2017年1月期にテレビシリーズとして放送されたアニメ『幼女戦記』。原作はWeb小説からその後書籍化され、現在11巻が発売中の同名小説です。著者のカルロ・ゼン氏は『幼女戦記』がデビュー作で、まさかアニメ化される(できる)とは思っていなかったそうです。今回の『劇場版 幼女戦記』は、アニメ2期を心待ちにしていたファンを良い意味で裏切る、続編の映画化となりました。そんな本作のあらすじを解説します!
「諸君、戦争の時間だ!」部下にゲキを飛ばすのは11歳の少女、ターニャ・フォン・デグレチャフです。
実は彼女、いえ彼は現代の東京で働くサラリーマンでした。
しかし、合理的で優秀な彼は職務としてのリストラを完璧におこなった結果、無能な社員の恨みを買い、駅のホームから突き落とされてしまいます。
今まさに電車に激突せんとするその刹那、自らを“神”と名乗る者の声が聞こえます。
神は「神の存在」を信じない現代の社会を憂いはじめました。
理性的で合理的な男は当然、神の存在など信じてはいないので、こんな豊かで満たされた時代に誰も神など信じない、と論破します。
すると神(男はそれを“存在X”と呼んでいます)は男を、「では苛酷な状況に追い込まれれば、神を信じるのだな」と、戦争直前の異国で転生させるのでした。
『幼女戦記』テレビシリーズをおさらい!
アニメの『幼女戦記』が初めて方はこちらをお読みください。
主人公ターニャ・デグレチャフは統一暦1913年、かつてのヨーロッパにあるような国「帝国」に生まれ、孤児院で育ちます。
彼女は“神”によって、現代の東京から幼女となって転生させられたのでた。
理由は“神を信じない”から。
神は戦争という苛酷な状況に置くことで、彼女(もとはサラリーマンの男)に信仰心を芽生えさせようとしているのです。
この世界で生き残れなければ次の転生はない、と。
男、いえターニャは神を“存在X”と呼び、なんとしてもこの世界で生き残ろうと決意します。
魔力が兵器利用されているこの世界で、自身に備わっていた強力な魔法の力を利用して軍に志願し、前世での記憶や知識を駆使し弱冠9歳にして少尉に昇進。
ライン戦線での活躍からネームドと呼ばれ、敵からは「ラインの悪魔」と恐れられるまでになります。
そんな中、本人は安全な後方での勤務を希望し、本国教導隊に配属されます。
しかしそこでの仕事は、主任技師シューゲル博士の開発した新型演算宝珠の実験台…。
何度も空中で大爆発を起こし、ターニャはたまらず転属を願い出ます。
最後の実験の日。“存在X”が介入してその宝珠「エレニウム九五式」は、神に祈りを捧げることによって、強大な魔力を発現させることに成功。
皮肉にもターニャは、それを使うたびに神を讃えなければならなくなってしまいました。
再び前線で戦ったのち、ターニャは帝都の大学に進学します。
そこで参謀本部の戦務参謀次長ゼートゥーアの目にとまり、ターニャの作戦が採用されることに。
卒業後、不本意ながらターニャは大隊を率いて最前線に送り込まれることになります。
こうしてターニャは、自分の保身のために戦争を終わらせようと策を巡らせるのですが、帝国軍に利用され、事態はどんどん泥沼の世界大戦へと突き進んでゆくのです…。
『劇場版 幼女戦記』あらすじ① プロローグ
統一暦1966年、連合国某所。
今は聖職に就いている、かつての「帝国」主任技師シュゲール博士へのインタビューがおこなわれています。
「帝国はどこで間違えたのか?」
シュゲールは答えます。
「帝国に対する耐えがたい恐怖。“感情”が、破滅へと導いたのです…」
『劇場版 幼女戦記』あらすじ② 南方での勝利、そして北方へ…
統一暦1926年。
南方戦線にて、自由共和国軍の司令本部をやすやすと壊滅させた、ターニャ率いる第二〇三航空魔導大隊。
休暇を楽しもうと意気揚々と砂漠から凱旋しますが、参謀本部レルゲン大佐の命で即座に輸送機に押し込められ、今度は雪の降るルーシー連邦との国境に送られます。
そこで連邦は、列車砲を構え一発砲撃、帝国に宣戦を布告しました。
しかし、いち早く偵察に駆けつけていたターニャたち魔導大隊により、その拠点はただちに破壊されたのでした。
ターニャは参謀本部に上申し、連邦の首都モスコー攻撃を許可されました。
共産主義の国である連邦が魔導士を粛清したため、空からの攻撃に弱いとふんだターニャは、連邦の象徴、書記長の像や主要な建物を破壊して帝国旗を打ち立て、あろうことか帝国国家を斉唱し大音量で流したのです。
それを見ていた連邦の秘密警察長官ロリヤ。
幼女好きのロリヤはターニャの姿を見ると、彼女を手に入れたくてたまらなくなってしまうのでした。
合衆国義勇派兵部隊の一員としてモスコー入りしていたメアリー・スーは、父をターニャに殺され、仇を討つために軍に入った少女です。
帝国魔導士による攻撃を目の当たりにし、軍規を破って出撃してしまいますが、まだ戦い慣れていないメアリーは、ターニャに撃墜され重症を負います。
ただ、ターニャはメアリーの尋常ではない魔力量を脅威に感じるのでした。
『劇場版 幼女戦記』あらすじ③ 帝国の要所、ティゲンホーフ市へ
参謀本部の命令と、東方部隊からのSOS。
板ばさみ状態になってしまったターニャは、帝国東方の都市ティゲンホーフ市が交通の要所であることに気づき、そこを次の目的地にしました。
そうすることで、どちらの要望にも応えられるのです。
しかし、連邦が大規模侵攻をティゲンホーフに仕掛けてきました。
ターニャは自分たちの作戦が漏れたのかと疑いますが、本当のところはターニャを手に入れたいロリヤが、ターニャのいるティゲンホーフを本気で攻めてきただけなのです。
ありえないほどの大群で帝国軍を押す連邦軍。
今回は多国籍義勇軍の航空魔導大隊も加わり、さすがの第二〇三航空魔導大隊も疲労困憊…。
そんな中、ヴァイス大尉たちの活躍により敵の爆撃機を撃墜させ、目的を達せられなかった戦闘機は引き返していきました。
指揮系統の混乱した歩兵たちは敗走し、残るは多国籍義勇軍のみ。
しかし、異常な魔力量のメアリーが宿敵ターニャを追い回し、ティゲンホーフの街はかなり破壊されてしまいます。
そしてついに弾切れの二人。
追い詰められたターニャは、怒りに我を忘れたメアリーに10発以上殴られます。
しかし、勝ちを確信し、油断したメアリーはターニャに背中を刺され、数発の銃弾を撃ち込まれてしまいます。
ターニャがトドメをさそうとした瞬間、ステンドグラスを割って飛び込んできた合衆国のネームド、ドレイク中佐によってメアリーは奪還されてしまいました…。
『劇場版 幼女戦記』あらすじ④ 帰還。そしてターニャの転属願い
参謀本部にて、ターニャは後方での勤務を希望します。
帝国軍エースの突然の申し出に、ゼートゥーアたちはその真意を問います。
ターニャは「このままではこの戦争は勝てない。人材を育成し、戦略を練り直す必要がある」と説きます。
ゼートゥーアは2ヶ月の期限付きで、ターニャの部隊を西方の安全な場所へ配置転換させました。
そこで安全な生活を謳歌するターニャ。しかし、隊員たちは退屈で死にそうです。
ターニャは自分の評価を上げるため、そして安全な後方勤務を続けるため、さまざまな計画を立案しまとめます。
ターニャが後方に移って2ヶ月が経ったある日、ゼートゥーアから電話がかかってきました。
ターニャの仕事ぶりをひとしきりほめたあと、彼は告げます。
「貴殿が論文にまとめた戦闘団をつくる。君が指揮官だ」
確かに、それはターニャが考えた戦略。
彼女は二〇三大隊に歩兵隊、砲兵隊、機甲部隊を加えた戦闘団の指揮を任されてしまったのでした。
「その名も、サラマンダー戦闘団」
そして、ターニャは叫びます「どうしてこうなったー?!」
ここで『劇場版 幼女戦記』は終わりを迎えます。
『劇場版 幼女戦記』まとめ
『幼女戦記』というタイトル。「幼女」という響きが与えるイメージとは真逆で、本作の原作はまさしく戦記物。
歴史が大好きだったという著者カルロ・ゼン氏が、第1次世界大戦を描いてみたかったと、とあるインタビューで言っています。
それは、世界が大きく変化する契機となったこの大戦をもっと知ってほしいということと、もう1つは騎士道が感じられる最後の戦いだから、だそうです。
テレビシリーズの中でも、ターニャたち航空魔導大隊に対して、地上の敵が「卑怯だぞ!おりてこい」というシーンがありますが、前時代の騎士(のような者)たちと、進歩した科学力を有する帝国軍との戦力差は歴然。
その対比が痛快で、そして同時に悲哀も感じます。
また、この物語は戦記物としてだけでなく、ターニャを徹底的に合理的な現実主義者として描くことで、仕事や人間関係など私たちの人生にも役に立ちそうなヒントを与えてくれます。
悩める大人の鑑賞にも値する作品といえますね。
さあ、続きはまた劇場版なのでしょうか。
今の時点では何の発表もないのでわかりませんが、この作品も公開1週目で上映館拡大が発表されたので次回作の見通しも明るいと思います。
次回作を期待して待ちつつ、テレビアニメ版『幼女戦記』や本作をまだ観ていない方、今のうちにぜひチェックをしてみてください!
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