『ギャグ漫画日和』の増田こうすけがギリシャ神話を基にして新たに展開するギャグ漫画『神々と人々の日々』。ギリシャ神話の登場人物たちは、増田こうすけワールドにどんなふうに生まれ変わったのか。元ネタのギリシャ神話と照らし合わせながら、キャラクターたちをまとめてみました。
『ギャグ漫画日和』と『神々と人々の日々』
ギャグ漫画の傑作ともいえる『ギャグ漫画日和』。現在は『ギャグ漫画日和GB』として継続しています。
この「GB」というのも「ギャグ漫画日和」の略、つまり『ギャグ漫画日和GB』は「ギャグ漫画日和」を二回繰り返しているだけだというのだからおもしろいですね。
この独特な世界観や、絶妙にゆるいタッチのキャラクターたちのファンだという方も多いのではないでしょうか。
『ギャグ漫画日和』は芭蕉さんと弟子の空良くん、うさみちゃんなど個性豊かなキャラクターたちの話が単発で描かれました。
これに対して、今回ご紹介する『神々と人々の日々』はひとつの世界のうえで様々に関係するキャラクターたちが登場します。
登場人物の関係が複雑に絡まりあっていくこの感覚は、まさにギリシャ神話そのものです。
長い歴史のなかで絵画や彫刻のモチーフとしてあらわされてきたギリシャ神話の住人たちを増田こうすけが描くとどうなるのでしょうか。
元になっているギリシャ神話と比較しながらみていきましょう。
ヘラクレス
出典:まずは第1話の1番はじめに登場するヘラクレス。
ヘラクレスはギリシャ神話の主神ゼウスと人間アルクメネの間に生まれた半神半人で、9つの頭をもつ蛇ヒュドラとの闘いや三頭の番犬ケルベロスを生け捕りした功績で知られています。
神話のストーリーを知らなくてもヘラクレスという名前は英雄として大変に有名です。
彼は退治した獅子の皮をまとっていたといいますが、『神々と人々の日々』のヘラクレスは獅子の皮ではなく生きた獅子をかぶって(かまれて)います。
やけに鼻筋の通った獅子がなんともキュートです。
ちなみに、増田こうすけ曰く「ヘラクレスはなんとなくA型な気がします」とのこと。
エロス
出典:つぎは、愛の神エロス。
翼と弓矢を携えた幼児の姿のキューピッドというとかなり有名な登場人物でしょう。
エロスは、クピド(キューピッド)と混同されたり、なかなか複雑な変遷をたどっているようです。
ともかく、エロスは人を恋に落としたり、あるいは人の仲を引き裂く弓矢を使って、アポローンを恋に夢中にさせてしまったストーリーなどが有名です。
恋や愛、性愛と結び付けられるエロスは漫画の中で俗にいう「エロい」ものに興味津々な青年になっています。
アポロン
出典:アポロンはゼウスと女神レトの間に生まれた男神。
狩猟の女神アルテミスとは双子の関係です。
アポロンは牧畜や予言、文芸などさまざまなものを司っています。
『神々と人々の日々』のアポロンは、占いの館を営業しています。
エロスや、ヘラクレスのライバルであるアキレウスが予言を聞きにやってきますが、アポロンは占いの館をきちんと「営業」しているので、しっかりお代を円でもらっています。
占いの館には太陽のタペストリーがかかっていますが、これはアポロンが太陽神とされるからです。
アテナ
出典:鎧をまとった姿でゼウスの頭を割って出てきたと言われるアテナ。
戦いの女神であり、都市の守護神と言われます。
巨人族との闘いギガントマキアーで巨人に圧勝したり、自分に機織りの勝負を挑んだアラクネーを容赦なく蜘蛛に変えてしまうなど、勇ましいイメージのアテナです。
しかし、漫画の中の彼女は「ミスアテナイ商店街」の立場で商店街を出入りしています。
商店街のテセウスの言動にたじろいでしまっているところが、増田こうすけワールドに入ったアテナといった印象を受けます。
ダイダロス
出典:ギリシャ神話に登場する名工といえばダイダロスでしょう。
そして、ダイダロスと聞けばその息子イカロスを連想する人も多いのではないでしょうか。
ギリシャ神話のダイダロスは、自らの発明で息子を亡くしてしまいます。
ダイダロスのつくった羽根を身につけ飛び立ったイカロスは太陽に近づきすぎてしまう。
羽根の蝋が太陽の熱で溶けて墜落死してしまうのです。
さて、『神々と人々の日々』のダイダロスはどうでしょう。
こちらのダイダロスは息子を亡くすこともなく、穏やかで物怖じしないお父さん。
怪物ミノタウロスにも出てこられないような迷宮でなくて、住みやすい家をつくってあげています。
まだまだいる!神話のなかまたち!
ここではざっと数人だけ取りあげましたが、増田こうすけによって新しく生まれ変わった神話の人々は、本家ギリシャ神話とはまた違う、より一層魅力的なキャラクターになっています。
『神々と人々の日々』それだけでも充分すぎるほど面白いですが、神話を知っている読者はこうして比較してみるのも楽しみ方もひとつでしょう。
「神話は知らない」という方が、これをきっかけに興味を持つことだってあるかもしれません。
優美で残酷で時に突拍子もない展開をするギリシャ神話のストーリーですが、何かをきっかけに少しでも触れてみると、のめり込むようにはまってしまうおもしろさがありますよ。
参考元
- ・参照リンク:ギリシア神話 - Wikipedia
- ・神々と人々の日々1巻2巻集英社
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