映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は、筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーを患い、42歳でこの世を去った鹿野靖明さんの人生を綴った作品。詳細なあらすじをネタバレも含みつつ解説します!
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公は、北海道・札幌に住む鹿野靖明、34歳。
重度の難病・筋ジストロフィーを幼少の頃に発症した鹿野は、24時間ボランティアの介助を受けながら、自立生活を送っています。
自分の欲に正直で、夢に向かって力強く生きる鹿野に大きな影響を受けるのが、医大生ボラ(ボランティアの略称)田中、その彼女・美咲。
生きることの意味やそれぞれの目指す夢を見いだしていくヒューマンドラマ。
鹿野役を大泉洋。医学生ボラの田中役は三浦春馬が演じ、その恋人の美咲役には高畑充希と豪華キャストで注目の映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』のストーリーを詳しくご紹介します!
ネタバレせずにおおまかなあらすじだけ知りたい方は、前半まで。物語のラストまで知りたい方は、前半後半合わせてチェックしてください!
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』のあらすじ
映画の舞台は北海道・札幌。
34歳の筋ジストロフィー患者である鹿野靖明(大泉洋)は、病院や実家での療養を拒み、ケア付き住宅でボランティアに助けられながら自立生活を送っています。
首と手しか動かせず、車いすに乗っている鹿野は、ボラ(ボランティアの略称)の介助なしでは生活できません。
口は悪いものの、おしゃべり好きで明るい彼の周りはいつも笑顔であふれ、大勢のボランティアたちが生き生きと介助していました。
ある日、デートよりも熱心にボラに取り組む医大生の田中(三浦春馬)の彼女・美咲(高畑充希)が鹿野宅を訪ねます。鹿野は美咲に一目ぼれ。
しかし、夜中に「バナナが食べたい」と言って買いに行かせるなどわがまま放題な態度をとる鹿野を美咲は許せませんでした。
その後、鹿野は田中に美咲への気持ちを代筆させて思いを伝えます。鹿野やボラたちとともに交流するうちに、美咲の気持ちが変化。
堂々と自分の欲に正直に生き、大きな夢を叶えようと努力をし続ける鹿野の影響を大いに受け、いつしか特別な存在になっていきます。
鹿野が突然自宅で倒れたとの知らせが美咲のもとに入ってきました。
彼が患っている筋ジストロフィーは、筋力がだんたん衰えていく病気。
呼吸を促す筋肉が弱ってきているため、人工呼吸器をつける必要があるとの診断が。のどに穴を開けて、呼吸器を装着するため、鹿野の最大の武器である「おしゃべり」が出来なくなってしまいます。
そして、呼吸器をつけると医療スタッフによる定期的な痰の吸引が必要となるため、自宅に帰ることも許されず…。
このまま鹿野のしゃべる自由とボラたちとの楽しい自立生活は奪われてしまうのでしょうか…。
※このあとはネタバレの要素が含まれています!ご注意ください!
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』を徹底解説【ネタバレあり】
ノンフィクション賞ダブル受賞の原作と主人公・鹿野靖明さんについて
出典:amazon映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』は、タイトルどおり実話をもとにした作品です。
原作は、渡辺一史の『こんな夜更けにバナナかよ 筋ジス・鹿野靖明とボランティアたち』。
2003年に第25回大宅壮一ノンフィクション賞、2004年に第35回講談社ノンフィクション賞とダブル受賞している作品です。
モデルとなったのは、北海道に住んでいる筋ジストロフィー患者の鹿野靖明さん。この方についてご説明しましょう。
鹿野さんは、1959(昭和34)年に北海道に生まれ、小学校6年生で進行性筋ジストロフィーと診断されました。
この病気は、筋力がだんたん衰えていく難病です。
18歳で車いす生活となりましたが、アメリカの自立生活運動などの影響を受け、23歳のときに障がい者施設を飛び出します。
そして、自らボランティアを募集。介助の仕方を教えながら、約500名のボラとともに約20年間自立生活を送ります。
2002(平成14)年、42歳のときに拡張型心筋症による不整脈で亡くなりました。
この映画では、34歳の頃の鹿野さんとボラたちの姿を描いています。
ボラ24時間体制! 鹿野の自立生活はどんな感じ?
アメリカで起きた自立生活運動などに影響された鹿野は、障がい者施設でも実家でも病院でもなくケア付き住宅で自立生活を送っています。
料理や洗濯、入浴、排せつなど24時間体制での介助が必要で、ボラがシフトを組んで交代で介助しています。
食べたいもの、ほしいもの、読みたいもの、見たいもの…欲にとことん正直な鹿野は、次々と思いついた用件をボラにリクエストします。
深夜にバナナが食べたいと言って、買い出しに行かせたり、アダルトビデオが見たいと言って男性ボラを鑑賞にをつきあわせたり…。
そんなわがまま放題の鹿野の周りに集うボラはみんな笑顔。
長い付き合いのベテランボランティアは、普段から「鹿野」と呼び捨てにする間柄。
鹿野はボラを「ファミリー」と呼び、「大勢のボランティアに頼るしかない。それは仕方がない」という哲学のもと、24時間体制で介助を受けています。
そこに遠慮や負い目は見られません。だから良い関係が築かれているのです。
大ピンチ! 鹿野の“武器”が奪われる?
ある日、自宅で突然倒れた鹿野。
原因は、呼吸をするのに必要な筋肉が弱り、呼吸困難になったためでした。
下ったのは人工呼吸器をつける必要があるとの診断。のどに穴を開けて器具を装着するため、声を出すことが難しくなるというのです。
さらに呼吸器をつけると、医療スタッフによる痰の吸引が必須となり、自宅での自立生活も絶たれることに。
手と首しか動かせない鹿野にとっては、おしゃべりが武器。そして彼のこだわりである自立生活も出来なくなってしまいます。
田中は鹿野の「おしゃべり」と「自立生活」を守るため、のどに穴を開けない方法を提案し、実践するものの失敗。
鹿野の命を優先し、のどに穴を開ける手術を受けることに。
話すことができなくなってしまった鹿野のもとに美咲が朗報を持ってきます。人工呼吸器をつけていても、声を出すことができるようになった実例があるというのです。
声を出す特訓を鹿野たちは主治医や看護婦に内緒で行ううちに、以前のように声が出せるようになりました。
鹿野は再び、自立生活に復帰。
人工呼吸器をつけた後は、定期的な痰の吸引も必要となります。本来病院で医療スタッフが行う作業なのですが、鹿野が在宅での生活を望んだため、大勢のボラを集めて研修をし、在宅で行えるよう体制を整えたのです。
鹿野がプロポーズ!? 美咲との恋の行方はどうなる?
鹿野が一目ぼれしたのは、医大生ボラ田中の彼女・美咲。
初対面にもかかわらず、いつものようにわがまま放題の一面を見せたことが原因で美咲は怒って帰ってしまいます。
しかし、田中に代筆させたラブレターやボラたちとの交流で鹿野と仲良しに。
彼の明るい人柄や前向きに生きる姿を近くで見ているうちに元気をもらい、鹿野ボラの一員になります。
田中は鹿野が傷つくのを恐れて、美咲が彼女であることを言うタイミングを失っていました。
フリーターの身分を隠し、教育大の学生と偽っていたことで田中とケンカをした美咲。しかし、教師になりたいという夢は昔から持っていたのです。
田中と疎遠になり、進路や恋について鹿野に相談するうちにふたりの距離は縮まっていきました。
そして、ふたりきりになった時、美咲は鹿野をひとりの男性として意識。ついに手を握ってしまいます。
人工呼吸器をつけながら、声を出せるようになり、自立生活に戻ることになった鹿野。
美咲は頑張ったご褒美にさわりたいと言っていた胸を鹿野に触らせてあげるのでした。
再び自立生活に戻ることになった鹿野は、ボランティアを集めてパーティーを開催。そこで美咲に指輪を差し出し、公開プロポーズします。
しかし、田中のことが忘れられない美咲は指輪を受け取りませんでした。
鹿野は美咲の気持ちを受け止め、想っている人が田中であることに気づくのです。
鹿野が抱いている大きな夢とは?
鹿野の夢は「アメリカ旅行に行くこと。英検2級に受かること」。
それは、鹿野が自立生活をするきっかけが、アメリカの自立生活運動に出会ったことだったからです。
この壮大な夢を公言し、英検受験にエントリー。
ラジカセを傍らにおいて、英会話を熱心にヒアリング。発音の練習するなど夢を実現させるために頑張っていました。
しかし、英検受験の日に倒れてしまい、試験は受けられませんでした。
自分の夢を叶えるために、頑張る鹿野の姿は医師を目指す田中や教師を志す美咲、他のボラにも大きな影響を与えたのです。
田中と美咲の恋、ふたりの将来はどうなる?
鹿野と美咲の手が触れあった日。
交代のボラが来て、それ以上の進展はありませんでした。
その状況を鹿野は「美咲とベッドイン寸前だった」と田中に漏らします。
医者になるかどうか進路に悩み、鹿野と美咲の関係にもモヤモヤした田中は、鹿野にボラを辞めると電話してしまいます。
ボランティアたちがたくさんいるパーティーで鹿野にプロポーズされたものの、断ってしまった美咲。
ボラを辞めると鹿野に告げた田中。
鹿野宅に現れなくなったふたりの中を修復させるために鹿野がこっそり芝居を打ちます。
旅先で鹿野が倒れたとふたりに緊急連絡し、現地に呼び寄せて仲直りさせたのです。
それから8年の月日が流れ、鹿野はこの世を去りました。
田中と美咲はめでたく結婚。
田中は医師となり、道内の患者のもとへ往診に向かう日々。
美咲は小学校教師として子供たちに囲まれながら過ごしています。
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』まとめ
登場人物と一緒に鑑賞者も成長できる作品
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の主人公の鹿野さんは、わがままでちょっとエッチで口が悪くておしゃべりがうるさい男。
映画のはじまりから終わりまでこのスタンスは変わりません。
しかし、ストーリーが進むにつれ、映画に登場するボラの田中や美咲は、鹿野の生き方に大いに影響を受け、成長していきます。
客席で映画を見ている方も同時に鹿野さんの人生からいろいろ学ぶことができるのです。
登場人物と鑑賞者が一緒に成長できる作品といえるかもしれません。
鹿野さんの周りを巻き込んでいく人間力、どんなことがあってもあきらめない夢追い力。
実在した人物とは思えない超人エピソードの数々に思いっきり笑って、泣いて、成長してください。
参考元
- ・参照リンク:映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』公式サイト
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