時代を物語るダークな印象と、リアルな世界観で人気を博した『91Days』。幼い頃、マフィアに家族を殺された男の復讐劇を描いた物語である。時代はアメリカの禁酒法が発効された1920年、その男は復讐を遂げるため、あの街に足を踏み入れた…。
『91Days』とは
2016年に放送され注目を浴びた完全オリジナルアニメ『91Days』。
監督は『君に届け』や『鬼灯の冷徹』を手がけた鏑木ひろ。
脚本は『ハイキユー!!』や『マギ シンドバッドの冒険』を手がけた岸本卓という期待の高い制作陣。
家族をマフィアに殺された少年が大人になり、復讐を遂げるまでの91日間を描いたハードボイルドアクション作品である。
禁酒法が設けられていた1920年を舞台に、復讐を遂げようとする主人公のほかに、マフィア同士のいざこざや、裏取引のあれこれもリアルに描かれている。
アメリカでは当時、酒類の販売はおろか醸造や輸出入など全面的に禁じられていた。
この禁酒法は悪法として後世にまで語り継がれている黒歴史なのである。
マフィアは法の執行機関を腐敗させた上、警察をも恐喝。密造酒を醸造して輸出することで大きな資金を得ていた。
結局は、禁酒法が発効されても飲酒の習慣があるアメリカでは飲酒の需要は変わることはなかったのだ。
アメリカの悪法といわれた禁酒法とは
1920年から1933年まで続いた禁酒法とは、ボルステッド法と呼ばれ、消費するための醸造、輸出入、販売の全てが禁止されたアメリカの法律である。
違法に醸造していた酒は密造酒と呼ばれ、捜査で見つかった場合、市警立会いのもと強制的に下水に流され処理されていた。
しかし禁酒法に対する反感が高まり、税収入も大幅にダウンしたことから1933年に廃止されている。
あの日届いた手紙を読むまでは抜け殻だった…
街は権力を持つマフィアに支配された禁酒法時代。酒の闇取引で賑わいを見せるローレスの街。
アヴィリオは何の希望も生きがいもなく、ただ生きているだけの生活を送っていた。
そんなある日、アヴィリオの元に一通の手紙が届く。
その手紙に書かれた内容を見て、彼は生きがいを見つけたのである。
差出人不明の手紙には、アヴィリオを復讐へと導く3人の名前が刻まれてあったのだ。
登場人物
アヴィリオ(アンジェロ)
アヴィリオ・ブルーノ、本名アンジェロ・ラグーザ。7年前、両親と弟を殺されひとり逃げ延びた。
日々、街に出ては財布を盗み生活資金を得て暮らしていた。
ひと付き合いはなく陰険な性格で、目の前で何が起こっても動じない無表情で冷徹な青年。
幼馴染のコルテオだけには心を許しており、唯一信じられる人物も彼だけだった。
ヴァネティファミリーのドン・ヴィンセントに近づくため、息子であるネロを信用させファミリーの一員となる。
ネロ・ヴァネッティ
ヴァネッティの息子だが明るく気さくな性格で、街でも人気が高い人物だった。
何よりファミリーが一番大切だと考えており、ファミリーの名を傷つけた者や裏切った者に対しては、容赦しない冷酷さもある。
アヴィリオの家を襲撃し、一家の殺害事件に関わっており、逃げるアヴィリオに銃を向けたが撃てなかった。
コルテオ
コルテオは、アヴィリオとは幼い頃から親友であり兄弟のような関係にある。
密造酒を造り、それを売った資金で生計を立てていた。マフィアを嫌っていたが、復讐に向かうアヴィリオを心配しており、自身もヴァネッティと関わりあう。
コルテオの造る密造酒は、パンチがあり巷でも評判の旨い酒として、ヴァネッティファミリーの大きな資金源となった。
勢力争いする主なマフィア
ヴァネッティファミリー
ヴィンセントをボスとするマフィアの一家。ファミリー安泰のため、ガラッシアファミリーの甥と娘を結婚させた。
後にヴィンセントが重い病気にかかり、ネロにドンの座を譲ることになる。
オルコファミリー
ドン・オルコ率いるマフィアのひとつで、ヴァネッティファミリーより権力を持っていた。
自由すぎる幹部ファンゴを始末しようとするも、アヴィリオとネロの裏取引により、逆にファンゴに殺害され乗っ取られた。
ファンゴの死去後はヴァネッティファミリーに吸収される形となる。
ガラッシアファミリー
シカゴを牛耳っているマフィアのファミリーで、ドンは温厚そうに見えるが、オルコとヴァネッティが抗争した際、ネロを始末させようとした。
アヴィリオのことを気に入っており、自分のファミリーに引き抜こうとした。
中毒者続出!? 骨太なストーリーが本格的
『91Days』は、1920年、禁酒法時代のアメリカを舞台に、両親と弟をマフィアに殺されたアヴィリオが復讐を誓う、といった展開である。
アヴィリオが復讐を進めていくなかで、荒々しいマフィアの抗争など当時の裏社会も精巧に描かれた骨太のストーリーに目を惹く。
また、酒のアルコール分を液化させて水と合わせることで爆発させるといった、科学的な根拠に基づいた内容も見逃せない。
オリジナルアニメといえど、チープさは感じられない作りこまれたストーリーに、一度観るとハマるという人も多いのである。
複雑に入り組んだ人間関係を読み解きながら進める面白さ
『91Days』は、複雑に入り組んだ人間関係が特徴的だが、それぞれのキャラクターの個性も魅力的である。
どこでどう繋がっているのか、誰が誰を裏切っているのかなど考えながら観るのも面白いところだ。
仲間だと思っていた人物が裏切りの中心人物だったり、敵であっても手を組んだりと、推理できるのも『91Days』の醍醐味である。
マフィアファミリーのなかで、友情や信頼といったものがどの程度のものなのか、そういった人間関係を読み解きながら進められるのも人気の要因だろう。
特にアヴィリオに関しては、信頼できる人物はコルテオだけだった。
あくまでもネロは復讐の対象者であったにもかかわらず、接していくうちにコルテオに対する感情と近いものを感じてしまったのかもしれない。
こんな形じゃなければ…というのはよくある話で、アヴィリオはネロに対してそういう気持ちを抱いたと思われる。
仇であっても友情が芽生える…何とも言えない複雑な心境だろう…。
当時のマフィア事情が分かる時代背景が面白い
この時代ではマフィアがどうやって収入を得ていたのか、街の人々がどんな暮らし方をしていたのかなど、当時の事情が分かる時代背景も魅力である。
靄がかかったようなダークな雰囲気だったり、セリフ回しが当時の状況を実にうまく表現している。
まるで古い映画のワンシーンを観ているような感覚で、グイグイ引き込まれていくのだ。
マフィアの裏事情としても、どういった具合で法を潜り抜けていたのか、警察をも機能させないマフィアの手口などもふんだんに盛り込まれている。
禁酒法はアメリカの黒歴史といわれているが、飲酒が当然になっている時代にこの法律は、マフィアにとってはプラスに働いてしまったのかもしれない。
生か死か…アヴィリオの行方は!?
次々と復讐を遂げていくアヴィリオだったが、ネロには最後まで手を下さない。
アヴィリオはネロにどんな思いを抱いたのかは分からない。
またネロもアヴィリオと同じ思いを抱いていたようだが、果たしてそれが友情なのか信頼なのか…。
結局アヴィリオは、始末されたのか生き残っているのかは読者の選択に任せるといったラストを迎える。
このあたりにモヤモヤが残り、どうもスッキリしない結末なのである。
砂についた足跡はいったい誰のものなのか。ネロは何に銃口を向けたのか。アヴィリオの復讐はネロを始末することで完結するはず。
しかし、いつでも殺すチャンスがあったのになぜアヴィリオはネロを始末しなかったのか。最後まで疑問が残ることになる。
参考元
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