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2019/03/13
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『Fate/stay night[Heaven's Feel]』劇場版を徹底解説!

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現在上映中の劇場版『Fate/stay night [Heaven's Feel]』第二章。第四次聖杯戦争も佳境を迎え、ついに「マキリの杯」が誕生したことによって、聖杯戦争は本来の姿と完全にかけ離れたものになってしまいます。そして、来春公開の第三章は一体どんな結末を迎えるのか…。一昨年秋に公開された第一章の内容と合わせ、原作ゲームのエピソードを交えながら予測します。

目次

『劇場版Fate/stay night [Heaven's Feel]』制作発表から4年半。

長い年月をかけ、往年のFateファンが見たかったあの場面へついにたどり着いた『Fate/stay night [Heaven's Feel]Ⅱ.lost butterfly』。

残すは最終章のみとなった今、一、二章を振り返りながら見どころチェック&結末の予想をしてみたいと思います。

※以降、ネタバレを含みます。ご注意ください。

『Fate/stay night』の物語構造

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数十年に一度現れるとされる、持ち主のあらゆる願いをかなえる「聖杯」。

7人の魔術師(マスター)は7騎の使い魔(サーヴァント)と契約し、聖杯をめぐる抗争「聖杯戦争」で、最後の一人となるまで互いに殺し合う。

主人公・衛宮士郎は偶然にも最優のサーヴァント・セイバーと契約したことから、「聖杯戦争」に巻き込まれてゆく。
(公式サイトより引用)


そんな伝奇活劇物語である『Fate/stay night』がPCアダルトゲームとして発売されたのが、2004年1月30日。

これが、15年に及ぶFateの歴史の始まりでした。

ボーイミーツガールの活劇王道ストーリーを貫いた、セイバールートである『Fate/Stay Night』。

主人公・衛宮士郎の持つ歪みにフォーカスを当てた、凛ルートである『Fate/Stay Night [Unlimited Blade Works]』。

そして、「裏の聖杯戦争」とも呼べる桜ルートである『Fate/Stay Night [Heaven's Feel]』の3つのルートが用意されていました。

つまり、桜ルートが、現在劇場版三部作として公開されているのです。

非常にざっくりとではありますが、『Fate/stay night』の物語構造は、このような感じになっていました。

『Fate/Stay Night [Heaven's Feel]』第二章を観るのに、セイバールート・凛ルートの復習は必要?

上記の説明だけで『Fate/stay night[HF]』を見ても十分に内容が理解できるかというと、それは難しいです。

では、劇場版の第一章を見ればいいのかというと、これもまた首を横に振るしかありません。

なぜなら、第一章[I.presage flower]は、これまでFateシリーズに触れてきた人向けに作られていると感じる部分が多々あったからです。

なにしろ、舞台設定や説明は大胆にもほぼすべてカットされていて、序盤の展開がとても早くなっています。

そうした基本情報をカットしてでも、ファンが見たいと思うであろうシーンを盛り込むことに全力を注いだのでしょう。

そもそも原作ゲームにおいて桜ルートは、セイバールート・凛ルートに続き3番目に解放されるルートです。

聖杯戦争の表事情を知り尽くしたうえで触れるべき物語であることは、この構成からも明らかです。

ですのでぜひ、時間があれば原作ゲームをセイバールートから順に、時間がなければ、凛ルートを映像化した2014~15年放送のテレビアニメ『Fate/stay night[Unlimited Blade Works]』の0話だけでも確認してから[HF]の物語に飛び込んでくださると、より物語を理解し楽しむことができるでしょう。


「もし、わたしが悪い人になったら、許せませんか?」

衛宮士郎にとって日常の象徴であった、間桐桜というひとりの少女。

彼女の必死の問いかけが胸をつくこの物語を、ぜひ、物語のバックグラウンドを熟知したうえで楽しんでみてください。

『Fate/Stay Night [Heaven's Feel]』第二章<解説> マキリの杯・間桐桜

『Fate/stay night[HF]』第二章では、ついに「マキリの杯」、通称「黒桜」が姿を見せました。

間桐家の当主・間桐臓硯の手によって、桜の体内には第四次聖杯戦争によって生まれた、小聖杯のかけらを宿した「刻印虫」が植え付けられています。

これは、アインツベルンが肉体を持つ小聖杯としてホムンクルスを用意するように(第五次聖杯戦争ではイリヤスフィール・フォン・アインツベルンが該当)、臓硯が自らの手の内で小聖杯を用意する準備としてのものでした。

本来なら天寿を全うするころに、小聖杯として完成するはずだった桜は、聖杯を汚染する「この世すべての悪」と同調し、マキリの杯として覚醒してしまいます。


…あっさり書くとこうなりますが、彼女の半生はひどく壮絶なものでした。

遠坂と間桐の同盟を表向きの理由として、魔術の素養ある姉妹を両方生かすためにと遠坂時臣から養子に出され、無数の虫から凌辱を受ける日々。

魔術師としての素養がない義兄の慎二からは毎日のようにののしられ、時に犯され…すべてをあきらめながら生きていたころに出会ったのが、衛宮士郎だったのです。

士郎はそれまで道具として扱われてきた桜を、ひとりの人間として扱ってくれました。

教え導き、「悪いことをしたら怒る」と言ってくれました。

そして、悲惨な来歴ゆえに自己肯定感が極端に低い桜は、士郎に好きだと言われ、抱かれて、一時でも満たされるまで、士郎に憧れ惹かれながらも自分自身を卑下し続けてきたのです。

桜の魔力制御=理性のタガは、衛宮士郎そのもの。

彼が傷つくことを許さず、彼の心が離れることを何よりも怖がります。

そう考えれば、間桐邸で慎二に犯されかけて覚醒した「マキリの杯」も、ヤンデレと言われても仕方がないのかもしれません。

ただそこに想像を絶するほどに暗く重い、桜本人にもどうしようもない事情があったことだけは確かです。

『Fate/Stay Night [Heaven's Feel]』第二章<解説>2騎のアーチャー

『Fate/stay night[HF]』には、2騎のアーチャーが登場します。

士郎たちの参加する聖杯戦争に正式に召喚されたのは、遠坂凛をマスターとする赤い弓兵「エミヤ」。

もうひとりの弓兵は、前回の聖杯戦争で遠坂凛の父親・遠坂時臣によって召喚された「ギルガメッシュ」です。

ギルガメッシュは時臣から離反し、綺礼と同盟関係を組み聖杯の泥を飲み干して受肉します。

今回の聖杯戦争までの10年を生き永らえた、存在自体が反則なサーヴァントです。

このギルガメッシュですが、前述したセイバールート・凛ルートにおいてはラスボス的な立ち位置にあるのですが、桜ルートにおいては驚くほどあっさりと退場します。

慢心王(笑)と呼ぶなかれ、少ない出番の中で、ギルガメッシュは彼らしい振る舞いを鮮烈に残していきました。

夜の路地裏で、覚醒しかけた桜に殺されるギルガメッシュが「よもやそこまで…」と言っていたのは、桜が小聖杯としてほぼ完成しかかっていたことをこの時点でようやく看破したのでしょう。

彼の慢心ではなく、桜の成長スピードが想像を超えていたのです。

「あの時死んでおけばよかったものを」というセリフも冷酷さから来るものではなく、意識せず人の身のまま災害になり果てようとする桜への哀れみだったのでしょう。

そして、赤い弓兵・エミヤ。

彼の活躍・格好良さは、文章ではとても語りつくせません。

おそらく、凛の記憶に残らないことを承知で告げたであろう「達者でな、遠坂」のひとことが発される場面を、ぜひ劇場でご覧ください。

『Fate/Stay Night [Heaven's Feel]』第三章の結末予測

第二章の上映終了直後に、満開の桜の木々の映像とともに三章の予告が流れました。

第三章は2020年春公開予定とのことです。楽しみに待ちながら、予想をしてみることにしました。

満開の桜の木々と言えば、お花見。

原作ゲームの桜ルート・トゥルーエンド「春に帰る」は、戦いから戻った士郎と桜、凛、ライダーのお花見によって幕を閉じます。

第二章の劇中で「この戦いが終わったら何がしたい?」と士郎に問われ、「お花見がしたいです」と打ち明けた桜の希望は、叶うのかもしれません。

エンディングを予想するうえで、第一章・第二章ともに挿入されている、あるシーンがあります。

それは、桜が士郎に教わりながらシャツを畳むシーンです。

これはおそらく桜ルート・ノーマルエンド「櫻の夢」にある、士郎からおにぎりのつくり方を教わるエピソードの代わりでしょう。

二章では、ひとりでシャツを畳む桜の姿がありました。

この「櫻の夢」で、士郎は桜のもとに帰りません。

老いてしわだらけの手で、教わった通りにシャツを畳みながら、春を待つ―そんなシーンが、見えてくるような気がします。


さて、ここで4年前の話になりますが、劇場版HFの製作発表は、間桐桜役の下屋則子さんが作中の一節を朗読する形で行われました。

「約束の日を迎える為に、永く種を蒔き続ける。贖いの花。私の罪が赦されるまで、ここで春を待ちましょう。」

これは、「櫻の夢」に登場する一節です。

見方によっては、発表の時点ですでに「櫻の夢」エンドが示唆されているとも取れますが…?

第三章のサブタイトルは、「lll.spring song」…直訳すると、「春の歌」。

残念ながら、このタイトルから物語のラストを想像することはできません。

どちらにしても、これだけの物語を濃密に・残酷に描き切ってくれた劇場版Fateの締めくくりにふさわしいラストになることでしょう。

来年の公開を、楽しみに待ちたいところです。

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