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湊かなえ原作のミステリ小説『母性』の映画化作品。母と娘のふたつの視点から物語が進行し、思いこみや嘘により、証言のズレが生じていく。どちらの話が真実か、どこに嘘が混じっているのかなど、考察する余地のある作品である。
母親(大地真央)に愛されて育ってきたルミ子(戸田恵梨香)は、絵画をとおして知り合った田所(三浦誠己)と結婚する。すぐに女の子が生まれ、ルミ子の生活は充実していくが、そのそばには大好きな母の姿があった。
しかし、そんなルミ子に不幸が訪れる。田所と住んでいた一軒家が火事になり、巻きこまれた母が亡くなってしまったのだ。支えてくれた母がいなくなり、ルミ子は義母(高畑淳子)の信頼を得ようとする。
それから数年後。高校生に成長したルミ子の娘・清佳(永野芽郁)は、家に居場所がなくなってしまう。田所家の絶対権力者は義母であり、母のルミ子は奴隷のように働かされていた。清佳は母を救うべく、義母に立ち向かおうとするのだが…。
戸田恵梨香 永野芽郁
三浦誠己 中村ゆり 山下リオ
高畑淳子 大地真央
原作:湊かなえ『母性』(新潮文庫刊)
監督:廣木隆一
脚本:堀泉杏
音楽:コトリンゴ
主題歌:JUJU「花」(ソニー・ミュージックレーベル)
優しい母とふたりで生きてきた女性。田所と結婚し、初めて母と離れて暮らした。清佳が生まれてからも母への愛情は変わらず、母の笑顔を見ようと努力していく。母の死後は、その対象が義母に代わり、奴隷のようにこき使われても文句をいわなかった。
ルミ子の娘。幼いころから人の顔色をうかがい、他人を喜ばせるために生きてきた。祖母が死亡して以降は、深夜におこなわれる母からの暴力に耐えてきた。義母にいじめられる母を救うべく、強い口調で田所家の人間を責めることがある。
ルミ子の義母。結婚した当初はルミ子の性格を褒めていたが、次第に悪態をつくようになった。ルミ子と同居するようになってからは、彼女を奴隷のように働かせている。実の娘である律子には甘く、働かなくても小遣いをあげている。
ルミ子の夫。母に言い返すことができず、ルミ子が虐待されていても無視を貫く。
ルミ子の義妹。アクセサリー作りが趣味で、毎日部屋にこもって作業している。
ルミ子と田所の共通の友人。田所と結婚しようとするルミ子に、「苦労する」と忠告した。
もの静かな女性。火事に巻きこまれた清佳を救い出すも、タンスの下敷きになり、死亡してしまう。
今作は娘と母の、ふたつの視点からストーリーが語られていきます。母の視点では温かい日常が描かれていても、娘の視点になると、ガラッと印象が変化する構成になっているのです。
この映画では、「どちらが嘘をついているのか」といった重要な部分が、明確に語られません。観客は一方的に語られるストーリーをとおして、真実を考察する必要があります。
人によって解釈が異なる点も今作の魅力であり、観客同士で熱く物語についてを語り合うことで、初めて完成する作品といえるでしょう。
湊かなえ作品といえば、嫌な後味を残していくミステリ「イヤミス」が有名です。今作も「イヤミス」の中に属しており、単なるハッピーエンドでは終わりません。
劇中では、義母にいじめ抜かれる、ルミ子の姿が描かれます。その時点で胸糞悪い展開が続きますが、問題はルミ子や清佳を囲んでいる周囲の環境です。
無関心な父親や閉鎖的な田舎社会など、人間の闇の部分に触れる描写が多々あります。ラストまで続く、妙な気持ちの悪さこそ、「イヤミス」と呼ばれるゆえんです。
今作は「イヤミス」であると同時に、ラストにどんでん返しがある作品です。母と娘の視点が徐々に食い違っていき、物語の最後には決定的な事件が起きてしまいます。
この物語のキーワードになるのは、「母性」というタイトルです。母性とは、母親が子どもに対して持つ感情ですが、誰しもが持っているわけではありません。
今作はふたつの物語をとおして、母性が持つ危険性を描いた作品です。ほかの作品では見られない母性の描き方に、度肝を抜かれるでしょう。
ネタバレを含むレビューです。
登場人物が全員個性的。
連続放火事件、グラフィティアート、そして遺伝子暗号。 それらが全て繋がったとき、24年前の事件が明らかになる…。 伊坂幸太郎原作。 第1回本屋大賞ノミネート作に選ばれるなど、多くのミステリーファンをうならせた名作の映画化。 大学で遺伝子研究をしている奥野泉水。弟の春は街の壁などに描かれたグラフィティアート(落書き)を消す仕事をしていた。 数年前に他界した母の命日のため、実家に帰った泉水は春と連続放火のニュースを耳にする。 その現場が春が消した落書きの近くだということを知った二人は、春の発した一言から犯人捜しを始めることにする。 ある日二人は、父が癌を患っていることを知らされる。病気と闘う父と心配する息子たち。 どこからどう見ても仲がよく、病気のことを除けば平和に見える家族。 しかし、一家は悲しい過去を抱えていた…。 一方で引き続き放火犯を追っていた泉水と春は、町の落書きに遺伝子暗号が関係していることに気づく。 犯人解明に近づきつつあるふたりだったが、放火事件の謎は24年前から続く家族の謎とリンクしていくのだった…。
優しい教師が、クラスの生徒を殺していくサイコホラー。爽やかなイメージのある伊藤英明が、生徒を惨殺するサイコパス役を演じたことが話題となった。監督は日本国外での知名度も高い、三池崇史であり、容赦のない残酷描写によりR-15に指定されている。生徒役には染谷将太や二階堂ふみなど、日本映画界の最前線で活躍する役者が起用された。また教師役として、山田孝之や吹越満などが出演している。高校教師の蓮実聖司(伊藤英明)は、生徒たちから人気も高く、誰からも尊敬される先生だ。しかし、その正体は幼くして両親を殺し、幾度となく犯罪に手を染めてきた凶悪な殺人犯だった。彼には罪悪感など微塵もなく、目的のためなら平気で人を殺していく。気に入らない生徒や教師には、容赦なく手を下しつつも、表ではイケメン教師を演じていた。ある日、犯行現場を生徒のひとりに見られてしまい、収拾がつかなくなってしまう。蓮実は自分を守るため、猟銃で生徒を皆殺しにすることを決めるのだが…。
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光華学園大学史学科講師・滝連太郎は妻子がいながら、淡路慶子と愛し合っていた。滝は、湯殿山麓弥勒寺の幽海上人の即身仏と『一切口外すべからず』という口伝書が残され、御堂の地下にひっそりと隠されたままなのに興味を持った。即身仏は入定後、三年経つと土中より掘り起こされ、礼拝の対象となるはずである。天明の大飢饉は布教のPRに絶好の機会ともいえる、幽海上人は何らかの理由で寺に逃げ込んだ犯罪者で、寺の者が無理矢理ミイラに仕立てあげたのではないかと、滝は仮設を立てた。彼は発掘するため、湯殿村出身である慶子の父親・淡路剛造に協力を依頼した。剛造の屋敷に脅迫状とミイラ化した手首が届けられた。彼は急に発掘資金の援助を中止すると言いだす。その夜、剛造はバスルームで変死体となって発見された。バスルームは、密室状態であった。
綾瀬はるか×松坂桃李共演。美人鑑定士が天才的な鑑定能力で難問に挑む本格ミステリー さまざまな憶測が飛び交う「モナ・リザ」に関する謎を、効果的に絡めてミステリーに仕立てた点がミソ。邦画初というルーブル美術館で撮影された映像も大きな見どころ。 40年ぶりに「モナ・リザ」の日本公開を決めたルーブル美術館は、警備強化のため臨時学芸員を募集。パリに飛び、採用試験に合格した「万能鑑定士Q」の店主・凜田莉子は、帰国後も真贋の権威のもとで訓練に励む。そんなある日、彼女に異変が起き…。
200X年、駿河半島沖で国籍不明の潜水艦が座礁、乗り込んでいた特殊作戦部隊が上陸したことが判明した。その情報が総理官邸に届くまで半日を要し、平和慣れした日本中に戦慄が走った。外敵が侵入すると言う未曽有も事態に政府、自衛隊とも法解釈を巡り混乱をきたした。遂に正体不明の敵の攻撃によって自衛隊員に死傷者が出た。原発への危機を抱え込みながら、一挙に極東から世界への危機へと変わった。古谷一行/杉本哲太/夏八木勲/夏木マリ/多岐川裕美
イタリアで予告されたテロから日本人を守るため、外交官・黒田康作がクリスマス目前のローマに派遣された。だが、ほどなくして、ひとりの日本人少女が失踪する。彼女は、亡き夫との思い出の地であるイタリアを訪れた旅行者・矢上紗江子の愛娘だった。そして、この誘拐事件の通訳担当となった黒田は、紗江子へ掛かってきた犯人からの電話を受けたことで、彼女の“偽りの夫”として事件に巻き込まれていくことに。しかし、警察の介入を犯人に見破られるなどして事件の解決は遠のくばかり。さらに独断で事件の調査を進めるものの、外交官には捜査権限がないためイタリア当局から越権行為と指摘され、大使館内でも孤立する黒田。やがて、誘拐事件は連鎖テロへ発展し、イタリア全土に広がっていく。こうして犯人グループの思うがまま捜査が混迷を極める中、黒田は事件の鍵がイタリア南部の港町・アマルフィにあることを突き止めるのだが・・・。
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2018月9月25日~2020月10月19日
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