日本で最も人気のあるアメコミヒーローのスパイダーマン。蜘蛛の力を手に入れた普通の高校生の活躍や葛藤を描く、最初の実写映画シリーズです。サム・ライミ監督による3部作のストーリーについて、さまざまな視点から分析していきたいと思います!
サム・ライミ版3部作は、2002年に初めて長編実写映画として公開されたスパイダーマンの映画です。
サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演により制作された本作は、後に公開されるスパイダーマン映画の原点となり、他のアメコミ・ヒーロー映画全体に多大な影響を与えました。
全世界で大ヒットを記録し、最新技術を使用したVFXも高く評価され、アカデミー視覚効果賞も受賞しています。
スパイダーマンはなぜここまでファンに愛されるのか?
特に日本ではどのヒーローよりも人気があります。公開から17年が経過しても、未だにアメコミ映画の日本国内興行収入は歴代1位を保持。
本作を支えるストーリーを解き明かし、分析していきたいと思います!
『スパイダーマン』サムライミ監督版の概要・あらすじ
出典:amazon『スパイダーマン』シリーズ第1作です。
「超人の能力を身につけてしまった普通の少年」の物語を描くヒューマン・ドラマとしての要素が強く、主人公のさまざまな葛藤や悩み、それらを乗り越えていく様子が表現されています。
アメコミ原作の映画では日本国内興行収入は歴代1位となっています。
『スパイダーマン』サムライミ監督版あらすじ①スパイダーマン誕生
出典:amazonストーリーは主人公の「僕が誰かって?」というモノローグから始まります。
ピーター・パーカーは、ニューヨークのクイーンズで伯父・伯母の夫婦と暮らしている、冴えないギークの高校生です。
幼馴染のメリー・ジェーン・ワトソン(愛称:MJ)に長年恋心を寄せていますが、想いを伝えられずにいます。
親友のハリー・オズボーンとミッドタウン高校で学生生活を送っていますが、校内では屈強なジョックのフラッシュ・トンプソンなどにからかわれていました。
ある日、ピーターは高校の授業の一環で、コロンビア大学の自然科学部を見学します。
そこでは蜘蛛の研究が行われていて、遺伝子操作により生み出された新種の蜘蛛が展示されていました。
その内の1匹がいつの間にか逃げ出していて、ピーターに噛みつきます。
ピーターはその夜、蜘蛛の毒により熱にうなされ、苦しみます。
しかし、翌朝目を覚ますと体は筋骨隆々となり、近眼だったはずなのに眼鏡が必要ないほどの視力になっていたのです。
不思議に思いつつも登校したピーターは更に驚くことになります。
危険を事前に察知できるようになり、反射神経も驚異的なものになり、腕力は屈強なフラッシュを叩きのめせるほど。
壁に張り付いて登り、ビルからビルへと跳躍し、更に手首からは蜘蛛の糸が飛び出すようになっていました。
ピーターは新種の蜘蛛に噛まれたことで蜘蛛の能力を手に入れたのです!
一方で、ハリーの父親にして科学者のノーマン・オズボーンが社長を務める科学軍需企業オズコープ社では、問題が起きていました。
以前から研究していた身体能力強化剤の人体実験を成功させなければ、軍からの研究資金が途絶えてしまうのです。
強化剤は効果はありましたが、凶暴性や攻撃性が増してしまうという副作用があったため、人体実験が行えずにいました。
焦ったノーマンは自らが実験台となり、強化剤を投与して人体実験を行います。
その結果、身体能力は飛躍しましたが、ノーマンの中には凶暴な別人格にして本作のヴィラン「グリーン・ゴブリン」が生まれてしまいました。
別人格はノーマンの体を操り、オズコープ社のライバル社を襲撃し、軍はオズコープ社に頼らざるを得ない状況へと変えてしまいます。
ピーターは蜘蛛の能力のことは誰にも話していませんが、大きな力を手に入れたことで自信を持ち、なんとかMJを振り向かせたいと考えました。
そこで、アマチュア・レスリングのイベントに参加して賞金で車を購入する計画を立てます。
そして当日、アマレス会場に出かける前に伯父のベン・パーカーと話をします。最近ピーターの様子が変わったことについての話でした。
蜘蛛の能力に夢中になるあまり、伯父や伯母と疎遠になりがちで、学校ではフラッシュを殴り倒したこともあり、心配していたのです。
勝てるからといってケンカをしていいわけではありません。
そして「大いなる力には大いなる責任が伴うんだ」とベンおじさんは語ります。
しかしピーターは真剣に捉えず、「父親みたいな口をきくのはやめてくれ」と怒鳴り、その場を去ってしまいます。
そして、アマレス会場に向かったピーターは簡単なマスクで顔を隠しただけの姿で参加し、イベント司会者に「スパイダーマン」と紹介されます。
イベントに勝利しますが、主催者は屁理屈をつけてピーターに賞金を払いません。
直後に、その場に銃を持った強盗が現れ主催者から大金を強奪します。
腹が立っていたピーターは強盗を見逃がし、主催者には「僕には関係のないことだ」と吐き捨てます。
しかし、この行動が思わぬ悲劇を生むことになってしまうのです。
『スパイダーマン』サムライミ監督版あらすじ② スパイダーマンを襲う、突然の悲劇
ベンおじさんが迎えに来る予定の場所に人だかりができていました。
ピーターは驚愕します。そこに倒れていたのは、なんとベンおじさんだったのです。
車泥棒がベンおじさんの車を盗み、おじさんを撃って逃げたとのことでした。
ピーターは必死に呼び掛けますが、ベンおじさんは帰らぬ人となってしまいました。
怒りに駆られたピーターは、蜘蛛の糸でビルからビルへと飛び、ベンおじさんを殺した車泥棒を追跡します。
廃墟ビルに車泥棒を追い詰めますが…。間近で泥棒の男の顔を見たピーターは衝撃を受けます。
その男は、自分がアマレス会場で見逃した強盗だったのです!
そして、その男はバランスを崩してビルから転落死してしまいました。
ピーターは自分の軽率な行動により父親に等しいベンおじさんを失うという応酬を受けることになってしまい、深く悲しみました。
おじさんの言う通り、大いなる力には大いなる責任が伴うことを身をもって知ったのです。
その後、高校を卒業したピーターはベンおじさんの言葉から、自身の力を私利私欲のためではなく、誰かを助けるために使うことを決意します。
自作の蜘蛛をイメージしたコスチュームを纏い、「親愛なる隣人 スパイダーマン」としてニューヨークを飛び回り、強盗や泥棒などを倒す自警活動を始めました。
ピーターとハリーは大学へ通うため、ルームシェアで部屋を借ります。
MJはブロードウェイで女優になるため、ウェイトレスの仕事をしながら一人暮らしを始めます。
しかしMJはいつの間にかハリーと付き合い始めていました。
ハリーはピーターのMJへの気持ちは知った上での交際でしたが、ピーターはハリーを責めることはありませんでした。
ニューヨークの人々はスパイダーマンの話題で持ち切りとなります。
しかし大手新聞社「デイリー・ビューグル」の社長J・ジョナ・ジェイムソン(略称:JJJ)はスパイダーマンはヒーローではなく自警団を気取っているだけの犯罪者だと決めつけてかかり、彼の犯罪の証拠を掴んでやると意気込みます。
その一方で、スパイダーマンの記事は売れるので彼の写真が必要となります。
スパイダーマンの写真を撮るカメラマンが募集されることになりました。
学費が必要だったピーターは、スパイダーマンの写真を撮るカメラマンとしてオズコープ社で働き始めます。
『スパイダーマン』サムライミ監督版あらすじ③ スパイダーマンの敵、グリーン・ゴブリンの登場
一方、オズコープ社では役員の陰謀が企てられていました。
ノーマンが役員会議により解雇されてしまったのです。
あれからライバル社が建て直しに成功したため、オズコープ社を売ってしまおうという陰謀でした。
ノーマンは身を捧げてきた会社を奪われたことで、狂気に走り始めます。
その後、オズコープ社の調和式典のパーティーイベントが開かれます。
ピーターもカメラマンとして参加し、社長の息子であるハリーとその恋人のMJも出席します。
そこにオズコープ社の緑のスーツを纏い、兵器「グライダー」に乗った怪人グリーン・ゴブリンが現れ、役員を殺害していきます。
会場は大混乱となりますが、ピーターはスパイダーマンとなってグリーン・ゴブリンと戦います。
激戦となりますが、グライダーを故障させられたゴブリンはその場を逃亡しました。
緑の怪人の正体はノーマンでした。
ノーマンはようやく自分の中の別人格(グリーン・ゴブリン)に気が付きます。
自分にとって邪魔なライバル社や役員を消していたのです。ゴブリンはノーマンをそそのかし、スパイダーマンが邪魔だと語ります。
ゴブリンはスパイダーマンに自分と手を組むよう誘います。
「ヒーローなんかやめて、俺と組めば何だってできる。必死に戦っても結局市民には嫌われるだけだ」と語ります。
確かにJJJのようにスパイダーマンのことを悪く言う人もいます。
ピーターは苦悩しますが、その直後に暴漢に襲われたMJを救助します。
そして、MJからキスされたことで勇気を取り戻し、グリーン・ゴブリンと戦う決意をします。
その後の感謝祭の日、ふとしたことでノーマンはスパイダーマンの正体がピーターであることを知ります。
ピーターはハリーの親友であったためノーマンとも面識はあり親しかったので、ノーマンはピーターを傷つけることに躊躇います。
しかしグリーン・ゴブリンは容赦しません。
ピーターがMJに恋していることを知ると、彼女を誘拐し、スパイダーマンを橋へとおびき寄せます。
そして、偶然その場に居合わせた子どもたちとMJを人質にとり、「どちらか好きな方を助けろ」と選択を迫りました。
『スパイダーマン』サムライミ監督版あらすじ④ スパイダーマンVSゴブリン
出典:amazonスパイダーマンはなんとか全員を救出しましたが、ゴブリンに捕まり、廃墟の建物で痛めつけられます。
大きなダメージを負い、追い詰められたスパイダーマンに、ゴブリンは「お前を殺した後、MJをゆっくりいたぶってやる」と告げ、とどめを刺そうとします。
しかし、その言葉にピーターは怒りで力を増し、ゴブリンを圧倒します。
形勢は逆転し、追い詰められたゴブリンは自らマスクを外し、正体を明かしました。
ノーマンは「人殺しはゴブリンであって、私じゃないんだ。助けてくれ、ピーター。私は父親のように接してきたじゃないか」と訴えかけます。
しかしそれはゴブリンによる演技であり、命乞いをしながらグライダーを遠隔操作しスパイダーマンを背後から串刺しにしようとしていました。
グライダーが迫っていることに気づいたピーターは咄嗟に避けます。
しかし、勢いがついたグライダーはノーマンの体を貫きました。
致命傷を負ったノーマンは「ピーター…。ハリーには言うな」とだけ語り、死亡します。
ピーターはノーマンがグリーン・ゴブリンだったことは秘密にしましたが、ハリーは父親を殺したのはスパイダーマンだと誤解してしまいます。
スパイダーマンへの復讐を誓うハリーにピーターは何も言えませんでした。
一方で、ハリーとMJは既に破局していました。
MJはピーターに「橋でゴブリンに捕まったとき、頭によぎったのはあなただった」と語ります。
そして「いつもそばにいて自信を与えてくれた。あなたを愛してるわ、ピーター」と言いキスをします。
しかし、ピーターは彼女に想いは伝えず、その場を去ります。
スパイダーマンである自分と一緒にいては、また彼女が危険に晒されるかもしれないためです。
それが正しいことだとピーターは自分に言い聞かせます。
モノローグでピーターは語ります。
「この先何があろうと、ベンおじさんのこの言葉は一生忘れない。
“大いなる力には大いなる責任が伴う”
僕が誰かって? スパイダーマンさ」
こうして、普通の少年ピーター・パーカーがスパイダーマンになるまでを描いた物語は幕を閉じます。
『スパイダーマン2』サムライミ監督版の概要・あらすじ
出典:amazon前作の直接の続編となる『スパイダーマン』シリーズ第2作です。
前作と同様に主人公の葛藤をメインに描かれたヒューマン・ドラマであり、「ヒーローとして生きるか、普通の人間として生きるか」ということがテーマとなっています。
シリーズ最高傑作との呼び声も高く、特に2度のアカデミー脚色賞受賞の経験を持つアルヴィン・サージェントによる脚本は非常に高く評価されています。
『スパイダーマン2』サムライミ監督版あらすじ①スパイダーマンとピーター
グリーン・ゴブリンとの戦いから2年が経ちました。MJとピーターの関係は友人のままです。
そんなピーターの日常は多忙を極めるものでした。
スパイダーマンとしての自警活動、大学での学業、学費や生活費のためのアルバイト、そしてMJや伯母や友人との交流…。時間が全く足りません。
ピザの宅配アルバイトは遅刻続きでクビになってしまい、お金を稼ぐにはスパイダーマンの写真をデイリー・ビューグルに売るしかありませんが、新聞は悪口ばかり書くので気が進みません。
また、親友のハリーはスパイダーマンが父親ノーマンを殺したと思っているため、「スパイダーマンの写真を撮るカメラマン」ではいたくなかったのです。
そうして稼いだお金も家賃には足りず、滞納が続いています。
大学の講義にもろくに出れず、カート・コナーズ教授からは怒られてばかり。
核融合のレポートを提出しなければいけないため、コナーズの友人の原子核物理学者であるDr.オットー・オクタビアスに会って話を聞くことになりました。
ハリーはノーマンの死後、オズコープ社の経営に携わっていました。
社運を懸けて、Dr.オクタビアスの研究していた核融合エネルギープロジェクトに投資していたのです。
ハリーの紹介もあり、ピーターはオクタビアスと対面。
オクタビアスは妻のロージーを大切にする愛妻家の誠実な人物で、「知性とは贈り物で、人々のために使うもの」という信念を持っていました。
ピーターもその考えに感銘を受け、オクタビアスと親しくなります。
一方で、MJは舞台女優として実績を重ね、舞台でメインキャストを演じられるほどになっていました。
ある日、ピーターは彼女の舞台を見に行くと約束をしますが、劇場へ向かう途中で強盗に出くわしてしまい、スパイダーマンとなって鎮圧します。
結局舞台には間に合わず、傷ついたMJから「あなたなんか、もう友達じゃないわ」と告げられてしまいます。
『スパイダーマン2』サムライミ監督版あらすじ②オクタビアスの核融合実験
出典:amazon後日、オクタビアスの核融合装置の公開実験が行われます。
実験にはオクタビアス、ロージー、ピーター、ハリーも同席します。
実験を行うにあたって、オクタビアスが開発した「人工アーム」という機械が使用されます。
脊椎部分に装着することで装着者の意のままに操作できる4本のアームで、核融合の熱や磁力にも耐えられる頑強なものでした。
アームにはAIが搭載されていますが、装着者がそのAIに支配されないよう制御チップが搭載されています。
オクタビアスが装着し、実験が開始されます。
核融合にはトリチウムという希少な素材を使用(提供者はハリー)。
実験が開始され核融合は成功したかに思えましたが…。核融合装置は突然強力な磁場を発生し始め、周囲を吸い込み始めました。
オクタビアスは制御可能だと主張し実験を継続しようとします。
しかし、磁力により周囲のガラスが破壊され飛び散り、それによりロージーが死亡してしまいます。
危険を察知したピーターはスパイダーマンとなり、電力供給プラグを引き抜いたことで装置はようやく停止しました。
実験は失敗に終わります。
オクタビアスは気を失いましたが、装置の暴走により制御チップが破壊され、彼の意識はアームのAIに乗っ取られていました。
アームは周囲の者を殺害し、オクタビアスとともに姿を消します。
デイリー・ビューグルはアームに乗っ取られたオクタビアスを、手足とアームの合計が8本であることにちなんで「Dr.オクトパス」と名付けました。
Dr.オクトパスはアームのAIにそそのかされ、より大きな核融合装置を作り直し、大量のトリチウムを使って再度実験を行うことをたくらみます。
こうして本作のヴィランが誕生しました。
後日、ピーターは伯母のメイ・パーカーと銀行に訪れ、融資の相談をしていました。
しかしそこにDr.オクトパスが現れ、銀行のお金を強奪します。
ピーターはスパイダーマンとなり阻止しようと戦いますが、オクトパスはメイおばさんを人質にとり、逃げ出します。
なんとかおばさんは救出しましたが、オクトパスには逃げられてしまいます。
助けられたメイおばさんは「ありがとう、あなたを誤解していたわ」と、新聞で言われているように悪人だと思っていたスパイダーマンへの認識を改めました。
『スパイダーマン2』サムライミ監督版あらすじ③スパイダーマンの苦悩
その後、デイリー・ビューグルのJJJ社長の息子が宇宙飛行士となったことを祝うパーティーが開かれます。
ピーターはカメラマンとしてJJJに呼び出され、ハリーも出席します。
しかしハリーは先のオクタビアスの実験プロジェクト失敗により大金を失い、荒れていました。
そのパーティーで、JJJの息子のジョンが婚約を発表しますが、その相手はMJでした。
ショックを受けるピーターに更に追い打ちをかけるように、ハリーが詰め寄ります。
「父を殺したスパイダーマンの写真ばかり撮って、そんなにあいつが大事か? 父は優秀なお前ばかり気にかけて、俺のことは見てくれなかった。父が死んだのは、お前がスパイダーマンの悪事を暴こうとしなかったからだ。友達ヅラするな!」
ピーターはMJもハリーも失い、ますます精神が疲弊していきます。
更に、その精神が原因でスパイダーマンの蜘蛛の能力も不安定になり、力が使えなくなりつつありました。
ベンおじさんが言っていた“大いなる力には大いなる責任が伴う”という言葉に従ってやってきましたが、もう限界でした。
スパイダーマンではなくただのピーター・パーカーとしての人生を生きたいと考えるようになります。
ピーターはスパイダー・スーツを破棄し、もう二度とスパイダーマンにはならないと決意します。
自警活動をやめたピーターは徐々に気力を取り戻し、大学の講義には遅刻せずに出席し優秀な成績を収めます。
身なりを整え、MJの舞台も見に行けるようになりました。
スパイダーマンの重責から解放され、充実したキャンパスライフを送ります。
しかし、MJは今更婚約を破棄するわけにもいきません。
また、捨てられたスパイダー・スーツはデイリー・ビューグルに送られ、彼が廃業したことが報じられます。それにより街の犯罪率は75%も増加していました。
そんな中でピーターはビルの火事に遭遇します。
スパイダーマンの力を失っても人々を見捨てることはできず、ビルの中に飛び込み子どもを1人救助します。
しかし、後に消防隊員からビルの中にはもう1人残っていて、その人は助からなかったことを告げられ、ショックを受けます。
スパイダーマンを辞めても苦悩は尽きません。
ピーターは自分の好きなように生きることすらできないのでしょうか?
ピーターはメイおばさんに会いに行きます。近所の子どものヘンリーと一緒に家の片付けをしていました。
ヘンリーはスパイダーマンを尊敬していたため、彼に戻ってきてほしいと願っていました。
そんなヘンリーを見てメイおばさんは言います。
「ヘンリーのような子どもたちには、ヒーローが必要なの。勇敢で自分を犠牲にしてまでも、みんなの手本となってくれる人。私みたいな年寄りだって助けてくれた。
みんなヒーローを愛している。
その姿を見て応援し、名前を呼び、何年も経って語り継ぐでしょう。苦しいときでも“諦めてはいけない”と教えてくれた人がいたことを。
誰しもの心の中にヒーローがいると思うわ。だから正直に生きられるし、強くもなれるし、気高く生きられる。そして最後には誇りを抱いて死ねる。
…でも、そのためには毅然として、一番大事なものを諦めなくちゃならないこともある―。たとえ夢さえも」
その言葉で、ピーターの中で何かが変わりました。
『スパイダーマン2』サムライミ監督版あらすじ④スパイダーマンの復活
一方で、Dr.オクトパスは核融合装置のために、ハリーに前回より大量のトリチウムをよこせと強要します。
ハリーは了承する代わりに、スパイダーマンを生きたまま自分のところまで連れてくるように要求しました。
後日、MJとピーターが喫茶店で話していると、そこに突然Dr.オクトパスが現れました。
ピーターがスパイダーマンのカメラマンなら、居場所を知っているはずだと詰め寄ります。
MJを人質にとり、スパイダーマンをウエストサイドのタワーに来させるように告げるのです。
MJを攫われたことで怒りに駆られたピーターは、蜘蛛の能力を取り戻しました。
そして、再びスパイダーマンとして戦う決意をします。
デイリー・ビューグル社ではJJJが自分の息子の婚約者が誘拐されたことを知ります。
JJJは落ち込んで「私がスパイダーマンを追い払ったせいだ。彼はヒーローだったのに、それがわからなかった…」と嘆きます。
ところが、その直後に社内に展示してあったスパイダー・スーツがいつの間になくなっていることに気づくと一転して、「泥棒!犯罪者め!あいつは街の敵だ!スパイダーマンを捕まえろー!」と叫び、スパイダーマンが復活したことを報じる号外を出しました。
タワーでDr.オクトパスとスパイダーマンの激闘が始まります。
乱戦となった2人はニューヨークを走る電車の上で戦うことになりますが、両者の力は拮抗してなかなか決着がつきません。
業を煮やしたオクトパスは、電車を最大速度まで加速した上でブレーキを破壊し、暴走させます。
このままでは一般市民が乗る電車が橋から落下し大変なことになってしまいます。
スパイダーマンは身を挺して、なんとか止めることに成功しますが、気絶してしまいます。
倒れたスパイダーマンを乗客が介抱しますが、そこにオクトパスが戻ってきました。
スパイダーマンを渡すよう要求するオクトパスに乗客達は「スパイダーマンは渡さない。俺達が相手だ」と主張し、守ろうとします。
しかし普通の市民が到底敵うはずもなく、スパイダーマンはオクトパスに捕らえられることになってしまいました。
気を失ったスパイダーマンはハリーの家に連れて行かれ、オクトパスは大量のトリチウムを受け取って去りました。
ハリーはスパイダーマンを殺そうとマスクを剥ぎますが、その正体がピーターだとわかり驚愕します。
目を覚ましたピーターはハリーに正体が知られたことに動揺しますが、今は彼と話している場合ではありません。
オクトパスが装置を再建し、MJも恐らくそこにいることを知り、マスクを着用して救出に向かいます。
装置は川の上に建てられた小屋の中にあり、既に起動していました。
再び激戦となり、オクトパスは感電して戦闘不能となりましたが、装置は電力供給プラグを抜いても止まりません。
このままでは街が吹き飛んでしまいます。
装置を止めるため、スパイダーマンはマスクをとり、素顔でオクタビアスを説得します。
オクタビアスはなおも装置を止めさせないためにピーターを押さえつけますが、ピーターは説得を続けます。
「あなたは知性とは贈り物で、人々のために使うべきだと言っていました。そのアームがあなたを変えているんです。言いなりにならないでください」と語るピーターにオクタビアスは動揺します。
それでも「この装置は私の夢だったんだ」と語るオクタビアスに、ピーターはメイおばさんの言葉を告げます。
「正しいことのためには、時には毅然として一番大事なものを諦めなくちゃならないこともあります―。たとえ夢であっても」
その言葉が正しいことに気がついたことで、オクタビアスの意識は完全に戻り、アームを自身のコントロール下に置くことに成功します。
装置を止めるためには、装置全体を川に沈めるしかないとのこと。
オクタビアスはアームのパワーを全開にして装置を沈めていきます。
この方法ではオクタビアスも装置とともに川に落ちることになってしまいますが、「怪物のままでは死ねない!」と躊躇せず、装置もろとも川に沈んでいきました。
装置は止まり、ピーターとMJはその場を脱出。
ピーターはMJにも自身の正体がスパイダーマンであることを知られます。
MJは彼が多忙だった理由を察しますが、ピーターは「スパイダーマンには常に敵がいる。君を愛しているけど、巻き込めない。僕はいつまでもスパイダーマンだ」と語り、別れます。
その頃、スパイダーマンへの恨みを募らせてきたハリーは、彼の正体が親友のピーターだと知り動揺し、その精神は不安定な状態になっていました。
遂には父ノーマンの幻影を見るほどにまでなってしまったハリーは、家の隠し部屋で身体能力強化剤とグリーン・ゴブリンの装備を見つけます。
父の正体がゴブリンだったことを知りますが、それでも父の仇であるスパイダーマンに2代目グリーン・ゴブリンとして復讐することを誓います。
その後、MJはジョンとの結婚式の準備をしていましたが、悩んだ末に式の直前にその場を逃げ出し、ピーターのもとへ向かいます。
そして「あなたの気持ちもわかるけど、私の決めたことも尊重して。あなたとともに立ち向かうわ。中途半端な気持ちで生きるなんて間違っている」とピーターに告げます。
こうして、ピーターとMJはようやく結ばれ、映画は幕を閉じます。
『スパイダーマン3』サムライミ監督版の概要・あらすじ
出典:amazon前作の続編で、『スパイダーマン」の完結編となる第3作目です。
本作ではヴィランが複数登場し、主人公すらも悪に染まってしまうという展開が描かれます。
全世界興行収入は歴代1位とヒットしましたが、脚本は詰め込みすぎという声が多く、評価は賛否両論でした。
特に原作の人気キャラクターであるヴェノムがほとんど別人となっていることも評価を下げる一因となりました。
『スパイダーマン3』サムライミ監督版あらすじ①ピータとハリー
Dr.オクトパスとの闘いから数年後、ピーターの日常はハリーとの関係以外は順調でした。
ニューヨークではスパイダーマンは人気者となり、街の犯罪率は低下。
大学ではグウェン・ステーシーという優秀な女性と知り合い、学業も好調。
MJとの関係も良好で、彼女は舞台でも主演を演じるほどになっていました。
しかし、ハリーには父親を殺した犯人だと誤解されたままで、それを説明しようとしても取り付く島がありません。
ピーターはMJへプロポーズすることを決めて意気込みますが、ハリーの襲撃を受けます。
ハリーはノーマンの遺した身体能力強化剤とグリーン・ゴブリンの装備でニュー・ゴブリンとなっていました(ただし、ノーマンのように人格破綻はしていません)。
乱戦の末に、ハリーは頭を強打。
病院に運ばれなんとか意識は戻りますが、ノーマンが亡くなる少し前から最近までの記憶を失くしてしまいました。
ピーターがスパイダーマンであることも忘れてしまったため、以前と同じ親友として接することができるようになりました。
ピーターは安堵し、病院を後にします。
病院の看護師がピーターのことを「いい友達ね」と評すると、ハリーは「彼は親友だ。命だってやれる」と呟きます。
『スパイダーマン3』サムライミ監督版あらすじ②スパイダーマンVS次々と現れるヴィラン
出典:amazon一方、街ではフリント・マルコという脱獄囚の男が逃亡していました。
ペニーという娘がいて、その子は病に侵されているため、マルコは治療費のために金を必要とし、強盗などを繰り返していたようです。
警察に追われるマルコは、逃げ惑ううちに素粒子物理学の実験場に逃げ込みます。
偶然その場で行われていた分子分解の実験に巻き込まれ、体が分子レベルで分解されて、砂と結合してしまいます。
気がつくと、マルコは体を砂のように自由自在に変えられる「サンドマン」になっていました。
力を得たサンドマンはニューヨークで銀行強盗などをはたらくようになり、スパイダーマンともぶつかりますが、砂に姿を変えて退却します。
しばらくして、ピーターの大学の同級生にしてニューヨーク市警警部の娘であるグウェンがビルで仕事をしていたところ、工事用のクレーンの事故で彼女はビルから落下。
すんでのところでスパイダーマンに救出されました。
偶然その場に居合わせた新人カメラマンのエディ・ブロック・Jr.はグウェンの恋人でした。
エディは「自分ならピーターよりもあなたの写真をうまく撮れる」とスパイダーマンに語ります。
後日、エディはデイリー・ビューグルに社員として雇ってほしいと頼みに来ますが、社員雇用してほしいのはピーターも同じでした。
そこでJJJは「スパイダーマンの悪事を暴く写真を撮った方を採用する」と告げます。
街では、警部の娘を救ったことからスパイダーマンに名誉市民賞を贈ることが報じられていました。
その報道を見ていたある老人(原作者のスタン・リー)が「1人の人間でも世の中を変えることができる。わかるかい?」とピーターに語り掛けます。
名誉市民賞が授与されるイベントに向かったスパイダーマンでしたが、あまりに人々に人気なので、調子に乗ってしまいます。あくまでファンサービスのパフォーマンスでしたがグウェンとキスしてしまい、それをMJに見られていました。
後日、ピーターはフレンチ・レストランでMJにプロポーズしようとしますが、彼女にキスのことを責められます。
更に、MJは自分が主役だった舞台を降板させられてしまっていたこともあり、怒って帰ってしまいました。
プロポーズに失敗したピーターに、警察からある情報が届きます。
サンドマンことフリント・マルコは、実はベンおじさんを殺した真犯人だというのです。
以前ピーターが見逃した強盗の男は金を奪っただけの共犯者で、殺人犯ではなかったとのこと。
意外な事実を知ったピーターはマルコへの憎しみを抱きます。
そんなピーターに、別の魔の手が忍び寄っていました。
ピーターの部屋には、宇宙から来た凶暴な寄生生物「シンビオート」が知らぬ間に住み着いていたのです。
シンビオートはピーターの心の憎しみを感じ取り、彼に寄生します。
憎しみの心と波長が適合したシンビオートは、新たなスパイダースーツへと形状を変え、ピーターはブラックスパイダーマンにパワーアップします。
マルコへの憎しみに駆られたピーターは彼を追い、砂が水に弱いという弱点をついて下水道へと流します。
ピーターは殺したつもりでしたが、マルコは何とか生存していました。
一方で、MJは舞台を降板されたことで仕事を失い、場末のジャズクラブのシンガーの仕事を始めました。
そんななか、記憶喪失により人柄がよくなったハリーと交流を深め、遂には彼と浮気し始めます。
しかしハリーは、再び父ノーマンの幻覚を見るようになり、それがきっかけですべての記憶を取り戻します。
ハリーはピーターへの精神攻撃として、MJとピーターを破局させます。
更にピーターには、MJの新しい彼氏は自分だと告げました。
憤慨したピーターはシンビオートの影響もあり、精神が歪んでいきます。
シンビオートに寄生されると力を増しますが、同時に凶暴性や残虐性も強くなり、人間性を失ってしまうのです。
ハリーの記憶が戻っていることに気がついたピーターは彼と争いになりますが、シンビオートの力で圧倒し容赦なく痛めつけ、最後は爆弾でとどめを刺します。
シンビオートの力に酔い浮かれるピーターでしたが、エディがスパイダーマンが盗みをしているように見せかけた写真を新聞に載せたことを知り、それが偽造写真であることを暴露します。
それによりエディはデイリー・ビューグルを解雇され、どこからも雇ってもらえなくなり、グウェンとも破局します。
ますます調子に乗ったピーターは、グウェンを誘ってMJの働くジャズクラブへ行きます。
そこでMJにグウェンとの仲を見せつけ、更には彼女に暴力まで振るってしまいました。
そしてMJから「あなた、誰?」と言われるほど自分が豹変していたことに、ピーターはようやく気がつきます。
シンビオートの危険性に気がついたピーターは鐘のある教会で引き剥がして廃棄します。
しかしその教会には偶然エディが訪れていて、その様子を見られていました。
ピーターから離れたシンビオートはエディに取りつきます。
偽造写真の件でピーターを逆恨みしていたエディの心は、シンビオートとすぐに適合し、エディはもう1人の凶悪なヴィラン「ヴェノム」へと姿を変えます。
スパイダーマンの正体がピーターだと知ったエディは、マルコを誘ってスパイダーマンを倒すために共闘することにします。
サンドマンとヴェノムはMJを人質にとり、工事中のビルに立てこもってスパイダーマンを待ち構えます。
テレビの中継でそのことを知ったピーターは、2対1では勝ち目が薄いため、ハリーに協力を呼び掛けます。
しかしハリーは先の争いで顔にひどい傷跡が残り、協力に応じるはずもありません。
『スパイダーマン3』サムライミ監督版あらすじ③真実と過ち
ピーターが去った後、ハリーの家の執事のバーナードが、ある事実を伝えます。
ノーマンに致命傷を与えた傷はグリーン・ゴブリンのグライダーによるもので、スパイダーマンがノーマンを殺したのではないことをバーナードは知っていたというのです。
黙っていたのは、ノーマンがゴブリンだったとハリーに知ってほしくなかったためでした。
ハリーは今までピーターを誤解していたことを知り、自分の過ちに気がつきます。
スパイダーマンは単独でサンドマンとヴェノムに挑みますがやはり分が悪く、追い詰められます。
しかし、とどめを刺される直前にハリーがニュー・ゴブリンの装備で現れ、ピーターと共闘。
連携によりサンドマンをなんとか戦闘不能な状態にしますが、ヴェノムの奇襲によりピーターは動きを封じられます。
ヴェノムはとどめとしてピーターを串刺しにしようとし、それを止めようとしたハリーの体が貫かれてしまいました!
ハリーは重傷を負って倒れますが、ピーターはシンビオートが高周波に弱いという弱点に気がつき、ヴェノムを倒すことに成功します。
ようやく敵をすべて倒したかと思われましたが、そこにサンドマンことマルコが復活します。
マルコはピーターがベンおじさんの甥と知り、あの日あったことを話し始めました。
娘の治療費のために強盗でお金を稼いでいたマルコは、逃亡のために銃で脅してベンおじさんの車を奪おうとしました。
しかし、ベンおじさんは「こんなことはやめるんだ。銃を捨てて家に帰りなさい」と、彼を説得して救おうとしてくれたのです。
その言葉に強盗を思いとどまろうとしていたマルコに、共犯者だった男がぶつかってきたため銃が暴発してしまい、ベンおじさんを撃ってしまったというのが真相でした。
事故だったとはいえ、マルコはそのことをずっと後悔していたのです。
そして「許してくれとは言わない。ただわかってほしかった。俺に残されたのは娘だけなんだ」と涙ながらに語ります。
犯罪者であっても悪人ではないマルコをピーターはこれ以上責めることはできず、「あなたを許すよ」と返しました。
同時に、自分が今までMJやハリーにひどいことをしてきたことを改めて悔やみます。
マルコは悲しみを浮かべたまま砂となり、姿を消しました。
『スパイダーマン3』サムライミ監督版あらすじ④ハリー、MJとの和解
ピーターはハリーのもとへ向かいますが、彼の傷は深く手の施しようがありませんでした。
ピーターは自分がひどいことをしてきたことをハリーに謝罪します。
ハリーは責めることなく「いいんだ。友達だろ?」と語り、ピーターは「親友だ」と返しました。そしてハリーは息を引き取ります。
ハリーの葬儀でピーターはモノローグで語ります。
「心に葛藤があろうと、常に道はある。ハリーが教えてくれた。選ぶ道で自分が決まる。正しい道は必ず見つかる」
ピーターはMJのジャズクラブへ向かい、彼女と抱き合います。
互いに間違いを犯し、傷つけあった2人は憎しみの連鎖を断ち切り、ようやく和解するシーンで本シリーズは幕を閉じます。
『スパイダーマン』サムライミ監督版3部作のストーリーまとめ
いかがでしたでしょうか?
まだ若く、常に悩みを抱えている姿に、共感を呼んでやまないリアルなヒーロー・スパイダーマン。
超人でありながら、常にMJへの恋に悩む様子も描かれる本シリーズは、ヒューマン・ドラマでありラブストーリーでもありました。
また、ピーター・パーカーは不器用なギークとしても描かれているため、共感した人々も多かったようです。
彼の活躍を描く作品は、2012年に『アメイジング・スパイダーマン』としてリブート(再起動)されます。
一旦これまでの経緯をリセットし、最初から新たなストーリーとして綴られていきます。
完結しても、本シリーズは後年の『スパイダーマン』映画のベースとして残っていくことでしょう。
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