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目次
1996年、今では80代となったソディが彼の姉とその家族を訪ねるところから物語は始まる。第2次世界大戦から半世紀以上がたった今でも、当時の激しい戦闘とその後の苦難がソディをさいなんでいた。ソディ老人は若いアマールと心を通わせ、ミャンマー(旧ビルマ)へ行くアマールに同行することを決める。アマールは、自由と民主化を求めて闘うミャンマーの学生を写真に撮り、写真エッセー・コンテストに応募するつもりでいた。ミャンマーへ発つ前にシンガポールで、ソディ老人はいくつかの地を訪れて昔を思い出す。それは英領インド軍の中尉だった頃で、ソディはシンガポールで美しい写真家マヤと出会ったのだ。彼女はソディに大きな影響を与えた女性で、彼は恋に落ちた。そしてマヤは後にインド国民軍に入隊する。 アマールと共にミャンマーを訪れたソディ老人。その2人をラニという女性が出迎える。ソディ老人たちは学生デモに巻き込まれ、それを制圧しようとした政府軍から発砲される。政府軍の兵士からアマールとラニが暴力を受けそうになり、その瞬間ソディ老人は若き中尉ソディに戻る。そして兵士2名を殺してしまう。政府軍の兵士たちに追われ、列車に乗り込んだソディ老人たち。その姿は、大戦中のソディたちに重なる。大尉となっていたソディは、一隊を率いて列車に乗っていた。だが英国軍の空爆を受ける。1944年、インド国民軍は疲労、寒さ、発熱、病気などに耐えてインパールに到着。兵力的に極めて劣勢の状況で、敵と戦うこととなった。ラニのバアバが建てたという学校へ行ったソディ老人。彼はそこでマヤの写真を見つけ、彼女が既に亡くなっていることを知る。ソディ老人はついに自分を取り戻し、アマールたちを逃がす。そしてミャンマーからインドへと国境を越えるよう指示をした。兵士の手榴弾によってソディ老人の体は吹き飛ばされる。だがその時、彼はやっとマヤとの約束を果たした。その約束とは「いつか必ず君の元に戻り、ずっと一緒にいるよ」だった。
昭南
1945年のデリー。ある雨の夜だった。カーキ色の軍服姿のインド人兵士たちがレッド・フォートに連行されてくる。鎖で拘束され、殴られた様子だ。反逆罪により銃殺刑となる運命の兵士たちだった。一転、時は1996年のシンガポール。謎めいていて寡黙な80代の老人(ソディ老人)がシンガポールへやって来る。姉(ウルミラ)とスバーシュ(ウルミラの息子)、アマール(スバーシュの息子)に会うためだ。ソディ老人は親族から変人だと思われていたが、アマールには特にそう思われていた。姉に促され、ソディ老人は自分の過去を振り返る。それは大戦中の1942年のことであり、目を背けてきた過去であった。ソディ老人の過去に興味を抱いたアマールは、もっと知りたいと思う。報道について学んだアマールは調査をして、自分の大叔父が第2次世界大戦、インド国民軍、日本軍などと深く関わっていたことを知る。そこでアマールはソディ老人をインド国民軍の記念碑へ連れていく。記念碑を見て、ソディ老人には様々な記憶がよみがえった。彼はアマールに過去を話し始める。第2次世界大戦で英領インド軍の兵士だった時のこと、シンガポールでは英国のために戦ったことなどだ。また、ソディの親友アルシャドのことや戦場でのことも話した。シンガポールに送られた英領インド軍の兵士たちの生活を通して、当時のインド人兵士たちの扱われ方が描かれる。またシンガポールのインド系労働者たちの苦境も描かれ、芯の強い女性(ラサマ)が登場する。ソディ老人は、シンガポールの戦いの後、英領インド軍の兵士たちがどうなったかを語り始める。
捕虜
シンガポールの戦いで英国軍は日本軍に敗れる。その結果、英領インド軍のインド人兵士や、オーストラリア人兵士は日本軍の捕虜になり、シンガポールの町を行進させられる。英国軍の兵士たちの運命は日本軍の温情に懸かっていた。行進を見守る群衆の中には、ラサマや泥棒のラジャンの姿もあった。アマールはソディ老人をシンガポールの公文書館へ連れていく。そこで昔の新聞記事や写真を見たソディ老人は、更に昔のことを思い出していく。写真家(マヤ)と出会い、ソディの人生がどう変わったのか。2人の絆はどのように強まっていったのか。そして、ある晩の出来事…。インド人兵士たちは、インド独立のために戦うインド国民軍に加わるよう呼びかけられた。多くの兵士が混乱し、何に忠誠を誓うべきなのかを考え始めた。インド国民軍ができた当初は、兵士たちにも様々な迷いがあった。だがそういう兵士たちの心を決めさせたのが指導者(ネタジ)の演説だった。ネタジはすべてのインド人兵士、インド人市民に男女を問わず呼びかけた。インド国民軍に加わり、インドに自由をもたらすのだと。この演説でインド人兵士たちの意識が変わり、インド国民軍が強固になっていく。大きな夢を抱く写真家マヤも、自由をつかむための軍へ入隊することを決意する。そしてその頃、マヤは自宅の写真館でソディと出会う。様々な出来事を通して、マヤは自由をつかむための戦いに身を投じ、ソディと親しくなっていく。マヤの母親は、マヤの幼なじみで医師のシュリダールとマヤを結婚させたがっている。それで母と娘はよくケンカをするが、マヤは家を抜け出しては演説を聞きに行ったりする。ラサマは長年 彼女を乱暴し、搾取してきた英国人の農園主の家を焼き払う。
進め! デリーへ
第3話ではインド国民軍の発展や働き、そして対立などが深く描かれる。日本兵に追われたラジャンとその手下は、逃げるためにインド国民軍に入隊する。ソディはマヤに「英国軍の考え方は非論理的で、そこから脱却するには時間がかかる」と言われる。ソディは言葉を失い、自分の英国軍的な考え方を反省する。マヤや他の多くの女性がインド国民軍に入隊する。マヤの入隊を知ったソディは、彼女を誇りに思い、安堵する。アルシャドとソディはジャンシーの王妃連隊と呼ばれる女性部隊の新兵を訓練することになる。そして新兵に対して厳しい訓練が始まる。訓練期間中には誤解やケンカもあったが、新兵たちは訓練に耐えた。日本軍の将校ダイチは、女性兵士の訓練に懸念を示し、それをソディに伝える。1996年では、アマールがミャンマー行きについて父親を説得していた。アマールは写真エッセー・コンテストのために写真を撮りたかったのだ。様々な苦難に負けず、インド国民軍の新兵は訓練を続け、日に日に力をつけていった。もうどんな脅威や危険があっても、彼らは逃げなくなっていた。ジャンシーの王妃連隊は軍服に身を包み、戦う心構えも万全でシンガポールの町を行進する。その時の彼女たちは誇らしさに満ちていた。アマールはソディ老人と共にミャンマーへ行き、ラニ(アマールのミャンマー人の友達)に会う。事の成り行きでソディ老人はミャンマーの兵士を撃ってしまい、そこからソディ老人とアマールの一行に危険が迫る。
腹切り
ソディ老人、アマール、ラニの一行はミャンマーの政府軍兵士から逃げ続けている。時は遡り、マヤと若いソディはラングーンからインドへ向かって、自由をつかむ旅に出発した。しかし彼らが乗った列車は、英国軍の空襲を受ける。だが死に直面しても、インド国民軍の兵士たちが希望を捨てることはなく、デリーを目指し続けた。ソディ老人と一行は、ヤンゴンのジャングルへ逃げる。そして彼がインド国境への道があることを思い出したので、逃げ道を見つけることができた。1944年、インド国民軍の兵士たちはインパールへの進軍を命じられた。インパールでの緒戦では、インド国民軍は英国軍に勝利した。戦いの前にはソディとマヤ、ラジャンとラサマがそれぞれ絆を強めていた。 インド国境を目指して、川を上るソディ老人たち。アマールはソディ老人に、インパールでのインド国民軍について尋ねる。するとソディ老人は、当時の様子を語り始める。日本軍の命令に納得がいかなかったこと、英国軍の心理作戦、それでも必死に耐えたこと、大義を果たそうと思ったことなどだ。しかし雨が兵士たちを打ちのめした。誰も見たことがないほどの雨が降ったのだ。雨によって、物資の補給は途絶え、通信も遮断された。マヤを始め、ジャンシーの王妃連隊が孤立無援となった兵士たちを捜し続ける。極めて悪い状況の中で、ついに日本軍は撤退を決定する。インド国民軍にとっては、また望みが1つ消えた。やがて瀕死の状態のインド国民軍は、インパールからの撤退を始めた。1996年、ソディ老人とアマールは政府軍の兵士たちに追い詰められていた。
マヤ
マヤとジャンシーの王妃連隊は丘やジャングルを捜索していた。インパール(インド)から撤退する前に、残された兵士たちを見つけるためだ。すると、ある日の捜索で兵士たちを見つける。病気になり、ケガをして、かろうじて生きている状態だったが、それでも兵士たちが見つかった。一方、兵士たちから逃れるためジャングルを進んでいたソディ老人は、突然 何かを思い出す。そしてその直感に従って道を歩いていく。 マヤはソディを洞窟へ案内した。そこへ来ると心が落ち着くため、ソディにも安らぎを感じてほしかったのだ。そして今、ソディ老人は数十年ぶりに、マヤが案内してくれた洞窟にやって来る。 マヤとソディはその洞窟で穏やかな時を過ごし、愛を交わした。だが英国軍がソディたちの前進基地を空爆し、つかの間の安らぎは終わった。マヤとソディは急いで基地へ戻る。 洞窟を出たソディ老人は、マヤと再会できることを願いつつ学校へと向かう。 英国軍の空襲により、多数のケガ人や死者が出る。そして弾薬はほとんどなくなった。それでもなおインド国民軍の兵士たちは、英国軍を食い止めるために戦うことを選ぶ。彼らの標語は「血を捧げ 自由を得よ」だからだ。ソディは負傷者を前線から下がらせることを決意。負傷者たちの移送をジャンシーの王妃連隊に命じる。ソディ、アルシャド、残りの兵士たちは戦うため基地を離れる。 ソディ老人は学校へ着くが、マヤはもういないことを知る。ソディ老人は逃げる途中に足をケガして、動くことができなくなった。ソディ老人はアマールに諭すように言う。「ラニと一緒にインド国境まで逃げて助けを呼べ。それまで自分が兵士たちを食い止めるから」と。兵士たちが近づいてくると、ソディ老人は彼らに発砲。兵士たちも撃ち返してくる。アマールとラニたちは滝の上へと急ぐ。そこがインドとの国境線だ。しかし途中で大きな爆音が聞こえ、みんなは足を止める。振り返ってみると黒煙がゆっくりと立ち上っていた。そして、その場所はソディ老人がいた場所だった。
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