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目次
あらゆる予想を覆し、セルヒオ・ハドゥエは自国のサッカー協会の会長に選ばれるが、実際に物事を動かすのはビジネスマンたちであり、彼はお飾りにすぎない。会長に就任した彼は、知名度や社会的地位、故郷ラ・カレラでのつらい幼少期にはなかったお金など、自分が夢見ていたものすべてを手に入れたことに気づく。野望に駆られた彼は、もう自分を権力の座に押し上げた者たちの言いなりにはならない。チリのサンティアゴから、ビジネスを半世紀にわたり支配してきた“カルテル”の本部があるパラグアイのルケへ向かい、自らの権力の限界を探る。汚職の体制を考案したアルゼンチン人のフリオ・グロンドーナは、南米サッカーや関連ビジネスのドンだ。全盛期を迎えたドン・フリオは、若きハドゥエを自らの庇護下に引き入れ、長年の敵であるコロンビア人、ルイス・ベドヤと対立させる。しかし、ドン・フリオがよく言うように、“何事も過ぎ去り、何事も訪れる”だ。FBIはハドゥエや他の会長たちの足取りをひとつも見逃さない。FBIに追い詰められたハドゥエは、保護された証人になることと引き換えに、南米サッカー連盟内のスパイとなる以外に選択肢はない。家族や国、グロンドーナには内緒でFBIのスパイとなると、ハドゥエは自らが組織の新たなドンになることを目標に、南米サッカー連盟の会長を1人ずつ潰していこうとする。しかしFBIは彼に別の計画を考えているようだ。
モグラ
南米で最初のカルテルは、メデリンでもカリでもなく、サッカーのカルテルだった。大勢の人々を動かす情熱の裏では汚職と陰謀が横行していたが、新しいプレーヤー、セルヒオ・ハドゥエの登場により、摘発への道が開ける。あらゆる予想を覆し、このチリ人の男は自国のサッカー協会の会長に選ばれるが、実際に物事を動かすのはビジネスマンたちであり、彼はお飾りにすぎない。会長に就任した彼は、知名度や社会的地位、故郷ラ・カレラでのつらい幼少期にはなかったお金など、自分が夢見ていたものすべてを手に入れたことに気づく。新たに手にした権力に目がくらんだ彼は、もう自分を権力の座に押し上げた者たちの言いなりにはならない。チリのサンティアゴから、ビジネスを半世紀にわたり支配してきた一族の本部があるパラグアイのルケへ向かい、自らの権力の限界を探る。汚職の体制を考案したアルゼンチン人のフリオ・グロンドーナは、南米サッカー界のドンだ。全盛期に差しかかったドン・フリオは、若きハドゥエを自らの庇護下に引き入れる。
ロザリオ
妻から課された拷問のようなダイエットの最中、セルヒオ・ハドゥエは自分の名前が南米サッカー連盟で存在感を増し始め、栄光を感じていた。しかしFBIは彼の夢などお構いなしに、彼の計画には期限があることを知らしめる。執念を燃やすハリス捜査官に追い詰められたハドゥエは、今を楽しみ志半ばで失脚するか、自分や家族の将来を考えてFBIのスパイになるか、決断を迫られる。プレッシャーや野心に駆られた彼はスイスでジョセフ・ブラッターに話しかけ、チリがコパアメリカで優勝すると宣言する。帰国したハドゥエは、自分がチリサッカー協会の会長職を辞任したというフェイクニュースを、チリのサッカークラブの会長たちが広めていることを知る。サッカーに群がるエリートらと常に接触しているにもかかわらず、いまだハドゥエはハリス捜査官に何の情報ももたらさず、彼女は焦りを感じ始める。上司からプレッシャーをかけられたハリスはハドゥエに圧力をかけるが、彼は何とか時間を稼ぐ。どうやら忍耐強く待てば、大物たちは陥落しそうだ。だが秋には、ハドゥエを含む他の会長たちも引きずり降ろされるかもしれない。
組み合わせ抽選会
大陸選手権を開催する国でサッカー協会の会長になるなら、それなりの覚悟が必要だとセルヒオ・ハドゥエは分かっている。だからこそネネは、平手打ちをしたり屈辱的なことを言って侮辱したりするという普通ではない手法を取るアドバイザーを雇い、ハドゥエに南米サッカー連盟やFIFAのトップに立つための準備をさせているのだ。ハリス捜査官の命令で、コパアメリカの組み合わせ抽選会のわずか数時間前に、ネネとセルヒオはゲストたちの気をそらすため、別々のプランを実行することに。ネネは各国の会長夫人たちをえりすぐりのウェイターたちがいるプールパーティーに連れ出し、セルヒオはお酒やダンスでゲストたちをもてなしていたが、会場内ではFBIの潜入チームがすべてを間近で観察していた。数時間後には、コパアメリカの対戦カードが運によって決まる。しかし、運とは敗者のためのもの。確かに人生は宝くじであるが、誰にも気づかれずに抜け駆けする方法を知っていれば、常に勝者のようにプレーできる。
油断大敵
金を持っていないと、裕福な同僚の輪に近づくのは難しい。自身が会長を務める組織の規則により、セルヒオ・ハドゥエはその献身に対する報酬を受け取れずにいる。だがこの状況を変えるべく、ネネが奔走する。それが産卵のために生まれた場所に戻るサケのように、時流に逆らうことになろうとも。ハドゥエがニューヨークに滞在している間、ネネはアドバイザーの指導の下、チリサッカー協会の会長職を名誉職とする規則を変えるべく改革運動の先頭に立つ。ニューヨークでは、ハリスが同僚デイヴの裏切りを知り、セルヒオ・ハドゥエに慰めを求める。また、彼女は“ミスター10%”として知られるチャック・ブレイザーを部屋に誘い入れて追い詰める。実はチャックもスパイであり、いずれ皆の知るところとなる。チャックはマスコミに暴露するが、ハドゥエの暗い運命は悪性の腫瘍のように広がっていく。迫りくる運命に捕らわれた彼は弁護士を頼るが、彼には暗い影が迫っており、この路地から抜け出す唯一の道は刻一刻と狭まっている現実を突きつけられる。彼は今すぐ行動を起こす必要があるが、そのためには大金を支払わねばならない。
バチカン
ネズミが下水管から出てくると、2つのことが起こる。地下の害虫を持ってくることと、他のネズミがついてくることだ。ハリスに追い詰められたチャック・ブレイザーは沈黙を破り、スパイであったことを告白する。これによりデイヴは捜査の主力から外され、ハリスは同僚の裏切りに対し、ひっそりと甘い復讐を果たす。ミスター10%が逮捕され、ハドゥエは閉ざされた扉の重さを感じるが、神は不思議な道を用意している。ローマ教皇がバチカンに南米サッカー連盟の会長たちを招くこと、さらにはその訪問団の代表をハドゥエが務めることが決まり、ハドゥエ夫婦に天の光が差し込む。最終的には皆の罪のためにはりつけにされることを分かってはいるが、ハドゥエは数ヵ月ぶりに懺悔をする。そしてこの物語は十字架や苦難に満ちているため、ハドゥエはハリスの祈りに応え、他の会長たちにバチカンで神に罪を告白するよう説得する。彼らは神父の前で罪をあがなえるだろうか? それとも彼らの告白は間違った者の耳に届くだろうか? セルヒオはその答えをチューリヒで知ることになる。その地には、この世に正義をもたらすべく神の使者が送り込まれる。
FIFAゲート
チューリヒでの朝食は、予期せぬゲストの出現で悪い方向へ転じ、全世界に向けて生中継された。ニュースは冷水を浴びせるように南米サッカー連盟のメンバーを襲い、とりわけネネはサンティアゴから、会長たちの温かな死体に群がるハゲワシを撃退しようとする。ハシルは、セルヒオからラ・カレラの住民を使って目立たずに金を飛行機で国外へ運ぶよう指示を受ける。無事に大金をニューヨークへと運んだハシルは、その大金が詰まったカバンを渡すためにハドゥエと会うが、ハドゥエは人を裏切れば、思いもよらない方法で自分に返ってくると学ぶことになる。チリに戻ったハドゥエは、サッカー協会が最近の論争を踏まえ、彼を追い出そうと計画していることを考えられる中でも最悪の方法で知る。だがハドゥエは切り札を隠し持っていた。彼が雇った弁護士がニューヨークからチリの協会本部へ到着し、必要なら幹部たちの弁護も請け負うと約束したのだ。一連の出来事に追い詰められたハドゥエはチリの地元メディアの前で、神や家族、自身の名誉にかけて自分は潔白であると高らかに訴える。だがネネは夫の名誉を試し、夜、出かけていったセルヒオのあとをつける。そこで彼女は、夫には自分の知らない“友人”がいることを知ってしまう。裏切りの傷が癒えることはない。
ウソ
セルヒオ・ハドゥエはエボラウイルスのように広がる恐ろしい病気にかかっている。それは不信感と呼ばれるもので、ネネだけでなく今やハシルにも感染している。だがハドゥエが抱える問題はそれだけではない。中国で製造させたグッズだ。本の中の最古の教えがハドゥエたちを襲おうとしている。安く買えば、時には100年かけても返済できないほどに高くつくのだ。コパアメリカ開幕まで数日となり、セルヒオのウソが発覚したことで、ハシルの家の中では感情が高まる。ネネは、それが自身の夜の逃避行を明らかにすることになろうとも、夫の夜の外出について明らかにするつもりだ。一方ルケでは、FBIやアメリカ司法省の捜査対象となっていない会長たちをハドゥエが落ち着かせようとするが、彼に対する不信感は会長たちの間にも広がっていた。ベドヤは彼の仮面をはぎ取ろうと急に飛びかかる。ハドゥエに対する不信感と裏切りの告発が相次ぐ中、チリにとって重要な日がやってくる。コパアメリカの開幕戦だ。だがボールが転がり始めた瞬間、ハドゥエの運は永遠に封印される。これだけでは不十分だったかのように、大会がすでに始まっている中、スキャンダルがチリ代表を揺るがす。主力選手の1人が酒に酔ったまま車を運転し、事故を起こしてしまう。
何事も過ぎ去る
終わりの始まりへようこそ。そしてこれは、始まりの始まりでもある。FIFAがアメリカの怒りを買ったことで、大勢を失脚させることになる前例のない捜査が開始されることとなった。自分たちの結婚を支えていたウソに酔っていたセルヒオとネネの夫婦関係は終わりの始まりを迎え、2人はすべてを海に投げ捨てようとしている。すべてを海に投げ捨てることの問題は、自国開催の大陸選手権で儲けるために投資した百万ドル分のグッズを処分しようとした時のように、潮の満ち引きによって問題が戻ってくることだ。海は恥ずかしい過去を海岸に打ち上げ、隠そうとした過ちが国中に知れ渡る。チリが2015年のコパアメリカで優勝したことは周知の事実だが、常に負け組で決して勝てない国が栄光から目覚めた時はどんな感じだったのか? 二日酔いのように感じられたのは確かだが、フリオ・グロンドーナがいつも言っていたように、“何事も過ぎ去る”。二日酔いもだ。問題も対立も復讐も過ぎ去る。正義も悲しみも愛も過ぎ去る。勝利も敗北も過ぎ去る。怒りは過ぎ去るが、恨みはなかなか過ぎ去らない。勝利の日と、その翌日を見に来てほしい。24時間のうちにこの上ない栄光を手にし、そして落とし穴の底へと沈んでいったセルヒオ・ハドゥエにとって、最も奇妙な1日だった。
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