プロレスラー棚橋弘至さんに仮面ライダーの魅力、プロレスでの丸秘エピソードまで語ってもらいました。
- aukana編集部
今回はMS!編集部が棚橋さんに仮面ライダーの魅力やプロレスでのマル秘エピソードをインタビューしました!
映画出演時のお話しなど、今だからこそ聞ける裏話までたっぷり語っていただきました。最後までお見逃しなく!
取材陣をこころよく出迎えてくださった棚橋さん。仮面ライダーとプロレスへの愛が詰まったインタビューでした。
プロレスと仮面ライダーの話
『仮面ライダークウガ』の候補だった!?
実はクウガとしてデビューするかもしれなかったんです。
仮面ライダーは小さい頃から見ていたのですが、昭和ライダーが終わってしまったこともあり、途中から見なくなってしまいました。
でも2000年から仮面ライダークウガが始まったんですね。僕は1999年にデビューしたので、その時すでにプロレスラーになっていました。
仮面ライダー クウガ
実はクウガの放送時に、リング上に「クウガ」っていうレスラーをデビューさせるっていうプロジェクトが水面下で進んでいて、そのクウガの中身に、僕が候補として挙がっていたらしいんです。
テレビのクウガはオダギリジョーさんで、プロレスではクウガっていうレスラーがリングに上がる的な計画だったらしいんですけど、色々な諸事情でなくなってしまったみたいです。つまり僕はクウガになり損ねたんですね。
そういうご縁があったんですが、本格的に見始めたのは、息子が2、3歳くらいの時かな。作品がカブト、響鬼くらいの時にまた見始めたんですね。それで電王のときにドカンと人気が出てからは、ずっと見てます。
息子が中学校を卒業する時になっても、僕はまだ仮面ライダーを卒業できてなかったんですね(笑)まあ卒業する気はないんですけど。
逸材ポーズ誕生秘話
「仮面ライダーカブトを見て"あっ!このイメージだ!"と思ったんです」
僕がチャンピオンになった2006年に、コーナーでなにか一目でわかるポーズがないかなって考える機会があったんです。そこでライダーが好きだったこともあって、カブトのポーズをやり続けてました。
あれはファンの方が「あれ仮面ライダーのやつだ!」って気づくパターンもあるんですけど、仮面ライダーをよく知らない人は、仮面ライダーが棚橋さんと同じポーズしてるぞってなるんですね(笑)こっちが借りてる立場なのに。
当時のシチュエーションとして、2006年頃はすごいブーイングをもらっていた時期でした。悪いこともしてるわけじゃないのに。まあ技術が足りないとかいろいろあったんですが。
でもその時にタイガー服部っていうベテランの選手に「お前は生意気にならないといけない!」って言われたんですね。
「チャンピオンです。頑張ってます」っていうレスラーじゃ全然面白くないと。「俺はかっこよくて強いんだ!」っていうスタイルの方が絶対面白いからって言われたことがきっかけで、何かモデルケースになりそうなものを探し始めました。
そしたらそれがカブトの主人公の天道総司だったんですよ。
「あ!このイメージだ!」って思って。
仮面ライダーカブト(天道総司)
何をやるにも頂点に立つ感じとかね。自分を持っている彼のキャラクターと棚橋に必要だったキャラクターがガチッとはまったんです。
だから、そのまま使わせていただきました。コーナーで聞こえないくらいの声で「おばあちゃんが言っていた」って言ってました(笑)天道総司が降りてきてたんですね。
日本プロレス界の天道総司になれたか?
「光よりも早いって言ってるのに、むしろ遅くなっちゃったっていう(笑)」
天道総司にはまだなれてないですね。途中です(笑)
天道総司の「俺の進化は光よりも早い」っていう言葉がすごいかっこいいと思ったので、福岡の試合で「俺の進化は光よりも早い」ってそのまま使ったんです。
ですが記者の方たちは一切反応しなかったんですよ。これはまずいぞと。それでもう一言なんか言わないとって思って、「むしろ光だ」って言ったんです。光よりも早いって言ってるのに、むしろ遅くなっちゃったっていう(笑)
だからまだ天道総司には追い付いてないです。僕はまだ光の状態ですね。
仮面ライダーカブトが好きすぎて…
一番好きなライダーはやっぱり仮面ライダーカブトです。
グッズもプレミアムバンダイのカブトのベルトが一番お気に入りです。ダークカブトも持ってますからね。
時々、家でも付けたりしてます(笑)
嫁、子どもが寝静まったころに、こっそりひとりでね。
仮面ライダーカブト 変身ベルトDXカブトゼクター
矢野通戦で使った仮面ライダーWの決め台詞
2010年かな、対戦してた矢野は反則行為ばっかりする選手だったので、決着戦の前に「お前の罪を数えろ!」って言ったら、「てめえで数えろ!」って言われたんですよ(笑)ショートコントみたいになってしまいました。
仮面ライダーの決め台詞っていうのは、プロのコピーライターさんが考えているので、もう完成しているんです。
あとは自分たちで使える場面を探す感じです。
仮面ライダーW
お気に入りの仮面ライダー曲
自分が出てるからではないですか、ウィザードのOP「Life is SHOW TIME
」が好きですね。
仮面ライダーウィザードOP:鬼龍院翔 from ゴールデンボンバー「Life is SHOW TIME」
EDはクウガですね。「青空になる」です。
仮面ライダークウガED:橋本仁「青空になる」
僕がチャンピオンで新日本プロレスワールドという配信サービスが始まる前なんですけど、客出しってあるじゃないですか、その時に音響さんに「青空になる」をかけてもらってたんですよ。あのED感が良かった。
あと面白かったのが、以前大阪大会でエアギターのポーズをして音響さんに合図したら、「青空になる」がかかっちゃったんです。そこでマイクとって、カラオケをしました。なんとかアドリブ効いたなって思いました。一番だけ歌って「愛してます」で終えました。それを未だに音響さんに言うと「やめてよ」って言われます(笑)
プロレスと仮面ライダーの共通点
「頭のなかで曲を再生できる能力があるんです」と真剣に語る棚橋さん。
仮面ライダーは強いんですけど、強力な怪人が出てきたりするとやられることもあります。
でもやられてもその都度新しいフォームを手に入れたり、パワーアップしたりして勝つじゃないですか。
プロレスもいいときばっかりじゃなくて、やられる時もあるんです。それでも諦めずに立ち向かっていく姿が、すごくシンクロするなって感じます。
だから僕の頭のなかでは反撃に移るときに、曲流れますもん。主題歌がね(笑)
反撃に移る時に実際には流れてないですけど、見てるお客さんの脳内に曲がながれるようなプロレスにしたいんですよね。
この曲がかかったら、反撃して勝つみたいな流れあるじゃないですか。そんなプロレスにしたいですね。
もし仮面ライダーと出会っていなかったら…
好きなものが一つ欠けるっていうのは、楽しみが一つ減るということですよね。
だからもしかしたら、仮面ライダーに代わる新しいものを見つけていたのかもしれないです。
あとは、違うタイプのレスラーになっていたと思います。ポーズもなんにもないから、筋肉だけが売りのレスラーになっていたかもしれません。それか見た目がいいだけのレスラー。
やっぱり仮面ライダーはプロレス人生にすごい影響を与えました。
念願の「仮面ライダー」映画への出演
仮面ライダーのお話をされている棚橋さん。目が輝いています。
出演のきっかけはある人気バラエティ番組
きっかけは『アメトーーク!』ですね。
SNSでずっとライダー好きを発信し続けていたのもあるんですが、出演させていただいた『アメトーーク!』の「仮面ライダー芸人」で、東映さんの目に止まったのが一番のきっかけです。
映画のオファーが来た時には食い気味にOKをだしましたね。話の途中で「出ます!」くらいの勢い(笑)
映画出演当時の心境
オファーをもらったときはめちゃくちゃ嬉しかったんですが、不安もありました。
演技の部分もそうなんですが、仮面ライダーっていうのはすごく世界感を大事にしているので、一度怪人で出てしまうと、もう次作でライダーにはなれないなと。
いつか最年長ライダーになりたいと思っていたのですが、一度怪人になってしまうとね。やっぱり出にくいですよね。
役作りで意識したポイント
役が自分は肉体派なのに、頭脳派キャラっていうところは面白かったです。
「お前が戦えよ!」っていう身体をしてるのに、一番パソコンを触ってましたからね。
僕は表情が笑い顔なので、悪者は悪者らしく見えるように、無表情を意識しました。
普段の棚橋との違いが少しでも出ればいいんじゃないかなって思ってやらせていただきました。
竹内涼真さんとの裏話
ライダー作品の現場は、スタッフ全員がライダー愛に溢れているんです。
自分みたいながガチガチのファンが行って浮いたらどうしようって思ったりもしたんですが、全然でした。みなさんもライダーが好きなことが伝わってきました。
室内で夏場の撮影で、生身で戦うシーンがあったんですが、竹内涼真さんのシーンがすごく長かったんです。
それで脱水症状とかにならないように休憩を入れていたんですけど、全部一人でやりきっていましたね。彼はめちゃくちゃ根性あるんだなと思いました。「これは人気でるな」って思ったら、もう出てました(笑)
スーツアクターの方も大変ですが、変身するまでのシーンも結構体を張っていたので。
竹内さんと戦ったシーンは思い出に残っていて、今でもDVDで見直したりします。
『仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー』の必見シーン
「明らかに肉体派なんだからお前が先に行けよ!って言われそうですよね」と微笑む棚橋さん。
棚橋がパソコン打ってるシーンかな(笑)
「お前が行けよ!」っていう突っ込みを入れたくなるようなシーンです。
あとジェネレーションズの醍醐味は、ライダーが少しずつそろっていって、最後にバーンと全員集合するところですね。あのシーンは鳥肌ものです。
仮面ライダー平成ジェネレーションズ Dr.パックマン対エグゼイド&ゴースト with レジェンドライダー
もしまた仮面ライダーに出演できるなら何役?
ライダーになりたいですけど、敵の幹部にもなってみたいですね。
ストーリーに絡んでくる、しつこい幹部。
僕が大事にしている”疲れない、落ち込まない、あきらめない。“ような怪人になりたいです(笑)
昭和&平成仮面ライダーの魅力
「昭和も平成も、どちらもちがう魅力があると思います」
昭和ライダーと平成ライダーの違い
昭和ライダーの時の悪役は、『ザ・怪人』だったんです。悪くて醜くて、まさにヒール。典型的な悪者だったんです。
でも平成ライダーが進んでいくにつれて、悪者もかっこよくなっていきました。
昭和ライダーは『正義と悪』っていう二元論的だったんですが、平成ライダーの龍騎、555(ファイズ)あたりから、それぞれの登場人物が自分なりの正義を持ち始めて、二元論では語れなくなっていったんです。
きっとこの部分が大人が見ても楽しめる要素なんじゃないかなと思います。
お気に入りの昭和ライダー
仮面ライダーストロンガーかな。
彼はめちゃくちゃ改造されてるんですよ。改造の度合いが高いんです。
あと主人公が作中で着てるTシャツのデザインが好きで、実際に持ってるくらいです。
今まで暗めの路線で来ていたライダーシリーズが、ストロンガーで作風が明るくなったところも魅力です。
仮面ライダーストロンガー
平成ライダーの魅力
特に平成初期、中期あたりは、大人も楽しめる要素がちりばめられているところが魅力です。
昭和ライダーの作風を引きずっている感じが良かったんですよ。主人公はやっぱり闇を抱えていて欲しくて。ビジュアルの良さも魅力です。
あとライダー俳優さんはみんな有名になっていきますよね。ファンはライダー作品に出演された方をずっと追い続けるんですよ。ライダー作品に出られる俳優さんっていうのは、年間を通して撮影数がとても多いので、第一話の演技と、最終話の演技は全然違うらしいです。経験値が全然違うからですね。
棚橋風ライダー作品の楽しみ方は、最終回だけ見続けることです。東映特撮ファンクラブに入っていて、それで見まくってます。そして毎回泣くっていう。
あとは好きな回だけ見るとか、仮面ライダーカブトでサソードが死ぬところとか、ガタックの弟が「お兄ちゃん…」って言って死ぬところとか。
平成ライダー作品になってから、怪人が人を殺さなくなってきてる。今も痛めつけたり、建物を壊したりとかはあったけど、平成初期は仲間が殺されたりとか結構あるんですよ。時代の流れも作風に現れますね。
令和ライダー『ゼロワン』
出典:amazon仮面ライダーゼロワン
ビジュアルが令和っぽい。シンプルですごくかっこいいですよね。
主人公と刑事役の人でヒューマギアに対する考え方が全然違うところが見所です。ヒューマギアに助けられて感謝している或人と、命を脅かされて目の敵にしている諫たちがどこで和解していくのかっていうところ。
あとは早い段階から、女性ライダーが活躍してるところかな。これも時代の流れかなって思いました。戦隊モノに女性がふたり入るのは当たり前になってきたんですけど、仮面ライダーはまだなかったので、これも時代を反映してますよね。
ビジュアルの話で言うと、僕は毎回東京ドーム大会でコスチュームチェンジをするんですが、毎年そこに仮面ライダーの要素を少しずつ入れるんです。なので、来年はゼロワン要素が入ってくる予定です。ベースを黒にして、アタッチメントを変えられるようにしたり。それかベースを白にしてちょっと寄せるかみたいな。まあでも許可取ってないので、エッセンスをもらうだけです。
あと僕マーベルも好きで、アイアンマンの配色がゼロワンの要素と似てるなって思ってます。なので、メタリックな赤にもしたいなって思ってます。でもバレたらマーベルとライダー両方から怒られるっていう(笑)
大切なことは仮面ライダーが教えてくれた
「後ろめたさというか、真っ白じゃない少し闇を抱えているところが、何か共感できるんです。」
仮面ライダーに惹かれる最大の理由
子どもの頃はテレビ放送くらいしか情報を得られなかったし、娯楽の選択肢も少なかった。ヒーローもウルトラマン、仮面ライダー、キン肉マンくらいでした。
今はもうテレビ以外から情報を得ている子も多いじゃないですか。YouTubeとか。でもアラフォーたちはテレビからの情報で育っていますから。
でも仮面ライダーの何に一番惹かれるかっていうと、元々ライダーっていうのはショッカー側で改造人間なんですよね。そこから正義の立場になっていくところが、なんかこう後ろめたさというか、真っ白じゃない少し闇を抱えているところが、何か共感できるんです。
「根っから良いやつってなかなかいないもんな」っていう感覚。不条理を抱えながらも、正しく生きようとすることは人間だれでもできますよね。そこに共感できる人が多いんじゃないかな。
黒になってしまっても、白を足していけば、次第にグレーになって、きわめて白に近い黒になることはできるんです。
仮面ライダーが教えてくれたこと
ひとつひとつ言葉を大切に選びながら語ってくださりました。
「みんなが何かしらの闇を抱えながら、前向きに頑張って生きている」ことを仮面ライダー作品は教えてくれます。
強い怪人が負けることもあるけど、そのたびにパワーアップしたり、仲間が現れたりしたりしてあきらめずに立ち向かっていく姿が良いですよね。
昔ながらの勧善懲悪にも惹かれますし、一人一人のキャラクターの魅力があるのも見所です。
当社は、本記事に起因して利用者に生じたあらゆる行動・損害について一切の責任を負うものではありません。 本記事を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者本人の責任において行っていただきますようお願いいたします。
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