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吉田修一の同名小説を映画化。日本アカデミー賞では、最優秀主演男優賞や最優秀主演女優賞などをはじめ5部門受賞。
「彼は本当に悪人だったのか…」
人間の寂しさ、愛や怒りといった感情を深く丁寧に描いた作品。
清水祐一は、長崎のさびれた漁村で祖父母と暮らし、土木解体作業員として働いていた。親に捨てられ、愛を知らず育った祐一。
彼はある日、出会い系サイトで出会った女性・石橋佳乃を殺害してしまう。
一方、佐賀に住む馬込光代もまた、孤独な日々から抜け出すため、本気の出会いを求めていた。
事件後、祐一と光代は出会い系サイトで出会う。光代に出会い、光代の心からの本音を聞いたことで、大切なものを見つけた祐一。
次第にふたりはお互いに惹かれ合っていく。そして彼は、事件を光代に告白する。
いったんは祐一に自首を勧めるも、彼を失うことを恐れた光代は彼との逃避行を決意するが…。
なぜ祐一は佳乃を殺してしまったのか? 許されることのないふたりの逃亡の行方、彼らを取り巻く人々の葛藤とは?
長崎のさびれた港町に住む土木解体作業員。幼き日に母親に捨てられ、祖父母に育てられる。現在は仕事の合間に祖父の通院を手伝っている。日々の暮らしに楽しみを見い出せずにいる。唯一の趣味は車。出会い系サイトを通じ、出会った女性に会いに行く。
佐賀に住む紳士服店の販売員。妹と同居している。独身。代わり映えのない毎日に自分の存在意義を感じられず、自分を必要としてくれる人間を求めていた。出会い系サイトを使い「本気の出会い」を探していた際、祐一と出会う。
福岡で働く、保険の外交員。実家が裕福である増尾に恋心を抱く。出会い系サイトで出会った祐一と関係を持ち、金銭を要求する。祐一に対して見下した態度をとる。
実家が老舗旅館を営む裕福な大学生。何不自由なく暮らしてきたため、自分に価値があるかのようにふるまう。
佳乃の父。理容店を経営。佳乃が殺害された後、犯人を追い、誰が佳乃を死に追いやったのか苦悩する。
祐一の祖母。自分の娘に代わり、祐一を育ててきた。愛情を注ぎ、我が子として育てた自負がある。
祐一と光代の逃避行は、時間が経つにつれ、当然ながらどんどん追い詰められていきます。
しかし、そうした極限状態のなか、ふたりがますます心を通わせ、お互いを大切に思っていく姿が丁寧に描かれています。
お互いに対する優しさや本音が垣間見られるシーンでは、ふたりが犯罪者とその逃亡を手助けしている人間と分かっているからこそ、切なく苦しい気持ちにさせられます。
相手を思い、行動する祐一と光代。その果てに、行き場を失ったふたりがたどり着いた灯台で見た景色…。
それらは、鑑賞後に深く心に残ることでしょう。
この物語のもうひとつの見どころ・軸となっているのが、祐一と光代の逃走劇と並行して描かれている、事件に関わった人物たちの家族の描写です。
遺族となった佳乃の父・石橋佳男と、祐一を育て今も一緒に暮らす祖母・清水房枝を中心に、彼らを取り巻く人々の心の葛藤が見事に描かれています。
一夜にしてそれまでの生活が一変してしまった絶望や、それでも生きていかねばならない辛さといったものが見事に表現され、観る者の心を捕らえます。
後半、佳男が起こした行動、セリフには私たちが見失いがちな「本当の強さ」を伝えてくれるメッセージが込められています。
「なぜ、石橋佳乃は殺されたのか」
そこに至るまでの過程では、人間関係が複雑に絡み合い、事件に関わった人たちとの間でさまざまな出来事が起こりました。
こうして、偶然が偶然を呼び、起きてしまった不幸な事件…。
法を犯し裁かれる者。法を犯してはいないが、誰かを傷つけ、身を切り裂くほどに人を苦しめても裁かれず生きていく者…。
果たして、「悪人」とされるべき人間は誰なのでしょうか。
私たちが普段見ている事件の裏側にも、もしかしたらこの映画のような背景があるのではないか、そんなことを考えるきっかけとなることでしょう。
😇
人を殺すのは絶対にダメなことだけど、妻夫木さん演じる主人公に同情してしまう作品。複雑な気持ちになるけどいい映画だと思います。
届くはずもないものでも、祈りをささげるということ。村上たかしの同名コミックを実写化。西田敏行や玉山鉄二、余貴美子、中村獅童など、日本を代表する名優たちが集結。北海道で市役所に勤める青年・奥津京介(玉山鉄二)は、幼いころに両親と祖母を、数年前に祖父(藤竜也)を亡くしていた。そんなある日キャンプ場近くの森の中で、放置されたワゴン車の中に、死後半年ほど経過した身分不詳の中年男性の白骨死体と、数日前に死亡したとみられる秋田犬の遺体が見つかる。奥津は現場で、レシートやリサイクルショップの買取り証を発見し、それらの情報から、東京で出会った少女・有希(川島海荷)とともに、昨年夏の男性の足取りを追いはじめる。明らかになっていったのは、その男性(西田敏行)が、道中のコンビニ店長(中村獅童)やリサイクルショップの主人(温水洋一)らから“おとうさん”と呼ばれていたことと、秋田犬のハッピーと一緒に、ワゴン車で東京から北海道まで旅をしたこと。“おとうさん”を追う旅のなかで奥津は、いつしか自分、有希、そして道中出会った人々の孤独について、考えるようになる。残された人々の思いや星を見つめる犬のあたたかさに触れる、感動の物語。
女教師・梨沙のクラスに学生時代、家庭教師をしていた徹が転校してきた。梨沙は過去に徹にカラダを許した事があり、バラされるのを恐れた。しかし案の定、弱味を握っている徹は梨沙に下着を着けずに授業をするよう強要したり、通学電車で待ち伏せし痴漢をしたり、嫌がらせは次第にエスカレートしてゆく…。
1968年に公開され、過去に類をみない莫大な制作費がかけられたスペクタクル巨編。3時間以上の上映時間と、圧倒的なスケールの物語が話題となり、大ヒットを記録している。大量の水を使用した危険なシーンの撮影もおこなわれ、実際に何人かのスタッフとキャストが負傷した。また、今作は当時の日本を代表する名優たちが集結した作品でもある。製作にもかかわっている石原裕次郎や三船敏郎をはじめ、黒澤映画常連の志村喬、『白い巨塔』に出演した滝沢修など、そうそうたるメンバーが集結した。太田垣(滝沢修)率いる関西電力は、大規模な発電所建設の計画を立案する。場所は富山県に位置する黒部川の上流。多額の建設費と大勢の作業員たちを導入し、工事が始まった。掘削工事を担当するのは熊谷組の岩岡(石原裕次郎)で、彼は工事に不安を抱きながらも、危険で困難な掘削作業に身を投じていく。工事が進んでいた1957年。岩岡の不安は的中し、掘削工事による水漏れが発生。しばらく工事が進まない事態に陥ってしまう。
ベストセラー小説『果てしなき渇き』を、実写化した作品。メインキャラクターを演じた小松菜奈は、今作への出演をきっかけにブレイクし、現在の人気につながった。新人とは思えないほど、堂々とした演技に注目だ。そのほかには、役所広司、妻夫木聡、オダギリジョーなどが出演している。あることがきっかけで職と家族を失った元刑事の藤島(役所広司)は、娘の加奈子(小松菜奈)を探していた。藤島が思い描いていた加奈子は、学校の人気者で優等生であるはずだったが、聞き込みを続けるにつれ、不良グループとも面識があったことが判明する。ときはさかのぼり、3年前。ボク(清水尋也)は、学校でいじめを受けていた。しかし、彼氏を亡くしたばかりの加奈子に救われ、ボクに対するいじめはなくなっていく。ボクはそんな加奈子に惹かれていき、亡くなった彼氏の代わりになることを願う。そして現代。娘の行方を追う藤島のなかで、加奈子のイメージが変わりはじめる。さらには、加奈子を追うほかのグループからも、暴行を受けてしまうのだった。藤島は娘を探すことに没頭するあまり、次第に狂気に陥っていく。
傷痍軍人が、帰還した。勲章をぶら下げ、軍神となって。妻を殴ったその手も、妻を蹴り上げたその足も、戦地で失い、頭と胴体だけの姿になって。―銃後の妻の鑑たれ。家庭は最後の決戦場なり。口もきけず、耳も聞こえず、身動きのできない体となっても男の性欲は変らなかった。女は毎日、男の上にまたがった。口に粥を流し込み、糞尿の世話をし、男の下半身にまたがり、銃後の妻の日々は過ぎてゆく。食べて、寝て、食べて、寝て、食べて、寝て・・・。稲穂が頭を垂れる秋、そして冬から春へ。敗戦が濃くなっていく中、男の脳裏にフラッシュバックしてきたのは、かつて大陸で犯した女たちの悲鳴、刺し殺した女たちのうつろな目。女たちを焼き尽くす炎。1945年8月15日。男と女に、敗戦の日が訪れた ― 。(C) 2010 若松プロダクション All Rights Reserved.
世界各国の映画祭で数々の賞を受賞した、近年の日本映画を代表する名作。死者が次の世界に旅立つ手助けをする、納棺師の仕事が描かれており、日本人が持つ死生観や宗教的な側面などが作品の中に反映されている。チェロ奏者の大悟(本木雅弘)は、参加していたオーケストラが解散してしまい、途方に暮れていた。大悟は妻の美香(広末涼子)のためにも音楽の道を諦め、故郷の山形県へ帰ることを決める。ある日、再就職先を探していた大悟の目に、「経験不問」で「高収入」を銘打ったNKエージェントなる会社名が飛び込んでくる。仕事内容をよく確認しないまま、事務所へと向かう大悟だったが、NKエージェントは死者の旅立ちを手助けする、つまりは納棺をおこなう会社だった。死体を見たこともない大悟は戸惑うが、好待遇に惹かれ、仕事を引き受けてしまう。社長の佐々木(山﨑努)に振り回されながらも、徐々に仕事を覚えていった大悟は、納棺の仕事に誇りを持つようになっていく。
実在の闘病ブログに、新たにファンタジーの要素をプラスした笑って泣けるコメディ 佐々木蔵之介と永作博美が夫婦を演じ、息の合った掛け合いを見せるコメディ。妻を亡くした夫と、幽霊となって現れた妻が織りなす温かな夫婦愛の物語をユーモラスに描く。 出会ってから17年後に結婚した作家志望のコウタと妻ユーコ。その直後、ユーコの妊娠と彼女がガンに侵されていることが発覚。入籍からわずか493日後にユーコは亡くなるが、闘病ブログの書籍化に浮かれるコウタの前に、死んだはずのユーコが幽霊として現れる。
新吉原の人気女郎が、禁断の恋に身を委ねていく…。『花宵道中』は、2014年11月に公開された日本映画。原作は宮木あや子の短編小説であり、2006年に「女による女のためのR-18文学賞大賞」において大賞と読者賞を受賞。新吉原で懸命に働く花魁に訪れた悲しい純愛を描いている。主演は、1994年にテレビドラマ『家なき子』で一躍スターダムにのし上がった安達祐実。今作ではオールヌードという体当たりの演技を見せている。黒色すみれが歌うエンディングテーマも、ノスタルジックな余韻を感じさせる。舞台は江戸時代末期の新吉原。朝霧(安達祐実)は、遊郭・山田屋に引き取られて以後、心を閉ざしたまま遊女としての仕事に明け暮れて一番人気の女郎へと成長した。その後、遊女らの放火による大火災が吉原を襲い、女郎たちは吉原の外へ出て仮宅での営業をはじめた。はじめて江戸の町を体感する女郎たち。朝霧も妹女郎の八津(小篠恵奈)とともに賑わう町へと足を運ぶ。そこで朝霧は半次郎(淵上泰史)という職人に出会い、生まれてはじめて「純愛」の炎を燃やしていく…。
連続放火事件、グラフィティアート、そして遺伝子暗号。 それらが全て繋がったとき、24年前の事件が明らかになる…。 伊坂幸太郎原作。 第1回本屋大賞ノミネート作に選ばれるなど、多くのミステリーファンをうならせた名作の映画化。 大学で遺伝子研究をしている奥野泉水。弟の春は街の壁などに描かれたグラフィティアート(落書き)を消す仕事をしていた。 数年前に他界した母の命日のため、実家に帰った泉水は春と連続放火のニュースを耳にする。 その現場が春が消した落書きの近くだということを知った二人は、春の発した一言から犯人捜しを始めることにする。 ある日二人は、父が癌を患っていることを知らされる。病気と闘う父と心配する息子たち。 どこからどう見ても仲がよく、病気のことを除けば平和に見える家族。 しかし、一家は悲しい過去を抱えていた…。 一方で引き続き放火犯を追っていた泉水と春は、町の落書きに遺伝子暗号が関係していることに気づく。 犯人解明に近づきつつあるふたりだったが、放火事件の謎は24年前から続く家族の謎とリンクしていくのだった…。
結婚間もない若妻・椎原奈緒子(長澤あずさ)は、専業主婦として誰もが羨む新婚生活を送っていた。両親からは早く孫の顔を…と望まれているが…夫・宏一郎(柳之内たくま)の両親が残した邸宅、優しい夫…奈緒子は幸福を実感していた。一方近所に住むバツ一主婦・栗林怜子(奈月かなえ)は、友人たちを募り、配当の良い投資話を勧めている。奈緒子もまた、夫には内緒で投資していた。その奈緒子にはある不安が…OL時代の同僚・加藤(青原健太)の執拗なストーカ行為…それは常軌を逸し、遂には奈緒子をレイプするまでに…しかし、その裏には恐ろしい陰謀が!! そして夫から告げられる衝撃の事実!奈緒子が感じていた幸福が音を立てて崩れていく…
ファッション、美容系のライター&エディターをやっていましたが、学生の頃から海外(特にアメリカ)好きでブラックカルチャーに浸かっていました。 そんなこともあり、洋画&洋楽(主にブラック系!)大好きです。時間があれば美しい海外のモデルや俳優さんを眺めています。
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2018月9月25日~2020月10月19日
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