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出典:amazon

2019/04/26
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「暗闇から手をのばせ」 ~障害者の「生」と「性」を問う映画PART1~

内閣政府の平成27年度の発表によると、18歳以上の身体障害者は383万人余りになるそうです。そこで今回は障害者の「性」と「生」に取り組んだ映画のPART1として、「暗闇から手をのばせ」を紹介します。

目次

触れられることのなかった障害者の「性」

出典:

障害を持つ方々が登場するドラマや映画は現在までに数多く製作されていますが、実話を基にした作品が多いのが特徴と言えます。

これまでの作品の多くは、障害という困難に打ち勝ち、何かを成し遂げることが軸となったストーリーが主でした。

困難に打ち勝つまでの過程において、人間性や周りの人々との関わり、友情や時には恋愛が描かれることはあっても、それ以外の部分についてはほとんど触れられることがありませんでした。

特に障害者の「性」を描くことはタブーとされているかのような風潮もありました。

そんな中、障害者の「生」と「性」に正面から挑んだ作品が近年、映画界にも登場しています。

今回紹介する「暗闇から手をのばせ」では、これまで表舞台で語られる機会の少なかった障害者向けの風俗が舞台となっています。

「暗闇から手をのばせ」の製作者でもあり監督も務めた戸田幸宏さんは、この作品をテーマに選んだことについて、インタビューで次のように答えています。

障害者でもない、風俗の仕事をしたこともない自分がこの内容を描いていいのか、不安や迷いはありました。それでも世に出さなければいけないし多くの人が知るべき内容ではないかと調べていくうちにより強く思い、作ることにしたんです。

出典:http://intro.ne.jp/contents/2013/04/12_1224.html

戸田幸宏監督のこの思いから、「暗闇から手をのばせ」は製作されました。

「暗闇から手をのばせ」の簡単なあらすじ

安易な理由から、身体障害者専門のデリバリーヘルスで働くことになった沙織。

最初の客は、進行性筋ジストロフィーを患っている水谷。全身にタトゥーを施した水谷は、どこか刹那的です。

先天性多発性関節拘縮症の中嶋は風俗常連客で、自らの障害をネタに明るく禁止行為を迫ってきます。

事故で脊椎を損傷した健司は、障害を受け入れられず家に引きこもっています。健司の母親は性的な刺激を受ければ回復すると信じて沙織を呼ぶのですが、沙織に対しても健司はどこか投げやりです。

客である彼らと接するうちに、少しずつ沙織の中でも変化が見られるようになります。

ある日、沙織は偶然街中で健司と出会い、二人は朝日を見に行くことにするのですが・・・。

脇を固めるのは実力派俳優陣

デリバリーヘルス嬢の沙織を演じるのは、元グラビアアイドルで現在は女優として活動している小泉麻耶さん。

監督でもあり製作者でもある戸田幸宏さんから「沙織にピッタリ」と直接オファーを受け、難しい役柄を瑞々しい演技で魅せてくれます。

また小泉麻耶さんは風俗嬢を演じるにあたり、風俗で働いた経験のある方を単身で取材して、役作りに挑んでいます。

脊椎を損傷した健司役を演じるのは、森山晶之さん。ミュージカルなどの舞台で活躍されている方です。

先天性多発性関節拘縮症の風俗常連客の中嶋役には、お笑いタレントのホーキング青山さん。沙織と中嶋のシーンでは、「台詞とアドリブが半々」だったと小泉麻耶さんがインタビューで答えていました。

その他、沙織が働くデリバリーヘルス「ハニーリップ」の店長役に津田寛治さん、沙織のストーカー役にモロ師岡さんと実力派俳優が脇を固めています。

映画祭で話題となった作品

「暗闇から手をのばせ」は、日本はもちろん海外の映画祭でも話題となりました。

「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」でW受賞

インディーズ作品や自主制作映画などの発表の場としても有名である「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」。

この「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」の2013年度のオフシアター・コンペティション部門のグランプリと、シネガー・アワードを「暗闇から手をのばせ」がW受賞しています。

海外の映画祭でも上映

「暗闇から手をのばせ」は、

・プチョン国際ファンタスティック映画祭2013(韓国)
・ニッポン・コネクション2013(ドイツ)
・JAPAN CUTS!2013(アメリカ)
・CAMERA JAPAN Festival 2013(オランダ)

などの海外の映画祭でも上映され、高い評価を得ています。

休日は監督業、本業はディレクター

「暗闇から手をのばせ」を製作し監督を務めた戸田幸宏さんは、実はこの作品が自身初の監督作品です。

元々は障害者専門の風俗としてドキュメンタリー番組をNHKで企画したのですが、企画を拒否されたため自己資金で「暗闇から手をのばせ」を製作しています。

また、本作で登場する障害者向けの派遣型風俗店「ハニーリップ」は実際に実在する店舗で、監督自らが取材に赴いています。

ドラマ「忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ」

戸田幸宏さんの本来の職業はテレビディレクターで、かつては漫画の原作を書いていたこともある方です。

「暗闇から手をのばせ」が公開された前年の2012年には、テレビ朝日新人シナリオ大賞を受賞されています。この時の受賞作「最後の仕事」は、北大路欣也さん主演でドラマ化されています。

この他にも、2014年に放送されたドラマ「ナンシー関のいた17年」や、2015年に放送されたドラマ「忌野清志郎 トランジスタ・ラジオ」などで脚本を手がけています。

2014年には戸田幸宏さんが「暗闇から手をのばせ」の続編製作について触れているので、今後、「暗闇から手をのばせ」の続編としてまた新たな問題提起を起こしてくれるのではないでしょうか。

参考元

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