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出典:amazon

2019/01/20
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大正の時代を背景にエロティシズムを描いた『蜜のあわれ』

蜜のあわれが今すぐ観れる

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二階堂ふみ主演の映画『蜜のあわれ』が2016年に公開されました。 大正という、古き良き時代のレトロな日本をバックに、老作家と若い女の、愛についての物語。 男のロマンと、官能的なシーンも交えつつ、愛と死とについて描いた、美しく幻想的な世界を見事に表現した映画です。

目次

ストーリー

歳は70頃の老作家は「赤井赤子」という20歳ほどの若い女と暮らしています。
その赤子という女は、真っ赤な服をヒラヒラと着て何だか妙な雰囲気なのですが…。
なんと彼女は金魚なのです。

赤子は、子供の様に無邪気かと思うと、妙にしっかりしていたり、そして又、結構色っぽかったりもします。
知ってか知らずか、エロっぽい事を辱めもなく言ったりやったり…。

赤子はこの老作家を「おじさま」と呼び、自分の事を「あたい」と呼びます。
赤子は自分の親以上に歳が離れたその老作家を愛していて、恋人にしてほしいとねだります。

そんなある日、一人の幽霊の女性が赤子の前に現れます。
どうやら彼女は12年程前にその老作家と何やら関係があった女性の様です。

無邪気におじさまを好きだった赤子でしたが、それ以上の感情を持つ様になり、それ故にどうしようもない思いをストレートに表現します。

室生犀星

原作は室生犀星(むろうさいせい)の1959年に刊行された同タイトルの小説です。室生犀星は明治~昭和にかけて生きた詩人・小説家です。
この『蜜のあはれ』は72歳で亡くなる数年前に執筆された物です。

犀星は、私生児としてこの世に生を受け、実の母親に一度も会う事はありませんでした。
養母にも愛されなかった彼の子供時代は、幸せなものではありませんでした。

そんな彼を救ったのが物を書く事、詩を書く事だったのです。
彼の編み出す言葉は美しく、他の作家からも讃えられ、交友関係にあった芥川龍之介すらも羨望していたそうです。

犀星の作品は女性や愛をテーマに書かれている物が多く、作品を見ると彼が実母と養母からの愛に恵まれず、暗い影を引きずって生きてきたのだという事を感じます。

小説

小説『蜜のあわれ』は会話だけで綴られた小説で、発行された当時から多くの人にフィルムとして観てみたいと言われていた作品です。
それが50年以上も経って、ようやく映像化されました。

70歳の老作家が向き合う生と死との複雑な葛藤を、幽霊の田村ゆり子という女性の登場で淡々と、そして時に激しく表現しています。

それと共に、男の性欲についても語り、今まで何人の女性に恋をしてきたのか、やり切れない女性を愛する思いや女性にこうあって欲しいという欲望があることを物語ったりしています。

味のある俳優、大杉漣が演じる老作家と、自分から熱望して出演することになった実力女優の二階堂ふみが演じる赤子とで、幻想的な世界観の中、男と女の複雑な愛のやり取りを時にエロティックに演出しています。

赤子

赤子の登場で先ず目を引くのは、彼女の着るドレスです。

オーガンジー素材の真っ赤なドレスをヒラヒラと身に着け、帽子も真っ赤、鞄も真っ赤、そしておなかの中までまっかな金魚を表現しています。

この映画の衣装は、スタイリストの澤田石和寛が担当しています。

彼は「クローズZERO」「るろうに剣心」、auのCM『三太郎』シリーズの衣装デザインなどを手掛けている今人気の衣装デザイナーです。

赤子がそのドレスを着て踊る金魚ダンス(?)は可愛くエロティックでもあります。

そして作品の雰囲気を、非日常なものに引き込んでくれます。
自身を「あたい」という彼女のしゃべり方も独特で、映画の空気を作っています。

更に、人気のイラストレーター、maegamimami の描くイラストも素敵です。

まとめ

愛するという事は楽しい時ばかりではありませんし、増してやパートナーを想い、愛し続けるのは容易いことではありません。

「人を好きになるということは、愉しいことでございます。」

という言葉を、赤子は老作家に言って欲しいとねだります。

日本人は「好き」とか「愛している」とかなかなか口に出さないところがあるので、特に面と向かって要求されるとなかなか言えるものではありません。

そして、生涯で愛する人に出会うという事は難しいものなのでしょう。

この映画は、その様な人生の愛と死について考えさせられる作品です。

登場人物も味のある俳優陣が演じていて、幻想的な世界に入り込める面白い映画です。

参考元

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