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2019/04/05
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蘇ったのは、何だったのか。【肉食屋敷】小林 泰三

異形の屋敷の中で語られる、実験の末の悪夢。 卵から孵ったその怪物は、人智の及ぶものではないのでしょうか。

目次

・始まりは苦情から

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のんびりした時間が流れる、村役場の環境課。ときどき不法投棄のごみだとか、騒音だとかを何とかしてくれと言われるくらいで、普段はこれといって仕事はありません。

なので主人公がその電話を受けた時も、大したことだとは思いませんでした。

電話の内容は「丘の上にずっと止まっているトラックを、何とかしてほしい」というものです。ずっと雨ざらしになっているものですから、トラックはともかく、積まれたドラム缶に何か有害な物質でも入っていたら大変です。

さっそくその土地が誰の持ち物かを調べ、所有者に電話をかける主人公ですが、残念ながらつながりません。聞けば、電話代を滞納して止められてしまったとのこと。

電話が通じないのであれば仕方がありません。主人公は渋々ながら、所有者のもとに赴きます。

・研究所へ

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行先は個人の住居ではなく、研究施設でした。小戸生命科学研究所というその研究所は、十数人いた研究員たちも今はみな辞めてしまって、所長の小戸だけがいるはずでした。

そういうわけですから、主人公はまず小戸になにかあって、一人で亡くなってしまったのでは……と考えましたが、村の駐在さんは電話が不通なくらいでは動いてくれません。とりあえず行ってきて、何かあったら通報してくれという横着ぶりです。

仕方なく主人公が一人で向かった先は「研究所」というイメージからはかけ離れた建物でした。増改築を繰り返したのか、でたらめな輪郭になり、ところどころ壊れた場所も放置されているという、悲惨な状態の屋敷がそびえています。

その輪郭がふと、うずくまった人の形に見えて、余計に嫌な気分になる主人公でしたが、行かなければ仕事が終わりません。

おっかなびっくり玄関に向かうと、その先で彼はとんでもないものを発見するのでした。

・異貌の屋敷

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玄関の壁は一部が盛り上がり、実におぞましいものを浮かび上がらせていました。耳と、半開きの口です。口のほうは歯並びの悪さまで忠実に形作られており、どちらも影と同じタールのような真っ黒い色で、余計に見るものの気を滅入らせます。

インターホンを押しても最初は反応がなく「電気も止められているのだろうか」と不安になる主人公でしたが、あきらめず何度も押すとかすかに声が聞こえてきます。ですがそこも壊れかけているのか、家主の声はほとんど聞こえません。

かすかに聞き取れる「入ってきてください」を耳にして、仕方ないとノブを握ろうとした主人公は、思わず悲鳴を上げてしまいます。
それはノブが、精巧に作られた人間の手首だったから。

玄関からしてそうなのですから、屋敷の中もまともなはずがありません。明かりのスイッチも見つからず、暮れつつある夕日の光を頼りにして、異様な形に折れ曲がった廊下を進みます。

悪夢のような室内を潜り抜けて、ようやく出会えた研究所の主も、まともとはいいがたい状態です。主人公を幻覚かと疑い、そうでないとわかると今度は、毒物と有機溶剤(これがドラム缶の中身です)を研究所にぶちまけたうえで、火をつけてほしいと言いだします。

・生まれたもの

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主人公は当然大いに驚き、その理由を知りたがります。納得してくれるならと彼が語りだしたのは、研究所で行われていた実験の話でした。

それは恐竜を現代によみがえらせようという実験です。地層から発見したDNAらしき物質を解析、再現し、ニワトリの卵に植え付けて育てるという計画でした。
 
卵の胚は成長を続け、無事に孵りましたが、それは恐竜にもニワトリにも全く似ていない、奇妙な生物でした。手足らしき突起や、目玉がでたらめについたその姿は、不気味の一言。

この生物が、彼をここまで追い詰める原因になろうとは、研究者本人も思いもしなかったでしょう。

生物が徐々に本性を現し、「怪物」として成長していく様子の生々しさは筆舌に尽くしがたいほどです。

参考元

  • ・肉食屋敷角川書店

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