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戦国時代に男の名で家督を継いだ「おんな城主」がいた―
愛を貫いて自らの運命を切り開き、激動の戦国を生き抜いた女の激動の生涯が描かれたNHK大河ドラマ第56作目。
モデルとなったのは遠江井伊谷(静岡県浜松市)をおさめる井伊家当主のひとり娘・直虎。戦のたびに当主を殺され、残された姫が、「直虎」と名乗り乱世に立ち向かった物語。
井伊家当主・井伊直盛と妻・千賀の間には跡を継ぐ男子がいなかった。
そこでひとり娘のおとわと分家の嫡男・亀之丞を婚約させ、家督を継がせるつもりだった。
ところが、亀之丞の父・井伊直満が強大な支配力をもつ今川家に謀反を企てた疑いで殺害されてしまい、亀之丞も命を狙われ逃亡し、行方知らずに…。
直満の謀反を密告し、井伊家を窮地に陥れたのは、井伊家の筆頭家老である小野政直だとうわさされる。
そんななか、政直は自身の嫡男・鶴丸をおとわと婚約させようとする。
しかし、おとわは行方知らずとなった許嫁であった亀之丞との"ちぎり"を守るため、出家を決意するのだった…。
井伊家当主のひとり娘として生まれる。 幼馴染で分家の子・亀之丞(後の直親)と婚約をしていたが亀之丞が井伊家を追われた際、小野との縁談が持ち上がりそれを拒むため出家、次郎法師と名を改める。 度重なる井伊家の男子の死により跡を継ぐ者がいなくなった事態を収めるため、当主・直虎として井伊家を守るため奮闘する。
幼名・亀之丞。直虎からは亀と呼ばれる。直虎の婚約者であったが、父が謀反の疑いをかけられ失脚。命の危機から逃れるため井伊谷を脱出する。 成人して井伊谷へ戻るが、直虎は出家してしまっていたため別の女性と結婚。直虎の父の死後、当主となり子をなす。桶狭間の後、今川を裏切ろうとしたことを密告され、殺害される。
幼名・鶴丸。直虎と直親の幼馴染。井伊家筆頭家老、小野家の嫡男。 幼き頃より井伊家の中で孤立する小野家を複雑に思っていた。誰よりも忠臣であるにもかかわらず家臣団と距離をとることで今川から井伊家を守った。 直虎とは表面上対立しつつ、裏で手を組む。最期は井伊家を守るため罪をひとりで被り磔刑に処せられた。
後の天下人。今川家の人質として幼きころを駿河で送る。桶狭間後、織田と組むことで今川を裏切る。武田と今川の戦の際、罠にはまった井伊家と小野を見捨てたことで井伊家を潰してしまう。 後に直親の子、万千代を仕えさせることをきっかけに井伊家再興を許した。
直親の子。幼名・虎松。父の死後、跡取りとして大事に育てられていたが、直虎から厳しくされることで負けず嫌いが表面化する。井伊家取り潰し後、命を守るため三河の寺に逃亡。井伊家が存続を諦めたことにより井伊谷に戻る。 母の再婚相手の子となるが、井伊家を再興させるための策を練り、家康に近づく。後の井伊直政。
家康の正室。直虎が人質として駿府にいた際に出会い、その後も文で交流を続ける。夫・家康が今川を裏切ったことで、子供と共に命を落としかけるが直前のところで難を逃れる。 力をつけた夫に「井伊のことをお忘れなきよう」と進言する。
気賀に隠れ家を持つ盗賊の頭。直虎との出会いを何度も繰り返すうち、盗賊ではなくよろづやとして井伊家を助けることに。 直虎が井伊家再興を諦めた際、直虎に求愛。ともに井伊谷で暮らしていた。
直虎の母。男児を産めなかったことを申し訳なく思っている。武家の娘として直虎を厳しく育てた。夫を亡くした後に出家し尼となる。 当主となった娘の相談に乗り、温かく見守る。
直虎の大叔父で、龍潭寺の住職。次郎法師時代の彼女を厳しく育て上げ、直虎となった後も助言し側で支え続けた。井伊家の軍師の面も持ち、徳川に仕えた万千代にも進言をしていた。
井伊家当主のひとり娘として生まれた直虎(幼名・とわ)。
とわは、幼馴染で婚約者である亀之丞・井伊家筆頭家老の長男鶴丸と仲の良い3人組でした。
とわは女であるため跡を継げないことに疑問を感じつつも、いずれは亀之丞の妻となり井伊家を守ろうと胸に誓うのでした。
そんなある日事件が起こります。亀之丞の父が謀反を疑われ、命を落とすことに。跡継ぎである亀之丞もまた命を狙われ、難を逃れるため信州へと逃げ延びます。
結果、とわと亀之丞の婚約はなくなり、さらに事態を収拾するためとわは尼になってしまいます。
そのことがきっかけとなり、彼女は誰かの妻になる道が閉ざされ、後の直虎としての人生を歩む一歩を踏み出すことになるのです。
数年後、成人した亀之丞が井伊谷に戻ってきました。しかし、とわは尼になっているため夫婦にはなれません。
結果、亀之丞は別の女性と結婚。直親と名を改め、次の井伊家の当主となることを約束されます。
直親に跡継ぎが生まれ、安泰に見えた井伊家。しかし、桶狭間の戦いにより、とわの父をはじめ多くの井伊家の男性が命を落としてしまいます。
さらに不運が続き、今川に裏切りを見抜かれた直親までが殺されていまいます。井伊家に残ったのは直親の幼きひとり息子のみ。
絶望する井伊家の重臣たちの前に名乗り出たのはとわでした。
彼女は直虎と名を名乗り、おんな城主になることを決意し、逆境の井伊家を守るため命をかけることを誓うのです。
最初は反発していた家臣団も、直虎の熱意に動かされまとまっていきます。
直虎の功績もあり国に産業も生まれ井伊谷は発展します。
しかし、時代は今川から織田・徳川へと移ろうとしていました。
表では対立の姿勢をみせる筆頭家老の小野ですが、裏では直虎とともに井伊家を守るために奔走します。
必死で策をめぐらせますが、ふたりの想いも虚しく、井伊家は謀略にはまり断絶してしまいます。
小野の死・家の断絶で気力を失った直虎でしたが、数年後大きくなった直親の嫡男・万千代によって井伊家の再興のチャンスが訪れます。
直虎は血気盛んな万千代を見守り、助言していくことで家を守るのです。
後の徳川家の重臣、井伊家はこうして生まれ変わったのでした。
(1) 「井伊谷の少女」
のちに井伊直虎(柴咲コウ)と名乗って戦国の世を生き抜くことになる少女・おとわ(新井美羽)は、井伊家当主の父・直盛(杉本哲太)と母・千賀(財前直見)のもと幸せな日々を過ごしていた。ある日、おとわに亀之丞(藤本哉汰)との縁談話が舞い込む。当主の座を継ぐつもりだったおとわは最初戸惑うが、やがて当主の妻として井伊家を支えていこうと心に決める。そんな折、亀之丞の父・直満(宇梶剛士)に謀反の疑いがかけられる。
(2) 「崖っぷちの姫」
今川の追手に命を狙われる亀之丞(藤本哉汰)を逃がすため、おとわ(新井美羽)はある秘策を思いつく。おとわの命がけの策が功を奏し、亀之丞は無事信州へと落ち延びる。井伊直満(宇梶剛士)が謀反の疑いで殺されたことにより、以前から直満と対立していた小野政直(吹越満)が今川家の目付けとして井伊家中の実権を握ろうとする。政直はさらに息子の鶴丸(小林颯)とおとわを夫婦にし、井伊家の家督を継がせようと画策するが…。
(3) 「おとわ危機一髪」
鶴丸(小林颯)と夫婦になることを拒み、出家をしようとしたおとわ(新井美羽)の捨て身の策は、主家である今川義元(春風亭昇太)の怒りを買うことになる。義元は忠義の証しとして、おとわを人質に差し出すよう直盛(杉本哲太)に命じる。井伊家存続のため苦渋の選択を強いられる直盛に南渓和尚(小林薫)は、今川の怒りをしずめ、おとわの出家を認めさせて人質を免れることを約束し、おとわとともに駿府の今川館へ向かう。
(4) 「女子(おなご)にこそあれ次郎法師」
井伊家の本領安堵(ど)の条件としておとわ(新井美羽)は正式に出家することになり、「次郎法師」という名を与えられる。「次郎」とは井伊家の家督を継ぐ男子の名であった。翌日から兄弟子である昊天(小松和重)と傑山(市原隼人)による厳しい修行が始まる。一方、今川の目付けとなった小野政直(吹越満)は井伊家中における発言権をますます高めていた。そんなある日、政直の命を狙う北条の手の者が井伊谷にやってくる。
(5) 「亀之丞帰る」
天文23年(1554)春。成長した次郎法師(柴咲コウ)は僧としての修行を積みながら、行方知れずの亀之丞(三浦春馬)の帰りを待つ日々を過ごしていた。駿府では今川義元(春風亭昇太)が武田・北条との縁戚関係を背景にいっそう権勢をふるい、いよいよ三河平定へと乗り出そうとしていた。この今川家の威光をかさに井伊家中での実力をさらに強めた小野政直(吹越満)だったが、突然の病に倒れる。
(6) 「初恋の別れ道」
井伊谷への帰還を果たした亀之丞は、元服して井伊直親(三浦春馬)と名を改める。直親は次郎法師(柴咲コウ)を還(げん)俗させて、自分の妻に迎えたいと願い出るが、政次(高橋一生)はまず今川家に直親の帰還を許してもらうことが先決だとしてこれに反対する。実は次郎法師の出家は、今川による井伊の本領安堵(ど)の条件になっていたのだ。それでも夫婦になることを諦めきれない直親は次郎法師にある提案を持ちかける。
(7) 「検地がやってきた」
井伊家存続のため直親(三浦春馬)とのつらい別れを選んだ次郎法師(柴咲コウ)。政次(高橋一生)は今川館に出向き、直親の帰参と家督相続を認めてもらおうとする。これに対して今川義元(春風亭昇太)の出した交換条件は、井伊谷での大規模な「検地」の実施だった。井伊直平(前田吟)は自分の治める川名の隠し里に今川の検地の手が及ぶことを恐れ、怒りをあらわにする。
(8) 「赤ちゃんはまだか」
直親(三浦春馬)と夫婦になって4年、しの(貫地谷しほり)はいまだ懐妊の兆しがないことを気に病んでいた。その様子を見かねた次郎法師(柴咲コウ)は、政次(高橋一生)に子を授かるための妙薬を買い求めてくるよう願い出る。そのころ駿府では、今川義元(春風亭昇太)が家督を息子の氏真(尾上松也)に譲り、尾張の織田攻めに向けて着々と準備を進めていた。直親はこの戦で初陣を飾りたいと直盛(杉本哲太)に参陣を申し出る。
(9) 「桶狭間に死す」
今川義元(春風亭昇太)に従い、尾張の織田攻めへと向かった直盛(杉本哲太)。父の無事を祈る次郎法師(柴咲コウ)の元に思わぬ悲報がとびこむ。桶狭間で今川軍が大敗し、直盛も討ち取られたというのだ。負傷兵たちの手当てに次郎法師が奮闘する中、供をしていた奥山孫一郎(平山祐介)から直盛の最期の様子が語られる。一方、松平元康(阿部サダヲ)は空になった古巣の岡崎城に入城し、ついに今川家からの独立を果たす。
(10) 「走れ竜宮小僧」
奥山朝利(でんでん)をもみ合いのすえ刺殺してしまった政次(高橋一生)が次郎法師(柴咲コウ)のもとを訪れる。次郎法師は手負いの政次を寺でかくまうことにする。父を討たれたしの(貫地谷しほり)は悲嘆にくれるが、小野家に嫁いでいた妹のなつ(山口紗弥加)の口から意外な事件の真相が語られていく。一方、松平元康(阿部サダヲ)は今川家に反旗を翻すが、駿府に残された妻の瀬名(菜々緒)は窮地に立たされてしまう。
(11) 「さらば愛しき人よ」
瀬名(菜々緒)を救おうと取りすがる次郎法師(柴咲コウ)の元に、松平元康(阿部サダヲ)からの使者が到着する。桶狭間での大敗以降、衰退の一途をたどる今川家の跡を継いだ氏真(尾上松也)と寿桂尼(浅丘ルリ子)は、離反者の粛清に躍起になっていた。ある日次郎法師のもとに、元康からの御礼の品が届く。直親は今川家と手を切り、元康と手を組むことを決意する。ついに元康との密会を果たす直親だったが…。
(12) 「おんな城主直虎」
今川からの呼び出しに応じ、駿府へ向かった直親(三浦春馬)たち一行は、次郎法師(柴咲コウ)の必死の祈りもむなしく、道中の掛川城下で今川勢に取り囲まれる。しの(貫地谷しほり)は、こんな事態を引き起こしたのは次郎法師だと責めたてる。今川から嫡男・虎松の命も差し出すようにと命じられた井伊家。新野左馬助(苅谷俊介)は虎松の助命を願うため、駿府へ向かうが、引き換えに思いもよらぬことを仰せつかる。
(13) 「城主はつらいよ」
井伊家の領主として名乗りを上げた井伊直虎(柴咲コウ)。幼い虎松(寺田心)が元服するまでの間、後見として国を治めることを宣言するが、家臣たちは反発する。虎松の母・しの(貫地谷しほり)も直虎の勝手なふるまいを認めようとしない。ある日、領主が代替わりしたことを聞きつけた瀬戸村の百姓・甚兵衛(山本學)が直虎のもとを訪れ、借金の棒引きを意味する「徳政令」の発布を求める。
(14) 「徳政令の行方」
直虎(柴咲コウ)が徳政令の約束を破ったことに腹を立てた甚兵衛(山本學)ら百姓たちは、蜂前神社の禰宜(ねぎ)(ダンカン)を通して、今川に徳政令の発布を直訴する。直虎の政策に家臣たちが異を唱える中、政次(高橋一生)は徳政令の発布を命じる今川の書状を読み上げるが、直虎は驚くべき策でこれをはねのける。徳政令を無効にされた甚兵衛たちは、ついに最終手段に打って出る。
(15) 「おんな城主対おんな大名」
直虎(柴咲コウ)が今川の下知に背いて徳政令をはねのけたことに怒った寿桂尼(浅丘ルリ子)は、政次(高橋一生)を呼びつけ、直虎に駿府へ申し開きにくるよう命じる。以前同じように駿府へ呼び出され、道中で惨殺された直親(三浦春馬)の記憶がよみがえる家臣一同。政次は直虎に虎松(寺田心)の後見を降りるよう勧めるが、直虎はそれを拒み駿府へ向かうことを決意する。
(16) 「綿毛の案」
駿府から無事帰還した直虎(柴咲コウ)。瀬戸方久(ムロツヨシ)は井伊家の財政を立て直すための新たな産業として「木綿」の栽培を持ちかける。乗り気になった直虎は瀬戸村の百姓・甚兵衛(山本學)に相談するが、井伊領内は深刻な人手不足であり、木綿作りを担う人材がいないことがわかる。人手を探して村々をまわる直虎だったが、ある日水浴びをする若い男(柳楽優弥)と運命的な出会いを果たす。
(17) 「消された種子島」
中野直之(矢本悠馬)は「種子島」を取り寄せ、直虎(柴咲コウ)の前で実演してみせる。その威力に驚いた直虎はこの「種子島」を鍛冶の村・井平で生産しようと考える。そのころ、龍潭寺で手習いを始めていた虎松(寺田心)は家臣の息子たちと五目並べに興じていた。周りの子供たちが気を遣って手加減しているのを知った直虎は激怒する。周りが手加減をしなくなり、負け続けの虎松はショックで寺に来なくなってしまう。
(18) 「あるいは裏切りという名の鶴」
直虎(柴咲コウ)が秘(ひそ)かに作らせていた「種子島」を奪った政次(高橋一生)は、今川への謀反の疑いを直虎にかけ、虎松(寺田心)の後見を降りるようせまる。観念した直虎は後見を譲ることを約束し、政次とともに駿府へ向かうが、銭の匂いを嗅ぎつけた方久(ムロツヨシ)は駿府の今川館へ先回り。今川氏真(尾上松也)に「種子島」を売りつけることに成功する。
(19) 「罪と罰」
近隣の領主である近藤康用(橋本じゅん)が直虎(柴咲コウ)のもとを訪れ、領内の山の木々を井伊の者に盗まれたと訴え出る。直虎は疑いを晴らすため、盗伐のあった現場に向かう。荒らされた現場を検証していく直虎たちは、近藤領内だけでなく井伊領内の木々も盗まれてしまっていることに気づく。見張りをつけて山狩りをする直虎はついに犯人を捕らえる。しかしそれは以前、直虎に人集めの知恵を授けた旅の男(柳楽優弥)だった。
(20) 「第三の女」
亡き直親(三浦春馬)の娘と名乗って井伊谷にやってきた少女・高瀬(高橋ひかる)。元いいなずけの隠し子発覚にショックを隠しきれない直虎(柴咲コウ)だが、井伊家の当主として、その真偽がわかるまで高瀬を屋敷で預かることを決める。うわさを聞いた直親の元妻・しの(貫地谷しほり)は高瀬のもとに乗り込むが、その対応は意外なものだった。一方政次(高橋一生)は、高瀬は武田が井伊に送り込んだスパイなのではないかと疑う。
(21) 「ぬしの名は」
井伊領内で生産した綿布の商い先として、浜名湖岸の町・気賀(きが)を選んだ直虎(柴咲コウ)。気賀の商人・中村与太夫(本田博太郎)との商談を終え市場に立ち寄った直虎は、店先に並ぶ異国の珍品に目を見張るが、その隙に銭入れを盗まれてしまう。その犯人を町はずれまで追いつめる直虎だったが、逆に捕らわれの身となってしまう。地下ろうに閉じ込められた直虎のもとに現れたのは盗賊団のかしら(柳楽優弥)とその一味だった。
(22) 「虎と龍」
直虎(柴咲コウ)は材木の商いを始めるため、龍雲丸(柳楽優弥)率いる一団を井伊谷に受け入れることを決める。家臣の直之(矢本悠馬)は龍雲丸がかつて領内の木を盗んだことを指摘し猛反対するが、直虎は井伊家の将来のために彼らの専門技術が必要だと主張する。しかし、直虎の期待は裏切られる。龍雲丸の手下であるモグラ(マキタスポーツ)が博打(ばくち)場を開くなど、領民との間でトラブルが絶えなくなってしまったのだ。
(23) 「盗賊は二度仏を盗む」
龍雲丸(柳楽優弥)たちとのうたげの翌朝、直虎(柴咲コウ)のもとに政次(高橋一生)と近藤康用(橋本じゅん)が来る。近藤の菩提(ぼだい)寺から本尊が盗まれたというのだ。龍雲丸たちを犯人と疑う近藤は、直虎に身柄を引き渡すよう要求する。直虎は直之(矢本悠馬)に命じ、龍雲丸たちを逃がそうと画策する。一方、南渓(小林薫)はこの件について近藤と手打ちをするため、代わりの本尊を寄進しようと直虎に持ちかけるが…。
(24) 「さよならだけが人生か?」
直虎(柴咲コウ)からの仕官の誘いを断った龍雲丸(柳楽優弥)。一方駿府では、今川氏真(尾上松也)が同盟を破った武田家への報復として「塩止め」を行うとともに、国衆の離反を防ぐための策として縁談を積極的におしすすめていた。直虎のもとにも、新野家の三女・桜(真凛)を今川家重臣の庵原家へ嫁がせよという命が下る。一方、岡崎では緊張の面持ちの松平家康(阿部サダヲ)が織田信長(市川海老蔵)と面会していた。
(25) 「材木を抱いて飛べ」
井伊の材木をまとめて買い取りたいという商人が見つかり、張り切る直虎(柴咲コウ)と方久(ムロツヨシ)。一方、井伊を去った龍雲丸(柳楽優弥)たち一味は気賀に戻り「龍雲党」を旗揚げする。駿府では今川氏真(尾上松也)が同盟を破った武田への対抗策として「塩止め」を行い、武田家と通じる商人の取り締まりを強化していた。そんな中、井伊家の材木の商い先である「成川屋」が三河の徳川に材木を流していることが発覚する。
(26) 「誰がために城はある」
龍雲丸(柳楽優弥)が井伊の材木を取り返したことで、直虎(柴咲コウ)の謀反の疑いは晴れる。しかしその材木は数日後、今川の手によって気賀に運びこまれることになる。今川氏真(尾上松也)は商人の自治が許されてきた気賀に城を築き、家臣の大沢基胤(嶋田久作)に治めさせようとしているのだった。この動きに激怒した龍雲丸は、築城反対派とともにかく乱作戦に出る。混乱を鎮めるため、直虎は気賀に乗り込むが…。
(27) 「気賀を我が手に」
中村屋(本田博太郎)と気賀の町衆たちは井伊谷を訪れ、気賀の城には大沢氏ではなく、直虎(柴咲コウ)に入って治めてほしいと願い出る。瀬戸方久(ムロツヨシ)は井伊が気賀の港を押さえることでさらに商いの手を広げられると意気込み、まずは今川重臣の関口氏経(矢島健一)を懐柔しようと動く。そんな折、今川氏真(尾上松也)のもとに火急の知らせが飛び込む。武田・今川の同盟の要である武田義信が自害したというのだ。
(28) 「死の帳面」
気賀の城を預かることを認められた直虎(柴咲コウ)は、家臣の方久(ムロツヨシ)に城代を任せる。危篤状態からの復活を遂げた寿桂尼(浅丘ルリ子)は武田信玄(松平健)のもとを訪れ、武田家に嫁いでいた氏真(尾上松也)の妹・鈴を駿府に返すよう要求する。寿桂尼はさらに北条氏康を味方につけ、武田への圧力を強める。北条の仲立ちによって今川と武田の争いはいったん落ち着くが、寿桂尼と氏真の間には深い亀裂が生まれる。
(29) 「女たちの挽歌」
直虎(柴咲コウ)は徳川家康(阿部サダヲ)に書状を送り、上杉と同盟を組んで武田の今川攻めの動きを封じ込む策を進言する。いったんはこの策に乗ろうとした家康だったが、時を同じくして武田から今川攻めの誘いが来てしまう。そのころ、駿府では寿桂尼(浅丘ルリ子)が死の床についていた。松下常慶(和田正人)は井伊と徳川の同盟の証しとして、しの(貫地谷しほり)を人質に出すよう要求するが…。
(30) 「潰されざる者」
武田との戦が避けられない情勢となった駿府では、今川氏真(尾上松也)が国衆を呼びつけ戦の準備を命じていた。直虎(柴咲コウ)も徳川との内通をひた隠しにしながらこの命令に応じる。その裏で氏真は方久(ムロツヨシ)が気賀に新しい蔵を作ることを認める代わりに、井伊家を取り潰す手助けをするよう求める。徳川との戦に備え、要衝の地である井伊谷を今川の直轄領にしたいと考えたのだ。
(31) 「虎松の首」
直虎(柴咲コウ)は今川氏真(尾上松也)の命に従い、徳政令を受け入れることを決める。これは井伊家が取り潰しになることを意味していた。直虎と政次(高橋一生)はいったん今川に従うふりをし、裏で徳川家康(阿部サダヲ)と手を組むことで井伊家復活を図るという策をとったのだ。井伊を裏切ったふりをする政次は今川の代官として井伊の館に残ることになるが、氏真は嫡男・虎松(寺田心)の首を差し出すよう要求してくる。
(32) 「復活の火」
武田信玄(松平健)と徳川家康(阿部サダヲ)による今川攻めが避けられない状況になる中、政次(高橋一生)は今川氏真(尾上松也)の信頼を得ることに成功。政次と裏で手を結ぶ直虎(柴咲コウ)は家康に書状を送り、徳川の遠江侵攻に協力する代わりに井伊家を復活し家臣の列に加えてほしいと願い出る。そんな中、ついに武田による駿河侵攻が始まる。その破竹の勢いに今川国衆の寝返りが相次ぎ、氏真は絶体絶命の危機を迎える。
(33) 「嫌われ政次の一生」
徳川と内通していた直虎(柴咲コウ)と政次(高橋一生)は、約束どおり徳川勢の井伊谷への進軍を受け入れようとするが、その軍勢に向かって突然矢が放たれる。徳川の先導役を務めていた近藤康用(橋本じゅん)の罠(わな)であった。徳川勢に弓を引いた罪を政次に押しつけ、井伊谷をわがものにしようと企んだのだ。政次の潔白を主張する直虎はろうに閉じ込められるが、そこに現れたのは他でもない徳川家康(阿部サダヲ)であった。
(34) 「隠し港の龍雲丸」
政次(高橋一生)を失い放心状態の直虎(柴咲コウ)は、現実を受け入れることができずにいた。一方、徳川家康(阿部サダヲ)の軍勢は遠江を攻め進み、今川氏真(尾上松也)のこもる掛川城へと迫りつつあった。これに対し今川勢も必死の粘りを見せ、徳川軍は苦戦を強いられることとなる。戦乱の波は気賀の方久(ムロツヨシ)や龍雲丸(柳楽優弥)たちの目前にも迫っていた。
(35) 「蘇えりし者たち」
徳川家康(阿部サダヲ)は気賀の堀川城を攻略するにあたり、まずは城内に捕らえられた民を逃がすことを方久(ムロツヨシ)に約束していた。しかし徳川家臣の酒井忠次(みのすけ)はこの約束を破り、気賀の民を惨殺してしまう。知らせを受けた直虎(柴咲コウ)は気賀に駆けつけるが、そこには瀕(ひん)死の状態の龍雲丸(柳楽優弥)の姿があった。高熱にうなされ、生死の境をさまよう龍雲丸に懸命の治療を施す直虎だったが…。
(36) 「井伊家最後の日」
徳川家康(阿部サダヲ)と今川氏真(尾上松也)の間に和睦が成立し、遠江一帯の混乱がいったん落ち着きを見せるなか、直虎(柴咲コウ)は井伊家の再興に向けて動きだすべきか悩んでいた。家を再興することが家臣たちを再び戦に駆り出し、新たな悲劇を生んでしまうと考えたのだ。そんな折、松下常慶(和田正人)が直虎のもとを訪れ、井伊家嫡男の虎松(寺田心)を松下家の養子として迎えたいと願い出る。
(37) 「武田が来たりて火を放つ」
げん俗し一農婦として生きていく道を選んだ直虎(柴咲コウ)は、龍雲丸(柳楽優弥)とともに新しい生活を送っていた。また方久(ムロツヨシ)はあやめ(光浦靖子)の刺繍(ししゅう)の腕にほれこみ、ある提案をする。そんな折、堺で新たな商売を始めた中村屋から龍雲丸に誘いの便りが届く。龍雲丸は直虎に一緒に堺に行ってほしいと告げるが、時を同じくして武田の大軍が遠江への侵攻を始め、井伊谷は危機にさらされる。
(38) 「井伊を共に去りぬ」
武田軍相手にあくまで戦う姿勢を崩さない近藤康用(橋本じゅん)に対し、直虎(柴咲コウ)は兵力となる百姓たちを皆逃がし無力化することで、武田への帰順を迫る。しかし近藤は城に火を放ってこれに抵抗。怒った武田軍も里の家々に火をかけ、井伊谷は焦土と化してしまう。それから2年の月日が流れ、龍潭寺で直親の十三回忌法要が執り行われる。そこには成長した虎松(菅田将暉)の姿があった。
(39) 「虎松の野望」
龍潭寺で直親の十三回忌法要が執り行われ、直虎(柴咲コウ)は虎松(菅田将暉)と6年ぶりの再会を果たす。しの(貫地谷しほり)は虎松を松下の嫡男として徳川家に仕官させたいとの意向を伝える。しかし虎松は亥之助(井之脇海)とともに井伊の豊かな里を見てまわり、直虎の領主としての手腕に感嘆するとともに、秘(ひそ)かに井伊家の再興を決心する。そしてついに虎松が家康(阿部サダヲ)にお目見えする日がやってくる。
(40) 「天正の草履番」
虎松(菅田将暉)は家康(阿部サダヲ)から万千代という名を与えられるが、井伊の家名を再び立てる代わりに草履番の役目を申しつけられる。虎松が松下の名を捨てたことに驚いたしの(貫地谷しほり)は、裏で根回しをした南渓(小林薫)のもとを訪れ怒りをぶつける。直虎(柴咲コウ)も井伊家の再興は望んでおらず、虎松を説得するため浜松へ向かう。一方、虎松は慣れない草履番の仕事に悪戦苦闘していたが…。
(41) 「この玄関の片隅で」
小姓になるための条件として草履番の後釜を育てることになった万千代(菅田将暉)と万福(井之脇海)。そこにやってきたのはノブ(六角精児)という謎の中年男だった。一方、直虎(柴咲コウ)は松下家から帰還した六左衛門(田中美央)を近藤(橋本じゅん)の家臣とするため尽力していた。そんな中、武田軍の遠江侵攻が始まる。家康(阿部サダヲ)が戦支度のため大量の材木を必要としているという情報を聞きつけた万千代は…。
(42) 「長篠に立てる柵」
家康(阿部サダヲ)はついに武田との決戦地・長篠へと出陣。井伊から材木を調達して初手柄をつかもうとした万千代(菅田将暉)だったが、直虎(柴咲コウ)がその動きを阻んだため留守居を命じられることになる。長篠では家康と合流した信長(市川海老蔵)が、鉄砲を用いた奇策を披露する。この戦に参戦していた直之(矢本悠馬)と六左衛門(田中美央)は不足していた材木を調達した功が認められ、信長と対面することになるが…。
(43) 「恩賞の彼方に」
万千代(菅田将暉)は戦場に送る武具の手入れを完璧にこなしたことを家康(阿部サダヲ)に認められ、ついに小姓にあがることになる。長篠の合戦の論功行賞に手を焼いていた家康に、万千代は武功を表にして整理することを提案する。一方、井伊谷では山林の乱伐により山崩れが起こっていた。甚兵衛(山本學)から山の異変について報告を受けた直虎(柴咲コウ)は、荒れた地に植林をすることを近藤(橋本じゅん)に進言するが…。
(44) 「井伊谷のばら」
浜松城では家康(阿部サダヲ)の臨席の元、万千代(菅田将暉)と万福(井之脇海)の「甲冑(かっちゅう)着初め式」が執り行われていた。一方井伊谷では祐椿尼(財前直見)に病の影が忍び寄る。母の身を案じる直虎(柴咲コウ)は周りに声をかけ、病床の祐椿尼がさみしくないよう会いに来てほしいと願い出る。家康の小姓として田中城攻めに同行することになった万千代は、家康の寝所の近くで異変を察知する。
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