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【牡丹と薔薇】は3社の動画配信サービスで配信中です。
定額見放題3社です。ここでは配信されているサービスの詳細を紹介します。
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目次
牡丹―それは、この世に生を亨けた当夜、誘拐された 姉・真世
薔薇―それは、姉の存在を知らずに育つ富豪の令嬢 妹・香世
このドラマは、数奇な運命に翻弄され、過酷な人生を辿りながらも、自らの信じる道をひたむきに生きる姉妹・真世と香世の、30年にも及ぶ壮大な物語。
昭和45年、看護婦の鏡子は、愛する男・豊樹の裏切りを許せず、豊樹が結婚した富貴子との間に誕生したばかりの赤ん坊を略奪し、ぼたんと名付け密やかに育てます。
溢れんばかりの愛情をかけて・・・。失意の豊樹と富貴子は、翌年次女・香世に恵まれ、悪夢を忘れ去るためにも心血を注いで育てます。こうして実の姉妹である真世と香世は、大人になるまで、お互いの存在を知ることなく成長するのです。しかし運命のいたずらは、二人を一つ屋根の下に住まわせる選択をします。妹・香世は大富豪の令嬢として、そして姉。真世はそのお手伝いさんとして。やがて二人に、真実を知る日が訪れます。しかし、その時、同時に一人の男・由紀雄を愛していて・・・。
「無私の心」ですべての愛情を注ぐ真世。対極とも言える「利己」に生きる香世・姉妹がその後選択した生き方とは・・・。
33歳の焦燥
看護師の鏡子は三十三歳。お互いに束縛しないという約束で、建築家の豊樹と同棲して八年になる。年齢的なことも考え、鏡子は今、子どもが欲しくてたまらなかった。が、医師から妊娠しにくい体といわれ、焦燥感にかられる。豊樹は蒲原と「団設計事務所」を共同経営していた。若手の建築家のホープで、精力的に仕事に取り組む。ある夜、豊樹は「アルマ建設」のパーティーで、社長令嬢・富貴子と親しくなる。豊樹に一目惚れした富貴子は父・泰造に豊樹を紹介し、パーティーが終わった後、豊樹を割烹料理店「みはる」に案内する。店のママ・美晴は泰造の愛人だった。
初の無断外泊
パーティーで豊樹に一目惚れした富貴子は、数日後、自宅に電話をかける。すると、女性が出たので落ちこむ。そんな富貴子に、美晴は、恋のライバルがいるなら奪えばいい、と発破をかける。富貴子はもう一度豊樹に電話をかけ、明日会いたいと伝える。翌日、美晴の店で、豊樹と富貴子は会う。二人は話がはずみ、今度一緒に旅行へ行こうと盛り上がる。富貴子を家まで送った豊樹は、泰造に勧められるまま野島家に泊まる。母・冬子は豊樹が鏡子と同棲していることを調べていたが、泰造は気にかけなかった。その頃、鏡子はまんじりともせず一夜を明かしていた。
秘密の小旅行
豊樹は初めての無断外泊をする。翌朝、野島家から設計事務所に顔を出すと、心配した鏡子から電話がかかってくる。その日の午後、豊樹は泰造から会社に呼び出される。が、何時間待っても、泰造は現れない。そのうちホテルの設計図を見つけた豊樹は興味にかられて、自分なりの設計図を書き始める。夜半過ぎ、泰造が社長室へ行くと、豊樹が時のたつのも忘れて製図に没頭していた。泰造は豊樹のことを気にいる。二ヵ月後、豊樹は富貴子と熱海へ旅行に行き、結ばれる。豊樹が旅行から帰ると、鏡子から妊娠したことを告げられる。
不気味な妊娠
鏡子から妊娠を告げられた豊樹は、処置してほしいと頼む。鏡子は拒否。苦しい悪阻にも耐える。そんな折、鏡子は医師から想像妊娠だと告げられ、愕然とする。 豊樹は泰造から、富貴子との結婚の準備を進めることをきりだされる。但し、鏡子との関係をきちんと清算するよう釘をさされる。豊樹は鏡子に別れをきりだす。鏡子は応じず、あくまでも妊娠しているふりを続ける。困った豊樹は美晴にすべてを打ち明けて相談する。そして、鏡子と暮らしたマンションを出て行く。数日後、結婚式の申し込みのため、豊樹は富貴子とホテルへ出向く。そこへ、薄笑いを浮かべた鏡子が…。
美味しいダイヤ
マンションを出た豊樹は、設計事務所で寝泊りする。ある日、妊婦姿の鏡子が事務所に現れる。逆上した豊樹は、鏡子を美晴のところへ連れていく。美晴は鏡子と二人きりで話し合う。鏡子の妊娠が嘘だと見抜いた美晴は、豊樹のことをあきらめるよう鏡子に言い聞かせる。その夜から、泰造の勧めで豊樹は野島家に泊まる。翌日、豊樹は富貴子からプレゼントしてもらったダイヤのネクタイピンを探しにマンションへ行く。果たして、鏡子がダイヤを隠していたが、取り戻そうとすると、鏡子はそれを飲み込んでしまう。豊樹は鏡子が妊婦のふりをしているのに気づく。富貴子が妊娠を告白する。
女同士の火花
富貴子がウェディングドレスの試着に行った帰り、突然、鏡子に呼び止められる。富貴子が豊樹に贈ったダイヤのネクタイピンを差し出した鏡子は、豊樹と同棲していたことを話し、豊樹を奪わないでほしい、と泣きじゃくる。富貴子は妊娠を告げ、豊樹は返さない、ときっぱり言う。富貴子はネクタイピンを美晴に預け、鏡子に会ったことは豊樹に黙っていることにする。翌日、豊樹の誕生パーティが野島家で開かれる。楽しそうに踊る豊樹と富貴子の姿を、鏡子が恨みの目で窓から覗いていた。明け方、野島家の運転手が、ガレージで手首を切って倒れている鏡子を発見する。
怨念の遺書…
鏡子が野島家のガレージで自殺未遂を起こす。泰造は富貴子に知られないよう速やかに処理をするが、富貴子は鏡子の遺書を見つける。富貴子は鏡子の病室を訪ね、豊樹のことをあきらめるよう辛辣な言葉を浴びせかける。数日後、鏡子は退院。豊樹のものが全てなくなっている部屋を見て、号泣する。六月、豊樹と富貴子の結婚式が盛大に行われる。富貴子は妊娠六ヵ月の身重だったが、気づいた客は誰もいなかった。美晴は鏡子に手切れ金を渡し、豊樹に接近しないという誓約書を書かせる。十月、富貴子が女児を出産。豊樹は病院へ駆けつけるが、その姿を鏡子がじっと見ていた。
消えた赤ん坊
富貴子が女児を出産。「真世」と命名される。病院で豊樹らの動向を探っていた鏡子は、深夜、新生児室に忍び込み、富貴子の赤ん坊を連れ去る。翌朝、赤ん坊が突然消え、病院では大騒ぎ。富貴子は半狂乱になる。刑事が事情聴取に来て、身代金目的の誘拐事件も視野に入れるという。その頃、鏡子はマンションで、泣き叫ぶ赤ん坊の世話に手を焼いていた。新聞で事件のことが報道され、追いつめられる。数日後、刑事の調べで、不審な女性が赤ん坊を略奪した可能性が出てくる。富貴子は鏡子が犯人に違いないと主張する。刑事が鏡子のマンションを訪ねる。
疑惑のミルク缶
行方不明の赤ん坊の捜査のため、刑事が鏡子のマンションを訪ねる。鏡子は赤ん坊などいないと否定。それ以上の追及を許さなかった。納得できない富貴子はこっそり鏡子のマンションに忍び込み、粉ミルクの缶を見つける。そこへ、赤ん坊を抱いた鏡子が帰ってくる。鏡子はとっさに赤ん坊を浴槽の中に隠し、粉ミルクは自分が飲んだと言い逃れる。絶望する富貴子に、美晴は出生の秘密を明かし、母親の名乗りをする。一年後、鏡子は別のアパートに引っ越し、「ぼたん」と名付けた女児と平穏に暮らしていた。一方、富貴子は二人目の子を出産。愛らしい女の子だった。
孝行娘と我儘娘
昭和四十七年十月、鏡子が育ててきた富貴子の子、ぼたんは満一歳の誕生日を迎える。一方、富貴子は女児を出産。「香世」と名付けられる。昭和六十年十一月、鏡子は板前の友重と結婚。ぼたんは中学二年生になり、三歳下の弟・和人をかわいがっていた。鏡子はぼたんには実の父親は死んだと話していた。看護師に復帰した鏡子の病院に偶然、冬子が入院。二人は顔を合わせるが、お互いに何も気づかなかった。香世はわがままな中学一年生だった。ある日、冬子の見舞いにいった香世が、ぼたんと偶然顔を合わせ、言葉を交わす。
友情のブローチ
鏡子の働く病院で、ぼたんと香世が偶然出合い、仲良くなる。二人はお互いの電話番号を教え合い、香世は胸に飾った薔薇のブローチをぼたんにプレゼントする。その日、富貴子と豊樹もあとから冬子の見舞いにいく。二人の姿を見かけた鏡子はぎょっとして、その行き先を確かめる。会社に戻った豊樹に、泰造の雷が落ちる。昔ながらのやり方を貫こうとする会長の泰造と、時流に乗ろうとする社長の豊樹は、経営方針について対立する。鏡子は友重に豊樹たちが病院に来たことを話し、彼に何もかも話してしまいたい、と相談する。ぼたんを実の娘のように育ててきた友重は反対する。
恐れていた再会
病院での出会いから数日後、香世はぼたんを呼び出し、美晴の店へ連れていく。そこへ、偶然富貴子もやってきて、ぼたんと顔を合わせる。ぼたんに好印象を抱いた富貴子は、今度家に連れてくるよう香世に言う。その頃、病院で、鏡子は豊樹と鉢合わせする。元気に働いている様子の鏡子を見て、安心する豊樹。それからまもなく、ぼたんは香世の家へ遊びにいく。姉妹のように仲のいい二人を見て、胸が痛くなる富貴子。香世もぼたんを姉のように慕っていた。その夜、鏡子は豊樹に会い、ダイヤのネクタイピンを返す。今の家族について話しているうちに、鏡子はぼたんのことを告白したい衝動にかられる。
裏切りの情事
鏡子は豊樹にぼたんのことを告白しようとするが、どうしても言えなかった。が、このままではいけないと思い、数日後、もう一度豊樹に会う。思いつめた様子の鏡子を見て、豊樹は自分への未練だと誤解、二人はよりを戻す。帰宅した鏡子は友重に豊樹との関係が戻ったことを見抜かれ、暴力をふるわれる。豊樹は泰造の反対を押し切ってホテル建設に乗り出す。怒った泰造は富貴子に離婚をすすめるが、富貴子は豊樹しか自分を支えてくれる人はいないと反発する。クリスマス・イブの夜、ぼたんは和人とともに野島家に招待される。豊樹は家族のことを忘れて鏡子と密会していた。
帰らない父親
イブの夜、ぼたんは和人を連れて野島家に遊びにいく。かいがいしく弟の世話を焼くぼたんに香世は癇癪を起こし、一方的に絶交宣言をする。その頃、鏡子は豊樹と密会していた。それを知った友重は子どもたちに鏡子の浮気をばらし、家を出ていく。新しい年が明け、正月二日。親子三人になった三上家に、富貴子から電話がかかってくる。ぼたんと仲直りしたい香世のために、富貴子はぼたんを呼び出す。ぼたんは喜んで香世に会いにいく。二人は泣きながら抱き合い、互いに謝る。富貴子は冬子の病室へ行く。自分の命がもう長くないことを悟った冬子は、富貴子にある告白をする。
浮気の証拠品
冬子は富貴子に実の母親のことを告白する。そして、心残りのないよう美晴と和解する。鏡子は豊樹にぼたんを会わせたくて、アパートに案内する。豊樹はぼたんをほめるが、豊樹が母の浮気相手だと察したぼたんは、顔を強張らせる。ある日、香世がぼたんのアパートに遊びにくる。香世の姓が野島であることを知り、なんとなく心にひっかかるものを感じる鏡子。物怖じしない香世は、鏡子に浮気をやめるよう訴える。その夜、香世はぼたんのところに泊まる。電話で鏡子と富貴子が知らないまま挨拶を交わす。富貴子が豊樹の浮気の証拠をつかみ、本人に問いただす。
母親の愛人
富貴子は、鏡子とよりが戻ったのではないか、と豊樹を問い詰める。豊樹はしらばくれるが、逆上した富貴子は離婚を口走る。そのとき、冬子が危篤だという連絡が入る。二人は病院へ駆けつけ、鏡子の家に泊まっていた香世も呼び寄せる。まもなく、冬子は、「赤ちゃんのときに攫われた姉がいる……」と香世に言い残して、息を引きとる。香世が豊樹の子だと知り、鏡子は驚愕。ぼたんに香世とはもうつき合わないよう言い聞かせる。冬子の通夜の当日、淋しさのあまり、香世はぼたんを呼び寄せる。そこで、ぼたんは豊樹と再会。母の浮気相手だったので、ショックで飛び出す。
社長室への客
母の愛人が香世の父親だと知ったぼたんは、ショックを受ける。が、誰にも言い出せずに、一人で苦しむ。泰造が豊樹の浮気を知り、激怒、離縁させようとする。豊樹は反発、富貴子にも離婚はしないと断言する。友重が酔って豊樹の会社へ押しかける。豊樹は何がしかの金を渡して追い返そうとするが、ぼたんが友重の子どもでないことを聞かされ、ある疑惑を感じる。豊樹は鏡子のアパートへ行き、ぼたんの出生のことを聞きだそうとする。が、一方的に別れをきりだされ、取りつく島もなく追い返される。ぼたんも鏡子から、香世と絶交するよう言い渡される。
涙の絶交宣言
豊樹の顔を見て突然逃げ出したまま会えなくなったぼたんに、香世は電話をかける。すると、ぼたんは涙声で、訳は言えないが、もう会えないと……。納得のいかない香世は、ぼたんの家へ駆けつける。ぼたんはわざと香世を傷つけるようなひどいことを言って、絶交を宣言する。その夜から香世は熱を出して、食事もとれなくなる。一方、ぼたんも体調を崩して、学校を欠席する。豊樹と泰造が会社経営について激しく口論する。激昂した泰造が突然、倒れ、意識不明になる。富貴子は豊樹を責め、夫婦の亀裂は深くなる。同じ頃、鏡子は病院で突然、下腹部に激痛を覚え、ショック状態に陥る。
特別なバイト
ぼたんと香世が別れ別れになったまま、七年の歳月が流れる。平成四年十二月、二十一歳になったぼたんは青山の洋装店で働いていた。鏡子は卵巣の摘出手術を受けてから体調がすぐれず、思うように働けなかった。大学受験を控えた和人のためにも、ぼたんは高収入のアルバイトが必要だった。そんな折、鏡子が手術不可能な子宮癌だとわかる。和人が進学をあきらめるというので、ぼたんはついに、デートクラブで働く決心をする。初仕事の夜、ぼたんは待ち合わせの喫茶店へ行く。まもなく、客がやってくるが、その男の顔を見て、ぼたんは息を呑む。豊樹だった。
七年後の奇跡
家計を助けるため、デートクラブで働くことにしたぼたんは、客として現れた豊樹と再会する。仕事と割りきって豊樹に身を任せようとするぼたんを、豊樹は叱り、事情を聞く。帰宅した豊樹はぼたんに会ったことを富貴子に話し、香世の世話係として働いてもらったらどうかと相談する。二十歳になった香世は得体の知れない連中と遊び回り、自堕落な生活を送っていた。豊樹はぼたんに住み込みで香世の世話をしてほしいときりだす。香世と一緒に暮らせる幸せに、胸を躍らせるぼたん。一方、香世は両親が勝手に決めたぼたんとの同居に、素直に喜べないような態度をとる。
投げられた灰皿
豊樹から香世の世話係を頼まれたぼたんは、野島家に引っ越してくる。ぼたんは香世との再会に胸を躍らせるが、香世の態度は冷たかった。七年前、ぼたんから絶交を言い渡された悔しさが忘れられないのだ。香世はぼたんが持ってきた思い出のある家具や持ち物をゴミ扱いして勝手に処分する。ぼたんが抗議すると、主人に従えない召使いはさっさと出て行くよう言われる。その夜、ぼたんの歓迎会が開かれる。香世は両親の前ではぼたんと仲のいいふりをする。が、一旦二人きりになると、ぼたんをこき使い、言葉遣いまで直させる。屈辱と怒りで、ぼたんは眠れぬ一夜を過ごす。
意地悪なバラ
野島家に来て二日目、極端な主従関係を押しつけようとする香世に、ぼたんは以前のように友だちとして接することを宣言する。香世はあざ笑い、相変わらず召使いのようにぼたんをあごで使う。ぼたんは週に三日、洋装店で働く。同僚の雅也と一緒にデザイン学校にも行けるようになったので楽しみだ。鏡子が一時、退院する。ぼたんも週に一度帰宅が許されていたので、その夜は鏡子の好きな料理を作り、家族三人でくつろぐ予定だった。そこへ、香世から電話がかかってくる。自分の許可なしに勝手に外泊するのは許さないといい、すぐ戻るよう命令する。
不良のパーティ
香世の命令でぼたんが自宅から戻ると、香世は部屋で遊び仲間たちと乱らなパーティを開いていた。香世は皆の前でぼたんを召使いのように扱い、あげくに嫌がるぼたんに無理矢理口移しで酒を飲ませる。豊樹がぼたんの出生に疑問を持ち、部下に鏡子のことを調べさせる。豊樹はまた和人を呼び出し、医学部を受験する和人の経済的援助を申し出る。その頃、美晴はぼたんのことを調べ、ぼたんの母親が鏡子であることをつきとめる。それを知った富貴子は、豊樹と鏡子の関係が続いているものと誤解。豊樹にぼたんを追い出すよう迫る。その夜、怯えた香世がぼたんの部屋へやってくる。
抜き取ったお金
深夜、香世が怖い夢を見たといって、ぼたんのベッドにもぐりこんでくる。ぼたんは香世が安心して眠れるよう懐かしい歌を聞かせる。翌朝、ぼたんが目を覚ますと、香世の姿は消えていた。香世はぼたんのベッドで眠ったことを否定。いつもの主従関係が繰り返される。富貴子は鏡子のアパートを訪ねる。鏡子は豊樹とは七年前にきっぱり別れたといい、ぼたんのことをよろしく頼む。帰宅した富貴子と入れ違いに、香世が外出する。香世は富貴子のバッグから一万円札を数枚抜き取ると、ぼたんに口止め料としてその半分を無理矢理押しつける。
余命一ヵ月…
ぼたんは夜間のデザイン教室に通い出す。その初日の帰り、ぼたんは雅也に食事に誘われる。行く先は偶然にも美晴の店だった。ぼたんに気づいた美晴は、富貴子がぼたんを嫌っていることを告げる。雅也はぼたんを慰め、やさしくキスする。その二人を香世がこっそり見ていた。ぼたんの出生を調べていた豊樹は、ぼたんがさらわれた自分の子どもに違いないと確信する。富貴子が、ぼたんが香世から押しつけられたお金を見つけ、ぼたんが自分のお金を盗んだものと決めつける。ぼたんは何の弁解もせずに自分の非を認め、野島家を出ていこうとする。そんなぼたんを豊樹が引き止める。
恋の妨害工作
ある日、香世が洋装店に現れ、雅也を指名する。デザイナー助手の雅也は戸惑うが、香世は是非ドレスを作ってほしいといい、打ち合わせのためのレストランを指定する。雅也がレストランへ行くと、香世は雅也を一流のデザイナーに押し上げたいといい、そのためにはぼたんを捨てて、ハイクラスの自分とつきあうべきだと誘惑する。帰宅した香世はぼたんに雅也と別れたほうがいいと忠告する。誘惑すれば簡単に乗ってくるような男だからと……。その頃、豊樹は入院している鏡子を見舞い、ぼたんは二十一年前に盗まれた自分の子ではないのか、と問いかける。
切られたドレス
豊樹は、ぼたんの出生について真実を教えてほしい、と鏡子に懇願する。が、鏡子は口を閉ざす。数日後、香世が洋装店にドレスの仮縫いにくる。香世は再び雅也を食事に誘うが、雅也はぼたんと先約があるからときっぱり断る。プライドを傷つけられた香世は半狂乱になって、鋏でドレスをずたずたに切断する。自分の存在が香世を苦しめているのを思い知らされたぼたんは、野島家を出る決心をする。豊樹は引きとめようとするが、富貴子は喜ぶ。そこへ、病院を抜け出した鏡子が訪ねてくる。鏡子はぼたんが豊樹と富貴子の子どもであることを告白する。
証拠の花刺繍
鏡子はぼたんを病院から盗んだことを野島夫妻に告白。そのときぼたんが身につけていた刺繍入りの産着を差しだす。豊樹は自分の直感が当たっていたことを喜び、家族四人で暮らせる幸せを思う。が、富貴子は財産目当ての鏡子の策略に違いないと主張。頑なに信じようとしなかった。ぼたんは鏡子を病院へ連れ帰る。翌日、真実を告げて安心したのか、鏡子は息を引きとる。鏡子の葬儀が終わり、豊樹はぼたんの出生のことを和人に打ち明ける。激しく動揺する和人。ぼたんはどんなことがあっても和人は自分の弟だと言い聞かせるが……。
帰ってきた長女
鏡子の葬儀の翌日、合格発表があり、和人は医学部に合格する。ぼたんは和人と二人で祝杯をあげる。次の日、和人を祝福するため、豊樹がアパートへ来る。卒業するまでの援助を約束する豊樹。和人は野島家の家族になるぼたんのことをよろしく頼む。ぼたんは豊樹とともに野島家に帰る。富貴子はまだぼたんを自分の娘と受け止められず、香世にもしばらく事実をふせるよう二人を説得する。香世は今までどおり召使いのようにぼたんを扱う。が、しばらくぼたんに会えなくて、体にぽっかり穴があいたようだった。一方、ぼたんも香世に対して、実の妹への愛がこみ上げてくる。
悪意のシナリオ
ぼたんは洋装店での仕事を再開する。しばらくぼたんに会えなくて淋しかった雅也は、その夜、思いきってぼたんをホテルへ誘う。が、そういう雰囲気になれなかったぼたんは、一目散に逃げ出す。がっかりした雅也は美晴の店へ行き、そこで偶然会った香世にぼたんのことを相談する。香世は二人の関係がうまくいくよう協力すると申し出る。ぼたんを毛嫌いしていた富美子の態度が変化する。お金を抜き取ったのがぼたんでないことがわかり、だんだんぼたんのやさしさがわかってきたのだ。それからまもなく、ぼたんは雅也から食事に誘われる。その裏で香世が巧妙な罠を仕掛けていた。
のぞかれた情事
香世にそそのかされた雅也は、その夜、ぼたんを自分のものにしようとする。が、香世の小細工に気づいたぼたんは、雅也を拒絶する。翌日、ぼたんと雅也をどうしても別れさせたい香世は、自分の遊び仲間の女に雅也を誘惑させる。そして、二人が抱き合っている姿をぼたんに見せつける。ぼたんは悲鳴のような声をあげて、その場から飛び出す。そんなとき、ぼたんは富貴子から一枚の写真を見せられる。そして、自分が「真世」と名付けられたことを知る。富貴子は日ごとにぼたんのことがいとおしくなり、早く「お母さん」と呼んでもらいたいと願っていた。
嫉妬の小悪魔
ぼたんを裏切った雅也は自己嫌悪に陥り、酒に溺れる。そんな雅也に、追い討ちをかけるように非難の言葉を浴びせかける香世。雅也は発狂したように道路に飛び出し、車にひかれて即死する。ショックに打ちのめされて香世が帰宅すると、両親から突然、ぼたんが実の姉であることを打ち明けられる。雅也の死に責任を感じる香世は、ただ泣きじゃくる。翌日、洋装店に出勤したぼたんは、雅也が事故死したことを知らされる。そして、雅也が自分宛に残していった一通の手紙を見つける。ぼたんは香世にその手紙を見せ、雅也が自殺したことを告げる。
恋に落ちる予感
雅也の死を乗り越え、ぼたんは野島家の家族として新しい生活を始める。ぼたんと香世は姉妹の絆をあらためて感じ、両親もそんな二人の成長を楽しみにする。一年後。ぼたんは一周忌を迎える鏡子の墓参りに行く。すると、由岐雄が豊樹の名代として供養にやってくる。由岐雄は苛酷な運命の中でも清らかな心を持ち続けるぼたんに熱い眼差しを注ぎ、ぼたんもまた恋の予感に胸をふるわせる。数日後、豊樹の提案で、野島家で鏡子の一周忌の法要が営まれる。由岐雄が友人を連れてやってくる。ぼたんと由岐雄は再会に心躍らせる。そんな二人の様子を見て、香世の顔色が変わる。
初めてのデート
由岐雄が友人の外科医・賢太郎を連れて野島家にやってくる。ぼたんと由岐雄が互いに好意を持っているのを察した香世は、不機嫌になる。数日後、ぼたんは由岐雄に誘われてテニスへ行く。香世も対抗心を燃やして、賢太郎とデート。ぼたんが由岐雄から牡丹の花のペンダントをプレゼントされたのを知った香世は、自分も賢太郎に無理を言って、薔薇の花のペンダントを贈ってもらう。そんな折、豊樹と富貴子が旅行で家を留守にする。香世はこのチャンスに青春の思い出をつくることを提案。自分は賢太郎に愛の証として躰を捧げるから、ぼたんも由岐雄と結ばれるようそそのかす。
真夜中の儀式
両親のいない夜、ぼたんと香世は由岐雄と賢太郎を食事に招いてもてなす。そして、由岐雄をぼたんの部屋に、賢太郎を香世の部屋に泊める。香世の提案で、姉妹は同じ時刻に、それぞれ愛する男性に処女を捧げる約束だった。その時刻、香世は賢太郎をベッドに誘い、関係を結ぶ。一方、ぼたんも由岐雄を誘うが、いざとなると躰が硬直する。由岐雄は無理にぼたんを抱くのをやめ、次の機会を待つ。翌日、ぼたんが約束を破ったのを知った香世は逆上する。自分は由岐雄を好きだが、ぼたんに譲るつもりで、愛してもいない賢太郎と関係を持ったと。
理解不能な女心
由岐雄を自分の後継者にと考えている豊樹は、ぼたんとの結婚を由岐雄に打診する。由岐雄は率直に、ぼたんを愛していることを告白する。ぼたんも由岐雄を愛していた。が、由岐雄に思いを寄せている香世のことを考えると、結婚にまで踏みきれない。香世は一夜を共にした賢太郎に絶交宣言をする。ショックを受けた賢太郎は、由岐雄に相談。由岐雄は香世を呼び出し、二人の仲を取り持とうとする。香世は中学生の頃から由岐雄が好きだったことを告白。自分の肉体が穢れたように、ぼたんの躰をメチャメチャにしてやる、と言いだす。
婚約の日の悲劇
結婚を急かせる豊樹のお膳立てで、ぼたんと由岐雄は婚約の日を迎える。香世はぼたんを羨ましがり、自分は由岐雄の妾になりたいと言いだす。婚約の祝宴が終わり、ぼたんは由岐雄と二人きりで出かける。そして、一人で帰宅するが、その途中、いきなり三人の男たちに襲われ、乱暴される。傷だらけになって家にたどりついたぼたんは、自分の身に起こったことを両親に打ち明ける。そして、香世に、犯人からむしり取ったバンダナをつきつける。その頃、和人のアパートに、消息不明だった父の友重が、八年ぶりに帰ってくる。
おぞましい真相
ぼたんは自分を襲った男たちが香世の仲間だと知り、香世を問い詰める。香世は平然と自分が指図したことを認める。香世は男たちに礼金を渡す。その現場を和人が目撃。香世を警察へ連れていこうとするが、香世は居直って、反撃に出る。ぼたんは由岐雄に事件のことを打ち明け、もう結婚できないときりだす。由岐雄は何があろうと自分の気持ちは変わらないと言い、結婚の話を進める。そんな折、友重がぼたんに会いにくる。ぼたんを不憫に思った友重は、香世が暴行事件を仕組んだことを豊樹夫妻に暴露する。夫妻は信じられないが、そこへ香世が現れ、自分が首謀者だと発言する。
延期された結婚
香世がぼたんを傷つけたことを知った豊樹は、香世を殴りつける。ぼたんは豊樹に取り縋り、香世から由岐雄を奪った自分のほうが悪いのだ、とあくまでも香世をかばう。そのとき、逆上した友重が、包丁をふりかざして香世に襲いかかる。とっさに香世を守ろうとしたぼたんが刺され、病院へ運びこまれる。ぼたんは由岐雄に結婚の延期を申し出る。怪我のいきさつや香世の行動については触れなかった。まもなく、ぼたんは退院する。ニューヨーク支部閉鎖にあたり、豊樹と富貴子が一週間渡米することになる。二人は娘たちのことを気にしながら出発する。
事故のニュース
ぼたんと香世は特別に結びつきの深い姉妹だった。ぼたんは香世のために由岐雄との結婚をあきらめようとするし、香世はぼたんこそ由岐雄と結婚すべきだと主張する。二人にオモチャにされているようで、由岐雄は不愉快だった。また、ぼたんの怪我が軽いのに、結婚が延期になったことにも納得がいかない。和人もぼたんがどうしてそこまで香世のことを大切にするのか、理解できなかった。ぼたんは洋装店のみんなには、結婚は取りやめになったと報告していた。
債権者の乱入
豊樹と富貴子が飛行機事故で帰らぬ人となる。残されたぼたんと香世は、お互いの幸せのために力を合わせて生きるよう誓いを立てる。そんな矢先、豊樹の会社に債権者たちが押しかけてくる。社長の事故死で銀行から融資を打ち切られた会社は、莫大な借金を抱え、倒産の危機に陥っていた。ぼたんは銀行の支店長・長沼に融資を頼みにいく。長沼はぼたんの無謀さをあざ笑うが、会社の株主の一人、象造がいい知恵を授けてくれるかもしれないと教える。ぼたんから象造の話を聞いた由岐雄は、その男はハゲタカのような奴だから関わり合いにならないほうがいい、と眉をひそめる。
卑劣な交換条件
ぼたんは美晴に今後のことを相談する。すると、店の客で援助を申し出てくれている人がいるという。その人物が象造だったので、ぼたんは困惑する。それからまもなく、ぼたんは象造に会う。実業家として大成功している象造は、自らが社長となって建設会社再建に取り組むことを主張。その条件として、ぼたんに自分の愛人になるようきりだす。そんな折、ぼたんは将来を悲観した香世から心中を持ちかけられる。ぼたんはどんな貧乏にも耐える覚悟だったが、贅沢に育ってきた香世には、それができなかった。ぼたんは香世のために象造の条件をのむ決心をする。
思い出の一夜
象造がぼたんを愛人にしようとしているのを知った由岐雄は、象造と対決する。が、厚顔無恥な象造に虫けらのようにあしらわれる。ぼたんは香世に由岐雄と結婚するよう言い含める。そして、象造に愛人の承諾をして、固めの盃をかわす。その夜、ぼたんは、香世と結婚するよう由岐雄を説得する。由岐雄は耐えきれないが、ぼたんの強い決意に圧倒される。ぼたんは由岐雄の愛を躰に刻み込ませるために、由岐雄と結ばれる。由岐雄は香世にプロポーズする。ぼたんは香世を祝福するが、香世は、ぼたんを犠牲にして自分だけが幸せになれない、と結婚を拒否する。
愛人生活
六月、香世と由岐雄の結婚式がとり行われる。野島家に一人になったぼたんのもとに、象造が通ってくる。その夜、ぼたんは初めて象造と関係を持つが、突然の吐き気に襲われる。ぼたんは自分の妊娠を知る。二ヵ月という診断で、由岐雄の子どもだった。ぼたんは美晴に打ち明け、象造の子と誤魔化して産む決心をする。九年後。平成十五年二月、野島家でぼたんの娘・麗香の八歳の誕生パーティが開かれていた。象造はかわいい一人娘にデレデレの様子だ。香世と由岐雄も祝福に駆けつけるが、麗香は由岐雄がお気に入りで、世界で一番好きだという。
正妻の嫌がらせ
象造はアルマ建設の社長におさまり、由岐雄を製作部長に取り立てていた。ぼたんは念願がかなって、洋装店のオーナーだ。ある日、その洋装店に、象造の本妻・せい子が様子を見にくる。ぼたんに嫌味を言い始めたせい子は、麗香の姿を見つけると、象造に全く似ていないと疑惑の目を向ける。香世は美晴の店を手伝い始める。子どもはまだなく、由岐雄との夫婦仲もなんとなくぎくしゃくしている。上海出張の決まった由岐雄が、医者になった和人のもとに検査にいく。香世のことが許せない和人は、香世がぼたん暴行事件の黒幕であることを由岐雄に暴露する。凍りつく由岐雄……。
夫婦のすきま風
和人からぼたんの暴行事件の真相を知らされた由岐雄は衝撃を受ける。そして、常識では考えられないぼたんと香世の関係に、愕然とする。由岐雄は一週間の予定で上海出張へ出かける。香世は淋しがるが、由岐雄は暴行事件のことが影響して、香世を今までどおり愛することができない。由岐雄が帰国。まっすぐ家に帰る気になれず、和人のアパートへ立ち寄る。由岐雄は麗香への土産の鳥籠を持っていた。その日、象造が姉のところへ来ないのを知っていた和人は、由岐雄にぼたんに会いにいくようすすめる。由岐雄は野島家を訪ねる。そこへ、香世から電話がかかってくる。
半狂乱の告白
上海から帰った由岐雄は、麗香にせがまれるまま野島家に一泊する。実の親子とも知らず仲良く眠っている由岐雄と麗香を見て、ぼたんは嗚咽がこみあげてくる。翌朝、学校へ行く麗香を象造が迎えにくる。象造は由岐雄に気がつかなかったが、麗香が由岐雄のことを話す。麗香が自分より由岐雄になついているので、象造は面白くない。由岐雄が帰宅。香世は由岐雄のスーツのポケットに昨日の日付の領収書を見つけ、不審に思う。夕方、麗香が行方不明になる。パニックになったぼたんは由岐雄に助けを求め、麗香が由岐雄の子であることを告白する。そこへ、香世が麗香を連れて帰ってくる。
嫉妬の出向命令
麗香が自分の子どもだと知った由岐雄は、足しげく麗香に会いにくる。麗香も由岐雄の来るのを楽しみにして、今度ディズニーランドへ行く約束をする。そんな二人に、象造が嫉妬。由岐雄に上海への長期出向を命じる。ぼたんは私情をさしはさんだ象造の人事に、異議を唱える。象造はかっとなり、ぼたんを殴りつける。それを見た麗香は象造に非難の目を向ける。香世は領収書から由岐雄の空白の一日に疑問を抱いていた。それに、ぼたんが何か隠しているのではないかと気にする。上海出発が明日に迫った日、由岐雄からぼたんに呼び出しの電話がかかってくる。
出張前夜の密会
上海出張の前夜、由岐雄からぼたんに、会いたいと電話がかかってくる。ぼたんは出かける支度をするが、香世がやって来たので、会いにいくのをやめる。象造は麗香が自分にちっともなつかないので、ぼたんに八つ当たり。再びぼたんに暴力をふるう。ぼたんは家を飛び出し、由岐雄のもとに向かう。翌朝、由岐雄はマンションへ帰る。香世は逆上し、自分のことが嫌いになったのか、とすがりつく。由岐雄は上海へ出発。香世はぼたんに、自分も上海へ行くべきかどうか、と相談する。一週間後、一時帰国した由岐雄からぼたんに電話がかかってくる。今から会いにいくという。
狂乱する香世
一時帰国した由岐雄がぼたんに会いに野島家へ来る。が、間の悪いことに、そこへ香世がやってくる。由岐雄はとっさに麗香の部屋に隠れ、麗香に父親の名乗りをする。そして、それは二人だけの秘密だと固く口止めをする。和人は香世を食事に連れ出す。由岐雄の愛を確かめるために、浮気を持ちかける香世。和人はぼたんのためにその話に乗ろうとするが、寸でのところで香世の気が変わる。翌日、麗香に会った香世は、昨日由岐雄が家に来ていたのではないか、と問い詰める。固く口を閉ざす麗香に、香世は狂乱状態になり、ナイフを突きつける。そして、次の瞬間、恐ろしいことが……。
九年間の裏切り
香世のせいで麗香が怪我をして入院。麗香の血液型を知った香世は、麗香の出生に疑問を抱く。香世は象造や和人に探りをいれ、麗香が由岐雄の子だと確信する。一週間後、麗香が退院。由岐雄が上海から駆けつけてくる。麗香は会いたかった「おとうさん」が帰ってきて、心を躍らせる。その頃、香世は象造に、麗香が由岐雄の子であることを暴露していた。逆上した象造はぼたんの家で暴れる。由岐雄は象造と決着をつけようとするが、象造は話し合いを拒否する。由岐雄が帰宅すると、狂乱状態の香世が待ちかまえていた。出刃包丁を取り出した香世は、麗香を殺してやる、と口走る……。
狂った脅迫者
由岐雄は象造の会社を辞める決心をする。象造はプライベートと仕事は別だといい、由岐雄に、ぼたんは渡せないが、麗香を引き取ったらどうか、と持ちかける。ぼたんは麗香を手放すことなどできなかった。由岐雄が訪ねてきたある夜、ぼたんは象造に、今夜を最後に由岐雄に会わないから、今夜だけ由岐雄と麗香を一緒に寝させてやってほしい、と懇願する。一方、香世のぼたんへの嫌がらせはエスカレートするばかりだった。そんな香世に象造が、麗香をさらってしまえばいい、と入れ知恵する。香世は学校帰りの麗香をつかまえ、無理矢理連れていこうとする。
連れ去られた子
麗香に会えなくなった由岐雄は淋しくてたまらず、美晴を通じて、麗香を預からせてもらうようぼたんに頼む。一方、麗香も由岐雄の顔が見えなくなって、食事ものどを通らない。そんなとき、ぼたんの留守中に、香世が言葉巧みに麗香をマンションへ連れていく。由岐雄と楽しく過ごすうちに、麗香は香世への警戒心も解け、ずっとここで暮らしてもいいと思う。由岐雄はぼたんに、夏休みまで麗香を預からせてほしいと頼む。ぼたんはこのまま麗香を取られるのではないかと心配するが、麗香本人が喜んでいるので、仕方なく承知する。香世は麗香の良き母親になろうと、心を入れかえる。
秘密の甘い時間
由岐雄のもとに預けられた麗香は、ぼたんを恋しがることもなく、新しい生活に馴染んでいた。香世は麗香の授業参観に出たり、人形の洋服を縫ったりして、懸命に母親代わりをつとめる。一方、ぼたんは麗香を手放したことを後悔し、魂の抜けたような生活を送っていた。香世への憎しみも募る。見るに見かねた和人は、ぼたんに麗香を会わせるよう由岐雄に頼むが、香世に妨害される。由岐雄は香世に内緒で、一人でぼたんに会いにいく。二人は互いの気持ちを押さえることができず、秘密の時を過ごす。その二人の関係が、麗香の何気ない言葉から香世に知られる。
悔し涙の尾行
ぼたんと由岐雄の仲を疑う香世は、麗香をずっと自分の手もとに置き、ぼたんに会わせようともしなかった。麗香は家に帰りたかったが、香世が怖くて言い出せない。そんなある日、香世はぼたんと由岐雄の密会現場を目撃。衝撃のあまり、麗香に八つ当たりする。ぼたんは象造に別れをきりだす。が、にべもなく拒否される。一方、由岐雄も香世に離婚を迫る。香世は応じず、ぼたんを愛してもいいから自分も愛してほしいとすがりつく。香世の麗香への折檻が始まる。香世のマンションへ電話をかけたぼたんは、麗香の泣き声を聞き蒼ざめる。
いたいけな人質
由岐雄は麗香をぼたんのもとへ戻そうとするが、香世の監視の目が厳しくて手出しができなかった。そんなある日、麗香からぼたんに助けを呼ぶ電話がかかってくる。マンションに閉じ込められて、学校にも行かせてもらえないと。麗香奪還のため、和人がマンションへ向かう。こっそり部屋に忍び込んだ和人は、麗香を連れ出そうとするが、すんでのところで香世に見つかり、ゴルフパターで殴りつけられる。居ても立ってもいられなくなったぼたんは、香世のマンションに乗り込む。シーツの袋の中に詰め込まれていた麗香は、ぼたんの声を聞き、シーツを食い破ってぼたんのもとへ抱きついていく。
告げられた病名
ぼたんは香世の手から麗香を連れ戻そうとするが、失敗に終わる。ある日、由岐雄が帰宅すると、麗香が鎖につながれていた。由岐雄はすぐに麗香を家から連れ出そうとするが、香世が反撃。由岐雄は香世を殴りつけ、はずみで香世は調理台の角に顔をぶつけて倒れる。麗香は両眼の腫れ上がった香世を心配してマンションに留まる。香世は眼科医の診察を受ける。外傷性網膜剥離で、すぐに手術が必要だという。ぼたんはもう一度香世と話し合うためにマンションを訪ねる。そして、出刃包丁を取り出し、香世と無理心中をはかろうとする。そのとき、ぼたんが突然、倒れる。腎不全で、余命半年だという診断が……。
死なないでッ!
ぼたんが余命半年と知った香世は、半狂乱になる。一方ぼたんは、自分がいなくなれば争い事もなくなる、と自分の運命を冷静に受けとめていた。和人から腎臓移植の話を聞いた香世は、ぼたんの命を助けるためにドナーになることを申し出る。香世の網膜剥離を心配した和人は眼の手術を先に勧めるが、香世のたっての希望で移植手術が優先される。和人も立ち合った腎臓移植手術は無事、成功する。が、香世の目が見えにくくなり、手術はもう不可能だった。このままでは完全に失明してしまうというので、由岐雄は自責の念にかられる。香世は目のことはぼたんに言わないよう口止めをする。
退院の日の衝撃
香世から腎臓を提供してもらったぼたんは、順調に回復していた。隣の病室にいる香世のことが気にかかるが、由岐雄から元気だと聞かされ、安心する。それからまもなく、歩けるようになったぼたんは香世の病室を訪ねる。香世は目が見えないことを悟られないように、必死に取り繕う。香世が退院。続いて、ぼたんも退院の日を迎える。象造に付き添われてぼたんが帰宅すると、由岐雄と香世が待っていた。香世は努めて自然に振る舞おうとするが、ぼたんは香世の目が見えないことを見抜く。責任を感じたぼたんは、香世の面倒は自分がみると言い出す。
永遠の姉妹愛
ぼたんは失明した香世と信州の別荘で二人きりで暮らし始める。半年後、麗香がぼたんを恋しがって泣く。象造は、二人を野島家に呼び戻し、由岐雄、麗香も含めて、五人で一緒に暮らそうと提案する。由岐雄は麗香を連れて、別荘へ向かう。信州の別荘に到着した二人が見たものは…。(終)
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連ドラ史上初の“ガールズラブ”をテーマとしたドラマをお届けする!制作は『テラスハウス』スタッフが担当する。2012年10月の放送開始以来、ティーンを中心に熱狂的な人気を博したリアリティショー『テラスハウス』。そんな若者のハートをつかんできた『テラスハウス』制作陣が、このたびお届けするのは、“台本のある”連続ドラマ。内容は胸キュンが止まらない“ド”直球のラブストーリー。しかし、恋をする主人公の二人は、どちらも「女子」であるという、連続ドラマ史上初の“ガールズラブ”がテーマとなる。親同士の再婚により、ひとつ屋根の下で義姉妹となった、性格もルックスも好対照の二人が、最悪の出会いから、反発しながらも恋を育んでいく、王道とも言えるストーリーを、女子×女子で描いていく。「ひとつ屋根の下で育まれる恋」という点においては奇しくも『テラスハウス』を想起させるが、今回は脚本ありの完全なるオリジナルストーリーだ。スタッフ×キャスト×ミュージックが紡ぎ出す新しいエンタテインメントに、是非ご期待いただきたい。
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