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2017/04/12
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お涙頂戴じゃないのにグッと泣ける『さらい屋五葉』野暮な付き合いはしないのさ…

独特な絵のタッチと世界観に落ちていくオノ・ナツメの時代劇『さらい屋五葉』。過去を背負った5人の人物を中心に物語が淡々と展開されていく。当時の雰囲気を壊さないよう、粋な言葉回しや江戸時代の背景が観るものを魅了する、オノ・ナツメワールド全開の『さらい屋五葉』をここに紹介する。

『さらい屋五葉』とは

2006年から2010年まで「月刊IKKI」にて連載されていた、オノ・ナツメ原作による『さらい屋五葉』。

2010年にはアニメ化され、ノイタミナにて放送されていた。

物語の舞台は江戸時代。粋なセリフが飛び交う時代背景や、オノ・ナツメ特有の”飯テロ”でも話題になった。

ふたりの主人公を中心に、何気ない日常のような描写から始まり、いつのまにか心を揺さぶられる。

そして最後には、パズルピースがうまくはまっていくように完結していく。

幕の閉じ方があまりにも美しく、心が透き通るような満足感が得られるのだ。

物語の急展開やメリハリというものはなく、ゆっくりじわじわと明かされていくのもこの作品の特徴である。

かどわかしを生業にした”五葉”

ふたりの主人公を含めた5人の人物が生業としている”かどわかし”、通称「五葉(ごよう)」。

五葉のトレードマークは、弥一の背中にある火傷の痕と同じような形をした五葉松の葉。

金持ちの商人の跡継ぎをさらって身代金を頂く、現代風に言うならば誘拐犯である。

悪行に絡んだ商いを行っている商家を対象に選んでいるため、決して表沙汰になることはない。

基本的にそれが”五葉”のやり方なので、身代金の受け渡しは全て弥一の仕事である。

剣の腕はいいのに、何だか頼りないからという理由で用心棒をクビになった政に弥一は、自分の用心棒をやらないかと声をかける。

弥一は腹をすかせた政を、梅造という人物の店に連れて行き、飯を食わせる。

その後も政は、幾度となくその店に足を運んでいくうちに、いつしかそこはとても居心地のいい場所となっていたのだ。

それぞれに過去を抱えた登場人物

秋津政之助(あきつまさのすけ)

剣の腕前は上等なものではあるが、気弱な性格であがり症、見た目の頼りなさから藩主にも暇を出された武士。

用心棒として生計をたてようとするも、「頼りない」という理由からすぐにクビにされてしまう。

ふとしたことから五葉の仲間に入るが、人の本質などを見抜く目を持っている。

弥一(やいち)

弥一は五葉のリーダーで、桂屋という遊郭の用心棒をしている。本名:誠之進

元々は旗本の息子(養子)だったが、幼少の頃に見捨てられ盗賊:白楽(ばくろ)の仲間になった。

幼少期に、自分の世話をしていた弥一という人物に信頼を置いており、彼もとても大切にしてくれていた。

盗賊だった頃は霧中の誠と呼ばれ、人を殺めることにも躊躇しない冷徹な人物だった。

弥一の役割は、頭目としての役目以外に、身代金の受け渡しも行う。

梅造(うめぞう)

梅造は五葉が集まる居酒屋の店主。以前は、壱師という盗賊のひとりだったが、娘のために一度は足を洗った。

お絹が奉公した旗本で、いたずらされそうになったことが、五葉結成のきっかけともなっている。

強面で無愛想だが、面倒見がよく優しいところもある人物。

梅造の役割は、眠らせた人質を籠にいれて”ご隠居”のところに運んだり、引き取ったりする力仕事。

松吉(まつきち)

元一匹狼の盗賊だった松吉は、怪我をして役人に追われていたところを弥一に助けられ、以後五葉に加わった。

弥一とおたけ以外とはほとんど口をきくことはない。身軽さから五葉の密偵をしており、次に狙う商家の内情を探ったりしている。

表向きは飾り職人だが、過去の怪我が原因で左腕は自由が利かない。

おたけ

おたけは弥一に身請けされた元遊女で、旨い酒を飲むのが好き。五葉という名をつけたのもおたけで、五葉だから5人いるべきと考えている。

五葉の唯一の女性で、妖艶な雰囲気が男を惑わせる。政もおたけを初めてみたとき”美しい女性”と思ったほどの江戸美人である。

弥一を孤独から救うことを中心に物語が展開する

五葉のターゲットを見つけるのは弥一の役目だが、選ぶ対象は自分の過去にも関係があるようだ。

誠之進(弥一)は幼少期、子供の出来ない旗本に養子入りした。しかし、じきに子ができると今度は邪魔者にされ、盗賊にさらわれた過去がある。

盗賊は誠之進を手にかけようとしなかったが、殺害は弥一(誠之進の世話人)から頼まれたと聞き、両親だけではなく弥一にも見捨てられた絶望感に陥った。

だから商家や旗本に復讐をしているのだろうが、こんなことをしただけで弥一の想いは埋まるはずもなく、孤独な想いから抜け出せずにいるのだ。

五葉の仲間たちは深く詮索するのは”野暮”といい、誰とも馴れ合ったりはしない。

ただ、政に関しては少し違うのだ。少しずつ入り込んできて、本当の心情を探る。

もしかしたら弥一は、政のような人物を求めていて、自分を救ってくれるのを待ち望んでいたのかもしれない。

江戸時代そのままの”粋”な雰囲気に魅了される

『さらい屋五葉』の魅力のひとつは、物語が展開される時代背景である。

まるで写し絵のように当時の光景がそのまま描かれいるような印象で、そのクオリティもかなり高評価されている。

少し靄がかったように暗めの場面。電気というものが無かった時代、人々にはこのように見えていたのではないだろうか。

粋な江戸っ子訛りや長屋の壁にあるシミ、茶碗の模様にいたるまで考えながらしっかり描かれている。

だからこそ、いつの間にかその時代にタイムスリップしたかのように感じてしまうのかもしれない。

オノ・ナツメ特有の飯テロがやば過ぎる!

オノ・ナツメ作品では有名な”飯テロ”がここでも展開されている。

ここに描かれた「ご飯・漬物・味噌汁」は、ファンにとっても最強伝説となっている。

ここで描かれた漬物ほど美味しそうなものはあるだろうかと錯覚してしまうほど、とにかく”旨そう”に尽きる。

ご飯の盛り方から見せ方の角度、汁物から立ち上る湯気、団子の皿に残ったタレなど全てが”飯テロ”状態なのだ。

このシーンで同じような盛り付けをした食卓を演じたかたもきっと多いのではないだろうか。

それほどオノ・ナツメの食べ物描写は、そそられるものがあるのだ。

アニメとコミックスでは結末が異なる!?

『さらい屋五葉』のアニメで入っている時間軸は、原作では描かれていない。

そのため原作はスラッと読み進めることができるが、結末も少々違っている。

アニメでは回収されない伏線があるものの、原作を読んでないと理解できない部分もあるようだ。

ただ淡く暗い世界観や、江戸時代の雰囲気は同じように感じられるので、好みに合った方を選べばいいかもしれない。

オノ・ナツメ作品好きにはこちらもおすすめ!

オノ・ナツメの独特な雰囲気が好きという方は、『ACCA13区監察課』もオススメの作品である。

ジーンという主人公が、ある問題に巻き込まれていくといった物語だが、この主人公もオノ・ナツメ作品特有のいい味を出している。

何を考えているか分からないけどとてもゆるい感じで、ドキドキハラハラする展開はないものの、何も犠牲にしない。

誰も傷つくことなく幕を閉じていくのだ。しかしその結末が、読者の思ったとおりではなくとも、納得できるラストであるということ。

ジーンらしいね、という言葉で締めくくるのが一番似合っている。

オノ・ナツメワールドにどっぷり浸かりたい人は是非観て頂きたい作品である。

アニメ『ACCA13区監察課』アフレコ現場の舞台裏/キャストからOP曲まで! | MOVIE SCOOP! https://hikakujoho.com/moviescoop/30635500000971/

独特な世界観で注目されたオノ・ナツメ原作によるファンタジー『ACCA13区監察課』のアニメ放送が、2017年1月にスタートした。ここでは収録現場での声優たちの様子や、キャラを演じる上での意気込み、注目のOP曲などの舞台裏を紹介する。

参考元

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れんこ

written by れんこ

アニメや映画の考察が好き。でも、何も考えないで観られる作品も好き♪心と身体の疲れは、映画やアニメで癒す!

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