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1954年に公開された『二十四の瞳』は、1952年に発表された壺井栄の同名小説が原作で、壺井の出身地でもある小豆島をロケ地として撮影された映画。第12回ゴールデングローブ賞外国語映画賞を受賞し、第28回キネマ旬報ベスト・テンで第1位を獲得した。戦時中でも前向きな先生と生徒を描いた本作は、上映から50年以上経過した今でも見応えがある。
1928年、瀬戸内海べりの一寒村――。そこにある分教場に新しく赴任してきた女性教師の大石先生(高峰秀子)は、1年生12人のクラスの担任になる。大石は慣れない田舎の環境に苦労しながらも、生徒たちにとっていい先生になれるように努めていた。しかし、しばらくして大石は本校に転勤することになり、分教場に別れを告げることになる。
本校に赴任後、しばらくすると日本は軍国主義に染まっていく。戦争に行く教え子たち。大石先生が教えた男の子の半数が戦死し、大石先生の夫も亡くなってしまう…。やがて終戦を迎えたころに、大石先生は再び分娩場へと戻るのだった――。
昭和初期から終戦後に至るまでの約20年間を大石先生はどのように過ごし、その先に何を見るのだろうか――。時代を超えて語り継がれるべき物語が、ここにある。
分教場の1年生の担任になった新任教師。生徒に慕われるよい先生になろうと努力している。自転車で小学校に通っており、生徒からは「おてんば先生」と呼ばれる。
大石のクラスの生徒。みんなから「マアちゃん」と呼ばれる。料理屋の一人娘で、少しでしゃばりな性格をしている。
大石のクラスの生徒。みんなからは「マッちゃん」と呼ばれている。大工の家の娘。
大石のクラスの生徒。「さなえさん」と呼ばれる生徒。無口だけど女子の中で一番賢い。
大石のクラスの生徒。豆腐屋の子どもで、「ソンキ」と呼ばれる。
大石のクラスの生徒。「小ツやん」と呼ばれる。気が強い女の子。
大石のクラスの生徒。漁師の娘。
ほかの人から「へんこつ」と呼ばれる先生。大石と同じ小学校で3年生と4年生を担当している。
大石と同居している母親。大石にアドバイスをしたり、ときにたしなめたりしながら生活していく。
大石の赴任先の校長。新任の先生の世話をしたり、異動の連絡をしたりする。
新任当時は婚約中だった。結婚したが、第二次世界大戦で戦死してしまう。
1954年公開の『二十四の瞳』は、新任の教師として小豆島に赴任した大石先生が奮闘しながら教員生活を送る物語。自転車に乗っているだけで「おてんば先生」と呼ばれてしまいますが、教え子たちとはすぐに打ち解けます。しかし、戦争がみんなを引き裂いて…。
戦争という時代に翻弄されつつ、けなげに生きる姿を見ていると涙が止まりません。特に、終戦後の“同窓会”を開くシーンは、ただただつらい、悲しい、悔しい思いでいっぱいになるでしょう。「教師という子どもを育てる立場にいる人から見た戦争」がどのような光景なのか、本作を通じて感じてみるのもおすすめです。
『二十四の瞳』は大きく、小学校1年生、小学校6年生、そして大人の三つのパートに分かれます。そして、生徒のキャストは、それぞれの時代に合うよう三人ずつ起用。
顔立ちなども十分検討して生徒十二人分のキャストを決めています。こだわり抜かれたキャスティングにより、時代をまたいでも違和感なく見ることができます。
また、大石先生役の高峰秀子も落ち着いていて、先生役にぴったりと高い評価を受けています。それぞれが「はまり役」となっており、映画作品でありながらもまるでドキュメンタリー作品のようです。戦時中でも明るく前向きな先生と生徒を見事に演じ切っています。
国内外から評価が高い木下惠介監督の『二十四の瞳』は、第12回ゴールデングローブ賞外国語映画賞、第5回ブルーリボン賞作品賞、第9回毎日映画コンクール日本映画大賞、第28回キネマ旬報ベスト・テンの第1位を獲得しています。その人気から1954年に公開されて以来、映画やTVドラマ版なども繰り返しリメイクされています。
映画版であれば朝間義隆監督がリメイクした、田中裕子主演の「1987年版」。TVドラマでは松下奈緒主演の「2013年版」が有名です。1作品目の公開から半世紀以上が経ちましたが、現在でもリメイクされ愛され続けてている作品です。
傷痍軍人が、帰還した。勲章をぶら下げ、軍神となって。妻を殴ったその手も、妻を蹴り上げたその足も、戦地で失い、頭と胴体だけの姿になって。―銃後の妻の鑑たれ。家庭は最後の決戦場なり。口もきけず、耳も聞こえず、身動きのできない体となっても男の性欲は変らなかった。女は毎日、男の上にまたがった。口に粥を流し込み、糞尿の世話をし、男の下半身にまたがり、銃後の妻の日々は過ぎてゆく。食べて、寝て、食べて、寝て、食べて、寝て・・・。稲穂が頭を垂れる秋、そして冬から春へ。敗戦が濃くなっていく中、男の脳裏にフラッシュバックしてきたのは、かつて大陸で犯した女たちの悲鳴、刺し殺した女たちのうつろな目。女たちを焼き尽くす炎。1945年8月15日。男と女に、敗戦の日が訪れた ― 。(C) 2010 若松プロダクション All Rights Reserved.
『戦場のメリークリスマス』は、日本人監督である大島渚が手掛けた戦争映画である。日本軍の俘虜収容所で起きた事件を描き、国際的なミュージシャンであるデヴィッド・ボウイや、お笑い芸人のビートたけしが出演している。今作はストーリーだけでなく、坂本龍一が手掛けたテーマ曲も高く評価された。坂本龍一は映画本編にも出演しており、デヴィッド・ボウイ演じるセリアズに惹かれていく、難しい役どころを演じている。第2次世界大戦下のジャワ島。日本軍の俘虜になった軍人たちを収容する施設にて、暴行事件が発生する。日本軍のハラ(ビートたけし)と、日本語を話すイギリス軍人・ロレンス(トム・コンティ)は、協力して事態を収拾させた。ふたりは事件をきっかけに仲よくなるが、無線機を所持していたロレンスは頭の固い大尉・ヨノイ(坂本龍一)によって、独房に入れられてしまう。しかし、ヨノイは命令に従わないイギリス軍人・セリアズ(デヴィッド・ボウイ)に惹かれていき…。
1945年8月15日の知られざる真実を追ったノンフィクションを映画化 日本がポツダム宣言を受諾し、降伏へと至るまでに二転三転した道のりと、終戦前夜の事件を描く。監督は『クライマーズ・ハイ』の原田眞人、共演は役所広司、本木雅弘ほか。 1945年7月、連合国は日本に無条件降伏を求めるポツダム宣言の受諾を要求。降伏か、本土決戦かの結論が出ないまま、同年8月、広島と長崎に相次いで原爆が投下される。そんななか、終戦反対派の青年将校たちはクーデターを企てるのだが…。
日露戦争で最も激戦を極めた「203高地の戦い」を題材に描いた戦争映画超大作 「仁義なき戦い」シリーズの笠原和夫が脚本を担当。大国ロシアに戦いを挑んだ帝国陸軍の攻防戦と、戦争に駆り出された一兵卒や民間人の姿を通し、戦争の悲惨さを描き出す。 ロシアの南下政策が進行する中、ロシアの強大さを熟知する伊藤博文は戦争回避を訴えたが、明治天皇は御前会議で開戦の決議を下す。陸軍によって新たに設けられた第三軍の司令官を命じられた乃木希典は、二百三高地攻撃を開始するが、戦況は熾烈を極めていく。
戦争で死んだ者への追悼の意が強烈に伝わってくる、巨匠・市川崑による不朽の名作 音楽好きの小隊の仲間たちが、竪琴の音に合わせて歌う「荒城の月」をはじめとした唱歌が沁みる。中でも別れの場面で歌われる「埴生の宿」に涙を流さない者はいないはず。 1945年、夏のビルマ。敗戦後も抵抗を続ける日本軍の残党のもとに降伏の説得に向かったまま戻らない水島上等兵。隊の仲間たちが水島を探す中、ある日彼らは水島にそっくりのビルマの僧を見かけて声をかける。しかしその僧は、目を伏せ走り去ってしまい…。
出征した息子たちを待つ母の祈りは届くか?鈴木京香主演で贈る戦争ドラマ 小学校の教科書に幾度も採用された児童文学を映画化。出征した息子たちの無事を祈る母の姿を通し、平和の尊さを訴える。都会的イメージの強い鈴木京香が、田舎女性を熱演。 長野県の小さな村で暮らすミツは、養子に出した1人を含め7人の息子に恵まれ、幸せな日々を送っていた。しかし、夫を心臓発作で亡くし、成長した息子たちも次々と戦地へ出征。ミツは息子を1人見送るたびに桐の木を植え、無事を祈り続けるが…。
2007年5月に公開された『俺は、君のためにこそ死ににいく』。本作では、1945年の太平洋戦争末期、米軍による日本本土への上陸を阻止するために編成された特別攻撃隊(特攻隊)の若き隊員たちと、次々と出撃する彼らを見送った「富屋食堂」のおかみさんとのエピソードが描かれている。芥川賞作家でもあり、政治家としても活躍した石原慎太郎が製作総指揮・脚本を務め、現代を生きる人々に向けた熱い思いが込められている。また、監督は石原作品に縁のある新城卓が務め、主演には数多くの映画やテレビドラマに出演している窪塚洋介が抜擢された。二度と戻らないとわかっていても引き止めることはできず、見送ることしかできなかった帝国陸軍の指定食堂「富屋食堂」を営む鳥濱トメ(岸惠子)。せめて食堂に来たときだけは、精いっぱいもてなしてやりたい…。それがトメのできる、唯一のことであった。1945年(昭和20年)の春、ひとりの若い特攻隊員・板東勝次(窪塚洋介)が、トメのもとを訪れる。「お母ちゃんに頼みがある」とあらたまって話し出す板東。ついに出撃することが決まった板東だが、自分のことを男手ひとつで育ててくれた父親にはどうしてもそのことを報告することができないというのだった…。
黒澤明の監督第2作。第2次大戦中に勤労動員された女子挺身隊を描くヒューマンドラマ 軍需工場で働く少女たちの日常を綴った、黒澤作品には珍しい若い女性の集団劇。工場に住み込みで撮影を行うなど、リアリズムにこだわった黒澤の演出が光る。 昭和19年。全国から徴用された少女たちが女子挺身隊として軍需工場で働いていた。光学機器を生産する東亜光学工業では、挺身隊の組長・渡辺ツルが少女たちをまとめ、レンズの増産に従事していたが、やがて過酷な労働に挺身隊の結束は綻び始める。
“生きること”“希望”を壮大なスケールで描いたアクションアドベンチャー ダイナミックな活劇と重厚な人間ドラマ、障害を乗り越え成就する純愛など、想像を超えたストーリー展開に引き込まれる。歴史上闇に葬られた海戦のビジュアルにも驚がく。 1945年8月、ドイツ降伏後日本海軍に接収された戦利潜水艦・伊507。艦長に任命された絹見少佐に与えられたミッションは、原子爆弾を積んだ輸送艦を沈めることだった。絹見は、かつて共に戦った先任将校の木崎茂房大尉を右腕にこの作戦に挑むのだが…。
女教師と12人の子供たちとの交流を描いた木下惠介監督作がデジタルリマスターで蘇る 小豆島に赴任してきた女教師を名女優・高峰秀子が熱演。美しい自然を背景に、教師と教え子たちが織り成すドラマや、そこに込められた反戦のメッセージを訴えかける。 昭和3年4月、小豆島の分教場に赴任してきた新任のおなご先生・大石久子は、1年生12人の担任となる。ある日、足を挫いて自転車に乗れなくなった大石先生は、本校へ転任しなければならなくなる。やがて、5年生になった子供たちは本校へ通うことに…。