短期での連載終了になってしまった漫画原作『耳をすませば』は、全4回の短いストーリーであるにも関わらず、雫が動物や花に話しかけるような穏やかで優しい雰囲気が今でも愛されています。そんな、漫画原作の『耳をすませば』がジブリ作品としてリメイクされたのは、まさに偶然の出会いでした。そんな宮崎駿と漫画原作との出会いに迫ります。
耳をすませばの原作者:柊あおい
1985年から1989年にかけて、「りぼん」にて連載された『星の瞳のシルエット』の作者でもある柊あおいが、実は『耳をすませば』の原作者となっています。
『星の瞳のシルエット』は、発行部数200万部を誇った「りぼん」全盛期を支えた人気漫画ですが、作者の柊あおいは連載終了後の取材に対して、「どろどろの三角関係を描くのに疲れた」と語っていました。
その影響もあって、さわやかな恋愛漫画である『耳をすませば』が描かれることになりました。
漫画原作の「耳をすませば」
実際のところ、読者からのアンケート至上主義の週刊誌において、『耳をすませば』は全4回での早すぎる打ちきりを迎えるのでした。
第一話の人気が編集部の想像以上に低かったことや、他に有望な新作が連載会議に回されていたことなどが推測されていますが、その真相は明らかにはされていません。
作者である柊あおいも、長期連載のつもりで書いていたので、全4回で終わらせるのに苦労したと語っています。
確かに、キャラクターの描写やストーリーなどが中途半端に描かれているといった評価がネット上で一部なされていることも事実です。
しかし、これは短期での連載終了になってしまったために仕方のないことだと言えます。
また、漫画原作の「耳をすませば」は全4回の短いストーリーであるにも関わらず、雫が動物や花に話しかけるような穏やかで優しい雰囲気が今でも愛されています。
そんな、漫画原作の「耳をすませば」がジブリ作品としてリメイクされたのは、まさに偶然の出会いでした。
宮崎駿監督との偶然の出会い
宮崎駿監督は、親類の子供が置いていた「りぼん」をたまたま読んだそうです。
そこに掲載されていたのが、耳をすませばの第ニ回でした。
これが宮崎駿監督の目に留まり、この第ニ回からストーリーを想像していったそうです。
後に宮崎駿監督は全四回を読むことになりますが、漫画原作との相違が多く、ジブリで映画化されたリメイク版でのアレンジに繋がっています。
なぜジブリで映画化されたのか?
そもそも、なぜ宮崎駿監督は「耳をすませば」に目をつけたのでしょうか。
かねてより、宮崎駿監督は少女漫画を原作とした作品について、スタジオジブリの近藤喜文を起用したいという想いがありました。
このことは、実は漫画原作者である柊あおいにとってはサプライズのプレゼントでもありました。
なぜなら、柊あおいはアニメ「赤毛のアン」の大ファンであり、近藤喜文は「赤毛のアン」で作画監督を担当していたのです。
ちなみに、雫の親友である夕子のビジュアルが赤毛のアンに近いのは、赤毛のアンに影響を受けているためだそうです。
近藤喜文はそのことをすぐ見抜いたそうです。
猫の恩返しにも所縁のある柊あおい
そして、ジブリ映画の『猫の恩返し』は雫が大人になって書いた小説という設定があることは知られています。
そもそも、このような『耳をすませば』のスピンオフが作られたのは、柊あおいさんが三鷹に住んでおり、スタジオジブリとは家族も含めた親密な付き合いがあったからだそうです。
舞台設定が函館なのも、柊あおいさんが執筆当時に住んでいた函館にちなんでのことだそうです。
参考元
- ・耳をすませば集英社
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