隠れた名作『WOOD JOB!～神去なあなあ日常～』で大自然を堪能しよう！

最高に笑える青春【林業】ストーリー

矢口史靖が初の原作小説の映画化

日本の誇るヒットメイカー・矢口史靖。
これまで『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』など話題の映画を監督し、その作品の完成度は圧倒的。まさにハズレなしの映画監督です。

そんな矢口監督がはじめて”原作もの”を監督したのが本作『WOOD JOB!～神去なあなあ日常～』です。
映画化常連の作家・三浦しをんの青春小説を下敷きに、今回も矢口監督はすばらしい作品を生み出してくれました！

内容は今どきの軟弱男子がポスターに映る美女にひかれて安易にも〈林業〉に携わり、大自然に囲まれた土地で様々な人々との出会いを通じて成長してゆくという青春ストーリーです。

笑いあり、感動ありの矢口節は本作でも健在。監督の力量にただただ感服し、あっというまに116分が過ぎてしまうこと間違いなしの傑作コメディです。

個性的なキャストが最高のパフォーマンスを魅せる！

本作のキャストは個性派が目白押し。

主演は染谷将太。主人公の青年・平野勇気の成長してゆく過程を好感度バツグンに演じます。

ヒロイン・石井直紀を演じるのは長澤まさみ。本作では都会から来た軽薄な主人公を嫌いながらも、徐々に彼の成長に心を動かされてゆく村の教師を演じます。

そして本作の影の主役は伊藤英明。
林業チームのエースである飯田与喜を演じます。口が悪く粗暴な性格で主人公を翻弄します。奥さん思いの愛妻家ですが女にだらしのない一面も持ち合わせるという、人間味に溢れた役柄です。

彼もはじめは都会っ子まるだしの主人公を毛嫌いしていますが、少しづつ彼の存在を認め、絆を深め合ってゆくことになるのです。

他にも光石研、優香、西田尚美、柄本明、清野菜名と実力派キャストが個性豊かな登場人物たちを演じます。

STORY

大学受験に失敗し、浪人生活に入ろうかどうしようかと悩んでいた都会の青年・平野勇気は何気なく手にした一枚のパンフレットに心惹かれます。
そこには爽やかな笑顔の美女(長澤まさみ)が映っていたからです。

それは林業の研修生をつどうパンフレットでした。

彼女目当てで林業の研修プログラムに参加した平野勇気でしたが、向かった先はケータイの電波も届かないド田舎。
大自然の山々に囲まれた施設のなか、虫やトカゲに面食らい、先輩のヨキ(伊藤英明)からは罵倒され、肝心の彼女には嫌われる始末。

都会出身の軟弱な若者が、大して興味のない過酷な仕事に打ち込めるはずもなく、何度も逃げ出そうと試みますが…。

まとめ

”スローライフ”が標榜され、大量生産・大量消費の社会に対する疑問符が表面化してきたゼロ年代。
地域おこしなどの国策も踏まえて、田舎での生活にあこがれる都会の住人は数多いでしょう。
それは時代の趨勢といえるかもしれません。

そのなかで実際に田舎に住む人々の生活は、便利な環境の整った都市生活者が考えるほど生易しいものではない、とあらゆるメディアで警鐘も鳴らされてきました。
現実に田舎に引っ越してみて、そのギャップに苦しむ人々が後を絶たないとよく耳にしますね。

「それでもやっぱり大自然に囲まれた田舎暮らしは最高だ！」
と訴えるのが本作です。

その利便性の悪さ、地域コミュニティのしがらみのわずらわしさ、よそ者に対する排他性など、映画は負の側面をしっかりと描いていますが、それを巧みに笑いに包み、裏返しの長所を見事にスクリーンに表現します。

都会の仲間が主人公をたずねて村に遊びに来るエピソード。
田舎をバカにするような言動をする仲間に勇気が一喝するシーンのカタルシスは、この映画のテーマを如実に表しています。

現代人が便利さの影に置き忘れてきた”何か”を思い出させてくれる、そんな素晴らしい魅力がこの映画にはつまっているのです！