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2019年に公開されたアメリカ映画で、日本では2020年8月7日に公開された。監督は、今作が初の長編映画となるアルマ・ハレル。
今作は、ドラマ『おとぼけスティーブンス一家』や映画『コンスタンティン』、『トランスフォーマー』シリーズで知られるシャイア・ラブーフの自伝的映画であり、彼自身が父親役を演じたことでも話題になった。
父と息子の複雑すぎる愛と確執、そしてトラウマを抱えたまま成長してしまった息子の葛藤が描かれた作品である。
ハリウッドのトップスターとして活躍するオーティス(ルーカス・ヘッジズ)は、仕事のストレスからアルコールに溺れる生活を送っていた。そんなある日、オーティスは泥酔して交通事故を起こしてしまう。
事故後に、更生施設に送られたオーティスは、そこでPTSDの兆候があると指摘される。その原因を探るために、過去を振り返る彼が真っ先に思い出したのは、父親・ジェームズ(シャイア・ラブーフ)と暮らした日々のことだった。
ハリウッドでトップスターとして活躍している。子役出身。仕事に忙殺されるストレスからアルコールに溺れて、交通事故を起こしてしまう。事故後に送られた更生施設で、自身のトラウマを探るため、自身の半生を振り返る。過去にも、何度かアルコールで問題を起こしている。
12歳の人気子役。父親とモーテルで暮らしている。素直で気遣いのできる少年。父・ジェームズといい争うことも多いが、ただ普通の父親としての愛情を求めている。ジェームズ公認のもと、タバコを吸う。同じモーテルに住んでいるシャイ・ガールと打ち解け、彼女の前でだけ心を開く。
オーティスの父親。アルコールとドラッグに溺れ罪を犯し、収監されていた。現在は禁酒会に通い、4年間禁酒をしている。仕事は、オーティスの付き人のようなことをしている。以前は、道化師をしていた。息子を愛しているが、劣等感などからうまくその愛情を表現することができない。
オーティスとジェームズが住むモーテルの住人。何かと母親に怒鳴られている少女。ふとしたことがきっかけで、オーティスと仲良くなる。
オーティスのドラマの共演者。オーティスの出番中に、ジェームズの昔話に付き合っていた。
オーティスの母親。電話でオーティスをとおして喧嘩をするくらい、ジェームズとの仲は、非常に悪い。
大人になったオーティスが、更生施設で知り合った黒人。彼も何度か、施設に送られている。
更生施設に送られたオーティスの担当医。彼にPTSDの兆候があることを見抜き、過去を振り返るようにアドバイスする。
子どものころのオーティスの保護観察者。オーティスのことを気にかけてくれる善人だったが、ふたりの関係に嫉妬したジェームズからとんでもない仕打ちを受ける。
映画『ハニーボーイ』は、主人公の父親・ジェームズを演じたシャイア・ラブーフの自伝的映画です。ラブーフ自身が、自分を振り回し、トラウマの要因である父親を演じたことで話題になりました。
実は映画製作の話が出たころ、ラブーフ自身がアルコールで問題を起こしてしまいました。更生に向けてのリハビリ中で、この映画の脚本を書くことで、彼自身前に進めるきっかけになり、父との交流が復活したのです。
こういった事実を事前に知って映画を見ると、感動の奥深さがまた違ってきます。
映画のタイトル『ハニーボーイ』は、ジェームズが息子を呼ぶときに使っている愛称です。ジェームズは、自分の都合が悪いと怒鳴り、息子に手を上げる父親ですが、劇中では彼なりに息子を愛していると感じられるシーンが何度か登場します。
特に父子でバイクに乗って走っているシーンは、印象的です。劇中の父子の生活や関係は、見ようによっては悲惨なものです。
しかしただ父親に、「普通の父親」らしく愛して欲しかった息子と、愛しているのにも関わらず不器用さと劣等感からうまく愛せない父親のいびつながらも、確かな愛情がちゃんとあったことを映画をとおして感じられます。
映画『ハニーボーイ』は、主人公のふたりのオーティス役の演技が高く評価された作品としても知られています。
子役時代のオーティスを演じたノア・ジュプは、自分勝手な父親に翻弄されながらも、父親の愛情を求めている少年といった難しい役どころ演じました。
また成人したオーティスを演じたルーカス・ヘッジズの、どん底から過去を振り返り、そこに確かにあった愛情をかみしめるかのような演技は、見るものを惹きつけてやみません。特に、父親との生活を思い出し涙するシーンは、この映画の真髄ともいえる名シーンです。
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