2019年『パラサイト』でカンヌ国際映画祭・パルムドール賞を受賞した韓国の鬼才ポン・ジュノ監督とブラット・ピット率いる制作会社プランBがタッグを組んで製作された、Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』。カンヌ国際映画祭で物議を醸した、製作費500億ウォン(約50億円)を超える話題作の魅力に迫ります。
ポン・ジュノ監督とは? 『パラサイト』でカンヌ国際映画祭・パルムドール賞を受賞
1969年9月14日、韓国生まれの映画監督・脚本家であるポン・ジュノ氏。
2000年に『ほえる犬は噛まない』で長編監督デビューし、2003年には10人の犠牲者を出しながら未解決となった殺人事件を題材とした『殺人の追憶』を発表、韓国で大ヒットを記録しました。
その他にも『グエムル 漢江の怪物』や『母なる証明』『スノーピアサー』など、社会に深く切り込んだ作品を世に送り出している、韓国の若き名匠です。
2019年には、家族全員が失業中の一家が超富裕層の家庭に家族ぐるみで寄生していく様を描いたブラック・コメディ『パラサイト』で韓国映画初となるカンヌ国際映画祭・最高賞にあたるパルムドールを受賞し、格差社会への批判とポン・ジュノ監督のユーモラスなエンターテイメント性の融合が高く評価されています。
そんなポン・ジュノ監督がブラット・ピットの制作会社プランBとタッグを組んで製作したのが2017年公開Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』です。第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品作品に選ばれ、ネット配信と劇場公開という映画の在り方について物議を醸した話題作です。
Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』のあらすじ
アメリカの巨大企業ミランド社の新たなCEOルーシーは世界中で起こっている食糧難を緩和すべく、チリの農場で見つけた優秀な豚を研究・自然繁殖させ、生まれた26匹の子豚たちを世界中の契約農家に預けます。そして10年後、それぞれの農家の伝統的な方法で育てられた子豚たちの中から、最も大きく美しいスーパーピッグを決めるコンテストを開催すると宣言しました。
韓国の山奥の農家に預けられた1匹の子豚はオクジャと名付けられ、おじいさんと2人暮らしの孫娘ミジャと姉妹のように育ちました。ミジャとオクジャはいつもいっしょ。ともに果物を収穫したり、魚をとったり、昼寝をしたり。
そこへミランド社から派遣されたジョニー博士がやってきます。一目でオクジャに魅了された博士はオクジャを最も優秀なスーパーピッグとしてアメリカへ連れて帰ります。ミジャにとって、家族同然のオクジャを、おじいさんはお金で買い取ろうとしますが叶いません。
ミランド社からもらった報酬で純金の豚の置物を買い、ミジャの手に握らせます。しかし納得のいかないミジャはおじいさんの手を振り払い、貯金箱でコツコツ貯めたお金と金の豚を持って、オクジャを追いかけソウルの街へと飛び出して行きました。
物語は韓国の山奥からソウルの街中、そしてニューヨークへと移り変わります。資本主義の象徴とも言える巨大企業ミランダ社と、虐げられる動物たちを守ろうと活動する過激な動物愛護団体『ALF(動物解放戦線)』に振り回されながら、オクジャを取り戻すためのミジャの戦いがはじまります。
Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』の見どころ3選
Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』の見どころをご紹介します!
『オクジャ/okja』見どころ① ミジャとオクジャの姉妹のような愛と絆
冒頭で展開されるのは、ミジャとオクジャののどかな田舎暮らしの様子です。自給自足の日々の中、大自然で悠々と過ごす1人と1匹の仲睦まじい姿に心癒されます。
カバと豚を足して割ったかのようなオクジャの姿。決して可愛いとは言えないオクジャですが、物語が進むごとに感情移入してしまい、可愛く見えてくるのが不思議です。
山道で崖から落ちそうになったミジャをオクジャが身を挺して守ったり、ミランド社に連れ去られてしまったオクジャをミジャが必至に助けようとしたり、生産者と家畜ではなく、家族であり姉妹であり友だちであるかのような2人の絆に心揺さぶられます。
『オクジャ/okja』見どころ② ソウルの街中を駆け回る、ジェットコースターのようなアクションシーン
重く難しいテーマを扱う『オクジャ/okja』ですが、作り手のユーモアと見ごたえのあるアクションシーンが随所に織り交ぜられていて、視聴者を飽きさせません。
ミジャがオクジャを追ってソウルの街中を駆け回るシーンは坂道の連続で、ジェットコースターに乗車しているかのような臨場感のある映像に胸が高鳴ります。小さなミジャがガラスを突き破ろうと体当たりしたり、走るトラックに飛び乗ったり、ハラハラし通しで思わず「頑張れ!」と応援してしまうことでしょう。
『オクジャ/okja』見どころ③ 資本主義社会に対峙するミジャ。代え難い現実と、行き交うエゴ
『大きくて(量が多くて)・安くて・美味しい』スーパーピッグの肉を消費者に届け、食糧難を無くして会社を繁栄させたいと野望を抱くルーシーの願いが叶えられた時、その恩恵を受け、助かる人間がいることも事実です。
しかし、スーパーピッグコンテストは遺伝子組み換えにより誕生させたスーパーピッグを「新種の豚を自然繁殖させたもの」と世に売り出すための嘘です。世の中の人々はその事実を知りません。知ろうともしていません。私たちの消費社会では、大量生産・大量消費における企業倫理が軽視されてしまっているからです。
資本主義社会で生きる私たちは、ミジャのように大自然で魚をとったり果物をもいだり、実感を得ながら食べ物を口に運ぶ機会に恵まれていません。役割が完全に分担された資本主義の社会で、『大きくて(量が多くて)・安くて・美味しい』ミランダ社の作るような製品を求める生活をしているからです。
いっぽう、そんなミランダ社の巨悪を暴き、虐げられる動物たちを守ろうと活動する動物愛護団体「ALF(動物解放戦線)」の人々もまた、極端な正義の名のもとにミジャやオクジャを危険にさらします。
ALFがしていることは「動物の解放」と銘打ってはいるけれど、己の正義を信じるばかりの荒々しい強行活動ばかりで彼らもまた、人や動物を傷つけ、その犠牲の上で己の信念や正義を貫こうとしています。
ただひたすらに「オクジャと家に帰りたい」と願う少女の前に立ちふさがる資本主義社会の壁、渦巻く大人たちのエゴ、ミジャはそれにどう対峙し、戦うのでしょうか。
Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』の豪華出演者たち
豪華なキャスト陣が個性豊かなキャラクターを演じ、普段とは違った一面を見られるのもこの作品の醍醐味です。
ミジャ/アン・ソヒョン
主演は、韓国人女優のアン・ソヒョン。オクジャと暮らす少女を演じます。
ルーシー・ミランド/ティルダ・スウィントン
巨大企業のCEOはティルダ・スウィントンが演じます。『アベンジャーズ/エンドゲーム』への出演が記憶に新しいイギリス人女優です。
ジョニー・ウィルコックス博士/ジェイク・ジレンホール
動物を愛する、悲しき動物博士を演じるのはジェイク・ジレンホール。『デイ・アフター・トゥモロー』や『ブロークバック・マウンテン』、最近では『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』にも出演している俳優です。テイラー・スウィフトと交際していたことでも話題になりました。
レッド/リリー・コリンズ
動物愛護団体ALF(Animal Liberation Front)のメンバーを演じるのは、リリー・コリンズ。『白雪姫と鏡の女王』や『あと1センチの恋』にも出演する、アメリカ人女優です。
『オクジャ/okja』はNetflixで限定配信中!
ご紹介させていただいた『オクジャ/okja』いかがでしたか?見る前と後で世界の景色が違って見える、そんな『オクジャ/okja』をNetflixでお楽しみください。
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