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2019/04/08
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あなたが怖いものは何?【異形コレクション 恐怖症】

あれが怖い、これが怖い……誰しも怖いものの一つや二つはあるでしょう。その「怖い気持ち」にかかわるホラー作品の短編集です。

目次

・あなたもきっと、抱えているはず

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 人間だれしも、自らの中に「恐怖」を抱え込んでいます。命に係わる明確な恐怖から、わけもわからず恐ろしく感じる理不尽な恐怖まで……様々な恐怖が、われわれの心中には巣くっているのです。
 本書のテーマは「恐怖症」……すなわち、”フォビア”。
 他人事ではありませんよ。高所恐怖症、閉所恐怖症などはメジャーどころですので、耳にしたことがあるかもしれません。しかしそれ以外にも恐怖症は無数に存在します。恐怖の数だけ存在する……と言っても、決して言い過ぎではないでしょう。赤面恐怖症、先端恐怖症、動物恐怖症、対人恐怖症、広場恐怖症。挙げていけばキリがありません。診断書までは要らないにしても、だれしもが多かれ少なかれ、持っているのではないでしょうか。なんとはなしに、怖いものを。

 本書はそのものずばり「恐怖症」をテーマに書き下ろされた短編集です。ひょっとしたら、あなたの「恐怖症」を掘り起こしてしまう作品もあるかもしれませんね。
 しかし、そんなリスクを冒すことを分かっていたとしても……頁を貪る醜態をさらさざるを得ないのは、われわれ、本を愛する”ビブリオフィリア”の宿命です。
 あなたがこの”症例集”を、堪能できる人間であることを祈るばかりです。

・わけもなく、”アレ”が怖い

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 本人にとっての絶対的な恐怖の対象に対して、周囲はおろか本人までも”怖い”理由がわからない場合があります。比較的序盤に収録されている「つぶつぶ」はその好例と言えましょう。

 主人公の女の子が、自分の恐怖に気付いたのは、小学5年生の時でした。その進級を機に、外で行う体育の靴がきちんとしたスポーツシューズへと切り替わったのです。真新しい、その上本格的なスポーツシューズを手に入れた時には誇らしげな彼女でしたが、実際に授業を受ける段になって、思いもよらないトラブルが発生します。
 グラウンドで体育座り。整えられているとはいっても、一定量、どうしても取り除けない石粒は存在します。
 彼女は気づいてしまったのです。その石粒が、シューズ裏の滑り止めの波型に、ぎっちり挟まっていることに。

 彼女にとってそれは、気色悪くてたまらないものでした。だから、一心不乱にほじくりだしていたのです。体育の先生が、怒鳴り声をあげるまで。
 毎度毎度、怒鳴られるまで靴の裏をほじくっていては授業になりません。見ないようにしようだとか、いろいろ努力をする彼女でしたが、ある日うっかり靴の裏側を見てしまい、そこに詰まった小石のあまりの醜悪さに、失神してしまいます。

 幸か不幸か、この事件により彼女は養護教諭と話をする機会を得、「恐怖症ではないか」という判断を下されます。それ以降は学校指定でない靴を履くことを認められ、成長して靴を買い替えるときにも、慎重に品定めをするようになりました。対策をするようになった以降、彼女は「つぶつぶ」に悩まさることなく成長していきました。

 しかし、彼女の受難は、まだ終わらなかったのです。

・ぬぐえない、トラウマ

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 前述の「つぶつぶ」では、主人公がどうしてつぶつぶに恐怖を覚えるようになったかは不明です。生まれつき、と言ってしまえば、そうでしょう。そういう原因不明の恐怖症も、さほど珍しいことではありませんから。
 しかしこちらの作品「スパゲッティー」のヒロインには、それを恐れるようになった明確な理由があります。

 主人公が付き合い始めて間もない女の子は、ちょっと、変わったところがあります。それは、「イタリア料理のお店にはいきたくない」とかたくなに主張し続けるところ。イタリア料理がそこまで嫌いな女の子は珍しいですが、彼氏はとりあえず彼女の要望を受け入れて、違うお店を探します。

 彼女が嫌いなのが「イタリア料理」ではなかったことがわかるのは、それから数か月後。大衆向けの居酒屋で一緒に食事をしていたところ、彼女はある一点を見つめて、凍り付いてしまいました。
 それは、スパゲッティー。
 今時の、ちょっとおしゃれ目の居酒屋ともなれば、焼き鳥や鍋以外にも幅広い料理を取り扱っています。それが不幸でした。
 恐怖と憎悪たっぷりの目でスパゲッティーを見つめている彼女。あわてて居酒屋を後にしたものの、本当に怖いものがわかっただけで、進展したとは言えないでしょう。

 彼は悩み、考えます。
 スパゲッティーなんてどこにでもあるものを、どうして彼女はこんなに怖がるのか。その残酷な回答が導き出されたときには、もはや手遅れだったのです。

・それは突然やってくる

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 「つぶつぶ」は生まれながらの気質、「スパゲッティー」は強烈な体験からの恐怖症でしたが、ある日突然、それに理由も判然としない恐怖もあります。
 「ドア」の主人公は、タイトルの通りドアに異常な恐怖感を覚えるようになります。それも、慣れ親しんだ自宅のドア。
 
 これがもう、ちょっとないくらいの怖がり方なのです。外は冷え切っていて、早く家の中で暖房に当たりたいのに、手は鍵を差し込めないほど震え、寒気がして、冷や汗だらだら。なのに耳だけ妙に熱くて、心臓はドキドキを通り越し不整脈。
 自宅のドアの前に帰ってきたら、ほっとする方が大半でしょう。にもかかわらず、この怯えよう。そのうえ主人公には、自宅の何がそんなに怖いのかも、よくわからないのです。自宅のドアにも、そして中にも、恐怖を呼び起こすものなど見つからないのですから。

 それをひょんなことから友人に漏らしてしまった主人公。悪乗りしがちな性格の友人は、一緒にその家に帰ってみようと言い出します。渋りながらも結局は了承し、2人一緒に帰宅したところで……恐怖の原因がわかります。
 ただし、友人だけに。

・恐怖症、目白押し。

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 一冊丸ごと読んでいただければ、あなたの奥底にある”恐怖症”がきっと呼び起されることでしょう。もしかしたら自身の”恐怖症”を掘り起こされて、イヤーな気分になってしまう方もいるかもしれませんね。万一そんなことが起こったら、別の”恐怖症”を読んで気を紛らわせてください。
 
 本当に多種多様な恐怖症を描いた物語たちは、どれもこれもがハイクオリティ。ひょっとすると、あなたに新たな”恐怖症”を植え付けてしまうかも……。

参考元

  • ・異形コレクション 恐怖症光文社

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