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2017/01/12
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邪悪なおもちゃ箱【よるねこ】

悪意に満ち満ちた短編が、ぎっしり詰まった一冊。 SFから心霊から、その他よくわからないものまで、怖いお話、お届けします。

目次

ギャップでいっぱいの一冊

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 本屋さんで背表紙を見て「よるねこ? なんだかカワイイ」と思って引っ張り出したら、そのサイケデリックな表紙にあなたはあっけにとられるはず。

 ちょっぴりいやぁな予感を感じつつ、表紙に小さく紛れた不愛想な黒猫に一縷の望みをかけて、ページをめくれば、もう最後。
 

 ありとあらゆるジャンルを網羅しているのかもしれないし、「姫野カオルコ」という実に特殊な、単一のジャンルなのかもしれない、不可思議な物語が、あなたを迎えてくれます。

 
 テーマも、雰囲気も、作品によって様々。最初から順番にめくっていくもよし、目次を眺めて「これだ!」と思う作品へ真っ先に挑戦するもよし。この怪奇短編は、遊園地そのものです。


 さぁさ、あなたはまずどのアトラクションを愉しみますか?

不可逆的変化

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 表題作「よるねこ」からして、実にぞっとする物語です。


 少女である美也子の母親は、実に無神経な女性でした。

 それも世間一般で言う無神経とはちょっと違います。
大声で笑ったりせわしなかったり、仕事が早いが出来も荒い、そういったいわゆる「無神経」さではないのです。
 
 むしろ一般的な無神経とは対局になるような、ただ静か、不気味なほどに静かな「無神経」。
 
 無感動、と言い換えてしまったほうが通りがいいかもしれません。

 
 美也子が物心ついてからずうっと母はそんな風でしたので、生まれてきたその時から「無神経」な人間だと美也子は思い込んでいました。

 しかしあるとき、そうではなかったことを彼女は知ることになります。


 母の女学校時代の、同期だというおばさんがやってきて、不在の母の代わりに彼女の応対をする美也子。

 おばさんの昔語りでは、母もかつては「無神経」ではない、ふつうの女の子だったようですが……。

彼女の秘密

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 探偵が活躍する物語もあります。

 とはいっても不可能犯罪など出会ったこともないような、素行調査が主な業務の、町の探偵屋さんです。



 ある日そこに持ち込まれたのは、交際相手の素行調査。

 依頼者の男性の言うことにはもう2年も付き合って、事実上の婚約者のような存在だったというその女性。

 同期入社で自然と親しくなり、いつの間にか2人で食事をするようになって、思い切って告白して……という、何の変哲もないカップルでした。

 しかし彼女は、彼と結婚したくない、交際も解消したいというのだそうです。

 もちろん彼は納得できず、その結果、探偵に依頼が回ってきたわけですが……。


 とりあえず2週間の契約で、探偵は彼女を尾行することに。

 依頼者は浮気を疑っていたわけですが、いくら尾行しても秘密の恋人どころか、まともに会話をした男性は実家の父親くらいという結果に。

 もちろんそのほかにも、結婚の障害となるようなものは見つかりません。


 依頼者も探偵も、これでは納得がいきません。調査を続行することになりますが、最終的に探偵は、彼女のとんでもない秘密を覗き見てしまうことになります。

ネットの海からやってくる

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 怪奇現象はもはや、ベッドの下や押し入れの闇だけに隠れているものではありません。

 皆さんもご存知の通り、ネットの世界にもあふれかえっています。

 この作品「通常潜伏期間7日」は、そんな現代ゆえのアクセスで、古式ゆかしき魔術にたどり着いてしまう物語。



 ネットサーフィンを趣味にしている主人公は、偶然踏んだリンクからおかしなHPに飛ばされてしまいます。

 それは小中学生が授業で作ったような、ちゃちな作りのページ。

 そこに書かれていた文章もひらがなが多く、ところどころは文字化けしています。

 その内容は「悪魔の捕まえ方」。

 ばかばかしい、と鼻で笑う主人公でしたが、あるときふと魔がさして、それを試してしまいます。

ほかにもたくさん、不条理な物語

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 このように、いやぁな気分にさせてくれる物語が、この本には盛りだくさん。

 ひとつずつの話も短いので、通勤通学のお共に、あるいは枕もとに、そっと忍ばせてみてはいかがでしょう。 


 小さな異界に、触れるために。

参考元

  • ・よるねこ集英社

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