落語を聞いたことが無い人でもハマる。落語に憑りつかれ、落語に生かされた噺家たちの義理と人情の物語。
昭和元禄落語心中とは?
昭和元禄落語心中(しょうわげんろくらくごしんじゅう)は講談社のITA(イタン)にて連載されていた雲田はるこさん作の漫画です。第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、さらに、第38回講談社漫画賞一般部門受賞作品となっています。
話は昭和最後の大名人、有楽亭八雲(ゆうらくていやくも)と、そこに押しかけて弟子入りをした与太郎(よたろう)を中心に進んでいきます。
与太郎放浪篇
出典:刑務所落語慰問会で八雲が演った(やった)「死神」に一目惚れした強次(きょうじ)は、どうしてもと頼み込んで八雲の弟子にしてもらいます。
落語に出てくる世渡り下手で、馬鹿で間抜けな男のことを与太郎(よたろう)と呼ぶのですが、これにちなんで、強次は与太郎と八雲から呼ばれることとなるのです。
普段は弟子などとらない八雲が弟子を取ったことに、共に暮らしている小夏(こなつ)も驚きます。
小夏は八雲の友人で、八雲と二人で昭和の30年代黄金期を若手ホープとして支えていた有楽亭助六(ゆうらくていすけろく)の娘ですが、助六夫妻が亡くなったため、八雲が引き取って育てています。
小夏は、今まで一人も弟子を取ったことがない八雲が、本気で弟子を取るはずがないと与太郎に話します。
「アイツは自分の芸を残そうなんざ全然考えちゃいない。言ってたんだよ。落語と心中するんだって。それで最後の大名人なんて言われてるくせにずーっと独りでいるんだ。あのガンコジジイがいまさら料簡変えるなんてあたしにゃ思えないね」。
落語の稽古をつけてもらえない与太郎を見かねて、小夏は助六の得意なネタを少しずつ与太郎に教えます。
そのことが八雲にばれてしまって喧嘩になると、小夏は八雲に「父ちゃんは、有楽亭助六は、おまえが殺したんだ……」と言います。
与太郎が寄席の勉強を進めて行き、高座にも上がるようになっていくなかで、八雲の目の前に現れる助六の幽霊。
「なぁにじきに成仏させてやらあ」と言う八雲の言葉から、彼にはずっと助六の幽霊が見えていたことがわかるのです。
ここでは与太郎の成長を中心に、寄席や落語の基本を学びながら、八雲と小夏など人間関係が描き出されていきます。
八雲と助六篇
八雲の口から助六と八雲、二人の弟子入りからの物語が語られます。
八雲は先代の七代目八雲に内弟子として住み込むことになります。
その弟子入りの日、押しかけ入門してきたもう一人の男の子、それが後の助六です。
数年後、八雲は菊比古(きくひこ)、助六は初太郎(しょたろう)の名前をもらいます。
戦争という運命に振り回されながらも、戦後の落語を盛り立てようと、二人はお互いに自分の落語を磨いていきます。
性格も対照的ならば、落語も対照的な二人。
そんな二人ですが、落語を愛する気持ちだけは同じだったようです。
そうしていくうちに、実は助六が六代目八雲、七代目八雲と謂れのある名前であり、初太郎がある決意を持って七代目八雲の門戸を叩いたことを菊比古は知ることとなります。
ここから、小夏を家に迎えるまでの様々な所以が語られていきます。
助六再び篇
真打になった与太郎は落語をしていく中で、八雲と助六という二人を師匠と崇めることになります。
そんな中、小夏が誰の子かわからない子どもを身ごもります。
八雲と小夏を助六と向かい合わせるため、与太郎は助六を襲名します。
そして自分の過去と対峙し、自分の落語を探すため、助六として落語に取り組んでいくのです。
落語のリズム
昭和落語心中は、落語の寄席で使われる技法が漫画の表現でも使われています。
寄席太鼓が漫画の各話の後ろに使われたり、和ろうそくが出てきたりと、実際の寄席と漫画の中の現実がリンクしています。
また、実際の寄席での息遣いや汗の匂いが感じられそうなコマ割りに、実際に寄席を聴いているような雰囲気を味わうことができるのです。
さらに、同じ演目でも、八雲が演じる時と助六が演じる時、そして与太郎が演じる時では微妙に表現を変えてあります。
演者の醸し出す、それぞれの微妙な差や語り口を見事に表現している作品です。
アニメ化
声優陣が大変豪華なことがこのアニメ化の際、大変話題になりました。
与太郎は『のだめカンタービレ』で千秋真一を演じた関智一さん、八代目八雲に『銀魂』で桂小太郎を演じた石田彰さん、二代目助六に『エヴァンゲリオン』で加持リョウジを演じた山寺宏一さんなど。
その他にも、たくさんの有名な声優陣がアニメを盛り上げています。
特に、落語のシーンでは、難しい語りを表現していて圧巻です。
2017年3月、TV放送も「助六再び篇」までの放映が終了してしまいました。
しかしながら、様々な動画サイトにて、昭和元禄落語心中の第一期が視聴可能となっています。
Amazon Prime Video(Amazonプライムビデオ)、 dTV、 TSUTAYA TVなどで観ることができます。
なお、第二期はAmazon Prime Video(Amazonプライムビデオ)にて独占配信中です。
参考元
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