ここしかっ・・・
清春は車椅子生活になってからバスケに出会い、「東京タイガース」という車椅子バスケチームに入ります。
次第に頭角を現し日本代表に選出されるまでに成長します。
しかし、我の強い性格が仇となりチームメイトと上手くいかずチームを離れます。
その後、野宮と出会い再びチームへ戻りたいという思いが強くなります。
再びチームに入れてほしいとチームメイトに頭を下げながら発した一言が
「他に行くとこはねえんだ・・・!ここしか・・・」
でした。
清春のバスケに対する、そしてタイガースに対する想いの強さが感じられ、一度チームを離れてからの孤独を象徴するセリフになりました。
ピンチになったとき、負けそうになったとき、「まあいいや」と思わないで。気持ちをうしろにひっこめないで。前に出して。俺たちは、タイガースは負けて当然のチームじゃない。勝っていいんだ。
戸川が再びタイガースに復帰し、野宮と共にチームメイトの意識改革を行ってきました。
その甲斐あって少しずつチームの雰囲気が変わっていきます。
これまでは弱小チームだったタイガースですが徐々に力をつけていきます。
それでも格上のチームと試合をすると力の差は歴然で、自分たちはまだまだ弱いと自信を失う仲間に対して戸川が声をかけます。
「ピンチになったとき、負けそうになったとき、「まあいいや」と思わないで。気持ちをうしろにひっこめないで。前に出して。俺たちは、タイガースは負けて当然のチームじゃない。勝っていいんだ。」
最後まで諦めず戦うことの大切さを教えると同時に、結果はついてきてないが確実にチームは変わってきたことを仲間に分かってほしいという願いが込められています。
高橋久信の名言
本当に歩けなくなったんだ、俺。本当に・・・。なんで俺なんだ。
バスケ部の主将で、成績優秀で運動神経抜群、容姿が良く周囲から人気を集めていました。
そんな中、練習が終わり彼女とデート中に悲劇が起こります。
盗んだ自転車に乗っている最中にトラックに轢かれて脊髄損傷し、下半身不随になります。
はじめは、いずれ治るだろうと軽い気持ちで入院生活を送っていました。
しかし、主治医から過酷な現実を突きつけられます。
そこではじめて、久信は自分がもう二度と歩けないことを知ります。
「本当に歩けなくなったんだ、俺。本当に・・・。なんで俺なんだ。」
歩けないことを必死で受け入れようとするも、「なぜ自分が」という思いがまだどこかにある複雑な心境を象徴する言葉になっています。
俺が今欲しいものは一つ。希望の光。
久信は少しずつ現実を受け止め、新たな一歩を踏み出そうとしていました。
それでも、元通り歩けるようになるという目標が途絶えてしまい、何を目指してこれから生きていけばいいのか分からなくなります。
そんな状況の中で久信は
「俺が今欲しいものは一つ。希望の光。」
という胸の内を周りの人間に明かします。
歩けなくなった今だからこそ、希望の光が差し込めば何か新しい目標ができるのではないかという久信の切実な思いが込められています。
何でだ?俺は西高でもかなりの地位にいたはずだ。それなのに・・・ふっ、ふざけんな!!
事故で大けがを負い高校を休学することになった久信の元に、チームメイトや同級生らがお見舞いに来ます。
久信は、自分がバスケ部のキャプテンを下ろされたことを知ります。
大会までに治して復帰するつもりでいた久信にとって、キャプテンを下ろされたことはあまりに辛いものでした。
「何でだ?俺は西高でもかなりの地位にいたはずだ。それなのに・・・ふっ、ふざけんな!!」
と自分自身に問いかけます。
事故に遭う前は周りの人間をランク付けし、CランクやBランクと見下し、学業優秀でバスケ部キャプテンの自分はAランクだと勝ち誇ってきました。
しかし、事故によってキャプテンの座を失い、どん底に落とされた気分になりました。
まとめ
バイク事故によって女性に怪我を負わせて高校を辞め、新たなスタートを切った野宮朋美。
一度はチームを離れるも、車椅子バスケで日本一を目指すためにチームに帰ってきた戸川清春。
事故で下半身麻痺になって目標を失いながらも、必死に現実を受け入れようとする高橋久信。
今回ご紹介した言葉には、3人それぞれのリアルな心境の変化を読み取ることができます。
参考元
- ・リアルヤングジャンプ・コミックス
- ・参照リンク:INOUE TAKEHIKO ON THE WEB | ホーム
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