女性に人気のダークファンタジー『黒執事』では、いくつもの大事件が展開される。2017年には「豪華客船編」が『Book of the Atlantic』として劇場版で公開された。ここではそれらの物語をポイントごとに紹介・解説する。
『黒執事』とは
『黒執事』は、2006年より月刊Gファンタジーで連載中の枢やな原作によるダークファンタジー漫画。2017年には初の劇場版となる『黒執事 Book of the Atlantic』が公開された。
主人公は、女王の番犬シエル・ファントムハイヴ伯爵と、悪魔で執事のセバスチャン・ミカエリス。
女王の命により事件を調査し、解決方法はいとわない裏仕事を請け負っている。
その事件に関係する登場人物やストーリーなどを「○○編」ごとに解説・紹介していく。
「切り裂きジャック事件編」2~3巻
『黒執事』の単行本2~3巻に収録されている「切り裂きジャック事件編」は、ロンドンで発生した連続殺人事件である。
被害者はすべて娼婦で、残虐な手口から切り裂きジャックと呼ばれている。アンダーテイカーからの情報によると、子宮だけが取り除かれているという。
シエルは、事件に関わっていると見られるドルイット子爵のパーティーに女装して潜入。しかし、子爵は犯人ではなかった。女好きのドルイット子爵に近づくため、女装をしたシエルだが、もともと美男子なのでその姿もかなり美しい。
この事件は1980年代、実際にイギリスで起こった猟奇殺人「切り裂きジャック事件」をモデルにしている。この事件は未解決のままだ。
アンジェリーナ・ダレス/マダム・レッド
この事件で重要となるキーマン、アンジェリーナ・ダレス。髪色や服の色が赤をモチーフとしているため、通称マダム・レッドと呼ばれている。
彼女はシエルの母レイチェルの妹で医者。以前、バーネット男爵に見初められて結婚・妊娠したが、馬車事故により男爵とお腹の子を一度に亡くしている。
事故の際、子供を子宮ごと切除されているため二度と子を産めない体になってしまった。
マダム・レッドの執事で死神グレル・サトクリフ
マダム・レッドの執事としてシエルたちに紹介されたが、お茶も満足に入れられない出来損ないの執事であった。
アニメではファントムハイヴ家に執事修行に出向かされたが、実際の正体は死神でマダム・レッドに興味をもって近づいた。
チェンソーのようにカスタマイズしたデスサイズを使用していたが、のちに申請が出されていないとしてウィルに没収されている。
この回で初登場となるラドクリフだが、アニメではファントムハイヴ家に執事修行にも行っている。
「逆さ吊り事件編」4~5巻
単行本4~5巻の「逆さ吊り事件」とは、インドから帰った英国人が殺害されたことから、「インド帰り逆さ吊り事件」とも呼ばれている。ロンドンで起こった逆さ吊り事件は、インドから帰ってきた貴族や軍人など複数の英国人が犠牲になった事件である。
女王の番犬として事件解決に乗り出すシエルとセバスチャン。その後、暗黒街で知り合ったソーマ王子とアグニが、突然シエルの屋敷を尋ねてくる。ソーマはミーナという女性を探しにイギリスにやってきたという。しかし、アグニはソーマに何か隠し事をしているようだ。
事件解決の糸口を探すため、紅茶輸入などを手がけているウェストの屋敷に忍び込んだシエルたちだったが、ソーマがウェストの前に飛び出してしまう。顔が割れているセバスチャンは、被り物をして登場するわけだが、それがなんと鹿…。
「この王子を迎えに来た鹿でございます」なんていうセリフも飛び出し、笑える場面も。
ベンガル藩王国第26王子ソーマ
ベンガル藩王国のソーマ・アスマン・カダール第26王子。単純ですぐに人のことを信じ、珍しいものがあると興味深々になる。
シエルのことを心底大事に思っているが、シエルには鬱陶しがられている。現在は、アグニ共々ファントムハイヴ家の別邸宅の管理を任されている。
セバスチャンに脅されてから態度が一変。セバスチャンが近くに寄るだけで、緊張感で体がこわばってしまう。
王子の執事アグニ
悪魔でもなんでもない普通の人間だが、セバスチャンと対等にやりあうほどの身体能力の持ち主である。
一時は堕落した生活を送り、処刑寸前で救い出してくれたソーマを神と崇めるほど慕っている。
ミーナを探すソーマに同行したが、夜中にこっそり外出しているなど、妙な様子が伺われる。
「ノアの方舟サーカス編」6~8巻
単行本6~8巻の「ノアの方舟サーカス編」は、ロンドンで多発した子供失踪事件である。
イギリスで子供が行方不明となる事件が多発した。女王の命により、シエルとセバスチャンは、怪しげなサーカス団に潜入することとなる。
まんまと団員として潜り込むことに成功したシエルたちだったが、そこには同じような調査で潜入していた死神ウィルもいた。やがてシエルたちは、団員たちの義足や義手に関わっている医師と対面する。
そして、彼らがお父様と呼ぶ男爵が、事件の首謀者だと突き止めるのである。またシエルは、この男爵があの忌まわしい事件とも関わりあっていたことを知る。
サーカス団のリーダー的存在/ジョーカー
ジョーカーはサーカス団員のまとめ役で、物腰柔らかな京都弁で話すのが特徴。
ドブのような生活から救い出してくれたケルヴィン男爵に恩を感じており、男爵のいうことであれば犯罪にも手を染めた。右手は義手だが、サーカス団の医師の本性や義手の原料が何かを知って打ちひしがれた。
ウィルによると、ジョーカーの本名は不明だが母はカレンという名の娼婦で、ジョーカーの生年月日も1863年4月2日だと判明している。
ケルヴィン男爵
ケルヴィン男爵は、孤児院を経営している男爵で過去にジョーカーたちを救った人物。この事件の首謀者であるが、ファントムハイヴ家の事件とも関わりがあるようだ。
シエルがまだ小さかった頃に夜会で出会い、彼らに魅了され、ファントムハイヴ家に執着するようになる。
美しくないと仲間に入れて貰えないのだと錯覚し、自身の顔をフランス人形のように整形したが、その途中ファントムハイヴ家の事件が起こった。
顔面に包帯を巻いているのは、手術が失敗したのか、術後すぐに包帯を外して醜くなったのかは不明である。
「ファントムハイヴ家連続殺人事件編」9~11巻
単行本9~11巻に収録されている「ファントムハイヴ家連続殺人事件」は小説家アーサーが体験した、悪魔に纏わる話を抑制するために生み出した別の物語である。
シエルの元に、ファントムハイヴ家で、ある男を招いた晩餐会を行って欲しいという女王からの要望が届いた。女王自身が招くべきことを、なぜファントムハイヴ家で行うのか。
しかし、女王がそういうならば何か裏があるだろうと睨んだシエル。要望どおりの人物を招待して晩餐会が行われたが、そこには女王の執事チャールグ・グレイも出席していた。
女王の要望通り、晩餐会の主賓となっているのはドイツの銀行員ジーメンスである。そして晩餐会終了後、ジーメンスは部屋で殺害され、さらには屋敷の中を探していたセバスチャンも、殺害されてしまうのだ。
ここでジーメンスが殺害された理由と「魔女の呪い編」が繋がっていく。
眼科医で売れない小説家/アーサー
アーサーは眼科医であり、売れない小説家でもある。しかし洞察力に長けており、ファントムハイヴ殺人事件では手腕を発揮している。
アーサーはなぜ、自分が晩餐会に呼ばれたのか全くわからなかった。どうやら、シエルが彼の長編小説のファンだったことから招待されたらしい。
事件解決後、セバスチャンの正体に気付いてしまったアーサーは口止めされたが、誰かに話してしまいたいという衝動を抑制するため別の作品に注力した。
アーサーのモデルになったのは、実在したイギリスの小説家でシャーロック・ホームズの生みの親、アーサー・C・ドイルといわれている。
サーカス団の生き残り/スネーク
スネークはサーカス団の生き残り。仲間がどうなったのかは知らないが、仲間たちは捕まる前に行方をくらませたと聞かされている。
サーカス団に入ったのは一番最後で、ジョーカーたちとは生まれた地が違う。首や体にいつも蛇を巻きつけているのが特徴。体のところどころに蛇の模様がある蛇男で、人との会話は「と、○○が言っている」というヘビの代弁をするようにしゃべる。
一度はシエルの殺害を目論むが、その後ファントムハイヴ家の下僕となって行動している。
「豪華客船編」11~14巻
2017年に劇場版が公開された「豪華客船編」では、死者蘇生が行われているという情報に基づき、シエルたちがカンパニア号に乗り込む。
死者蘇生に成功したという暁学会に潜入したシエルたちだが、そこでドルイット子爵とアンダーテイカーの姿を目にする。
死者蘇生のデモの最中、死者が突然人を襲い会場はパニックになり、船底に安置してあった他の死体も動き出し地獄と化していく。いわゆるゾンビが大量発生するわけだが、ここで登場するゾンビはウイルスではないので噛まれても感染しない。
またアンダーテイカーが処置を施しているので、薄黄味悪いゾンビではなく、どちらかというと綺麗なゾンビである。
葬儀屋/アンダーテイカー
アンダーテイカーは、殺人事件があるとシエルが訪れるロンドンの葬儀屋である。情報料として、お金の代わりに笑いを与えなければ情報はもらえない。また、ファントムハイヴ家との関わりもかなり長いようだ。
ここでのアンダーテイカーは、死者蘇生に大きく関わっている。また自身が大事にしているというメモリアル・ジュエリーには、名前や年号も入っている。
これが何を意味するものなのかは、一切明かされていない。
シエルの婚約者/エリザベス・ミッドフォード
シエルの婚約者エリザベスは、シエルの前では可愛い女の子でいたいと願う、いじらしい少女である。
しかし「豪華客船編」では、エリザベスの思わぬ姿を目にすることができる。
これまでの可愛いだけじゃない、たくましくカッコイイ部分も見られるのだ。
「寄宿学校編」14~18巻
単行本14~18巻の「寄宿学校編」では、行方不明になった女王の甥を探すため、シエルは生徒セバスチャンは教師としてウェストン校に潜入する。
ウェストン校の寮は、「深紅の狐」「紺碧の梟」「翡翠の獅子」「紫黒の狼」と4つに分類されており、最高位の監督生は4Pと呼ばれている。
4Pが開催する「夜のお茶会」に何か隠されているとみたシエルは、それに参加するために行動を起こしていく。
ウェストン校/プリーフェクト4
「深紅の狐」「紺碧の梟」「翡翠の獅子」「紫黒の狼」の各4人の監督生は、伝統を重んじる仲間である。
伝統を重んじるがゆえに、とある生徒を手にかけてしまう。暁学会に蘇生を依頼したが、醜い姿となったため隔離して隠蔽していた。
その後4人は退学処分となったが、「青の教団編」でこれまでとは違う姿を見せるようになる。
「魔女の呪い編」18~22巻
単行本の18~22巻の「魔女の呪い編」では、女王の命によりドイツに赴くことになる。
セバスチャンと使用人を連れて向かった人狼の谷にある村には、緑の魔女と呼ばれる少女サリヴァンがいた。村を調査していたシエルは人狼の呪いを受け、サリヴァンによって命を取り留める。しかし、一時的に記憶をなくしてしまう。
数日後セバスチャンのおかげで元に戻ったシエルだが、この村で自身に降りかかった呪いの秘密や、ドイツの軍事機密に関わることを目にする。
緑の魔女サリヴァン
好奇心旺盛なサリヴァンは、ゴスロリのような衣装を身に纏っている。また、纏足(てんそく)にされていたのでひとりでは歩けない。
緑の魔女として村を統治していた若き領主で、好奇心旺盛でシエルたちを歓迎していた。
究極魔法を完成させようとしていたが、実は軍事に利用されていただけだったのだ。
「青の教団編」23巻~
単行本23巻~の「青の教団編」では、「寄宿学校編」で退学になった4Pが、ミュージックホールでアイドルとして活動している。
ウェストン校の新しい4Pとなったエリザベスの兄エドワードの元に、退学になった4Pのひとりが謝罪に訪れ、ホールに連れて行く。次にエドワードはエリザベスを連れて行くが、次第に嘘をついてまで通うようになったエリザベスはとうとう家にも帰らなくなってしまう。
この回では、アンダーテイカーとエリザベスの行動が鍵を握っている。アンダーテイカーが呼ぶ伯爵とは誰なのか。エリザベスが「私じゃあなたを救えない」という、あなたとは誰のことなのか。
エリザベスは誰かに操られているわけではなく、自分からミュージックホールにいるようだが、そこには何があるのか。
2017年現在、進行中のストーリーなので、この先を知りたい場合は掲載誌「月刊Gファンタジー」で確認してほしい。
参考元
- ・『黒執事』単行本SQUARE ENIX
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