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60年代のフランスでは、のちに「ヌーヴェルヴァーグ」と呼ばれる作品が多く作られた。「ニューウェーブ」を意味するこの作品群は、これまで培われてきた枠にとらわれず、新しい映画手法がふんだんに使われた。
『気狂いピエロ』は、ヌーヴェルヴァーグ期のフランス映画を代表する作品だ。監督は『勝手にしやがれ』『軽蔑』などを手掛けた、ジャン=リュック・ゴダール。構成、脚本にとらわれず斬新な方法で撮影された今作は、何度見ても新しい発見ができる奥深さがある。
フェルディナン・グリフォン(ジャン=ポール・ベルモンド)は、妻や子どもたちとの生活に限界を感じていた。妻との仲も冷え込み、愛情もほとんど残っていない。そんな彼の前に現れたのは、かつて関係を持っていたマリアンヌ(アンナ・カリーナ)だった。
久しぶりに再会し、愛しあったふたりだったが、マリアンヌの家には男の死体が。一文無しで家を飛び出したふたりは、車に乗って南へと逃げ出すのだった。
息苦しい結婚生活を送っていた男。マリアンヌからは「ピエロ」と呼ばれており、そのたびに否定している。偶然再会したマリアンヌと家を飛び出し、日銭を稼いで暮らすことになった。車の窃盗や、現金の持ち逃げなど犯罪行為にも手を染めてしまう。
フェルディナンの元恋人。ベビーシッターとしてグリフォン家を訪れ、彼と再会する。家に送ってもらったことをきっかけに、再びフェルディナンと恋人関係に。部屋には死体があるが、驚く素振りもなく、平然と暮らしている。
フェルディナンをパーティーに連れ出し、マリアンヌをベビーシッターとして雇う。
フェルディナンがパーティーで出会った映画監督。通訳を通してフェルディナンと会話する。
埠頭でフェルディナンと会話した男。レコードの話を聞かせてくれる。
シャワーと布を使ってフェルディナンを拷問する。マリアンヌを探していた。
従来の映画制作方法を嫌ったゴダールは、今作において明確な脚本を用意していません。そのため、映画のシーンのほとんどが即興で演出されています。
今作によって、それまで基本とされてきた映画の形に捉われない、「新しい映画の様式」が生まれました。そのことがヌーヴェルヴァーグの代表作と評される所以でもあります。
また、一部のシーンは手持ちカメラで撮影しました。ライブ感がありながらも、完成された映像美は現代でも通用する作品です。
不自由な生活に嫌気がさしていたフェルディナンは、かつての恋人マリアンヌとめぐり逢います。ふたりは街を飛び出し、退屈な現実から逃げ続けることになるのでした。
劇中では前後関係のわからないシーンが組み合わさり、即興演出ならではの難解さが目立ちます。しかし、フェルディナンという男をやりすぎなほど、深い部分まで描きました。
特筆すべきはそのラストです。彼の旅路が終わり、新たな旅立ちとなる場面ですが、このシーンは溝口健二の『山椒大夫』へのオマージュとなっています。人間の儚さすら感じる、不思議な後味を残すラストシーンです。
今作はタイトルからして放送禁止用語であるにもかかわらず、日本をはじめ世界各国で「名作」と評されています。ゴダールならではの画面作りもそうですが、今作の根元にある「反米・反戦」のメッセージも注目されました。
当時はベトナム戦争真っ只中であり、東西の冷戦によって世界情勢も緊迫していた時期です。ゴダールは『気狂いピエロ』のなかに米兵とベトナム兵の寸劇を仕込みました。
一見するとコメディシーンに見えますが、実は実際のベトナム戦争を皮肉ったシーンです。ほかにもラジオやセリフでベトナム戦争の話題が登場したりと、ゴダールの反戦思想が「映画」という形で表現されています。
人類の起源は地球上ではなく、宇宙にあった? 人類創生と異星人「エイリアン」が誕生するにいたる背景に迫った「エイリアン・ゼロ」的な作品。種の起源を宇宙や異星人に求めたことで、公開後に様々な議論を巻き起こした問題作。西暦2000年代の終盤。地球上で発見された古代遺跡から「人類の起源」の答えが、とある惑星にある可能性が浮かび上がる。それは知的生命体が過去に地球を訪れた可能性を示したものだった。この遺跡を発見した考古学者ショウとホロウェイたち探査メンバーを乗せて、宇宙探査船プロメテウス号は、遺跡が示す惑星 LV-223を目指す。そこでショウたちを待ち受けていたものとは…地球上のあらゆる物を凌駕する驚愕の世界であり、明らかに知的生命体の存在を確信させるものだった。種の起源の真実に迫るべく、探査乗組員たちは調査に乗り出すが、ミルバーンとファイフィールドは無数の謎の円筒型の容器を発見する。これが引き金となり、予測不可能な危機的事態に巻き込まれ、さらには驚愕の真実が解き明かされていく。
『トイ・ストーリー』シリーズで知られる、ピクサー・アニメーション・スタジオが制作した作品。第88回アカデミー賞で、長編アニメーション賞を受賞するなど、高い評価を獲得した。ほかのピクサー作品と同様に、明確なメッセージ性があり、大人から子どもまで楽しめる作品に仕上がっている。人間の頭の中にはヨロコビ、カナシミ、ビビリ、ムカムカ、イカリの5つの感情が住んでおり、主人を幸せにするため毎日奮闘していた。11歳の少女ライリー(ケイトリン・ディアス)の頭の中では、ヨロコビ(エイミー・ポーラー)がリーダーを務め、5人で協力して「特別な思い出」を作り続けている。しかしライリーは父の仕事を理由に、故郷を離れてサンフランシスコに引っ越すことになる。傷心したライリーを励ますため、ヨロコビたちは懸命に感情をコントロールしようとするが、カナシミ(フィリス・スミス)が「思い出ボール」に触れてしまう。その瞬間にボールがカナシミの色に変化。ヨロコビは必死でカナシミを抑えたものの、不幸が重なり、ふたりは指令室の外へと飛ばされてしまった。ヨロコビを失った指令室は騒然となり、外の世界のライリーも、情緒不安定になってしまうのだった。
『オデッセイ』『プロメテウス』のリドリー・スコット監督が描くSFパニック・ホラー !人類希望の惑星で、史上最凶のクリーチャー誕生!迫りくる極限のスリルとリアルな恐怖!究極のサバイバル・バトルが今始まるー!
「抱きしめたいのに 抱きしめられない」― 「チャーリーとチョコレート工場」など数々の名作を生んだ奇才ティム・バートン監督とジョニー・デップが初めてコンビを組んだせつない純愛ファンタジー映画。 デップはこの作品で初めてゴールデングローブ賞主演男優賞にノミネートされた。 町外れの丘の上のお城に住んでいる年老いた発明家が、心臓から脳までほぼ全てのものが本物そっくりに作られた人造人間をほぼ作り上げ、名前を「エドワード」と名付けた。 しかし、完成する前に発明家はこの世を去ってしまい、仮の両手がハサミという未完成の状態でエドワードはお城で孤独に暮らしていた。 そんな中、化粧品の訪問販売をしていたペグという女性がお城にやってきて、孤独なエドワードを気の毒に思い自宅へ連れて帰る。 初めて見るものばかりで全てが新鮮に感じ、ペグの家族や町の人々にも受け入れられ順調なスタートを切ったエドワードだったが、ペグの娘のキムが現れて恋をしてしまう…。
オバマ大統領出現を予言した?! マ〜ベラスな近未来SFコメディ! 「20世紀少年」×「WALL・E」÷2=「26世紀青年」!? 世界が終わろうとしています。“ばかたち”によって……。 “平均のアメリカ人”の典型、兵卒のジョー・バウアーズ。彼は、米国国防総省から、極秘の冬眠プログラムの実験台に選ばれた。忘れられ時は過ぎ、彼は未来の500年後に目が覚める。あまりにレベルが下がった合衆国で、生きている人間のなかで最もインテリな人間になっていたのだ。
ディズニーによる、マーベル社買収にともなって製作された作品。マーベルの『ビッグ・ヒーロー・シックス』を原作としており、登場するロボット「ベイマックス」は、ディズニーの人気キャラクターのひとつとなった。また、日本のポップカルチャーの影響を強く受けた作品でもある。舞台となる大都会やキャラクター、ガジェットにいたるまで、随所に散りばめられた日本的要素に注目だ。飛び級で大学への入学を決めたヒロ・ハマダ(ライアン・ポッター)は、突如発生した火災で、兄のタダシ(ダニエル・ヘニー)を失ってしまう。ショックから部屋に引きこもるようになったヒロだったが、ダダシが最期に残していったケアロボット・ベイマックス(スコット・アツィット)に救われる。立ち直ったヒロは、偶然にも自分が作り出したマイクロボットが悪用されていることを知る。さらに、タダシの死と奪われたマイクロボットが、何らかの形でつながっていることを疑うのだった。
ヘロイン中毒者たちを描いた小説『トレインスポッティング』の映画化作品。後に『スター・ウォーズ』シリーズに出演し、ハリウッドスターの仲間入りを果たす、ユアン・マクレガーの出世作でもある。ドラッグ中毒を克服し、普通の生活を送ろうとする、レントンのキャラクターに注目だ。ヘロイン中毒のレントン(ユアン・マクレガー)は、仲間のシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)やスパッド(ユエン・ブレムナー)たちと毎日のように遊んでいた。そんなある日、レントンたちは中毒から脱却しようと、別のことに注意を向けはじめる。レントンは女性経験の少なさに気がつき、パブで女性に声をかけるが、フラれた腹いせにふたたびヘロインに手を出してしまう。仲間たちも同じように、ヘロインをやめることができなかった。ついにレントンは逮捕され、ヘロインを断つため、家に軟禁されることに。どうにか中毒を克服し、普通の生活を送るようになったレントンだったが、仲間たちは今でも薬から抜け出すことができず…。
20世紀を代表するミュージカルスターである、ジュディ・ガーランドの出世作。『オズの魔法使い』を原作にした映画の中でも、特に知名度が高い作品である。今作でガーランドが歌った「虹の彼方に」は映画の枠を超え、世界中で愛される楽曲になった。カンザスに住んでいる少女・ドロシー(ジュディ・ガーランド)は、巨大な竜巻に巻きこまれ、家とともに空高く飛ばされてしまう。ドロシーと家がたどり着いたのは、カンザスとは似ても似つかない魔法の王国・オズだった。突然の出来事に驚くドロシーだったが、オズの住民や魔女のグリンダ(ビリー・バーク)は、彼女を英雄として歓迎する。東の悪い魔女が、落ちてきたドロシーの家の下敷きになって死亡したのだ。しかし、東の魔女の妹である西の悪い魔女(マーガレット・ハミルトン)がやってきて、ドロシーに復讐しようとする。ドロシーはカンザスに戻るため、帰る方法を知るオズの大魔法使い(フランク・モーガン)に会いに行こうとするが…。
森で遭難したカップルが、野生のクマに襲われるパニック映画。モンスターやゾンビではなく、実在する動物の恐ろしさを描いた作品だ。クマに対して「かわいい」と感じることができなくなるほど、生々しい惨劇が描き出される。とある自然公園にバカンスでやってきたアレックス(ジェフ・ループ)は、恋人のジェン(ミッシー・ペリグリム)に森を案内しようとする。何度も来ていると語り、地図を持たずに道なき道を進むアレックス。一方のジェンは、自信満々のアレックスを心配しつつ、ついていく。カヌーを使って川を下ったふたりだったが、アレックスがカヌーに足を引っかけ、負傷してしまう。そんなふたりの前に、ツアーガイドのブラッド(エリック・バルフォー)が現れ、ジェンと親しくなる。怪我をしたうえに、恋人が見知らぬ男と談笑しているのを目撃し、アレックスは不機嫌になっていく。ブラッドとも別れ、さらに森の奥へと進んでいくふたり。アレックスは途中でクマが傷をつけた木を目撃するが、見て見ぬふりをして、どんどん先に進んでしまい…。
1959年に初演され大ヒットした同名ミュージカルの映画版で、1965年に公開された。原作は主人公のモデルであるマリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』である。原作の自叙伝、ミュージカル、そして映画ともに世界中で大ヒットし、今もなお世界中の老若男女から愛されている名作だ。劇中では「エーデルワイス」「私のお気に入り」「ドレミの歌」など、誰もが一度は聞いたことがある名曲が使用されている。物語も主人公の成長ストーリー、恋愛、そして子どもたちとのふれあいなど、ほのぼのする展開から、迫り来る戦争の影や緊張感あふれる脱出劇まで幅広く展開する。歌うことが大好きで自由に憧れる修道女見習いのマリア(ジュリー・アンドリュース)は、そのおてんばぶりから、ほかの修道女たちにからかわれつつも愛される存在だった。ある日、修道院長(ペギー・ウッド)から、トラップ大佐(クリストファー・プラマー)の子どもたちの家庭教師になるようにすすめられる。修道院長のすすめを最初は断るマリアだったが、最終的にトラップ邸に向かう。そこでマリアを待っていたのは、何人もの家庭教師がさじを投げた7人の子どもたちだった。子どもたちからの「手厚い」歓迎もマリアは動揺せず受け入れ、次第に子どもたちもそんな彼女に心を開き始めていくのだが…。