1998年公開の映画ながら、いまだ根強い人気を誇っている『アルマゲドン』。地球に衝突しようとする巨大な隕石。人類滅亡の危機を救う男たちの熱いドラマを、ネタバレ込みのあらすじ、魅力的なキャスト、話題になった主題歌まで、徹底的に解説します。
地球に隕石が衝突する、というSF映画はいくつかありますが、「何回観ても泣ける」と評価が高い『アルマゲドン』。
NASAが地球に接近する小惑星を発見し、石油採掘のプロであるハリーたちを招集するコメディータッチの前半と、彼らが小惑星に向かうスペクタクル溢れる後半。
そして迎える感動の結末は、エアロスミスの曲もあいまって、観る人の涙を誘います。
この迫力満点な映像、音楽のおかげで、この映画は米国アカデミー賞で視覚効果賞など4部門でノミネートされました。
しかし、その荒唐無稽なストーリーにより、ゴールデンラズベリー賞で最低作品賞などにも選ばれるという珍事も起きました。
それでも映画としては大ヒットし、今では泣きパニック映画の代表作です。
ここではそんな話題溢れる『アルマゲドン』のあらすじと解説を細かく紹介します。
あらすじ①『アルマゲドン』の意味とは?
映画はスペースシャトル「アトランタ」が、宇宙空間で謎の大爆発を起こすところから始まります。
その原因は隕石の襲来であり、巨大な小惑星が隕石となって地球に接近していることが判明します。
このままでは18日後に地球に衝突するのは確実。
小惑星が太平洋に落下した場合、高さ5000メートルの津波、一瞬で周囲を焼き払う熱風、そしてその後やって来る大氷河期によって、人類はおろか、バクテリアも死滅する事態になることが判明しました。
まさに新約聖書・ヨハネの黙示録で示されているアルマゲドン(ヘブライ語で「メギドの丘」。世界の終末における善と悪の最終決戦の地名で、そこから世界の破滅を示すと言われてます)、人類滅亡の危機が突如訪れたのです。
この危機に対してNASAが導いた回避策。
それは飛来する小惑星の中心に穴を掘り、そこに核爆弾を仕込んで爆破させ、真っ二つに割って軌道を変えようという途方もない策でした。
しかしこの方法しかないと確信した総責任者のトルーマンは、1人の男を呼びます。
序盤、いきなりのスペースシャトルの爆破に度肝を抜かされ、その後次々と襲ってくる隕石に逃げ惑う群衆や、崩壊する建物、壊滅するパリの街並みは圧巻です。
しかしそれでもショッピングをしたいとタクシードライバーに駄々をこねる松田聖子さんが登場します。お見逃しなく!
あらすじ②事態に驚愕するも、依頼を受けるハリーたち
NASAに呼ばれたのは石油会社「スタンパー・オイル」の社長ハリー・スタンパーと、その娘グレース。
「俺に掘れない井戸はない」と豪語する石油採掘のプロに、トルーマンは事態の深刻さを説明し、宇宙飛行士たちに採掘の技術指導を依頼します。
しかしハリーは「掘削作業には熟練の技と、信頼できる仲間が必要」とその依頼を断り、「掘るだけなら俺たちが行く」と仲間を招集することを提案します。
こうして集まったのは、グレースの恋人で才能ある採掘技術を持つA.J.。
空軍特殊部隊所属経験があるが、ギャンブル好きが災いして家族と別居中のチック。
天才を自称する女たらしのロックハウンド。
休みの日はいつも大型バイクをぶっ飛ばしているベアーなど、大いに癖のある8人。
彼らは無理くりで敵性検査と訓練に合格。そしてスペースシャトル「フリーダム号」と「インディペンス号」に分かれて乗り込み、ついに小惑星に向かって宇宙に飛び立ちます。
ここでは石油採掘を生業とする荒くれ者たちと、NASAのエリートたちとのやりとりが秀逸です。
陽気な荒くれ者たちが事態の説明を受けて一瞬で沈黙するシーン。
それでも陽気に宇宙空間の模擬訓練として巨漢をプールに沈めるベアー。
検査結果に問題ありとするスタッフの書類に、黙って合格のスタンプを押すトルーマン。
クスッと笑わせる展開はハリウッド映画の妙であります。
あらすじ③宇宙での危機また危機の連続に目が離せない!
2機のスペースシャトルがまず向かったのはロシアの宇宙ステーション「ミール」。
ここで燃料の液体酸素を補充するのですが、充填途中で火災が発生。
間一髪のところで充填は完了し、シャトルはミール爆発直前、離脱に成功します。
その後シャトルは月の引力を利用して小惑星の後ろから回り込み、いよいよ小惑星に到着。
しかし降り注ぐ隕石群によって着陸は困難を極め、遂にA.J.たちが乗るインディペンス号が「メーデー(救難信号)」を出した後、墜落してしまいます。
一方、苦難の末に着陸したフリーダム号のハリーたちは早速採掘を始めますが、予定着地点より大幅に外れたその地の岩盤は硬く、採掘機のドリルが次々に折れ、万事休すに。
万策尽きたと判断したアメリカ政府は、小惑星の表面で核を爆破させ、少しでも軌道を変えさせるプランBを発動します。
シャトル出発前の陽気な映像とは一変し、NASA全面協力のもとで撮影された実物のシャトル発射シーン以降は、手に汗握るスリリングな展開。
ド派手なアクションと困難に次ぐ困難の連続は、現実ではありえない演出、展開を得意とするマイケル・ベイ監督の真骨頂と言えます。
あらすじ④【ネタバレあり!】名言、名シーンが盛りだくさんのラスト
「240メートル掘ってみせる」と説得し、プランBを制止させたハリーたち。
そこに墜落して消息不明だったA.J.たちが、インディペンス号に搭載していた採掘機とともに登場。
作業はA.J.の手で再開され、遂に目標の深度まで掘ることに成功します。
しかし核弾頭を採掘穴に設置した直後、まるでハリーたちに抵抗するように大きな地震と地割れが発生。
そのショックで核弾頭内の起爆装置が故障してしまいます。
このままでは爆破は困難。残る手段は誰かが手動で爆破させるしかありません。そして、クジでその役を引いたのはA.J.。
一瞬呆然とするA.J.。そのまま外部ハッチに向かう彼に、「送ろう」と後ろについていったハリーは、土壇場で彼の宇宙服の酸素ラインを切断。
そのままA.J.を船内に押し戻します。「俺の仕事だぞ」と怒鳴るA.J.に「娘を頼む。それがお前の仕事だ」と言い残し、ハリーは小惑星に1人残ります。
そして最後の交信。「戻るっていう約束は守れなさそうだ」とグレースに告白するハリー。
そして、普段は「ハリー」としか呼ばず、不仲だった娘から、「私もパパに嘘をついた。愛してるわ、パパ。自慢のパパよ」という最後の交信を受けた後、ハリーは万感の思いを込めて起爆装置のスイッチを押します。
この作品の中、ネタバレ感想で最も多いのはこのラストシーンについてでありましょう。
特に交信画面越しに向き合うハリーとグレース。
なかなか死なない男ブルース・ウィリスが流す涙は、どうしてこれがゴールデンラズベリー賞の最低男優賞なのかと抗議したくなるほど感動的です。
主題歌も大好評! 『アルマゲドン』の感動的なエンディング
出典:amazonこの2人のラストシーンと同時に賞賛されているのが、その後に流れるエアロスミスの「ミス・ア・シング」。
「エンディングにピッタリだ」とか「ただでさえ感動するのに、曲が輪をかけて泣かせる」と言った感想が多く、全米ヒットチャートでは4週連続1位を記録する大ヒットになりました。
ちなみにエアロスミスのボーカルは、グレース役リヴ・タイラーの父スティーブン・タイラーで、奇しくも2人は親子でこの映画に参画したことになります。
しかも最後にグレースがハリーと通信画面越しに別れを告げる感動の場面では、ブルース・ウィルスの画像ではなく、父スティーブの像を映して感情を極めて演技していたのだそうです。
映画『アルマゲドン』を支えた個性豊かなキャストたち
この作品は上述したように、SF映画としても荒唐無稽なストーリーでありますが、そのあり得ない物語を支えたのがブルース・ウィリスやリヴ・タイラーをはじめとするキャストたちです。
中でもネットで話題になるのはチックの演技。
シャトル出発前日、別れた家族に会いに行ったチックは、事情を知らない妻から冷たく対応され、子供に会えぬまま、シャトルのおもちゃを置いてその場を去ります。
演じたウィル・パットンのその姿に、早くも涙腺をゆるめるファンも多くいます。
あるいは身体検査の際、精神的タフさの診断を受けて大泣きするベアーを演じた、マイケル・クラーク・ダンカン。
その巨漢に似合わぬコミカルな演技と渋い声で観るものを笑わせてくれました。残念ながら2012年に他界されたとのこと。
その他ハリーに黙ってグレースと恋仲になったA.J.役のベン・アフレックはオスカー受賞の実力者。
トルーマン役のビリー・ボブ・ソーントンは『もののけ姫』の英語版でジコ坊を務め、ロックハウンド役のスティーヴ・ブシェミは売れる前には消防士として働いた苦労人です。
余談ですが、アメリカ同時テロの際、スティーヴ・ブシェミは昔の消防服を着て、本物の消防士に混じって黙々と貿易センタービルで救助作業をしたそうです。
こうした粒揃いの脇役陣による演技によって物語にリアリティが生まれ、結果その年(98年)の世界年間興行収入で1位を獲得。多くの映画ファンの支持を得ることができたのです。
『アルマゲドン』シリーズも続々公開
そしてこの成功の後、石油採掘ではないビルの解体師が宇宙へ飛ぶ『アルマゲドン2007』、衝突は避けられないとして、人々を安全な地へ避難させることを描いた『アルマゲドン2008』、隕石衝突で起こる2次被害を描いた『アルマゲドン2009』など、その後『2014』まで多くのシリーズ作品も誕生しております。
そんな隕石衝突映画の決定版『アルマゲドン』。その凄い映画をぜひご覧ください。
参考元
- ・参照リンク:アルマゲドン (映画) - Wikipedia
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