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2017/04/04
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ぷるぷるしちゃう、面白さ【ぷるぷる・ぴぃぷる】

落語にコントの脚本に、オマケに小説までついてくるお得な一冊。悲恋あり、家庭内戦争ありでもくすっと来ること請け合いです。中島らも氏の作品の、入門編に是非。

目次

・楽しさいろいろ、盛りだくさん

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 新作落語に脚本、小説と様々な形式で、そのどれもが中島らも氏独特の、センスが光る逸品です。
 真面目なのか、ふざけているのか、あるいはどっちもをいっぺんにやっているのか。そんなことを考えてしまうのは最初だけで、あとは心地よいテンポの文章に乗せられて、どうでもよくなってしまいます。
 本書を決して夜に開いてはいけません。なぜならきっと、夜更かしする羽目になりますから。

・その1 新作落語

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 まずはじめには、中島氏が書き上げた新作落語のシナリオが2本収録されています。片方は江戸時代、もう片方は現代を舞台にした全く違う雰囲気の作品です。落語家さんがどういう風にこれを演じるのか、想像しながら読むと楽しさ倍増ですよ。

曼荼羅散華

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 もとはヨーロッパの怪奇小説だったのを、日本の江戸時代を舞台にやってしまうという、なんとも突飛な発想の作品です。 

 医者見習いの若者が、先生の知人に届け物をするところから物語は始まります。ところが届け先の人物が一癖も二癖もある。いわゆるマッドサイエンティストというやつでしょう、がりがりにやせて顔色悪く、鷲鼻のその容貌もさることながら、特筆すべきは部屋中に積み上げられたガラス瓶。彼は「薬というものはすべて毒からできる」という信条を持っており、部屋にある薬品類はすべて毒物です。
 何やら気分が悪くなってきた若者は気分転換に庭に出ますが、こちらも薬草、もとい毒草のオンパレード。南蛮渡来のものと思しき、見たことのない花も咲いております。その花の傍にすっと立ち上がったのは、「花も恥じらう」という表現がぴったり来そうな美しい娘さん。若者は彼女に一目ぼれをしてしまいますが、彼女は決して恋してはいけない相手だったのでした。

 もとになった小説は「ラパチーニの娘」。それぞれ読み比べてみるのも、一興でしょう。

神も仏もアルマジロ

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 タイトルでずっこけそうなこの作品、内容はずばり「家庭内宗教戦争」。
 翌朝早くに出張が入ってしまい、自宅からは間に合わないということで、上司の家に泊めてもらったサラリーマン。しかし上司宅では家庭内宗教戦争の真っただ中なのでした。
 そもそも家庭内宗教戦争とはどういう状況なのかというと、家族全員が違う宗教を信仰しているため、いろいろと家庭生活に差しさわりが出ているということです。
 なにせ落語で、面白がらせるためのストーリーですから、家族全員冷戦状態ではツマラナイ。主人公を伴って帰ってきたキリスト教徒の上司に、不意打ちで踏み絵をさせようとする仏教徒の奥さん。それをかわして一杯やろうと、「冷蔵庫からビールを取ってきてくれ」と言われた主人公が冷蔵庫を開ければ、そこでは息子さんが山伏の修行中で凍えています。昨年亡くなったおじいちゃんはゾンビになって甦り、娘さんも宗教上の理由でガソリンをまいて放火を試みる……と、収拾がつかない家庭です。主人公は毎度毎度、上司の家族に驚き、あきれ、時には捕食されそうになりながら、我々読者の分身として常識的な意見をしてくれますが……。

・その2 ぷるぷる・ぴぃぷる

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 テレビ、ラジオ、舞台用の短いコントをまとめたのがこちら。タイトルにもなっている通り、本書のメインコンテンツです。1ぺージ、長くても5ページほどのショートコントは、さくっと読めてしっかり笑える優等生揃い。
 怪しいラジオ講座「生活に役立つお武家様言葉」で行使のお武家様が切腹した後、続く番組「人体生理学講座」で”実際のサンプル”が「ズルズルベチャベチャッ」と登場したり、歯医者にやってきて「口の中にインド人の一家が住み着いているようだ」と主張する患者さんがいたり、「トイレが100畳くらいあって馬小屋のついた家」を探し求める男がいたり、というしっちゃかめっちゃかぶりです。
 短さゆえに、次から次へと読んでしまえるところも魅力的。

・その3 小説

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 「フレームレス・TV」と銘打たれたこの小説は、宇宙人の侵略ものです。SFはSFでも「サイエンスフィクション」というより「すこしふしぎ」な雰囲気です。それは登場する宇宙人の「ゆるさ」もあることでしょう。何とも人間臭い3人の宇宙人たちに対するは、人間離れしてキャラの濃い人間たちです。自称妖怪研究家や、「バカにつける薬」を開発した科学者などなど。
 あちらこちらへ飛んでいくストーリーに翻弄されるのを楽しみましょう。

参考元

  • ・ぷるぷる・ぴぃぷる集英社

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