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2020/11/06
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【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第2回ゲーミフィケーションとビジネス ~岡田大士郎×松岡雅幸~

ゲームカルチャー協会の代表理事である松岡雅幸さんと、理事を務める岡田大士郎さんの対談が実現!「ゲーミフィケーション」をテーマとして、ゲームとビジネスの関わりや、組織における環境づくりについて語っていただきました。

目次
編集部
aukana編集部

ゲーミフィケーション」とは、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用すること。

ゲームデザイン要素を使って組織の生産性を向上させたり、教育分野に活用したり、従業員が働きやすい環境を整えたりと、様々な分野で活用されています。

今回対談していただくのは「一般社団法人ゲームカルチャー協会」の代表理事である松岡雅幸さんと、理事を務める岡田大士郎さん(元米国スクウェア・エニックス社長(COO)現株式会社HLD Lab代表取締役社長CEO)のお2人です。

第2回のテーマは「ゲーミフィケーションとビジネス」について。米国スクウェア・エニックスの社長(COO)を務めた岡田さんの経験談をもとに語っていただきました。

【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第1回ゲーミフィケーションとライフスタイル ~岡田大士郎×松岡雅幸~ | MOVIE SCOOP!
【「わくわく」を生み出すゲームカルチャー協会対談】第1回ゲーミフィケーションとライフスタイル ~岡田大士郎×松岡雅幸~ | MOVIE SCOOP! https://doga.hikakujoho.com/moviescoop/41226800006188/

第1回の対談「ゲーミフィケーションとライフスタイル」はこちらからご覧ください。

岡田さん&松岡さん

(写真左)岡田大士郎 1955年生まれ
2005年にスクウェア・エニックスに入社し、2007年まで米国Square Enix, Incの社長(COO)として米国事業に携わる。2019年1月には株式会社HLD Labを創業。

(写真右)松岡雅幸 1992年生まれ
2019年1月に一般社団法人ゲームカルチャー協会を設立。学生時代には「ロックマンエグゼシリーズ」大阪・東京・名古屋大会にて優勝。某有名トレーディングカードゲームのPC版で世界ランキング1位を取得した経験もあり。

スクウェア・エニックスで意識した「設計デザイン術」

岡田(写真左):私が2005年から働き始めた『株式会社スクウェア・エニックス』は、とても優秀で独創的なセンスとアイデアを持ったクリエイターが2,000人以上いる組織だったんですね。

2年の米国勤務から戻り、本社総務部で「場」つくりのミッションを担わせてもらったのですが、その時に一番力を入れなくてはいけないなと感じたこと、それは、みんなが「わくわく」して自由に楽しく働ける「環境」を作ることだったんです。働くみんなが「なんかいいなこれ」って思える環境や空気を作り出すということ。つまり「」の「設計デザイン術」ということに力を入れたんですね。

これを実行して感じたのは、「人にはわくわくできる何かが大切! 職場で笑顔になれること」なんですね。みんなが集中して一心不乱に取り組むことも大切ですが、それが行きすぎてしまうとストレスになります。どれだけ笑顔や笑い声を職場の中に醸し出すことができるか。そうした「」をプロデュースしてゆくことこそ、『ゲーミフィケーション』の発想なんですよね。

松岡(写真右):いやぁ、素敵です。それで今も「働きやすい空間」を作る取り組みをされているんですね。

岡田さん①


岡田
:そうなんですね。例えばね、こういう景色の良いところ(対談場所にある窓を指さしながら)って、皆さん気持ちが良くて好きですよね。人は心地良さのある時間や空間、そして場所に身を置くと気持ちが落ち着くものです。

景色が良くて、オーシャンビューで、緑があって自然が楽しめるような世界、例えば、リゾート地であるハワイやモーリシャス、あるいは上高地や軽井沢など、皆さんが思うブランドイメージのある素敵な場所をイメージしながら働くとわくわくしてきますよね。こうした「場」のバーチャル演出をオフィスで行うことも大切だと思うんです

例えば、自然の森などに行くと、「マイナスイオンが心地良い!」などと言われますが、美しい自然空間が醸し出す「空気」には、ハイレゾ(20kHz以上の耳では聞こえない高周波帯)音が流れていて、そうした空気を体で感じることで、人間の意識を弛緩させて、自立神経をリラックスさせてくれるんです。

そういう風に考えて、オフィスの中に「自然」を取り入れて、「五感を刺激」してわくわくする「時間・空間」をプロデュースしてきた10年でした。これが、自分流の『ゲーミフィケーション術』という意識です。

日本でGAFAが生まれないのはゲーミフィケーションが足りないから?

岡田:よく「なぜ日本ではGAFAが生まれないんだ?」と言う方がいますけど、その原因の1つは、そういったことを言われている人たちの「意識観」や「価値観」にも起因しているように思います。

大きな企業、組織に入ってしまうと、自分のやりたいことを自由発想で様々な物事にチャレンジするというのが難しくなります。その企業や組織の慣習などに引っ張られて、自然に組織色に染まってしまいます。

もちろんいい面もあるんです。歴史を連綿と受け継いできた組織には「伝統」や「ブランド」があり、その価値は素晴らしいものです。そうした「組織の良さ」はたくさんあります。

でも、どれだけ規模が大きくても、結局そこは、1つの大きな「井の中」なんですよね。大きな「井戸の中」で、心地良く温水のプールに浸かって育つ。外海にヨットで繰り出していく機会は少なく、外界の風の強さを感じられる経験ができないように思います。あくまで、私個人の経験談からの話ですが...。

松岡:そうですよね。そもそも「スティーブ・ジョブズ」なんかも波乱の人生ですよね。

岡田:私がスクウェア・エニックスの米国法人で仕事をしている時に、スティーブ・ジョブズCEOオフィスチーム(社長室)の方々とお話ししたこともあるのですが、もう周りからすれば「あれだけの超人と働くっていうのはいい迷惑!」的な話もありました。ハラスメントの嵐ですからね(笑)

でも、彼はレジェンドになった。「マイク・ザッカーバーグ」や「ビル・ゲイツ」もそうです。神様のように言われてますけど、最初の一歩は、ある意味「学生のガレージ遊び」から始まってる訳ですよね。

そして、『ファイナル・ファンタジー』が生まれたのも同じなんです。「スクウェア」の創業者(徳島県出身)が仲間と共に「ガレージ」から生み出されたもの! それが、今や世界で1億本以上売れているゲームになりました。

30年以上も前時代ですから、きっと彼らに「何こんなものにうつつを抜かしてるんだ」的なことを言う人はいたかもしれません。でも今、これだけの大きな影響力を持つひとつの「エンターテインメント文化」を作り上げることができたんです。

初期の段階でチャレンジすることがどれだけ大切なのか。でも、大人からはひとつのレールに乗ることを求められますよね。いい大学を出て、会社の中で出世してというのが、「成功の方程式」のように捉えられているんですよね。

どれだけ長く「わくわく」を継続できるか

松岡さん①


松岡
:お話聞いていて、本当にその通りだなと思います。最近のゲームで「面白くないな」って感じるのが、ある一定以上やり込んでしまうと、その先が繰り返しだったり、ゴールとその後がもう見えてしまって、それ以降やらなくなってしまう。同じようなパターンになっているからこそ、いわゆる「わくわく感」が損なわれているのかな、と思いますね。

岡田:人間ってどんなに素晴らしいものや、感動を与えてもらっても、すぐに、環境に馴染んで飽きてしまうんですよね。例えば、素晴らしいオフィスに移転した場合、働いているたちは、当初本当に気持ち良いと思うんですけど、その期間は「ハネムーン効果」と同じで3ヶ月程度なんですよ。最初の1週間は良くても、2週間目くらいから段々と当たり前になってきて、2~3ヶ月もすれば飽きてきて、退屈だなぁって感じるんですよね(笑)

松岡:子ども時代の夏休みと同じですね(笑)

岡田:ゲームのパターンも同じですが、人間は、環境に馴染んでしまうのは、ある意味当然なんです。そのパターンをどれだけうまく組み合わせて、毎日「わくわく」を感じさせられるか。感動を継続させるか! ということがゲーム作りでも「場」つくりでも大切なんです。これって結構って大変なんですけどね(笑)

松岡:人の数があればあるほど、人それぞれのレールしかなかったりしますから。色々な人のレールをクロスさせることで複雑化していくんですね。

岡田:そうですね。ゲーム作りとは「わくわく」を創造してユーザーに「このゲームが欲しい!」「このゲームで遊びたい!」と思わせるような仕掛けをどのように作るかが求められます。これは、ビジネスと共通する部分があると思っています。一種の人間の喜び「場」の舞台演出なんですよね。

社会という「舞台」の中で、様々な人たちが「物作り」を考えながら開発し、ブランディングやマーケティングに汗を流しながらセールスしてゆく力は、日本の組織に共通した強みかもしれません。

でも、良いものなら「売れるはず」との思い込みが強すぎると、ものは売れません。お客様が「楽しいもの」「欲しいもの」「面白いもの」を徹底的にこだわって創り出すものはヒットを生み出します。ゲーム創作とビジネスの共通項ですね。

個性と個性がクロスするダイバーシティ

岡田さん②


岡田
:日本人って「個性がない」って言われることありますよね。私が金融機関(みずほ銀行の前進である日本興業銀行及びドイツ銀行グループ)からスクウェア・エニックスに移った時に、クリエイターの多様な「個性」と、こだわり感の強さを体感しました。最初はびっくりすることもありましたが、人間は1人ひとり、それぞれが「ダイバーシティ・パーソン」だなと感じたんですね。

本来、人間誰もが「個性」を持っているのですが、社会の規範や暗黙のプレッシャー、そして、組織内での「協調性」を求められると、没個性になってしまう傾向があるように感じています。組織では、上司に文句を言わない、従う、そんな人間を会社は評価するもんです。

でもGAFAを作ったような人たちって「協調性? 何ですかその言葉? 私の辞書にはありません」って言うぐらいの感じですよね(笑) もちろん社会の情勢状況、時代によっての価値観の違いはあります。でも、何もかも迎合して「みんなで渡れば怖くない」っていうだけが社会ではないと思いますね。

松岡:面白いですね。岡田さんは金融系のすごく堅い会社に行かれた後にエンタメの社会に移られて。両軸の会社の「個性」を見た上で感じるものがありそうですね。

岡田:そうですね。今だからこそ言えることもあるんですけどね。身を置いている時はなかなか大変でしたね(笑) 特に、ゲーム会社の強い個性や鋭敏な感性を持っているクリエイターたちに対しては「管理監督」するようなマネジメントスタイルではダメなんです。

クリエイターが、自由に、思い切りアイデアを出していける、その一方、組織の統制をしてゆく、いわば「お釈迦の掌」的な場つくりマネジメントが求められます。

一般的に会社は、経営計画を立てて、今年度の目標はこうで、あっちの部門の目標値はここで、ストレッチ頑張れよって、ちゃんと計画を立ててKPI取って…。そんな当たり前の世界がありますよね。

でも、「モノづくり」をするということは数字で表すことができない世界です。「良いものを作ろう」「面白いものを作ろう」といったクリエイターの徹底した「こだわり」と「磨きこみ」により、最高の感動を提供することができ、ユーザーから絶大な支持を受けることになります。

こうした「面白いもの」を創り出すには、エッジがバリバリに効いている超個性のクリエイターが、「共創」しながら作品をつくり上げてゆくのですが、個性がぶつかり合うと、鋭いエッジでお互いを傷つけしまうようなこともある世界です。

松岡さん②


松岡
:そうなると信頼関係が大事になるのかな、と思いますね。エッジの効いた人たちが、互いのエッジはどこに効いているか理解して、お互いに尊重しないといけない。そうしないと良いものはなかなか作れませんね。

岡田:そうですね。それぞれの「エッジ」を隠してしまえばぶつかり合うことはないんですが、そうなると「個性」も隠されてしまうことにもなりかねません。「個性」をうまく生かし、また交わらせながら、クリエイティブな「場」を創出してゆく経営術というのは、オーソドックスな会社の経営のやり方とはちょっと違う視点が必要なんです。

ユーザーをエコーチェンバー化させないために

岡田さん③


岡田
:今のネットワーク社会でのひとつの課題に「エコーチェンバー」や「確証バイアス」と言われる、「意識の歪み」を助長する特性があります。人々の心が「いいね」に寄せられてしまい、知らず知らずのうちに「インスタ映え」を考えてしまうことなんです。ある種の「いいね獲得症候群」、人間誰もが持つ「承認欲求」ですよね。

自分がやったことに「いいね」がつけられると嬉しい。その嬉しいを求めていつの間にかエコーチェンバー化してしまう。それは「中毒」や「依存」という領域と似ている部分があると思いますね。

松岡:「幸せ」とか「嬉しい」という気持ちが欲しいから投稿するのではなく、相手を「喜ばせたい」という世界にしないといけないですよね。

岡田:私が今プロジェクトでやっているのが、「エコーチェンバーを、もう少しマイルドにしたい」ということなんです。「いいね」を求めすぎると、批判的な話とか関係のない領域が見えなく(聞こえなく)なってくるんですよ。

人生では嫌なこともいっぱいありますから、たまには気持ちの良い「温水プール」で泳ぐ人生も楽しいと思いますし、それなりの幸福感があると思います。でも、いつかどこかで「荒海を一人旅しよう」と考えた時、今まで泳いでいた「温水プール」とは違う塩っ気の強さに驚き、すぐにお腹を下してしまうと思うんです。抵抗力というか耐性力を身につけておくためにも、「エコーチェンバー」ということにならないように! という思いがありますね。

なので、フェイスブックやツイッターにとって代わるような、確証バイアスのないSNS開発プロジェクトを大阪でやっています。そういうことに関しても実は『ゲーミフィケーション』なんですよ。

ただ、ゲームには「魔力」があります。あまりにも熱中し過ぎて「依存症」になるケースも少なからずあります。ゲームに依存し過ぎないような仕組みや仕掛け、そして魅力や「わくわく」を織り込むこと。これからのゲームに問われていることだと思います。

松岡さん③


松岡:そうですよね。ゲームのことを色々考える協会もありますけど、今後はそういった議題が多くなるかもしれないですね。

岡田:革新的なアイデアを出すのは若い社員なんです。新入社員は社会経験がないので「社会のいろは」を覚えるのに一定時間を要しますが、持っているアイデアは素晴らしいものがあるので、経営陣に対しても、どんどん「面白提案」をしてもらいたいですね。

でも実際は「俺の方針にそぐわないから却下!」的な大人が多く残っている組織社会もあるので、そうした「心理的安全性」に欠如した組織状況を変えてゆく必要があるんですよ。

そこで、私のように結構年を重ねた人間であれば、それなりの立場がある人にも伝えられます。そういった発信からちょっとした気づきがあれば、少しずつ社会が変わっていくと思いますし、そうなってくれれば良いと思っています。

松岡:仰る通りですね。先人の話はよく聞きましょう、といったものですね。

岡田:でも、老婆心的なことを言っては駄目なんですよ。教えたり説教したりしてはいけないんですよね。「俺の若い時はこうだったぞ」なんて言ったら、聞いてる方は白けてしまいますよね(笑)

松岡:そうですね。先人の方がアドバイザーとなって、相手に「言葉」ではなくて「体感」や「経験」をさせてあげられるか、という環境作りが大切なのかなと思いますね。

岡田:そうなんですよね。それが「環境」を作ることであり、設計デザイン術に関わってくるんですね。私がやっている「場」つくりと言うのは、そうしたことを感じてもらう空気を作り出す、ということなんです。

それは目に見えるものもあれば、見えないもの、テレパシー的なものもある。若い人に対してだけではなくて、全人類間で共通していると思います。それをどのように「場」にプロデュースしていくか、というところが自分の今のチャレンジなんです。

天才をマネジメントする難しさ

松岡さん④


松岡:僕も以前ゲーム攻略アプリのプロデューサーをさせていただいたことがあるんですけど、デザイナーさんやエンジニアさんはみんな個性豊かで…。意見のぶつかり合いやせめぎ合いを、どうやって取りまとめるか。いつもプロデューサーって板挟みになるんだなって感じましたね。

岡田:そうですよね。超絶個性の天才をマネジメントする難しさは、普通の組織のマネージャーとして経験を積んでいる人たちは驚かれると思うんですよ。みんなを束ねてひとつの価値を生み出していく時の「胆力」であったり、「我慢力」であったり、どのように上手に混じ合わせたりするか。人数が多ければ多いほど大変になりますよね。

今は「コロナ禍」によってパラダイムシフトが起きていて、「ニューノーマル」を多くの人が感じ始めている時代になってます。例えば会社勤めは、9時に出勤して17時に退勤して週40時間働いて、ちょっと超過があったら残業代もらってというのが、ある意味古い価値観である「オールドノーマル」になりますよね。

でも、ゲーム作りは「時間比例の作業労働」だけではなく、「創造労働」の側面があるので、労働基準監督局の指導を受けて、組織の人事部などが、「長時間残業は禁止! 18時になったら消灯しろ!」なんて言い始めたら、面白いゲームや映画は出来上がらないんですよ。

松岡:12時間勤務や夜遅くまで働くことを「ブラック企業」という人もいれば、やりがいを持って『ゲーミフィケーション感覚』でいいものを作りたいと思って、夜遅くまで働きたい人もいる。これをブラックなのかというとまた違いますからね。

岡田:やはり「やらされ仕事」と感じた瞬間にブラックと呼ばれても仕方がないという面もあるんですかね。

ゲーム作りをしている人は「好き」でこの業界に入って、自分が「納得いくまでの磨きこみ」をするために「行動」している訳で、「働かされている」という意識ではないこともあります。自分の満足感を極限に持っていくために、趣味的に「仕事」をやっている時間帯もあるんです。

だけど多くの勤務形態が「時間給」という考え方ですから、どうしても「時間」と連動してしまう。時間に束縛された働き方は、日本では1911年に公布された「工場法」に始まり、戦後の労働基準法により延々と引きずっている訳ですよ。これっておかしくないかと思っているんですが、法律がそうなっているから変えることができない。もう少しフレキシブルになってもいいな、と思いますよね。

松岡:戦後から法律が作られて、法の限界というか、ITが成長し過ぎたせいで法も限界がきているのかなと思いますね。法を見つめなおす必要性もありますし。

コロナ禍におけるゲーミフィケーションを生かした働き方

岡田さん④


岡田:今回の「コロナ禍」がきっかけとなって、在宅テレワークといった働き方が増えてますよね。そうなると、管理職の方には「管理ができない」「どのように評価すればいいのかわからない」と、言い出す人もいる。

松岡:なかなか難しい時代ですよね。今の状況というものが。

岡田:すごく考えさせられますよね。多くの人たちが、心の中で思っていることはたくさんあるじゃないですか。こういう話をすることで、そうした人たちが「何か」に気づけるきっかけになれば良いと思っています。「コロナ」が否応無しに社会意識を変えつつある時期だと思いますね。

ビフォーコロナの時にも、私は同じことをしていたんです。「ゲームって面白いよ」「ゲーミフィケーションって考え方があるんだよ」「もう会社に行かなくてもいいんじゃない?」「オフィスの意味合いは?」と言っていた時は、誰の意識にも届かなかった。ほとんどの人が、岡田さん何を言ってるんですか、というような感じだったんです。

でもコロナに直面して、経営者が仕方なくテレワークを導入せざるを得ない状況となり、管理職の方もやむなくテレワークの中でマネジメントをしなければならない。そうなるとわかってくるんですよね。

松岡:そうですね。テレワークでも仕事が回るというのがわかってくるので、中には「オフィス売却」という話も出てきますよね。

岡田:そういう動きにもなってくる。でも「ちょっと待ってください」、ということを私は言っているんです。オフィスがいらなくなることが本当にいいのかと。さすがに半年以上も在宅で仕事をしていると飽きもくるし、環境は良くないですし。

松岡:やっぱり同じ環境に居続けるのは良くないですよ。最近は共同オフィスも増えましたよね。色々なオフィスを利用して、今まで会ったことがない人たちと交流できるのは、またひとつの良い経験になるのかな、と思いますね。

岡田:「Coworking(コワーキング)」から「Co-Creation(コ・クリエーション)」、そして「Collaboration(コラボレーション)」につなげる「場」つくりが大切です。

働いている人々が、チームメンバーと心を通じ合わせながら、自分のパフォーマンスを最大化できる「働く場所」の選択肢をたくさん持てる仕組みを提唱しています。私が勝手に名付けたのですが、『SPM(スペース・ポートフォリオ・マネジメント)』と言っています。

例えば、在宅仕事でストレスが溜まってきた時に、近場のホテルの「デイユース」を利用してアイデアを練る。そんな使い方もありますよね。これは一例ではありますが、働いたり考えたりする場所を選択できることはすごく面白いと思うんですよ。

そういった柔軟な働き方を考えながら、オフィスのスペースをどうするかというのを経営陣は考えてゆくことが必要だと思います。リモートで全部できるからもうオフィスはいいよね、という考え方になると、今度は「わだかまり」というか、人間の心に溜まっていくストレスが出てくるので、生産性は落ちていきます。経営陣はそういったシミュレーションを行わなければいけない。それも『ゲーミフィケーション』が持つ要素のひとつなんですね。

編集部
aukana編集部

ゲーミフィケーション』をテーマとして、オフィスにおける「場作り」からコロナ禍によって訪れた新しい「働き方」における問題まで、幅広く語っていただきました。

次回のテーマは「ゲーミフィケーションとゲームカルチャー」となります。

世界ランキングの頂点に立った松岡さんのゲーマー話から、最近の岡田さんがハマっているゲーム、さらにはゲームクリエイターへの教育論まで語っていただきます。次回もご期待ください!

参考元

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