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2020/11/13
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【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第3回ゲーミフィケーションとゲームカルチャー~岡田大士郎×松岡雅幸~

ゲームカルチャー協会の代表理事である松岡雅幸さんと、理事を務める岡田大士郎さんの対談が実現!『ゲーミフィケーション』をテーマとして、世界で戦うゲーマーだった松岡さんの少年時代や、岡田さんがハマっているゲーム、ゲームクリエイターや教育論について語っていただきました。

目次
編集部
aukana編集部

ゲーミフィケーション」とは、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用すること。

ゲームデザイン要素を使って組織の生産性を向上させたり、教育分野に活用したり、従業員が働きやすい環境を整えたりと、様々な分野で活用されています。

今回対談していただくのは「一般社団法人ゲームカルチャー協会」の代表理事である松岡雅幸さんと、理事を務める岡田大士郎さん(元米国スクウェア・エニックス社長(COO)現株式会社HLD Lab代表取締役社長CEO)のお2人です。

最終回となる第3回目のテーマは「ゲーミフィケーションとゲームカルチャー」について。世界で戦った松岡さんの少年時代のゲーマー話から、なかなか知らないゲームクリエイターの裏事情、そして教育論を絡めた『ゲーミフィケーション』について語っていただきました。

【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第1回ゲーミフィケーションとライフスタイル ~岡田大士郎×松岡雅幸~ | MOVIE SCOOP!
【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第1回ゲーミフィケーションとライフスタイル ~岡田大士郎×松岡雅幸~ | MOVIE SCOOP! https://doga.hikakujoho.com/moviescoop/41226800006188/

第1回の対談「ゲーミフィケーションとライフスタイル」はこちらからご覧ください。

【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第2回ゲーミフィケーションとビジネス ~岡田大士郎×松岡雅幸~ | MOVIE SCOOP!
【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第2回ゲーミフィケーションとビジネス ~岡田大士郎×松岡雅幸~ | MOVIE SCOOP! https://doga.hikakujoho.com/moviescoop/41226800006188/

第2回の対談「ゲーミフィケーションとビジネス」はこちらからご覧ください。

岡田さん&松岡さん

(写真左)岡田大士郎 1955年生まれ
2005年にスクウェア・エニックスに入社し、2007年まで米国Square Enix, Incの社長(COO)として米国事業に携わる。2019年1月には株式会社HLD Labを創業。

(写真右)松岡雅幸 1992年生まれ
2019年1月に一般社団法人ゲームカルチャー協会を設立。学生時代には「ロックマンエグゼシリーズ」大阪・東京・名古屋大会にて優勝。某有名トレーディングカードゲームのPC版で世界ランキング1位を取得した経験もあり。

世界を制した松岡さんの少年時代

岡田(写真左):ゲーム会社といったエンターテインメントの世界で活躍されてる方というのは、感動を誰かに上手に伝えることができる「感性能力」がとても強いですよね。これは「IQ」とは違う「EQ」という素晴らしい資質を持った「タレント」だと思うんです。

松岡さんもその1人だと思います。ゲームで世界一になるというのは、スキルも必要だし、アスリートとしての視点も必要だと思います。俊敏性というか、アスリート並みの体力的な部分はもちろんのこと、知力の部分も必要ですよね。

松岡(写真右):光栄です。そうですね、僕はとあるカードゲームのPC版で何度か世界ランク1位を取ることができたんですが、世界大会が朝の4時から始まったりするんですね。小学4年生ながら朝4時に起きて、両親と一緒にPCに向かって大会に出る…。まさにアスリートのようでしたね(笑)

岡田:それはまさに「タレント」だと思います。語弊があるかもしれませんが、塾に通って勉強して、いい大学に入って、就職して60代くらいまで仕事して、ハッピーリタイアメントをする…といったある種平凡な人生を考えていた時代からすると、これからの世の中はそんなことを言ってられないよね、と思うんですよね。

人生を楽しむ上で「遊び」に熱中することはとても大切です。例えば「泥遊び」に没頭することと、トレーディングカードゲームで世界チャンピオンになるプロセスは同じだと思うんですよね。その「遊び」を徹底する時期を経験している人たちというのは、「遊び」が大人になっても自分の中の大きなひとつの礎になっているはずなんですよ。

でも、世の中には「ゲーム」がクリエイティブな「タレント性」を引き出していく、ということをご存じない方が多いんじゃないかな、という印象を受けますね。

松岡さん①


松岡:そうですよね。海外だと「プロゲーマー」の人たちがどんな苦労をしてきたか、という特集がされていたりするんですけど、日本では少ないですね。日本にも「ウメハラダイゴさん」という『ストリートファイターシリーズ』で有名なプロゲーマーの方がいますけど、その人は海外の大会の決勝戦で、「あと一撃で負けてしまう」という時に大逆転したからこそ話題になりました。

でも、それはあくまでその場で起きたストーリーであって、その人がなぜ逆転できるくらいの努力をしてきたのとか、そういった特集があればなって。いわゆるスポーツ選手と同じ扱われ方をしてくれるといいですよね。そういった情報から梅原さんのファンが増えたり、プロゲーマーのファンが生まれたりするんじゃないかな、と思います。

職人気質なゲームクリエイターの世界

岡田さん①


岡田:「タレント性」を備えたゲームクリエイターには様々な種類の方がいまして、超左脳的な思考を持っているプログラマーと、超右脳型の感性バリバリのデザイナーと、それをまとめるプランナーと、色々な方が共同作業することになります。

例えば『ファイナルファンタジー』クラスの大作になると、400名を超える人たちが集結するんですよね。これって一大プロジェクトであって、プロデューサーも会社の社長が務めたりする。様々な個性がある人たち、プロフェッショナルの人たちを束ねて作品を作り上げるんです。

私が「スクウェア・エニックス」に入社した2005年なんですが、当時は超こだわりのクリエイターが結構いたんですよね。ゲームを99.99999%まで磨き上げないと納得ができない超プロ職人にとって、チームメンバーが制作、創作したものに対して微妙な感性を感じるんでしょうね。「ダメ出し100回」なんて当たり前の世界だったんです。

松岡:すごい話ですね…。もう、どれほど苦労されたのか、っていうのが想像を絶します。

岡田:「職人気質」のプロフェッショナルの人たちには。よくあることなんですが、経営者の視点からは、商業的な事情(作品をオンスケジュールで発売して売上を立てていくこと等)で「磨き込み」の重要性も考えながら、どうやってビジネスを予定通り(ローンチの遅れなく)進めつつ「オンリーワン」の作品を市場に届けていくか、というジレンマに直面することがあります。

どうやって「クリエイティビティ」と「究極のクオリティ」を最大化させながら、作品の制作期間をオンスケジュールで進めるかが工夫のポイントです。私は「場」のプロデュースにあたり、制作プロセスをより円滑に進めるための「コミュニケーションデザイン」や、クリエイターが最大のパフォーマンスを発揮できる「場」をどのように設計するか、というのが自分のチャレンジだったんですよ。

これは言葉では足りなくて、「空気感」が必要なんです。よく「阿吽の呼吸」って言いますよね。見たり聞いたり触ったり感じたりする、人間特有の感性。その空気を感じられる心のつなぎ方というのを、どのようにフィジカルな空間や時間に織り込んでいくか…。今考えてみると、これも『ゲーミフィケーション』だったんですよね。

「人生はゲーム」であること

松岡さん②


松岡:僕、小さい頃から言ってるんですけど、「人生はゲーム」だと思っていて。なんのために働くのか、勉強するのか、お金を稼ぐのかっていうと、全て「幸せになるため」だと思うんですよね。でもなぜか、いつの間にかそれが入れ替わってしまう。仕事のために幸せを殺したりして、人生損している人が多いなぁと感じています。

岡田:現代の「資本主義社会」の中で、お金の問題はとても大切な要素です。でも、組織の「成果(利益獲得)」のために、自分自身の人生に「バイアス」をかけてしまうことが、本当に幸せな生き方かどうかを、今一度意識してみることもさらに大切なことのように思います。組織と個の「Well-Being(ウェル・ビーイング)」の両立が必要ではないかと。

例えば、「わくわく」を生み出したいとしても、そこからどれだけの価値を生み出してお金を稼げるか、ということが組織側から求められますよね。「わくわくして色々な活動がしたい? で、その結果いくら儲かるの?」と経営者からも問われます。

それに対して、「わくわくして働くことができれば、個々人が持つ『潜在能力』を呼び起こすことができるようになり、チームとして最高のパフォーマンスを発揮できるチャンスが生まれることになります」と言える組織を作っていくことが大切です。

松岡:試算された数字が跳ね上がることってなかなかありませんが、「このゲームの面白さは計り知れません!」っていう方が数字から切り離して期待できますよね。「歴史」や「ブランド力」が一番の収益源だと言われる中で、そういったゲームは最近の日本では少ないかな、と思いますね。

昔なら例えば『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』であれば、いまだにIPとして残っていますけど、最近IP化したのって何ですかって訊かれると思いつかないです。

世代を超えた『あつまれ どうぶつの森』

岡田さん②


岡田:『任天堂』の「宮本さん」がマリオを作った時の話もそうですが、彼は「売れて欲しい」と思って『スーパーマリオブラザーズ』を世に出した訳じゃなかったんですよね。自分が楽しいゲームを作り込もうとして、徹底して作り込んだものが、まさに世界を席巻した。

今年話題になった『あつまれ どうぶつの森』も同じだと思うんです。僕も数ヶ月やり込んでますから。Nintendo Switchを2台用意して、家内と2人で楽しんでます。息子夫婦や孫娘も入れて、通信でそれぞれの島に行ってはカブを売ったりして(笑)

松岡:そうなんですか。お孫さんと一緒にどうぶつの森を楽しんでいるということで(笑)

岡田:楽しんでます(笑) 任天堂はこういう楽しみ方を提供するのが上手だなって思うんですよね。アバターに自分の意識をうまく載せ替えて、街を作ったり、要はコミュニティをうまく回していったり。好き嫌いっていう人間のネガティブな部分を表現しながらも、笑い飛ばしながら人生体験ができるという。

松岡:そうですね。ゲームには「感動」とか「出会い」とか「学び」があって、国とか身分や世代を超えて一緒に楽しめるコミュニケーションツールにもなるんですね。

僕は『ロックマンエグゼ』というゲームでも、東京、大阪、名古屋の大会で最年少で優勝したんです。小学校5年生から中学3年生までの大会で。

ロックマンエグゼ優勝メダル

「ロックマンエグゼ」大会における優勝メダル

当時の大会で出会った友人はみんな年上ですし、強いし、頭も良く、就職先もみんなすごくいいところに行っていて。ずっとお世話になっていたので、何か恩返しがしたいんですけど、やっぱりお世話になりっぱなしで。

なので次世代の子供たちが、出会い・学び・感動や思い出は、すぐゲームが終わろうが、大人になっても残るんだよって伝わるサービスを作りたいと思っています。

情報を自ら取り込んで人生のストーリーを描く

松岡さん③


松岡:『ゲームカルチャー協会』以外の活動として、東証一部上場したゲーム会社で新入社員の研修をしているんですが、その中で「できるだけ密度の濃い質問をしてほしい」ということを最初に伝えているんです。まさにゲーム感覚ですね。僕の話を聞いた上で「うん、なるほど」と思うのではなくて、それに対しての「ツッコミ」をしてほしいんです。

例えば、一番最初に突拍子もない質問をスライドで提示するんですよ。「ゲーム業界の市場規模ってどれぐらいですか?」って。でもこの質問って、世界のゲーム市場なのか、日本のゲーム市場なのか、コンシューマーなのか、どんなゲーム業界なのか、という定義が示されていないんです。つまり、そもそもの質問のアウトプットが弱いことになるんですよね。そのことを最初に伝えるようにしているんです。その中でちゃんとした情報を吸い出せる自分になれたら無敵だな、と思っているので。

岡田:そうですよね。今の話で言うと、「先生それ世界ですか? 日本ですか?」というひと言だけでも、その人の意識の置き方が見えますね。今はスマホ1つあれば色々調べられますが、自分で考えて整理して、新しい情報を自分の中に取り込んでいくというプロセスを経由して覚えた情報だと、自分自身の取り込み方が変わってきますから。

松岡:まさしくです。「スマホゲーム市場はこれこれです」と数字で説明してしまうと、それは暗記でしかないので。

岡田:そうですよね。自分が感じている世界でストーリーをどのように作っていけるか。人生には波がありますから、いい時もあれば大変な時もある。それを乗り越えてゆくことも大切なんですけど、もう少し「希望」とか「夢」とか、自分の「人生ストーリー」を妄想しつつ、それをゲーム感覚で演出していく。そんなことをやってみると、結構『わくわく時間』が作れたりするんですよね。

松岡:そうですよね。『わくわく時間』で『ゲーミフィケーション』を楽しむって、その人の人間味が出てきますから。

岡田:松岡さんが新入社員に教えている視点もそうだと思うんですが、教育って「スキル」や「知識」を伝授していく、という面があります。しかし教育で何よりも大切なのは、学んでいる人たちの「心構え」や「意識」といったところにアプローチしてあげること。それがないのに「暗記しろ」「記憶しろ」「テストする」といった、脅迫に近いことをしてしまうことがあります。

松岡:そうですね。それだとひとつの「パッケージ」でしかなくて、それ以外のことに対する柔軟性が効かなくなりますね。

岡田:日本の教育はどちらかと言えば、パッケージ化されたものが伝統としてありますよね。学校の先生は指導要領に沿って「教育」をされる。これはもちろん大切な部分であり、均一に全員の知識レベルを上げていく教育体制というのは、素晴らしいものだと思います。

松岡:国を守るために、というのもあると思うんですが、最低限のパッケージは必要ですよね。さらにパッケージの領域を越えて何をしていくのか、ということも大事かなと。

岡田:パッケージの先にある「アクティブラーニング(生徒が能動的に学ぶことができるような授業を行う学習方法)」ですよね。その本質は実のところ、私は『ゲーミフィケーション』だと思っています。

松岡:僕も同じことを言おうと思ってました。まさしくその通りです。

岡田:長い時間をかけて、学校の先生が指導要領に基づいて「パッケージ」を詰め込ませたとしても、その先にある教育こそがとても大切な領域だと思います。

社会そのものが『ゲーミフィケーション』という視点

岡田さん③


岡田:本当に「ゲーム」というものの幅は、とてつもなく広いですよね。なぜ『あつまれ どうぶつの森』といったゲームが世界中で2,500万本も売れて楽しまれているのか。それだけ人を「わくわく」させる力があるんですね。

これからクリエイティブな世界を作り出していこうという時に、私は役職に囚われない「ホラクラシー」という考え方が大切だと思います。要は全員が同じ目線に立ち、何かを共創してクリエーションする。そんな社会がこれからは求められるのかなと思うんですね。

自分は社長だから言うことを聞け、と言われても、納得感がなければ人は動かない。役席につくということは責任を持つ意味合いであって、権力を振りかざす話ではありませんから。

松岡:僕も常々思います。役職というのは、ただ単に演じさせられているだけだと思うんです。

岡田:そうですね。例えば『半沢直樹』のような「俺の想いでお前の人事はどうにでもなる」といったサラリーマン社会にありがちな権力意識は、変わっていかなければならないと思います。これからの時代、若い人が持つ「リテラシー」をベテランは学ばなければならないし、ベテランが人生時間を重ねた分の「経験値」は若い人に伝承していかなければならないと思います。

松岡:本当に「人生はゲーム」ですね。経験値とか。

岡田:そうです。経験値なんです。改めて『ゲーミフィケーション』とは広い概念だなと感じますね。冒頭でお話した「ネット・ゲーム依存症対策条例」ということが香川県で起きたこと。様々な論者が「法治国家の中で基本的人権の侵害だ」という議論を重ねていますが、もっと本質的な問題があると思いますね。

松岡:そうですね。『あつまれ どうぶつの森』といった何千万人が遊ぶコンテンツが出たり、YouTubeの動画で何千万人が「Good」を押したりしても、中には「Bad」を押す人もいますから。それは一部がしているだけだと思います。大衆の心を突き動かすというコンテンツというのは、大勢の人が認めているものなので、その中で小さいことを叫んでいる人を相手にする必要はないのかなと。

岡田:そうですよね。ゲームの世界は非常に奥が深いですから。これからは「ゲーム=遊び=暇つぶし」という感覚だけではなく、社会そのものがゲーミフィケーションという視点で変えていかなければいけないな、と思いますね。

編集部
aukana編集部

『ゲーミフィケーション』をテーマとして、社会と関わり方やビジネスにおける環境づくり、時には流行のゲームから教育に関することまで、幅広く語っていただきました。

長い人生においてどれだけ「わくわく」できる時間を増やしていけるのか…。そのヒントは『ゲーミフィケーション』という考え方にあるのだなと感じる対談でした。

これからの未来において「一般社団法人ゲームカルチャー協会」がどんなゲーミフィケーションを展開されていくのか。是非ともご期待ください!

参考元

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