SHARE

contents kv

出典:amazon

2017/04/04
979 0

中島らも『ぷるぷる・ぴぃぷる』収録小説は新作落語に脚本、小説まで盛りだくさん!?

落語にコントの脚本に、オマケに小説までついてくるお得な一冊。悲恋あり、家庭内戦争ありでもくすっと来ること請け合いです。中島らも作品の入門編にぜひ読んでみてください。

目次

中島らも『ぷるぷる・ぴぃぷる』収録小説の幅広さ

新作落語に脚本、小説とさまざまな形式で、そのどれもが中島らもの独特なセンスが光る逸品です。

真面目なのか、ふざけているのか、あるいはどっちもをいっぺんにやっているのか。そんなことを考えてしまうのは最初だけで、あとは心地よいテンポの文章に乗せられて、どうでもよくなってしまいます。

『ぷるぷる・ぴぃぷる』収録作品①新作落語

まずはじめには、中島氏が書き上げた新作落語のシナリオが2本収録されています。片方は江戸時代、もう片方は現代を舞台にした全く違う雰囲気の作品です。落語家さんがどういう風にこれを演じるのか、想像しながら読むと楽しさ倍増ですよ。

『ぷるぷる・ぴぃぷる』新作落語:曼荼羅散華

もとはヨーロッパの怪奇小説だったのを、日本の江戸時代を舞台にやってしまうという、なんとも突飛な発想の作品です。 

医者見習いの若者が、先生の知人に届け物をするところから物語は始まります。ところが届け先の人物が一癖も二癖もある。いわゆるマッドサイエンティストというやつでしょう、がりがりにやせて顔色悪く、鷲鼻のその容貌もさることながら、特筆すべきは部屋中に積み上げられたガラス瓶。彼は「薬というものはすべて毒からできる」という信条を持っており、部屋にある薬品類はすべて毒物です。

何やら気分が悪くなってきた若者は気分転換に庭に出ますが、こちらも薬草、もとい毒草のオンパレード。南蛮渡来のものと思しき、見たことのない花も咲いております。その花の傍にすっと立ち上がったのは、「花も恥じらう」という表現がぴったり来そうな美しい娘さん。若者は彼女に一目ぼれをしてしまいますが、彼女は決して恋してはいけない相手だったのでした。

もとになった小説は「ラパチーニの娘」。それぞれ読み比べてみるのも、一興でしょう。

『ぷるぷる・ぴぃぷる』新作落語:神も仏もアルマジロ

タイトルでずっこけそうなこの作品、内容はずばり「家庭内宗教戦争」。

翌朝早くに出張が入ってしまい、自宅からは間に合わないということで、上司の家に泊めてもらったサラリーマン。しかし上司宅では家庭内宗教戦争の真っただ中なのでした。

そもそも家庭内宗教戦争とはどういう状況なのかというと、家族全員が違う宗教を信仰しているため、いろいろと家庭生活に差しさわりが出ているということです。

なにせ落語で、面白がらせるためのストーリーですから、家族全員冷戦状態ではツマラナイ。主人公を伴って帰ってきたキリスト教徒の上司に、不意打ちで踏み絵をさせようとする仏教徒の奥さん。

それをかわして一杯やろうと、「冷蔵庫からビールを取ってきてくれ」と言われた主人公が冷蔵庫を開ければ、そこでは息子さんが山伏の修行中で凍えています。昨年亡くなったおじいちゃんはゾンビになって甦り、娘さんも宗教上の理由でガソリンをまいて放火を試みる…と、収拾がつかない家庭です。

主人公は毎度毎度、上司の家族に驚き、あきれ、時には捕食されそうになりながら、我々読者の分身として常識的な意見をしてくれますが…。

『ぷるぷる・ぴぃぷる』収録作品②ぷるぷる・ぴぃぷる

テレビ、ラジオ、舞台用の短いコントをまとめたのがこちら。タイトルにもなっている通り、本書のメインコンテンツです。1ぺージ、長くても5ページほどのショートコントは、さくっと読めてしっかり笑える優等生揃い。

怪しいラジオ講座「生活に役立つお武家様言葉」で行使のお武家様が切腹した後、続く番組「人体生理学講座」で”実際のサンプル”が「ズルズルベチャベチャッ」と登場したり、歯医者にやってきて「口の中にインド人の一家が住み着いているようだ」と主張する患者さんがいたり、「トイレが100畳くらいあって馬小屋のついた家」を探し求める男がいたり、というしっちゃかめっちゃかぶりです。

短さゆえに、次から次へと読んでしまえるところも魅力的。

『ぷるぷる・ぴぃぷる』収録作品③小説

「フレームレス・TV」と銘打たれたこの小説は、宇宙人の侵略ものです。SFはSFでも「サイエンスフィクション」というより「すこしふしぎ」な雰囲気です。

それは登場する宇宙人の「ゆるさ」もあることでしょう。何とも人間臭い3人の宇宙人たちに対するは、人間離れしてキャラの濃い人間たちです。自称妖怪研究家や、「バカにつける薬」を開発した科学者などなど。

あちらこちらへ飛んでいくストーリーに翻弄されるのを楽しみましょう。

参考元

  • ・ぷるぷる・ぴぃぷる集英社

当社は、本記事に起因して利用者に生じたあらゆる行動・損害について一切の責任を負うものではありません。 本記事を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者本人の責任において行っていただきますようお願いいたします。

合わせて読みたい

「漫画・本」人気ニュースランキング