1980年代にブームを巻き起こしたキン肉マン。その後も続編が発表され、2011年より再び初代キン肉マンを主人公にした新シリーズが開始されました。40年近く時を経た作品が、なぜこれほどまでに読者に支持を得ているのかを考察してみました。
ブレない正義の心
出典:キン肉スグルは人を超えた存在「超人」です。人類よりも遥かに強力な力を持ち、空を飛ぶことができ、人にできないことを簡単にできる超人です。人は誰しも自分にないものに憧れを持ち、自分にも出来たら良いなと言う夢を持つものです。そしてキン肉スグルはキン肉星の王子という、生まれながらに勝ち組の要素を持っています。
このキン肉スグルの性格はいたって単純で、馬鹿でスケベです。おだてられるとすぐ調子に乗り、強面の相手を見るとすぐ逃げ出し、時にはおもらしをするほどの臆病な超人です。これだけを聞いていると到底好かれるようなキャラクターではないのですが、これはキン肉スグルの数ある魅力の内の一部分にすぎません。
実はキン肉スグルは生まれてすぐに宇宙船旅行に出かけた際に、たまたま紛れ込んだ豚と間違われて地球に放り出されてしまったのです。生まれて間もなく地球の日本に落ちたキン肉スグルは、美波利公園で「ブタ小屋」と呼ばれる小屋を建てて生活をする羽目になってしまいます。
豚面と呼ばれるマスクを被ったキン肉マンは人間たちから馬鹿にされ、小心な性格から常に何をやってもダメな「ダメ超人」の烙印を押されて蔑まれていました。生まれてすぐに親に豚と間違われて放り出され、知らない星で地球人たちに謂れのない誹謗中傷を浴び、時には暴力を振るわれるなどの迫害を受けてもなお、キン肉スグルは地球の平和を願い、襲い来る怪獣や怪人たちとの戦いに傷つくことなく身を投じます。
その理由は語られていませんが、キン肉スグルは自分たちを馬鹿にする人間たちを守るために、うらぶれることなく常に正義の心を持っていたと、親友のテリーマンは語るのでした。貧しい環境で悪に身を投じた王位継承候補のマリポーサ相手に、キン肉スグルの正義の心を語ったシーンは作中でも名場面と言えるのではないでしょうか。
主人公・キン肉スグルの人間臭さが最大の魅力
前述で説明したように、キン肉スグルはドジで間抜けな性格です。悲惨な幼少期を過ごした身でありながら陽気で穏やかな性格を育み、普段はとても気さくな超人なのです。多少調子に乗りやすい悪い癖がありますが、人間が彼を軽んじて見てしまうのも親しみやすく威圧感を感じさせない人柄によるものなのかもしれません。そんな彼の何よりも目が無い好物が「牛丼」です。
ご存知、吉野家の牛丼は早い、安い、美味いの三拍子揃った庶民の味方として有名です。キン肉スグルはそれが何よりの大好物なのです。彼は牛丼愛好会会長を自称していますが、作中でもたびたび牛丼をかき込んでいる描写が見受けられます。
仲間のシリアスな戦闘シーンにおいても、のんきに牛丼をマイペースで食べ、委員長の無理難題にも牛丼で買収されている姿などとても超人の姿とは思えません。しかし、大好物に表情を緩ませ、常に仲間達の姿に一喜一憂する表情豊かな主人公に、読者は愛着を持たずにはいられないのでしょう。
そこには牛丼と言う一般庶民の食べ物を何よりも愛してやまないという、親近感も作用していることが推測されます。世のサラリーマンや学生たちの強い味方は正義のヒーローにとっても変わらないというのも面白い設定だと感じられます。
年を追うごとに進化する作画・中井義則の画力
キャラの魅力や内容もさることながら、とにかく凄いのは作画・中井義則の作画力です。通常漫画連載が長期に及ぶと初期の頃と絵柄が変わってしまうのはよくあることです。しかし中には、当時の魅力を維持できずに劣化してしまう作家も少なくありません。ところが、ことキン肉マンに限っては劣化するどころか絵柄が進化し続けているのです。
初代シリーズと現行シリーズを見比べれば一目瞭然で、筋肉の質感や技のかけ方などとてもスタイリッシュで迫力ある構図で繰り広げられています。これに関して中井義則は、素性を隠して絵画教室に通っていたことを明かしています。キン肉マンの成功の裏には数多くの失敗があり、過去の反省を生かしながら常に前に進みたいということを本人は語っているのです。
キン肉マンは超人プロレスリングを題材に置いた漫画です。登場する技にも説得力が無くてはいけないという理由から実際に技をかけ、実用性を考察したのち絵で説得力を出すという原作・嶋田隆司との試行錯誤の末に辿り着いた結論と言えます。
長期連載や人気に驕ることなく常に前を向き、漫画家としての成長を続けたいと願うその姿勢と情熱は現在のキン肉マン人気で証明されています。作者の試行錯誤と努力は作品の熱量として読者に伝わっていることはその人気が何よりの証拠と言えるでしょう。
変わらない作者と読者の少年の心
出典:作者の作品に傾ける情熱は、連載開始から40年近く経った現在も尽きることなく作品作りに反映されています。
その作品への情熱は、かつて少年だった頃の読者の心にも伝播して燃え広がっているというのが、現在のキン肉マン人気の根源ではないかと言うのは言い過ぎでしょうか?
かつて社会現象にまでなったキン消しやビックリマンなどの様々なコラボ商品が21世紀の現代にも登場し、多くの人たちの興味を惹きつけてやまないのを見るとそう感じずにはいられません。
参考元
- ・参照リンク:https://twitter.com/yude_shimada
- ・キン肉マン集英社
- ・参照リンク:アニメといえば、東映アニメーション! TOEI ANIMATION
- ・キン肉マン東映アニメーション
- ・参照リンク:漫画WORKS - ゆでたまご公式サイト
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