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出典:amazon

2019/04/08
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とにかく森田剛がすごすぎる…『ヒメアノ~ル』に救いはあるか?

『稲中卓球部』や『ヒミズ』など話題のコミックスの著者として有名な古谷実。映像化不可能といわれた彼のセンセーショナルな問題作『ヒメアノ~ル』を完全実写化した本作。V6の森田剛が身の毛のよだつサイコキラーを演じ切り、極上のサイコスリラー映画が誕生しました。

目次

衝撃の映画、衝撃の森田剛

圧巻の演技【森田剛】映画初主演

アイドルグループV6のメンバーとして著名な森田剛。
俳優としてはこれまで舞台を中心に活動してきました。故・蜷川幸雄から「得難い才能」と言われるほどその演技力には多くの演出家から高い評価が成されています。

その森田剛が単独での映画初主演作『ヒメアノ~ル』で連続殺人犯を演じ、そのスケールに各業界から絶賛の声が相ついでいます。

本作で彼の演じる森田正一は性倒錯者であり、殺人に何の躊躇もない、いわゆるサイコ・パスです。ビジュアル的にも性描写、暴力描写などショッキングな映像が頻発します。

アイドルとしてリスキーな役柄に挑戦し、圧倒的な演技を見せつけた森田剛。これから日本映画という枠組みのなかで彼がどういった活躍を見せてくれるのか。これから最も注目の俳優であることに間違いはないです。

ラブコメディから悪夢へ【転調するストーリー】

本編前半、物語は濱田岳演じるもう一人の主人公「岡田進」とムロツヨシ演じる「安藤勇次」、それに佐津川愛美扮するヒロインの「阿部ユカ」の三角関係を中心に描かれるラブコメディ仕立てとなっています。

この前半部はそれだけでも完成度が高く、最高に笑えます。特にみんな大好きムロツヨシが期待にこたえてダメな会社の先輩をコミカルに演じ、爆笑を誘うのです。

そこから一気に物語は暗転、恐怖のサイコ・スリラーが幕を開けます。

具体的にカメラワークも固定からより臨場感の出る手持ちへ、スクリーンのトーンもポップな明るいものからダークな色調へ、音楽も後半から一気にその効果を上げるよう演出されています。

映画が別物になったかのようなストーリーの転調。明るいラブコメ路線がなりをひそめ、殺人鬼・森田の行う凄惨な殺人の光景がリアリティあふれる描写で続いていきます…。

豪華キャスト

ツボを押さえたキャスティングの妙

コミック原作の映画化に際して最重要ポイントとなるのがずばり、キャスティングです。

原作ファンを劇場に呼び込み、さらにコミックを知らない映画ファンに興味を抱かせる最も効果的な方法がキャストを活かしたプロモーションです。

その点で『ヒメアノ~ル』は絶妙な配役を実践していると言えるでしょう。

森田剛

先にもふれましたがとにかく森田剛です。
意表をつき話題性もあり、なんといっても映像メディアでは先見の明とおぼしき抜擢です。

濱田岳

真面目でさえない青年・岡田進を演じた濱田岳。
このあらゆる役柄を器用に演じ切る実力派俳優は本作でも魅せます。

前半のコミカルな演技から後半のシリアス、殺人者の被害者であり理解者という物語の縦糸を担う難しい役柄を完璧に演じます。

ムロツヨシ

ヒロインに片思いの変わり者・安藤勇次役にムロツヨシ。
デフォルメした演技は観客をリラックスさせ、物語にメリハリをつけます。

佐津川愛美

ヒロインの阿部ユカには佐津川愛美。
ヌードとベッドシーン、まさに体をはった演技を見せてくれます。

女優としての彼女の姿勢に賞賛の声多数。これまでも話題作に多く出演してきた若手女優は、今作でまた新たな地平を切り開いたように感じられます。

【善悪の彼岸】にあるもの

ヒメアノールとはヒメトカゲのことです。映画のテーマになぞらえた解釈では「捕食される対象」つまり「弱者」を指しています。

本作の殺人者・森田は刹那的に邪魔な人間を殺してゆきます。計画性も感じられません。
では次々と人を襲う森田は「強者」でしょうか?

物語の命題はストーリーに沿って徐々に煮詰まり、森田の過去が表白されます。殺人者になる”きっかけ”(と思われるもの)が描写され、彼の心に寄り添うことが出来るのはもう一人の主人公・岡田のみです。

ラストシーンがあまりにも象徴的です。
このシーンが決め手となり森田剛は出演を決めました。その郷愁さえ誘うエンディングは原作と異なる映画オリジナルのものです。

この映画に救いがあるかどうか。

森田は本質的な「悪」だったのでしょうか?それとも彼も残酷な世の中の「被害者」といえるでしょうか?

ぜひみなさん、自分の目でこの映画のラストシーンを確認してみてください。そこには殺人者・森田の哀しみが満ちています。

参考元

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