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目次
戦国乱世に生まれ、太平の治世を築く徳川家に仕えた春日局(つぼね)。俳優・大原麗子が、家光をひたすら守り続ける春日局の生涯を好演しました。脚本は橋田壽賀子。
第1回 父の出陣
慶長9年(1604)、一人の女が江戸城の門をくぐります。女の名はおふく、後の春日局(つぼね)です。将軍・徳川家康の三男・秀忠と正室・お江与の方との間に生まれてくる子の乳母(めのと)として召し出されました。しかし、お江与は承服できません。お江与の母はお市の方、伯父は織田信長。おふくは、本能寺の変で信長を討った明智光秀の腹心・斎藤利三(としみつ)の娘。お江与にとっては紛れもない仇(かたき)です。
第2回 天下をとる
天正10年(1582)6月、おふくの父で明智光秀の腹心・斎藤利三(としみつ)は、長男・利康と次男・利宗(としむね)を従えて丹波亀山から本能寺に出陣します。翌日、留守を預かる利三の妻・お安(あん)のもとに、明智の殿が天下様になられたという知らせが届きます。ついに明智光秀は織田信長を討ったのです。しかし、本能寺の変は、お江与にとっても、4歳の初夏を迎えたおふくにとっても地獄の日々の始まりでした。
第3回 母子無情
明智光秀が安土城で得意の絶頂にいるころ、毛利攻めで備中にいるはずの羽柴(はしば)秀吉は姫路へ戻っていました。さらに、秀吉が尼崎に入り光秀討伐の軍議を開いたころに、光秀は秀吉の動きを知ります。双方とも雌雄を決するのは山崎の天王山と考えていましたが、情報の遅れや不利な軍勢で光秀は敗北します。おふくと母・お安(あん)は亀山城を脱し、利三(としみつ)らが待つはずの坂本城に向かいますが…。
第4回 別離
本能寺の変から11日で明智光秀の天下は終わりました。主君も帰る家も失ったおふくと母・お安(あん)は、追っ手を避けながら山野をさまよいます。そして、ようやくたどり着いた京で、はりつけになった父・斎藤利三(としみつ)の無残な姿を目にします。しかし、奇跡的にも亡き父の親友・海北友松(かいほうゆうしょう)と東陽坊長盛(ちょうせい)に再会し、友松の計らいで比叡(えい)山の麓の山里に隠れ住むことになりました。
第5回 忍ぶ宿
おふくとお安(あん)は比叡(えい)山を後にし、お安の母の実家・京の三条西家に身を寄せます。三条西家は公卿(くぎょう)とはいえ生活は苦しく、お安の父・稲葉一鉄から相当の礼金を取りながら、お安たちを下働き同然に扱いました。一方、柴田勝家が羽柴(はしば)秀吉に討たれたため、親を失った茶々・お初・お江与は、敵である秀吉に引き取られます。3人は伯父・織田信長を討ち、自分たちの運命を変えた明智光秀を恨みます。
第6回 一族再会
天正12年(1584)、おふくが三条西家で暮らして1年半が過ぎるころ、徳川家康と羽柴(はしば)秀吉の間で小牧・長久手の戦いが始まりました。おふくの祖父・稲葉一鉄は一族の運命をかけて秀吉に従い、武功をあげ秀吉の信頼を得ます。戦は外交戦略で終結し、その後、関白となった秀吉は祝いのため登城した一鉄に、おふくたちを許すと言います。おふくたちのつらい逃亡生活は終わり、晴れて一族再会を果たします。
第7回 愛の鞭(むち)
天正13年(1585)、おふくとお安(あん)は稲葉一鉄の領地・美濃に帰りました。7歳のおふくは祖父・一鉄から戦国の女のたしなみとして、武芸のほか、あらゆる教養を教え込まれます。ほうそうを患った時には一族の手厚い看護で全快し、献身の尊さを学びます。そして、兄・利宗(としむね)と弟・出来丸の任官もかないました。一方、聚楽第(じゅらくだい)が完成し、豊臣秀吉は天下人の地位を固め、茶々を側室に迎えます。
第8回 嫁ぐ
文禄2年(1593)、おふくが美濃に身を寄せて8年。豊臣秀吉は関白職を養子の秀次に譲り、太閤(たいこう)になっていました。稲葉家では、娘婿・正成が朝鮮出陣中に妻・つるが死んだため、15歳のおふくが残された2人の子どもの母代わりになっていました。正成の養母から子どもらに慕われるおふくを後添えにと望まれます。翌年正月、正成とおふくは祝言を上げ、新しい主君・小早川秀秋の居城・丹波亀山へと旅立ちます。
第9回 夫婦(めおと)模様
文禄4年(1595)、主君・小早川秀秋が筑前名島34万石を相続したため、稲葉正成とおふくも筑前名島城に移ります。平穏な日々は長く続かず、豊臣秀吉は再び朝鮮出兵を命じます。総大将である主君・秀秋と共に、夫・正成が出陣して3か月後、おふくは嫡男・千熊(後の正勝)を産みます。一方、徳川秀忠に嫁いだお江与も千姫を産みます。そして、家康と秀吉は、生まれたばかりの千姫と秀吉の子・秀頼の縁組みを図っていました。
第10回 秀吉逝く
慶長3年(1598)4月、朝鮮での戦で戦略を誤ったとして総大将の小早川秀秋と稲葉正成が豊臣秀吉の怒りを買い、突然帰還します。若い秀秋の過失は家老・正成の責任。2人は必死で弁明しますが、秀吉は石田三成のざん言を信じ、秀秋に国替えを言い渡します。北政所(きたのまんどころ)は秀秋に徳川家康を頼るよう助言します。同年8月、秀吉は家康ら五大老と三成ら五奉行に秀頼を託し、63歳の生涯を閉じました。
第11回 関ヶ原前夜
慶長5年(1600)夏、徳川家康はあえて大坂を留守にして上杉征討のため会津へ出陣、石田三成は大坂で豊臣恩顧の西国大名らと反徳川の兵を挙げます。大坂城を守る小早川秀秋は微妙な立場です。おふくは「小早川は徳川に味方する」と言う夫・稲葉正成に納得できません。三成は秀頼君をお守りする豊臣の重臣、豊臣に味方するのが人の道ではないか…。しかし、正成は「秀吉亡き後の天下は家康でなければ抑えられぬ」と言います。
第12回 天下分け目
慶長5年(1600)9月、関ヶ原の合戦。小早川秀秋の本陣では西軍につくか東軍に内応するか意見が分かれたまま、合戦の火ぶたが切られました。西軍有利と見える中、三成方の合図で出陣しようとする秀秋を、家老・稲葉正成が命がけで止めます。家康方が決断を促すため小早川軍へ発砲、若い秀秋が驚くすきに正成が西軍攻撃を命じます。小早川の寝返りを機に西軍は敗北に転じます。主君・秀秋と言うより、家老・正成の決断でした。
第13回 戦後の家族
大坂城へ無血入城した徳川家康は、諸大名の処分と論功行賞を行います。豊臣家は65万石の一大名に格落ち、小早川秀秋は岡山に52万石の新しい所領を得、家老・稲葉正成も加増されました。しかし、岡山は西軍・宇喜多秀家の旧領。寝返った秀秋への憎しみは強く、しぜんと秀秋の心はすさみます。抵抗する領民らの対応を巡り、秀秋は、豊臣を裏切らせた正成に刀を抜きます。その夜、正成は一家全員で岡山脱出を決意しました。
第14回 夫の危機
おふくの夫・稲葉正成は一家を連れて生家の縁者を頼り、美濃に移ります。美濃の暮らしは平穏でしたが、正成の任官の口はなかなか見つかりません。正成に焦りの色が見えたころ、主君・小早川秀秋の使者が訪れ、岡山に戻るよう懇願していると言います。この知らせを聞いたおふくと正成は、早速、秀秋のもとに向かいます。しかし、秀秋はすでにこの世にはなく、小早川家は断絶。正成の夢は永久に断たれてしまいました。
第15回 秀頼・千姫婚儀
慶長8年(1603)、徳川家康は征夷(い)大将軍に任ぜられます。豊臣秀吉の忘れ形見の秀頼をさしおいて天下人になった家康に憤る茶々(ちゃちゃ)には我慢しかありません。徳川秀忠に嫁いだ妹・お江与も豊臣と徳川の架け橋として長女の千姫を差し出します。その夏、11歳の秀頼と7歳の千姫の婚儀が行われました。一方、おふくは夫・稲葉正成の任官のため、兄の利宗(としむね)や三条西実条(さねえだ)に助力を求めます。
第16回 乳母の条件
慶長9年(1604)、おふくに三男・高丸(後の正利・まさとし)が産まれ、3か月が過ぎるころ、三条西実条(さねえだ)の使いが美濃を訪れ、徳川秀忠の正室・お江与の方に産まれる子の乳母(めのと)に、おふくを推薦したと言います。自分の家族が大事なおふくは断るつもりで徳川家康に会います。乱世の厳しさを知るおふくこそ、徳川三代目の乳母にふさわしいと説得する家康に動かされ、おふくは乳母になる決意を固めます。
第17回 世継ぎ誕生
家族を残し、おふくは長男・千熊(後の正勝)と江戸城に入りました。懐妊の祝詞を述べるおふくを、お江与の方は異様なまなざしで見つめます。お江与の方の伯父・織田信長を討った逆臣、明智光秀の腹心の娘がおふくでした。「あの女の乳は決して飲ませぬ」とお江与は荒れます。女子が産まれれば、おふくと千熊は美濃へ帰れます。しかし、慶長9年(1604)7月、徳川家待望の男子が誕生しました。後の三代将軍・家光です。
第18回 二代目決まる
おふくは徳川家世継ぎの乳母(めのと)として、長男・千熊(せんくま)は小姓として、江戸城にとどまりました。徳川家康の幼名を与えられた竹千代に乳を与えることもできないお江与のため、おふくは1日1回、お江与が授乳できるよう計らいます。一方、家康は将軍職を秀忠に譲ることを考えていました。慶長10年(1605)春、朝廷から秀忠に将軍宣下(せんげ)がなされ、将軍職が徳川家の世襲であることを天下に示しました。
第19回 女の言い分
徳川家による将軍職の世襲は、茶々(ちゃちゃ)を動揺させます。わが子・秀頼が関白になる道が断たれたも同然です。しかも徳川は高台院(寧々・ねね)を通じて、徳川秀忠の将軍就任の祝いに参列するよう言ってきました。誇り高い茶々は一蹴します。家康は政治の実権を握り、幕府は秀忠にゆだね、駿府と江戸との二元政治を始めようとしていました。一方、満2歳を迎える竹千代がはしかにかかり、おふくは寝食を忘れて看病します。
第20回 ゆらぐ夫婦
慶長11年(1606)3月、おふくは、駿府に出発する前の徳川家康に、竹千代が乳離れしたら暇をもらいたいと願い出ます。おふくに絶大な信頼を寄せる家康は困惑し、次に江戸に戻るまで待つように言います。しかし、家康が江戸へ戻らない間に竹千代の2歳の誕生日が過ぎ、お江与は次の子を身ごもります。同年9月、江戸城・本丸が完成、将軍・秀忠が入城するころ、おふくの夫・稲葉正成は家康から駿府城に呼び出されます。
第21回 母去りぬ
夫・稲葉正成が3年ぶりにおふくを訪ねます。正成の実家がある美濃の領地に1万石を与えられることになりました。正成が大名になれば家族は江戸に住み、おふくを乳母(めのと)として引き止められるという徳川家康の計算です。稲葉家にようやく光がさし始めますが、母・お安(あん)が出家して美濃で暮らすため江戸を去ります。一方、お江与は男子を産み、国千代と命名。この国千代が、竹千代とおふくの前途に暗い影を落とします。
第22回 名ばかりの将軍
国千代に対するお江与の偏愛ぶりにおふくは不安を抱きます。慶長12年(1607)10月、お江与は五女・和姫を出産しました。将軍・秀忠は徳川の世を盤石にするため、和姫を朝廷に入内(じゅだい)させるつもりです。12月、夫・正成の義弟で美濃清水城主・稲葉通重(みちしげ)が不祥事を起こしますが、秀忠が寛大な処分にしたところ、駿府が異議を唱えました。秀忠は駿府が江戸に力を誇示しているように感じざるを得ません。
第23回 悲劇の予感
ある日、お江与の住む部屋の庭にたまたま入り込んだ兄・竹千代の小姓・千熊(せんくま)たちと弟・国千代の小姓たちがけんかをしました。兄弟の対立が小姓にまで及び、おふくもお江与も心を痛めます。お江与はおふくの子・高丸を国千代につけ、兄・千熊とともに徳川家の兄弟が助け合うよう支えて欲しいと望みます。しかし、お江与は家康が竹千代を優遇し、諸大名が国千代を軽く見ることに腹を立て、竹千代の目通りを許しません。
第24回 母ふたり
お江与は自分の乳で育てた国千代への愛着が強く、徳川の世継ぎと考えています。器量の優れたものこそ徳川の世継ぎだと主張するお江与と嫡男を世継ぎと決める家康との間で心が安らぐことのない秀忠は、下働きの女・お静の優しさにひかれます。一方、兄・竹千代はお江与が弟・国千代をかわいがる様子を見て、自分が母に疎まれている事を悟ります。これを機に、竹千代はおふくと今までと違った強い絆で結ばれることになります。
第25回 こころの教育
おふくは兄・竹千代に世継ぎとしての自覚を持たせるため、江戸の庶民の暮らしに触れさせようと考えます。将軍家嫡男が城外に出るなど考えられませんが、老中・土井利勝の協力でかなえられました。慶長15年(1610)秋、将軍・秀忠が思いを寄せるお静の妊娠が判明し、おふくはお静を江戸の近郊に預けます。竹千代やお静の件は、おふくに対するお江与の態度をますます硬化させ、幕閣を二分する事になります。
第26回 生き残る道
慶長16年(1611)、徳川家康が秀忠に将軍職を譲って6年が過ぎました。一大名になったとはいえ豊臣への不安が消えない家康は、同年3月、政仁(ことひと)親王の即位の祝いに上らくする機会を利用して、成人した豊臣秀頼と二条城で対面しました。秀頼は臣従の姿勢を示しますが、堂々たる器量に家康は脅威を覚えます。同時に世継ぎを巡って対立する江戸城の奥のうわさにも無関心ではいられなくなりました。
第27回 舅(しゅうと)から嫁への手紙
駿府の徳川家康からお江与に手紙が届きます。お江与が嫡男・竹千代を疎んじ、国千代を世継ぎに決めていると叱責した内容です。駿府派の本多正信・正純のざん言と疑ったお江与は、国千代を擁立する大久保忠隣(ただちか)らと本多父子の失脚を謀ります。一方、国千代が世継ぎになるといううわさで、竹千代方は諸大名からの贈り物が途絶え、奥向きが困窮していました。ある日、おふくの元に母・お安(あん)の死の知らせが届きます。
第28回 和平か決戦か
国千代派の大久保忠隣(ただちか)が重臣筆頭になり、お江与の力が強くなります。駿府派の重臣・本多正信、土井利勝を頼みとする竹千代とおふくは、不遇の日々に耐えていました。しかし、大久保忠隣が謀反の疑いで失脚します。これは、幕閣が二分し幕府の基礎が揺らぐと懸念した家康が執らせた措置でした。さらに、最後の不安の火種、豊臣潰しに着手します。家康が仕掛けた方広寺の鐘銘事件を巡り、ゆさぶられた豊臣は…。
第29回 大坂攻め
慶長19年(1614)10月、徳川家康が大坂城攻めを命じ、大坂冬の陣が始まりました。全国から先を争って集まった数十万の徳川勢が大坂城を取り囲みます。豊臣は真田幸村をはじめ10万の軍勢で守りを固めます。大坂城の守備力の高さを知る家康は、砲撃による威嚇などで講和を進めます。進まぬ交渉に業を煮やした家康は、天守閣に向けオランダ製の大砲(おおづつ)を発砲します。驚いた豊臣は講和の受け入れを決意しました。
第30回 ああ大坂城
徳川の講和の条件は豊臣65万石の安どなど寛大な内容に見えましたが、家康は大坂城の二の丸・三の丸の取り壊しを手始めに、外堀のみならず内堀まで埋めてしまいました。慶長20年(1615)3月、家康は豊臣に法外な要求をします。豊臣秀頼が大坂城を出て、大和か伊勢に国替えするか、新しく召し抱えた浪人たちを城から追放するかの選択です。ついに豊臣は覚悟を決め、大坂夏の陣の火ぶたが切って落とされます。
第31回 終戦と女たち
徳川家康の孫・千姫が大坂城を抜け出して家康の本陣に現れ、夫・豊臣秀頼らの助命を願い出ます。しかし、秀頼と茶々の最期を知らされた千姫は家康を深く憎みます。これで家康の心配の種、豊臣家は滅亡しました。竹千代(後の家光)は、夫を失った姉・千姫と姉の茶々を失った母・お江与の悲しみに接し、祖父・家康と父・秀忠に激しい怒りを覚えます。竹千代と秀忠の対立は、養育係のおふくも責任を問われかねません。
第32回 家康の遺言
徳川秀忠は、反抗する竹千代(後の家光)の気性を恐れ、素直な国千代を世継ぎにと考えます。おふくは駿府の家康を訪ね、秀忠と竹千代の対立の経緯を伝えました。早速、家康は江戸城に入り、「徳川の家督は代々嫡男とし、三代将軍は竹千代が継ぐこと」と申し渡します。秀忠に反論の余地はなく、お江与も豊臣との戦に異議を唱えた竹千代の成長に納得し、竹千代の世継ぎ決定を喜びます。半年後、家康は75歳の生涯を閉じました。
第33回 離別再婚
おふくは、夫・正成のもとへ帰る日を心の支えに竹千代(後の家光)に仕えてきましたが、徳川家康の遺言により、生涯を竹千代にささげる決意をし、夫・稲葉正成に離別を申し出ます。一方、二代将軍・秀忠は幕府の体制を強化するため、品行の良くない家康の六男・松平忠輝を改易し、世継ぎである竹千代を江戸城西の丸に入れます。そして、国千代を甲斐18万石の大名にすることで、竹千代との主従関係を明確にしました。
第34回 初恋
元和6年(1620)、徳川秀忠は五女・和姫を政仁(ことひと)親王の女御(にょうご)として入内(じゅだい)させ、朝廷との関係を強めます。さらに、17歳の竹千代と15歳の国千代が元服し、家光、忠長とそれぞれ名を改めました。世継ぎとしての精進を促すおふくが煙たい家光は、城を抜け出しては側近らと酒を飲んでいましたが、ついに吉原見物に行くことに…。その吉原で家光は遊女・紫に出会い、一目ぼれしてしまいます。
第35回 秋の悲恋
遊女に心を奪われた家光の吉原通いが江戸城内に知れ渡るまでになり、おふくは遊女・紫を側室に迎えようと吉原を訪ねます。紫は、関ヶ原の合戦で敗れた西軍・宇喜多秀家の家臣の娘で、戦後、吉原に身を落としていました。おふくと会ってすべてを知った紫は、敵である徳川の世継ぎに身をまかせ、しかも愛し始めている自分に絶望し、自ら命を絶ちます。紫を失った家光は悲しみのどん底で、もう女子には指一本触れないと泣き叫びます。
第36回 父子断絶
徳川秀忠は幕府の体制を固めるため大名の改易・転封を行い、徳川を尾張・紀州・水戸の御三家に整理します。元和9年(1623)7月、家康にならい秀忠は家光に将軍職を譲り、自らは大御所となりました。その冬、家光の正室に京から公家の娘・鷹司孝子を迎えます。この縁組は、将軍家に他の大名を介在させたくない秀忠の考えでした。しかし、遊女・紫を忘れられない家光は孝子に会おうともせず、遊芸にふける毎日でした。
第37回 先立つ妻に
次の世継ぎをもうけることは、将軍家の奥を預かるおふくの責務です。しかし、将軍家光は正室・孝子の寝所へ行こうとしません。困り果てたおふくは側室選びに取りかかります。寛永3年(1626)7月、朝廷から官位を受けるため上らくした秀忠・家光・忠長のもとに、お江与危篤の知らせが届きます。公務の残る秀忠と家光を京に残して忠長は3日で江戸城へ戻りますが、間に合いませんでした。お江与54歳、孤独な最期でした。
第38回 無常の風
おふくはお江与のあとを継ぎ、大奥を束ねる重責を担うことになりました。一番の悩みは、将軍になった徳川家光が、遊女・紫の面影をぬぐいきれず女性を受けつけないことです。ある日、家光が側近・稲葉正勝邸で遊芸に興じていると、今は隠とん生活を送っている正勝の父・正成が現れ、家光を厳しく戒めます。ほどなく、家光はおふくを呼び、正成の人間性を褒め、再び徳川に仕官するよう言います。正成は正式に2万石を拝領しました。
第39回 兄弟は他人
徳川家光が三代将軍になって5年、まだ世継ぎは生まれず、弟の駿河城主・忠長が家光を脅かす存在になり始めます。そんな時、将軍家光が疱瘡(ほうそう)にかかってしまい、将軍職が忠長に移ると見た大名は、ご機嫌伺いに駿河へ駆けつけます。しかし、おふくが薬断ちまでした献身的な看護のおかげで、家光は奇跡的に回復しました。秀忠と家光のおふくへの信頼は増し、おふくは徳川で並ぶ者のいない権勢を持つ存在となります。
第40回 『春日局』賜わる
寛永6年(1629)、天皇の譲位が幕府に伝えられます。中宮(皇后)・和子には内親王(女子)しかいないので女帝誕生となれば、実家である徳川の横暴と見られます。譲位撤回のため、おふくが使者として和子と会見。天皇にも拝謁(はいえつ)し、春日局(つぼね)の名を与えられます。しかし、武家の一召使いが不敬とされ、それが天皇譲位の口実となります。おふくが汚名を着ることで、幕府は傷つかずに済みました。
第41回 次男の憂鬱
徳川秀忠の孫・興子(おきこ)内親王が皇位を継承し、秀忠の宿願は果たされました。一方、弟・忠長が江戸城修復の賦役(ふえき)を拒み、兄・家光と争う姿勢を示します。おふくは側近・稲葉正利に忠長をいさめるよう忠告しますが、正利は聞き入れません。病に倒れた秀忠は、後顧の憂いを断つため、忠長に甲府幽閉を命じます。秀忠はお静との間の子・保科正之とも対面し、寛永9年(1632)1月、54歳でこの世を去りました。
第42回 身内を切る
徳川秀忠の死を知り、甲府に幽閉されている忠長は悲しみと絶望に襲われます。家臣・稲葉正利は主君を救うため母・おふくを頼りますが、江戸城内には逆風が吹いていました。熊本城主・加瀬忠広が、忠長と共謀して謀反を計画したとして改易、さらに忠長の高崎幽閉が決断されようとしていました。将軍・家光は自分が異を唱えれば幕閣は割れると考え、忠長の忍耐力に期待します。それから1年、忠長は28歳で自ら命を絶ちました。
第43回 さらば吾子(わがこ)よ
主君・徳川忠長の死によって弟の稲葉正利は熊本の細川家預かりの身となります。おふくは家光の心遣いで正利に面会しますが、母と子は心のふれあいが無いまま生涯の別れとなりました。さらに、兄の正勝が要職の激務から病気がちになり、小田原城で急死します。2人の子を失ったおふくは悲しみに沈みます。ある日、気晴らしに上野へ花見に出かけたおふくは、町で古着を売っている娘を見て驚きます。あの紫にうり二つでした。
第44回 おんなの目
亡き徳川家康の側室・お勝は、2人の子を失ったおふくを慰めるため、上野の花見に誘います。おふくは、花見で紫に生き写しの娘を見かけます。紫はかつて家光が恋し、そのため自害した吉原の遊女で、すでに10年が過ぎていました。その娘の名はお楽。家光の心の傷を癒やし、さらに、世継ぎを設けるため、おふくはお楽を部屋子として大奥に召し抱えます。一方、家光は政務が忙しいからと、おふくの世話した側室に目もくれません。
第45回 三代目の力
三代将軍・徳川家光は30万の大軍を率いて上らく、めいの明正天皇や妹の東福門院らに拝謁(はいえつ)します。父・秀忠の死から2年半、家光政権の力を天下に示しました。また、参勤交代の制定や日光東照宮の造営も果たします。一方、お楽の奉公も2年が過ぎ、おふくは家光の側室にふさわしい女性としての養育に意欲を燃やします。大みそか、奥女中らが年越しの無礼講を楽しんでいる所をのぞいた家光は、お楽の姿を見て驚きます。
第46回 忘れえぬ面影
徳川家光は紫に生き写しのお楽の事を知り、おふくを呼びます。2年もの間、お楽を隠していたことを責め、すぐ部屋へ呼ぶように命じます。お楽は訳もわからぬまま家光と2人だけにされたあげく、抱きつかれてしまいます。家光をひっぱたき、部屋へ逃げ帰り荷物をまとめるお楽に、おふくは家光と紫の悲恋を語り、徳川の世継ぎを生んで欲しいと頼みます。おふくの心情に打たれ、家光の優しさに接したお楽は側室になる決意をします。
第47回 反逆の理由
おふくの権勢は幕閣を動かすまでになり、諸大名は競って大奥へ金品を送ります。若い幕閣らは、それを悪弊として禁止します。しかし、その金品は大奥に奉公する娘らの実家に向けて、苦しい暮らしの助けとして大奥から相応に配分されていました。寛永14年(1637)秋、3万7千人のキリシタンが蜂起し、島原の乱が起きます。天草四郎時貞を頭領に、信仰で結ばれた農民の抵抗は予想以上で、幕府軍は鎮圧に3か月かかりました。
第48回 直訴
徳川家光は島原の乱でキリシタンに恐れを抱き、鎖国への道を歩み始めます。交易はオランダ一国になり、国内のオランダ人の妻子は海外追放と決まりました。お楽には長崎・平戸のオランダ商館に嫁いだ姉・志乃がいますが、国を追われることになります。お楽は処罰を覚悟して家光に撤回を直訴しますが、家光はお楽を罰するどころか天下を治めることの非情さを説き、お楽に許しを求めます。お楽は家光に激しく心を打たれました。
第49回 女の生きがい
寛永18年(1641)2月、徳川家光の側室・お楽の懐妊で、大奥は期待と緊張が高まります。おふくは誰より懐妊を喜びますが、乳母(めのと)選びが始まると、乳母のつらさを知っているだけに複雑な思いです。難航の末、乳母が決まります。同年8月、お楽は男子を出産し、江戸城は世継ぎ誕生に沸きます。しかし、乳を飲ませることも抱くこともできないお楽の不幸がここから始まります。幕府にとって大事なのは世継ぎだけでした。
第50回(最終回) 献身の生涯
諸国では飢饉(ききん)が続き、おふくの進言で徳川家光は農業政策に着手します。この政策が、その後の徳川300年を支える基礎となりました。寛永20年(1643)夏、おふくは病床に伏します。見舞いに来た家光が薬湯を飲ませると、おふくはひそかに懐へ流し込みます。家光が疱瘡(ほうそう)にかかった時の願掛けで、生涯薬を口にしないと誓ったためです。同年9月、おふくは家光にささげた65年の生涯を静かに閉じました。
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一途な思いは時空を超えて…戦国時代へ!? 人類史上初の足軽女子高生が誕生!足の速さだけが取り柄の普通の女子高生が時空を超えて、愛する人を守るラブコメディ! 足軽ならぬ"アシガール"として、戦国時代の荒野を駆けめぐるエンターテインメント時代劇。戦国時代へいざ見参!走るのが速いだけが取り柄の普通の女子高生・速川唯はある満月の夜、発明好きの弟が作ったタイムマシンでタイムスリップしてしまう…。目が覚める、そこは戦国時代! 混乱する唯だったが、ひょんなことから足軽隊に混じることになり、「唯之助」と名乗る。そこへ凛々しい若武者の羽木九八郎忠清が現れ、一目ぼれをしてしまう。いつ現代へ戻れるか知らぬままではあったが、唯は忠清に再び会いたい一心で彼がいる黒羽城を目指すのだが、門前払いを食う。唯は満月の日にタイムスリップできることを思い出し現代へ無事に帰還する。忠清のことが頭から離れない唯は歴史を調べることに。すると羽木家がのちに戦に敗れ滅亡し、忠清も若くして命を落とすことを知る。忠清を守るため、唯は再び戦国時代へ戻ることを決意するのだった…。
菅野 美穂/浅野 ゆう子/池脇 千鶴/原田 龍二/北村 一輝/ 岡田 義徳/鷲尾 真知子/木村 多江/山口 香緒里/久保田 磨希/ 小松 みゆき/紅 萬子/森下 哲夫/本田 博太郎/葛山 信吾/野際 陽子「大奥は女の牢獄です」 幕末の大奥を舞台に繰り広げられる女たちの愛憎劇!
幕末の女剣士・中沢琴の活躍を黒木メイサ主演で描いたアクション時代劇 撮影の2カ月前から特訓に取り組んだという黒木メイサが、「法神流」をダイナミックに表現。ワイヤーアクションを取り入れた本格的な剣術シーンは見応え満点。 文久三年、京都。ある日、町人を脅す不逞浪士の前に、美しい剣士が立ちはだかる。その剣士こそ、法神流の使い手である男装の女剣士・中澤琴だった。まさに琴が抜刀しようとしたその矢先、彼女の腕前を見抜いた坂本龍馬がある言葉を掛ける。
内山 理名/谷原 章介/小池 栄子/高岡 早紀/北村 一輝/中山 忍/貫地谷 しほり/萬田 久子/田辺 誠一/平泉 成/火野 正平/余 貴美子/江波 杏子/藤原 紀香大ヒットドラマシリーズ第3弾『大奥〜華の乱〜』! 今回のシリーズの舞台となるのは、江戸文化が花開き、日本が最も豊かだった時代"元禄"。日本史上最大の暗君と言われる第5代将軍・綱吉を取り巻く女たちの悲喜交々の愛憎劇をお送りします。
「必殺」シリーズ第19作!中でも大人気の中村主水「必殺仕事人」シリーズ第3弾 「必殺仕事人」「新・必殺仕事人」から続く第3弾。藤田まこと演しる中村主水らおなじみの仕事人たちに加え、当時ジャニーズアイドルのひかる一平が新メンバーとして登場。 再びチームを組む主水、秀、勇次、加代、おりくだったが、殺しの現場をある若者に目撃されてしまう。その若者は、西洋医学を志し、医学所に入るべく受験勉強中の順之助。主水たちは掟にのっとって順之助を始末しようとするのだが…。
「はぐれ仕事人」が助っ人に加わる「必殺シリーズ」第25弾 新加入した京本政樹、村上弘明が主婦層の支持を得て、第二次仕事人ブームを呼んだ「必殺仕事人V」の続編。裏家業を束ねる「闇の会」の登場で仕事人界に新たな掟が…。 仕事人組織「闇の会」から、何でも屋の加代が仕事を引き受けてくる。しかし相手が大物の神尾将監と知ると、主水も組紐屋の留、鍛冶屋の政も難色を示す。そんな時、処刑で元締を失い裏家業ができない壱、弐、参の3人が助っ人として使ってほしいと願い出る。
主水、鍛冶屋の政以外のレギュラー陣を一新した必殺シリーズ第27作目 前作「必殺仕事人V激闘編」に続く主水シリーズで、新たな仕事人・夜鶴の銀平と便利屋のお玉が登場する。当時の流行や社会現象も盛り込まれ、コメディ要素がパワーアップ! 南町奉行所同心の主水は、百軒長屋の出張番屋詰めを命じられる。そこで、長屋の住人たちを食いものにする普請方組頭、高森と口入れ屋、上総屋らの悪業を知る。主水は裏稼業をする銀平、お玉、それに昔なじみの政、順之助らと新たな仕事人チームを結成する。
2013年放送のNHK大河ドラマ第52作。綾瀬はるか主演で、幕末から明治の時代を生き抜いた会津出身の才媛・新島八重の生涯を描く。八重の兄・覚馬役の西島秀俊、八重の最初の夫となる川崎尚之助役の長谷川博己、2番目の夫・新島襄役のオダギリジョー、綾野剛、小栗旬、西田敏行ら大河ドラマならではの豪華キャストが顔を揃える。1868年。山本八重(綾瀬はるか)は女ながらに軍勢に混じり、新政府軍に銃を向けていた。1851年。おてんばで勝気な山本家の娘・八重(鈴木梨央)は、松平容保(綾野剛)の行列を母の佐久(風吹ジュン)たちとともに頭を下げて出迎え、列の中にいる憧れの兄・覚馬(西島秀俊)を誇らしく見つめていた。鉄砲の訓練をおこなう覚馬と父・権八(松重豊)の姿を見て八重は目を輝かせ、自分も撃ってみたいと熱く思うのだった。会津の子どもたちは卑怯なふるまいを決してしてはならぬと教育されて育つ。軍事訓練である追鳥狩を見るために木に登った八重はあやまって草履を落としてしまい、西郷頼母(西田敏行)の逆鱗に触れる。しかし、松平容保が隠れずに名乗り出て謝った八重に感心し、温情をかけたことにより事なきを得る。その一方で覚馬は、黒船来航を機に西洋砲術を学ぶため、江戸の佐久間象山(奥田瑛二)が開いた象山塾を訪ねる。そこで川崎尚之助(長谷川博己)、吉田寅次郎(小栗旬)らとともに学び始めるが…。
宮?あおい主演で幕末の動乱を女性の目線から描いた大河ドラマ 薩摩藩島津家の分家の娘から徳川13代将軍・家定に嫁ぎ、江戸城無血開城に貢献した篤姫の波瀾万丈の一代記。篤姫役の宮?あおいは、大河ドラマ史上最年少の主役となった。 薩摩・島津家のわずか1万石余の分家に生まれながら、徳川13代将軍・家定の正室となった篤姫。だが、家定が急死。幼い第14代将軍・家茂の名目上の母として皇女・和宮を嫁に迎え「公武合体」に尽力するも、倒幕という時代の渦に巻き込まれていく。
晴らせぬ恨みを代わって晴らし、江戸にはびこる悪人をこの世から消す「仕掛人」登場 池波正太郎の原作小説を元にした同名TVシリーズの劇場版第1弾。藤枝梅安を演じるのは田宮二郎で、家業の裏と表で異なる素顔を見せるギャップが魅力的。 鍼医者・藤枝梅安は、裏では世のためにならない悪党を法に代わって成敗する「仕掛人」。彼はある日、仕掛人の元締め・音羽屋半右衛門から、ろうそく問屋・辻屋の後妻・お照の暗殺を依頼される。彼女は悪辣な盗人と手を組み、身代を乗っ取ろうとしていて…。
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