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提供元:FOD
あゝ、荒野 前篇

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あゝ、荒野 前篇の作品紹介

あゝ、荒野 前篇のあらすじ

1966年に刊行された、寺山修司の長編小説の映画化。2017年10月7日に前篇、2週間後の10月21日に後篇が公開された。両方を合わせると305分という、最近では珍しい2部作の大作となっている。

原作と大きく異なるのが、映画版では東京オリンピック後の2021年の日本を舞台にしていることだ。そのため、東日本大震災の話題やオリンピック後の景気や情勢の変化などが、劇中で語られている。

新次と建二を演じた、菅田将暉とヤン・イクチュンの演技は圧巻の一言。ほかにも木村多江や、でんでんなどの俳優が出演している。

少年院から出てきたばかりの新次(菅田将暉)と、暴力的な父親と暮らす青年・建二(ヤン・イクチュン)は、ひょんなことから、片目の男・堀口(ユースケ・サンタマリア)に誘われてボクシングを始めることになる。

複雑な家庭環境で育ったふたりは、それぞれの思いを胸にボクシングに、だんだんとのめり込んでいく。真逆な性格ではあるものの、ボクシング通じて次第に絆を深めていく新次と建二。しかし、あまりに皮肉な真実がふたりに待ち受けていた。

あゝ、荒野 前篇のクレジット(監督・キャスト)

あゝ、荒野 前篇の登場人物・キャスト

  • 沢村新次/新宿新次(菅田将暉)

    少年院上がりの青年。教会でともに育ち、振り込め詐欺の仲間だった先輩格の劉輝を暴行し、下半身不随にした裕二のことを恨んでいる。プロボクサーになっていた裕二に復讐するため、ボクシングを始めた。10歳のときに、自衛官だった父親が自殺し、母親に捨てられた。

  • 二木建二/バリカン建二(ヤン・イクチュン)

    理髪店で働く、内気な青年。吃音症と赤面対人恐怖症に悩んでいる。幼いころに、韓国人の母親が亡くなり、日本人の父親に引き取られた。その後は、父親に暴力を振るわれ、給料もすべて奪われるという生活を送っていた。自分自身を変えるために、ボクシングを始める。

  • 曽根芳子(木下あかり)

    東日本大震災の被災者。仮設住宅で一緒に暮らしていた母親を置いて、ひとりで東京に出てきた。その後は、ラーメン屋で働きながら、売春をして男の金を騙し取り、身を立てている。新次と出会ってすぐに関係を持つが、彼の有り金をすべて盗んで、姿を消す。

  • 君塚京子(木村多江)

    新次の母親。幼い新次を教会に預けて失踪する。新次らのボクシングジムのオーナーである宮木のもとで、秘書兼愛人として働いていたところ、新次と再会する。

  • 堀口(ユースケ・サンタマリア)

    ボクシングジム・海洋拳闘クラブのトレーナー。新次と建二のふたりをボクシングに誘う。元ボクサー。ボクシングの試合で負った怪我のため、片目が不自由。そのため「片目」と呼ばれている。プロデビューした新次と建二に、専門のトレーナーつ付けるために、昼夜働く。

  • 馬場(でんでん)

    プロデビューした新次と建二のために雇われたトレーナー。堀口の師匠でもある。堀口から「鬼」と呼ばれるほど、暴言を飛ばしながら、厳しいトレーニングをおこなう。

  • 二木建夫(モロ師岡)

    建二の父親。暴力で建二を支配し、建二の理髪店の給料を奪い取る。以前は、叩き上げの自衛官だった。新宿でホステスをしていた女性とのあいだに、建二を授かる。

  • 宮木太一(高橋和也)

    新次と建二が所属する海洋拳闘クラブのオーナー。元風俗王で、ラブホテルを老人介護施設にリフォームして、儲けている。

  • 西口恵子(今野杏南)

    自殺防止研究会のメンバー。あるきっかけで建二と出会う。図書館で働いている。

  • 山本裕二(山田裕貴)

    振り込め詐欺をしていた新次と劉輝の仲間だったが、裏切って劉輝に暴行を加えた。その後、プロボクサーとして頭角を現わす。すでにプロとしてデビューしていたので、殴り込みに来た新次に手を出すことを周りから止められる。

  • 川崎敬三(前原滉)

    自殺防止研究会のリーダー。周りには、弟を自殺で亡くしていると語り、弟の「形見」であるドローンをよく飛ばしている。

あゝ、荒野 前篇の見所ポイント

  • 1 『あゝ、荒野 前篇』の、豪華すぎるキャストから目が離せない!

    『あゝ、荒野 前篇』の見所は、なんといってもW主演の菅田将暉とヤン・イクチュンの熱演が挙げられます。複雑な生い立ちを抱え、皮肉な運命に翻弄される若者をそれぞれ見事なまでに演じきっています。

    また、脇を固めるキャスト陣の豪華さも、この映画の魅力のひとつです。木村多江やユースケ・サンタマリアといったメジャーな役者勢から、でんでんやモロ師岡、高橋和也といった濃いベテラン勢、そしてヒロインの木下あかり、今野杏南、山田裕貴などの若手勢といったキャスト陣が、しっかりと脇を固めています。

    それぞれの役が複雑な過去や思いを抱えており、どのキャスト陣からも目が離せません。

  • 2 『あゝ、荒野 前篇』は、前篇と後篇に分かれた作品!

    『あゝ、荒野』は、最近では珍しい前篇と後篇に分かれた作品です。前篇では、主人公たちがボクシングに出会い、絆を深めていく過程が描かれています。青春群像劇の要素が強いのが前篇です。

    後篇では、前篇で明らかになった真実に翻弄される主人公たちの様子や、すべてを失い呆然とする様子など、前篇とは異なるテイストで物語が進んでいきます。

    前篇と後篇、そして劇場未公開のシーンが加わった完全版では、新次と建二の物語のすべてを観ることができます。

  • 3 『あゝ、荒野 前篇』のラストは、後篇のエピローグ!

    前述のとおり『あゝ荒野』は2部作です。ですので『あゝ、荒野 前篇』のラストは、いわゆる後篇のエピローグのようなものといえます。物語終盤、母親の京子から新次は、建二に関する「とある真実」を知ってしまいます。

    その真実に動揺する新次ですが、複雑な胸中を隠しつつ、建二に笑顔を見せて、前篇は終わります。しかし後篇では、そのふたりの関係性が大きく変わってしまうのです。

    映画の本当のラストは、後半に描かれています。後篇のラストは、観た人間それぞれの解釈によって見解が分かれる結末となっていますので、ぜひあなただけのふたりの物語を見つけてみてください。

あゝ、荒野 前篇の予告・動画

あゝ、荒野 前篇の評価・感想・レビュー

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 5 (1件中)
  • 投稿者名:あっきー
    評価: GOOD 投稿日:2019.08.24/00:06

    『あゝ荒野 前編』
    家庭環境の事情から特殊な生い立ちを持つ2人の青年がボクシングによって自己を確立しようとする青春ストーリー!


    【主人公と彼女について】
    ●ボクシング
    ・感情移入を促す映画においてスポーツではボクシングが、1番良い設定だと思う♪
    要は『闘い』だからスポーツ要素だけで無く、アクション要素の面白さまで担ってくれる(^^)
    本作は『若者の心の葛藤』が描かれる。行き場のない感情をぶつける姿を描くのにもボクシング設定は役立つ♪

    ●セックス
    ・愛に溢れたシーンでは無く、力強さを感じるシーンになってる。描かれている通り相手を雑に扱うくらいのセックスが本作にはちょうど良い!ボクシング同様、主人公の感情のぶつける行為としてセックスが演出されている。

    ●彼女役の女優さんのブスさが良い
    ・これ褒めてますからね?笑
    顔はブスだが体付きはエロい。セクシーでは無くエロい!ここが重要です!主人公にとって彼女がどんな存在であるのかを十分に理解したキャスティング!

    ●ボクシングとセックスの話の共通点
    ・感情をぶつける行為 → パンチ = セックス
    ・それが出来る場所 → ボクシング = 彼女

    なので主人公に取って彼女はデートの相手では無く、セックスの相手!つまり感情を表現する場なんです。それが主人公の過去ともリンクする設定。誰しも異性には自分の不足している事、トラウマの裏返しを求めるものです。


    【変換された時代】
    ●原作・・・1966年(小説発行の年)
    ●映画・・・2021年(近未来)
    ※映画の公開は2017年

    軸であるボクシングの青春物語は同じだけど、舞台を変える事で現代版に変換!と思いきや、近未来です!これが日本の実態を反映させます。2021年だから『東京オリンピック』後の日本!(公開の2017年以前に分かっていた事だから、それを視野に入れた時代設定だと思う)


    【近未来2021年が描いている事】
    ●3.11 / 福島原発
    ●若者の自殺
    ●自衛隊の立ち位置 問題
    ●高齢社会 / 高齢者ターゲット詐欺

    つまり2017年で問題になっていた事がまだ問題である事を皮肉っている!


    【社会問題の描き方】
    本作の価値は、青春物語に社会描写を盛り込んだ事!
    しかも、それを意識した若者の姿では無く、社会問題とは全く関係ないボクシングに没頭する姿が描かれている。
    その為、社会から目を背けたり、元々の興味が無かったりしても、そこに生きている以上は何かしらの影響を受けてしまう!事を描いている。

    自殺フェスはストーリー上、余計なシーンにも感じる。だけど主人公がボクシングに没頭する『プラス要素』とは対照的な『マイナス要素』として描く事で、社会描写をする作品としては良いバランスを取っている(^^)

    【まとめ】
    社会問題がどうとか多くを語ったけど、その1つ1つを象徴するキャラが登場します。その為、登場人物は多い!

    だけど、それらのキャラは親子だったりと何かしらの関係がある!本作は『前編』です!
    ここで与えられた伏線をどう回収するのかが『後編』の見所ですね(^^)

    『グラントリノ』のレビューで日本の社会描写をした邦画は無いの?と書きましたが、やっとそんな作品に出会えました(^^)

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この記事の執筆者
いけだ
いけだ

ドラマ鑑賞と読書が好きです。ドラマは国内のものをよく観ます。笑って観られるコメディが好きです。あとミステリー小説を読むのにもハマっています。