マンガというと、「ワンピース」などに見られる様な派手なアクションや荒唐無稽なストーリー展開の作品を思い浮かべます。 しかし、そうしたアクションを抑え、音楽のジャズが似合うような大人のマンガも存在します。 今回はそうした大人の雰囲気を持つマンガ『ACCA13区監察課』をご紹介します。
●あらすじ
「ドーワー王国」は1つの島を13の自治区に分けた王国。
その王国の治安を維持しているのは、民間組織「ACCA(アッカ)」によって管理・運営されている。
「ACCA」は、13の自治区に存在して医療・警察・消防と国内の治安維持を一手に担っていた。
そして、その「ACCA」内で横領や犯罪の発生を防止・鎮圧するのが「13区監察課」。
そこの副課長である「ジーン・オータス」は、この国では高級品であり希少な煙草を吸っている。
「ACCA」内でもその存在は有名で、ついたあだ名が「もらい煙草のジーン」。
ドーワー王国の各自治区を回り、他の地域の監察課を仕切っていたジーンだが、
ある事を境に現国王を打倒しようと考えるクーデーターの陰謀に巻き込まれる事になる。
クーデーターの噂はACCAの組織内にも浸透し、ACCAを治める5人の長官達も互いに首謀者では無いかと疑心暗鬼に陥る。
ジーンは、そんな噂の出所を調査する為、各自治区を視察する事になった。
●魅力解説と設定について
・始めに「制服」があった
『ACCA13区監察課』では、物語を起案する際にキャラクター達が着る多種多様な「制服」を描きたいというコンセプトから始まったと言っています。
色々な「制服」があって、その制服が存在出来る「組織」と「国」がある。
各区を自治区にする事で同じ職種の「制服」でも、多種類に分けて描ける事が出来るというコンセプトで設定されています。
「制服」から拡げた「世界」イメージから、組織「ACCA」や「ドーワー王国」が生まれています。
そうして、13に区分けされた各自治区についても、「制服」のデザインから「お国柄」を考えています。
確かに単行本1巻、2巻では、「ドーワー王国」や「ACCA」について読者に向けて細かく設定を説明しています。
また、各自治区の風土や市民の性格まで、事細かく設定されている事が物語の中で語られます。
それが「ドーワー王国」にリアリティを与え、海外の推理ドラマの様な雰囲気を与えています。
・実はファンタジー?
本作品の依頼を受けた時に、「ファンタジー物」を描いてみたいと考えていたそうです。
そこから、いつもの自分とは違う印象の作品を描きたいとのことから、最初に絵のタッチを他作品とは少し変える事を意識しています。
本作品と他作品を比較すると、線が少し細く描かれ他作品とは違い繊細な女性らしい雰囲気が出ています。
・個性派ぞろいの登場人物
本作品は派手なアクションもなく、互いの内心を探り、各自治区の利益も重なり個性的で重厚な群像劇としてドラマが展開しています。
こうしたドラマチックな展開も魅力的な登場人物が居るからに他なりません。
ACCAを統べ、互いに勢力をけん制しあう5長官や、物静かだが頭が回り、行動力もある主人公ジーンなど、多くの登場人物によってドラマが進行します。
ちなみにオノ・ナツメ自身がお気に入りのキャラクターは、副本部長とノットだそうです。
彼らは単行本のカバー下やページ隅に、ストーリーと関係ない日常の姿が描かれています。
・「ドーワー王国」と「ACCA」トレードマークのデザイン
実は物語に登場する「ACCA」のマークと王国の地図は、単行本の装幀を手がけた「chutte」氏がデザインしています。
「ACCA」マークについてはオノ・ナツメ氏の原案から「chutte」氏がデザインしています。
それを元に「ドーワー王国」の地図を鳥のシルエットに「chutte」氏がデザインしました。
他にもデザイン協力として様々なところで「chutte」氏が協力しています。
●刊行物の情報etc
・作者オノ・ナツメ
本作品の作者「オノ・ナツメ」は、絵柄は刻む様なタッチで海外マンガ的な独特な絵柄のマンガ家です。
独特のタッチは男性的でありますが、実は女性マンガ家です。
物語展開や雰囲気も絵柄と同じく特徴的で、静かな欧州映画的な雰囲気を持つマンガ家です。
他作品は「さらい屋 五葉」や「リストランテ・パラディーゾ」などがあります。
・マンガ
単行本はスクウェア・エニックス〈ビッグガンガンコミックススーパー〉、全6巻で完結ずみの作品です。
現在は「ACCA13区監察課 P.S.」として新シリーズが連載中です。
・アニメ版
2017年にアニメ化され、全12話が放映されました。
内容的にはマンガ版をかなり忠実にアニメ化し、原作が好きな人にも観賞できるレベルの作品です。
ただし、これが初見な人には、物語の最初は大きな出来事も少なく退屈かも知れません。
しかし、細かいところまで作りこまれたACCAやドーワー王国という世界。
魅力的なキャラクター達の駆け引きを眺めている内、アニメを見進めてしまうに違いありません。
ゆっくりとした時間がある時に見たい作品です。
少し大人の雰囲気が味わえる作品です。
参考元
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