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聴覚障害を持つ両親のもとで育った少女の挑戦と旅立ちを描く、ヒューマンコメディ。フランス映画『エール!』のリメイクではあるが、舞台や一部設定が異なっており、より親しみやすい作風となった。
今作は2022年におこなわれるゴールデングローブ賞にノミネートされるなど、非常に高い評価を受けた作品である。実際に聴覚障害を持つ俳優たちを起用しており、自然な手話によって紡がれていく、コミカルなやりとりに注目だ。
高校生のルビー(エミリア・ジョーンズ)は、家族の中で唯一の健聴者だった。漁師の父・フランク(トロイ・コッツァー)の仕事を手伝い、手話を使って通訳をするなど、子どものときから耳が聴こえない家族のために働いてきた。
しかし、そんなルビーにも自分の人生がある。いつまでも家族のために生きるわけにはいかない。歌うことが好きだったルビーは、音楽大学に進むことを決意する。
音楽教師のバーナード(エウヘニオ・デルベス)から指導を受け、本格的にオーディションの練習をはじめるが、家族は娘の夢を素直に応援することができず…。
歌が大好きな高校生。日常的に手話を使っていたため、周囲から発音をからかわれた過去がある。唯一の健聴者として、目覚まし時計の代わりになったり、船に乗ったりと忙しい毎日を送っていた。家族のために尽くしてきたが、家を離れ、ボストンの音楽大学に進学しようとする。
ルビーの父で、耳が聴こえない漁師。長年の勘で船を操縦していたが、監視員に見つかってしまい、免許停止に追いこまれた。言葉は話せないが、卑屈になることもなく、自分の意見はきちんと伝える。ジャッキーを愛しており、娘がいると気がつかないまま、愛し合ってしまう。
ルビーの母親。聴覚障害を持っているため、周囲のママ友たちの話題についていけず、悩んでいる。モデルの大会で優勝した過去があり、美人で有名だった。ルビーのことを今でも子ども扱いしてしまい、娘の才能をなかなか認められなかった。
ルビーの兄。搾取され続けている漁師の生活に不満を感じており、事業を立ち上げようとする。
音楽教師。ルビーの才能を認め、大学への推薦状を書いた。遅刻に厳しく、少しでも遅れたルビーを叱る。
バーナードの指導を受けている高校生。ルビーと同じ大学を志望しているが、家族を笑ってしまい、縁を切られた。
今作は有名なハリウッドスターが出演しているような、大作映画ではありません。ほかのハリウッド映画と比較すると、低予算で作られており、小規模な作品といえます。
しかし観客の心を掴んで離さない、強い力を持った作品です。家族の絆を描いたストーリーや、世界観にマッチした劇伴などが高く評価されており、2021年を代表する映画のひとつとなりました。
手話を使った下ネタも多く登場しますが、下品な映画にはなっておらず、観客を心の底から笑顔にさせてくれます。
主人公のルビーを演じたエミリア・ジョーンズは、子役出身の女優です。日本での知名度はまだまだですが、今作では手話を使った演技と、美しい歌声を披露しています。
特に健聴者でありながらも、なめらかに手話を使いこなすシーンは必見です。ルビーの感情がそのまま手話で表現され、手話がわからなくとも、勢いと演技だけで意味を理解できるでしょう。
おとなしいルビーの中に秘められた熱い感情が、観るだけで伝わってくるほど、圧巻の表現力です。
ルビー以外のロッシ家のキャストには、実際に耳が聴こえない俳優たちが起用されています。そのため、劇中で使われる手話はすべて、彼らが実際に使っているものです。
また、学校では絶対に学べないような、スラングも多用されました。普段から手話を使っているキャストだからこそできる演技で、自然な「家族」の空気を作りあげています。
今作では障害を持つ人々を「かわいそうな人」として扱わず、汚い言葉がふいに飛び出してしまうような、普通の人々として描いているのです。
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『トイ・ストーリー』シリーズなどで知られるピクサーが手掛けた、3Dアニメーション映画。飲食店では嫌われる傾向のあるネズミを主人公に、駆け出し料理人とネズミたちとの交流を描いていく。非常に高く評価されたアニメ映画としても有名で、アカデミー賞をはじめとする数々の賞に輝いている。今作の舞台となったフランスのディズニーランドでは、アトラクション化もされるなど、世界中で愛されている作品だ。美食家のネズミ・レミー(パットン・オズワルト)は、シェフになることが夢だった。しかし、当然ながらネズミは嫌われ者で、特にレストランでは見つかったら殺されてしまうほど嫌われている。そんななかレミーは、若手料理人のリングイニ(ルー・ロマーノ)と出会う。髪の毛を引っ張ることで、リングイニの身体を自由に動かせることを知ったレミーは、帽子の中に隠れながら厨房に潜入。一流シェフを目指していたリングイニと利害が一致し、ふたりは協力して批評家をもうならせる料理を作っていく。
20世紀を代表するミュージカルスターである、ジュディ・ガーランドの出世作。『オズの魔法使い』を原作にした映画の中でも、特に知名度が高い作品である。今作でガーランドが歌った「虹の彼方に」は映画の枠を超え、世界中で愛される楽曲になった。カンザスに住んでいる少女・ドロシー(ジュディ・ガーランド)は、巨大な竜巻に巻きこまれ、家とともに空高く飛ばされてしまう。ドロシーと家がたどり着いたのは、カンザスとは似ても似つかない魔法の王国・オズだった。突然の出来事に驚くドロシーだったが、オズの住民や魔女のグリンダ(ビリー・バーク)は、彼女を英雄として歓迎する。東の悪い魔女が、落ちてきたドロシーの家の下敷きになって死亡したのだ。しかし、東の魔女の妹である西の悪い魔女(マーガレット・ハミルトン)がやってきて、ドロシーに復讐しようとする。ドロシーはカンザスに戻るため、帰る方法を知るオズの大魔法使い(フランク・モーガン)に会いに行こうとするが…。
現代に復活したヒトラーを、ドキュメンタリータッチで描いていくブラックコメディ。世界中で人気を集めた作品であり、第二次世界大戦時の同盟国だったイタリアでは、今作のムッソリーニバージョンが制作された。今作はただ単に、ヒトラーを面白おかしく描いた作品ではない。「ヒトラーの持つ能力が現代で使われたらどうなるか?」を真剣に考察し、綿密に作り上げた皮肉たっぷりなストーリーが特徴である。第二次世界大戦が終了する寸前、ドイツの負けを悟ったヒトラーは、愛人とともに自殺する。ヒトラー(オリヴァー・マスッチ)が目を覚ますと、そこは現代のドイツだった。突然のタイムスリップに驚くヒトラーだったが、周囲の人々は彼をモノマネ芸人だと思いこみ、写真を撮りはじめる。そんなヒトラーを「発掘」したのは、テレビ局員のザヴァツキ(ファビアン・ブッシュ)だった。ザヴァツキはすぐにヒトラーを見つけ出し、コメディアンとしてテレビ番組に出演させる。しかし、ヒトラーは生放送でとんでもないスピーチをおこない、ドイツ国民から人気を集めはじめ…。
1959年に初演され大ヒットした同名ミュージカルの映画版で、1965年に公開された。原作は主人公のモデルであるマリア・フォン・トラップの自叙伝『トラップ・ファミリー合唱団物語』である。原作の自叙伝、ミュージカル、そして映画ともに世界中で大ヒットし、今もなお世界中の老若男女から愛されている名作だ。劇中では「エーデルワイス」「私のお気に入り」「ドレミの歌」など、誰もが一度は聞いたことがある名曲が使用されている。物語も主人公の成長ストーリー、恋愛、そして子どもたちとのふれあいなど、ほのぼのする展開から、迫り来る戦争の影や緊張感あふれる脱出劇まで幅広く展開する。歌うことが大好きで自由に憧れる修道女見習いのマリア(ジュリー・アンドリュース)は、そのおてんばぶりから、ほかの修道女たちにからかわれつつも愛される存在だった。ある日、修道院長(ペギー・ウッド)から、トラップ大佐(クリストファー・プラマー)の子どもたちの家庭教師になるようにすすめられる。修道院長のすすめを最初は断るマリアだったが、最終的にトラップ邸に向かう。そこでマリアを待っていたのは、何人もの家庭教師がさじを投げた7人の子どもたちだった。子どもたちからの「手厚い」歓迎もマリアは動揺せず受け入れ、次第に子どもたちもそんな彼女に心を開き始めていくのだが…。
本国インドで2009年に公開され、当時のインド映画歴代興行収入記録を塗り替えた大ヒットコメディ映画。 舞台は超難関とされる名門工科大学。未来のエンジニアを目指して入学してきた写真好きのファルハーンは、なんでも神頼みをするラージューとルームメイトになる。ある日の夜、上級生の手厳しい新人歓迎会のときに、ランチョーという変わり者が遅れてやってきて上級生を煙に巻き、彼らは意気投合する。3人はいつもつるんでは校内で騒動を起こし、「3バカ」と呼ばれるようになった。 ランチョーは柔軟な発想力と圧倒的な学力で周りを驚愕させるも、競争社会至上主義を必要以上に押し付ける学長に対して、たびたび異議を唱えていた。そんな態度を快く思わない学長から「3バカ」は目の敵にされてしまう。しかも、ランチョーが学長の娘のピアと恋仲になったことが発覚すると、3人に退学命令が下されてしまう…。彼らは無事に卒業できるのか? 主人公のランチョーを軸とした大学生活と、卒業後10年を経過した今とが折り重なってストーリーが紡がれていく。
知的障害を抱える青年とアメフト部コーチの友情を描いたヒューマンドラマ アメリカのスポーツ専門誌に掲載された実話にもとづく、爽やかに泣ける感動作。オスカー俳優、キューバ・グッディング・Jr.やエド・ハリスら演技派俳優たちが好演。 フットボール部のコーチ・ジョーンズは、グラウンドのそばでよく見かける知的障害を抱える青年にチームの世話係を頼む。音楽好きでラジオを手放さない彼は、「ラジオ」というニックネームで呼ばれ人気者になる。だが、彼の存在を快く思わない人たちがいて…。