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今作は水墨画の世界にのめり込む大学生を描いた青春映画だ。原作は漫画化もされている同名小説で、新人小説家の登竜門であるメフィスト賞を受賞している。映画版は『ちはやふる』シリーズを手掛けた、小泉徳宏らスタッフが再集結した。
展覧会の会場でアルバイトをしていた青山(横浜流星)は、不思議な老人と出会い、水墨画の世界に魅力されていく。老人の正体は日本でもっとも著名な絵師・湖山(三浦友和)であり、唐突に青山を弟子にしてしまう。
戸惑いながらも、水墨画の世界に飛び込んだ青山は、湖山の孫・千瑛(清原果耶)の反発を受けながらも技を磨いていく。練習を続けていくうちに、暗い過去を持つ青山の心は晴れていき、水墨画の腕も上達する。千瑛との仲も良好になり、互いに影響しあう関係になっていくが、スランプがふたりを襲う。
さらに、湖山が倒れてしまったことで、ふたりの生活は一変。「命」のある水墨画を描くため、青山と千瑛は奔走していくが…。
【キャスト】
横浜流星
清原果耶 細田佳央太 河合優実
矢島健一 夙川アトム 井上想良/富田靖子
江口洋介/三浦友和
原作:砥上裕將『線は、僕を描く』(講談社文庫)
監督:小泉徳宏
脚本:片岡 翔 小泉徳宏
新人絵師。展覧会の設営を手伝ったことがきっかけで、湖山と出会い、水墨画の修業をはじめた。とある理由から両親を失っており、自分を責め続けている。本来持っていたセンスが覚醒し、水墨画の腕を磨き上げていく。
湖山の孫。若手の絵師であり、その実力は青山の遥か上をいく。湖山が勝手に弟子入りさせた青山を気に入らず、対抗心を燃やしていたが、次第に態度をあらためていく。現在はスランプ状態にあり、「命」のある水墨画を描けなくなっている。
誰もが知る、水墨画の巨匠。展覧会に訪れており、青山が持っている才能を見抜いた。青山には高級な弁当をご馳走し、すぐに弟子入りを認めるなど、才能を高く買っている。温和な性格だが、孫の千瑛には厳しく接していた。
湖山の弟子。つかみどころのない性格だが、水墨画の腕は一流である。
評論家。コンクールの審査員でもあり、青山や千瑛が描いた水墨画を評価した。
青山の友人。青山が湖山と出会った、展覧会のアルバイトに誘った張本人である。
青山の影響を受け、水墨画に手を出した大学生。水墨画サークルを立ち上げてしまう。
日本人なら誰もが一度は見たことのある水墨画ですが、その実態を知る人は多くありません。今作は若手画家の視点をとおして、奥深い水墨画の世界を描いていく作品です。
今作をひも解くヒントは、タイトルにあります。「僕」が「線」を描くのではなく、「線」が「僕」を描いていくのです。この表現は、青山が劇中で気がつく、水墨画の本質とリンクします。
タイトルに回帰していくストーリー構成は、小泉徳宏が手掛けた『ちはやふる』とも共通するポイントです。
水墨画は、基本的に筆と墨、そして半紙だけで描かれます。写実的な表現をする画家もいますが、現実が持つ美しさを切り取り、絵に命を吹き込んでいく芸術です。
劇中では水墨画が持つ、さまざまな魅力が語られました。特にじっくり描く芸術ではなく、短時間で完成させる芸術という点にフォーカスされています。
もちろん長年の修業は必要ですが、半紙と向き合う時間はごくわずかです。一瞬で絵が完成していくシーンは、度肝を抜かれることでしょう。
主演の横浜流星は、心に闇を抱える大学生を演じました。『流浪の月』で見せたようなダークな表情と、真摯に水墨画と向き合っていく真面目な表情とのギャップに注目です。
また、ヒロインを演じた清原果耶は、誰よりも力強い演技で千瑛の内面を表現しています。水墨画を描くシーンはもちろん、理想と現実との間で葛藤していく姿からも目が離せません。
そのほかにも、三浦友和や江口洋介などのベテランキャストの演技により、説得力のある作品に仕上がっています。
淡々と感動が続く
1968年に公開され、過去に類をみない莫大な制作費がかけられたスペクタクル巨編。3時間以上の上映時間と、圧倒的なスケールの物語が話題となり、大ヒットを記録している。大量の水を使用した危険なシーンの撮影もおこなわれ、実際に何人かのスタッフとキャストが負傷した。また、今作は当時の日本を代表する名優たちが集結した作品でもある。製作にもかかわっている石原裕次郎や三船敏郎をはじめ、黒澤映画常連の志村喬、『白い巨塔』に出演した滝沢修など、そうそうたるメンバーが集結した。太田垣(滝沢修)率いる関西電力は、大規模な発電所建設の計画を立案する。場所は富山県に位置する黒部川の上流。多額の建設費と大勢の作業員たちを導入し、工事が始まった。掘削工事を担当するのは熊谷組の岩岡(石原裕次郎)で、彼は工事に不安を抱きながらも、危険で困難な掘削作業に身を投じていく。工事が進んでいた1957年。岩岡の不安は的中し、掘削工事による水漏れが発生。しばらく工事が進まない事態に陥ってしまう。
ポン・ジュノ監督作や山下敦弘監督作で助監督として経験を積んできた片山慎三による、初の長編監督作品。松浦は『マイ・バック・ページ』、和田は『ハード・コア』で山下敦弘監督作に出演しており、抜群のチームワークと信頼感で、兄妹の苦悩を描き出す。造船所で働く道原良夫(松浦祐也)は母親を亡くし、自閉症を持つ妹の道原真理子(和田光沙)とふたりでボロ家に暮らす。たびたびどこかに行ってしまう妹を心配していた兄。兄が唯一頼れるのは、ただひとりの友達である溝口肇(北山雅康)だけだった。あるとき、妹が徘徊先で男に体を許し、金を受け取っていたことを知る。兄自身も足を引きずっており、その障碍のせいで造船所から解雇されてしまった。内職は金にならず、電気や水道も止められ、このままでは餓死寸前。困り果てた兄はとうとう、妹の売春を斡旋するようになる。単純な情緒しか持たないように見えて、妹には実はさまざまな感情が芽生えはじめていた。兄はその様子を目撃し困惑しながらも、生きるため、妹に売春を続けさせるのだった…。
『スワロウテイル』などで知られる、岩井俊二監督が手掛けた青春映画。原作となっているのは、岩井俊二自身が仕掛人となって始動した、インターネット小説である。劇中では中学生たちによる犯罪行為が描かれており、かなりダークな作品に仕上がっている。リリイ・シュシュは、日本を代表する人気歌手であり、さまざまな世代のファンを獲得していた。そんなリリイの大ファンである中学生の雄一(市原隼人)は、インターネット上でファンサイトを立ち上げる。そして、自身と同じ価値観を持つサイトの住人たちと親しくなっていく。しかし雄一の実生活は、とても充実したものではなかった。親友だったはずの星野(忍成修吾)からいじめを受けるようになり、悲惨な学校生活を送るようになる。クラス内では、女子同士の争いも発生し、雄一の逃げ場がなくなってしまう。そんな雄一を支えているのは、リリイ・シュシュの歌と、ファンサイトに集まる人々だけだった…。
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2018月9月25日~2020月10月19日
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