「バイオ・ハザード」シリーズのミラ・ジョヴォヴィッチ主演、『レオン』のリュック・ベッソンが仕掛けた映画『ジャンヌ・ダルク』。百年戦争の英雄ジャンヌ・ダルクの生涯を描いた輝かしくも悲しい結末を迎える悲劇の物語である。
映画『ジャンヌ・ダルク』とは
1999年に公開された『ジャンヌ・ダルク』は、フランスの悲劇のヒロイン・ジャンヌの生涯を綴った伝記物語である。
主人公ジャンヌ・ダルク役を演じたミラ・ジョヴォヴィッチと、監督のリュック・ベッソンが『フィフィス・エレメント』に続きタッグを組んだ。
物語の舞台は1412年、フランス滅亡状態にあった百年戦争の真っ只中。もはやフランスを救える方法はただひとつ”奇跡”だけだった。
ジャンヌはなぜ、オルレアンの乙女といわれているのか。オルレアン解放に貢献したのに、なぜ処刑されなければならなかったのか。
平凡な少女から、英雄となって処刑されるまでの一部始終を描いた『ジャンヌ・ダルク』は、史実をもとにした作品だからこそ人々の心に焼きつくのだろう。
ジャンヌ・ダルク 聖人として利用された少女の物語
出典:amazonジャンヌ・ダルクが”神の使い”としてシノン城へ向かう
ジャンヌはフランスの田舎ドンレミ村で生まれ育った。時間があれば教会の告解室を訪れていたジャンヌが13歳の頃、村はイギリス軍に襲撃され火の海になっていた。
自宅に戻ったジャンヌを、姉は戸棚のなかに隠した。姉はイギリス軍に見つかり、殺害されたあとレイプされてしまう。
数年後、ジャンヌは神の声に導かれるままシャルル王太子に会うためシノン城へと向かうのである。
シャルルは、自分を神の使者だと疑わないジャンヌを試すかのように、王太子と偽って臣下を会わせたのだ。
しかしジャンヌはそれが王太子ではないと見抜き、見事シャルルの信用を勝ち取ったのである。
ジャンヌ・ダルク 勇敢な戦士から邪魔な存在に
ジャンヌは軍を与えられたものの、兵士たちからすれば19歳の娘の指揮権を与えるなど、プライドが許さなかったのだろう。
戦場は荒れ、兵士たちの行動も一丸になるとは程遠いものだった。
しかし、ジャンヌが神を称えると場は一変。兵士たちに士気があふれ出したのだ。
兵士たちがジャンヌを神の使者と認め、難攻不落のオルレアンを見事奪還成功に導いたのである。
ジャンヌの活躍はこれまでに留まらず、その後も連戦連勝が続いた。
しかし、王座に即位したシャルルは次第にジャンヌの存在を疎ましく思うようになったのである。
また、フランスだけではなく、イギリスにとってもジャンヌは煙たい存在となっていた。
その後、ジャンヌはイギリス軍に捕らえられてしまう。神への信仰心が強すぎるゆえ、行動さえも目立つようになってしまったのだ。
それが神への冒涜だとして、裁判にかけられてしまうのである。
『ジャンヌ・ダルク』監督はカルト的人気を博すリュック・ベッソン
監督を務めたのは『フィフィス・エレメント』や『グラン・ブルー』などで知られる鬼才リュック・ベッソン。
『TAXi』シリーズや『トランスポーター』シリーズの脚本や制作にも関わっており、フランスでカルト的人気を誇っている。
数々の名作を世に送り出したベッソンだが、『ジャンヌ・ダルク』以降は、脚本や制作などを中心に活動しているという。
ベッソンの世界観にハマる人も多く、特に殺し屋と少女の純愛を描いた『レオン』は知る人も多いだろう。
映画『ジャンヌ・ダルク』登場人物とキャスト
ジャンヌ・ダルク/ミラ・ジョヴォヴィッチ
ジャンヌは、ひとりになると協会の告解室に閉じこもってしまうほど人一倍信仰心のある少女だった。
17歳の頃、シャルル王太子を訪ね、自分が神の使者であることを知らしめた。
シャルルが即位するに重要なオルレアン解放に導き、フランスの英雄として崇められた。
ジャンヌ役を演じたのは『バイオハザード』シリーズのアリス役で知られる、ミラ・ジョヴォヴィッチ。
1988年にスクリーンデビューし、『フィフィス・エレメント』でその美貌を見せつけて注目された。
女優業だけではなく、モデルや音楽活動など幅広く活躍しており、私生活では2児の母でもある。
謎の黒衣の男/ダスティン・ホフマン
黒いマントに黒いフードを被っているのは、ジャンヌだけにしか見えず、事あるごとにジャンヌに問いかけてくる謎の人物。
この人物を演じているのは、オスカー俳優のダスティン・ホフマン。
『レインマン』や『クレイマー、クレイマー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞した、正真正銘の名優である。
黒柳徹子の大ファンであり、日本のテレビにも何度か出演している。また、日本ではホフマンをモチーフにした楽曲も多い。
フランス国王(シャルル7世)/ジョン・マルコヴィッチ
オルレアン解放を経て国王に即位したシャルル王太子。ジャンヌの不思議な力を疑うも、認めざるを得ない状況になってしまった。
本心からジャンヌを信頼していたわけではなく、自分の願いをかなえた後は、ジャンヌのことをウザく感じるようになっていく。
王太子シャルル役を演じたのは、シリアスな役柄からコメディな役柄まで、幅広い演技で楽しませてくれてるジョン・マルコヴィッチ。
数々の出演舞台を評価され、1984年にスクリーンデビューを果たした。
1999年公開の『マルコヴィッチの穴』で助演男優賞を受賞し、名脇役として名を馳せている。
ジャンヌ・ダルクの前に現れる黒衣の男の正体とは…神か悪魔か!?
この映画でジャンヌの前には、自分の中で迷いがあるときに黒衣を纏った人物が現れる。ジャンヌにしか見えないこの人物は神か悪魔か。
この人物はあらゆることをジャンヌに問いかける。ジャンヌが置かれている状況に対して、本当にそれでいいのか、間違いはないのかと。
これは神でも悪魔でもなく、ジャンヌの良心が謎の人物となって現れている。ジャンヌはもともと血は嫌いなので、好んで戦っているわけではない。
だから自分が行っていること、これから行おうとすることに迷いが生じると、形になって現れているのだ。
戦争というのは敵の命を奪うことにもなるが、何よりジャンヌは教会に足しげく通っていたほど、神に寄り添っていた。
人を手にかけるというのは、神の意志に背くことにもなる。しかし、目の前で殺された姉のことは生涯わすれられないはず。
自分では納得していると思っていても、復讐心と信仰心が心の中で戦っていたのだろう。
映画『ジャンヌ・ダルク』が描いた時代背景がリアル過ぎる!
出典:amazon物語の舞台はイギリスとフランスの百年戦争の時代なので、戦い方もそうだが何より魔女裁判の尋問がかなり理不尽である。
まったく根拠のないものが、なぜそこまでまかり通ってしまうのか。今の時代では考えられないことである。
処女は悪魔と契約できないから魔女ではない、という根拠に基づいて処女か否かの検査をする。
ジャンヌもこの検査を受けたが、撮影方法もギリギリのラインで写しているのでリアルさを感じられる。
また、魔女とみなされた者の火あぶり処刑などこの時代に起こっていたことのほとんどがリアルに映し出されているもの見事だ。
戦いのシーンでは剣を交える音の重み、梯子を上る足音のひとつひとつにも手を抜かず、当時の状況が目だけではなく耳にも伝わってくるのである。
目を背けたくなったり、耳をふさぎたくなったりするシーンもあるが、こんな時代が本当にあったんだと、歴史の重さと身近さを感じて頂けるだろう。
ジャンヌ・ダルク愛用の指輪も発見か!?
フランスの国民的ヒロイン、ジャンヌ・ダルクの生涯は、小説や映画など様々な分野で取り上げられてきた。
フランスが誇るヒロインで、数多くの伝説エピソードが語られている。その中でもジャンヌの指輪というのをご存知だろうか。
当時ジャンヌがつけていたと思われるもので、1431年の異端審問の際、ジャンヌの所持品のなかに”銀の指輪”が記載されていた。
指輪にはイエスとマリアの名、3つの十字架が彫られており、ジャンヌの強い信仰心を伺える。
ジャンヌの処刑後は、イングランド王やボーフォート枢機卿の元に渡ったといわれていたが、現代まで所在不明のままとなっていた。
しかし、2016年にその指輪と思われる”銀の指輪”が発見されフランスへの凱旋を果たしている。
映画の中でもジャンヌ(ミラ・ジョヴォヴィッチ)が左指にはめているが、それだけこの指輪の存在はジャンヌとは切り離せない物なのである。
参考元
- ・『ジャンヌ・ダルク』DVDソニー・ピクチャーズエンタテインメント
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