宮崎駿映画初監督！『カリオストロの城』叶わぬ初恋がここに！

『ルパン三世 カリオストロの城』とは

『ルパン三世 カリオストロの城』は、モンキー・パンチ原作『ルパン三世』の劇場アニメ2作目で、宮崎駿が初監督を務めた作品です。

1979年に公開されてから、38年以上たったいまでも、人々の心に残る名作となっています。


モンキー・パンチが描く小悪魔的なルパンとは異なり、宮崎駿らしい優しさのある作品として注目されました。

宮崎駿監督がこだわった、冒頭のカーチェイスシーンでは、あのスピルバーグ監督も「世界最高のカーチェイス」だと賞賛しています。

また、劇中でのセリフのなかには、現代まで語り継がれている名セリフも生まれています。

『ルパン三世 カリオストロの城』あらすじ

ルパン一味が、モナコの国営カジノから大金を盗み出したものの、そのすべての金が幻の偽札「ゴート札」だったのです。

過去に、ゴート札で痛い目にあったことのあるルパンは、その出処であるカリオストロ公国へと向かいます。

カリオストロへ到着したルパンと次元は、花嫁衣裳を着て、何者かに追われている少女・クラリスと出会います。

クラリスは、カリオストロ公国の亡き大公の娘で、カリオストロ伯爵から強引に結婚を迫られ、逃げ出していたのです。

ルパンたちは、クラリスを何とか救おうとしましたが、追っ手に阻まれ、連れ去られてしまいました。


ルパンはクラリスが残した指輪の紋章を見て、過去ゴート札で痛い目にあったときに救ってくれた少女だったことを思い出します。


伯爵がクラリスの財産狙いで結婚しようとしていたことを知り、ルパンはクラリスを伯爵から救う決心をしたのでした。

登場人物紹介

ルパン三世/声優：山田康雄

『ルパン三世』シリーズの主人公で、世界的な大泥棒ルパン三世。

怪盗アルセーヌ・ルパンの孫で、女たらしで愛嬌たっぷりの三枚目。豊富な知識と悪知恵を使った、泥棒を生業としています。

しかし、弱い立場のものからは決して盗みはせず、時には手助けをすることもあり、自分のことより他人を優先することがあります。

基本的には、暴力や殺人は必要としませんが、相手が悪党の場合のみ行うこともあります。

『カリオストロの城』では、女たらしを封印した勇敢な姿を観ることが出来ます。


『カリオストロの城』のルパン役を演じているのは、仕事にプライドと信念を貫いた、故山田康雄です。

ルパンといえば山田といわれるほどのハマリ役で、容姿もルパンに似ていたこともあり、「ルパン三世の山田康雄」として知られていました。

次元大介/声優：小林清志

次元大介はルパン一味のひとりで、速撃ち0.3秒という、狙撃の名手です。拳銃を手に持っていない状態から、発射するまでのスピードが驚異的です。

帽子のつばで、拳銃の照準を合わせるために帽子を深く被っています。次元の目が見えるときは、コミカルな描写が多く、シリアスシーンは目を隠しています。


『カリオストロの城』では、ルパンと一緒に公国へ入国し、クラリス救出の手助けをします。

ルパンがクラリスを救い出したあと、ふたりを逃がすため、暗殺部隊相手に対戦車ライフルで戦います。


次元大介役を演じているのは、1971年のテレビシリーズからずっと変わらずに演じ続けている小林清志です。

ルパンシリーズの声優陣は、役者たちの年齢と共に代替わりしていますが、次元だけは小林のまま変わっていません。

それも、小林演じる次元大介には、誰もかなわないということなのかもしれませんね。

石川五エ門/声優：井上真樹夫

石川五エ門は、アニメシリーズ登場当初、銭形警部や明智小五郎と並んで描かれていたことから、敵なのか味方なのか、わからない存在でした。

ルパン一味のメンバーとして、世界中を飛び回るルパンや次元と違って、単独で行動することが多いキャラです。

五エ門の役割としては、斬鉄剣で武器や障害物を斬って、進路を確保したり、敵に斬り込みをいれたりとさまざま。

仲間であるルパンとも、内容によっては敵対することもあります。

『カリオストロの城』での五エ門は、ルパンに呼び出されて合流しますが、女性が絡んでいると知り、難色を示します。

しかし、クラリスの女性らしい立ち振る舞いを見て、可憐だとつぶやいています。


五エ門役を演じているのは、冷静沈着で優秀な役柄を多く演じる井上真樹夫です。

これまでにも多くの作品で、二枚目役を中心に演じてきました。

井上の声質は、ブレのない安定感のある低音が魅力で、世の女性を虜にしています。

峰不二子/声優：増山江威子

ルパンの仲間であり、敵でもある峰不二子は、自分に忠実なセクシー美女。

ルパンの敵として登場することが多く、味方のふりして最後は裏切るというスタイルが定番です。

ほとんどの場合、金品や宝石が目当てで、そのためにルパンたちの手を借りますが、ルパンたちも不二子に裏切られるのを前提で動いています。

『カリオストロの城』では、クラリスの召使として城に入り込みますが、いつものような裏切りはなく、逆にルパンや銭形警部のお膳立てをしています。


峰不二子役を演じているのは、少女からセクシー美女役まで、幅広く演じている増山江威子です。

増山演じる不二子は、ファンからも高く評価されており、未だに峰不二子は増山江威子がいいというファンも少なくありません。

銭形警部/声優：納谷悟朗

ルパン逮捕に執念を燃やす銭形警部は、真面目で責任感の強い人物です。

いつもルパンを捕まえることは出来ませんが、ルパンが死んだという噂を聞いたときは、誰よりも悲しむ姿をみせるほど、腐れ縁となっています。

『カリオストロの城』では、ルパンを追ってきましたが、ゴート札の真相を暴くため、ルパンや不二子と共闘しました。


銭形警部役を演じたのは、声優である前に俳優であると語っていた納谷悟朗です。

数多くの人気作品で、重要な役柄を長い間演じてきました。

2013年に死去したあとも、多くのファンに慕われ続ける名声優となっています。

クラリス・カリオストロ/声優：島本須美

本作のヒロイン、クラリス・ド・カリオストロは、カリオストロ公国最後の王女で、長い間修道院でくらしていました。

財産を狙うカリオストロ伯爵に結婚を迫られ、一度は逃げ出しますが、追っ手に捕まり、塔に閉じ込められていました。


クラリス役を演じたのは、永遠のヒロイン声といわれる島本須美です。

島本は宮崎作品への出演が多く、『風の谷のナウシカ』のナウシカ役や、『となりのトトロ』のサツキ役、『もののけ姫』のトキ役などを演じています。

ため息だけで感情を表現できると、声優界でも憧れの存在になっているようです。

『カリオストロの城』伝説的な名シーン

有名なカーチェイスシーン！

「まくるぞぉ～」

出典：http://www.lupin-3rd.net/mx4d/

by ルパン三世

冒頭で、追っ手から逃げるクラリスを助けようとしているときのカーチェイスシーンです。

あのスピルバーグ監督からも、絶賛された名シーンとなっていて、小さな車にふたりの男がぎゅうぎゅう詰めになって、垂直の崖を平然と登ったりします。

普通では考えられない走りを見せたこのシーンは、カーチェイスを書かせたら日本一といわれる、アニメーター友永和秀が描いています。

この時、次元のセリフの次に出す、ルパンのセリフが思いつかなかった宮崎は、鈴木敏男から「まくる」というアイデアをもらいました。

悪党相手のカーチェイスシーンでの、ルパンの名言「まくるぞぉ！」は、鈴木敏男のおかげで誕生したのです。

塔に閉じ込められたクラリスを救うシーン

「今はこれが精一杯」

出典：http://www.lupin-3rd.net/mx4d/

by ルパン三世

塔に閉じこめられた、クラリスを救いにいったルパンと、クラリスの名シーン。

クラリスに誰？と聞かれ、貴女を盗みにやってきたと答えるルパン。

クラリスを笑顔にしようとマジックで出した、一輪の花を差し出し「今はこれが精一杯」のセリフ。

キザなことをやってもキザに見えない、ルパンの魅力的なシーンであり、クラリスの優しさ溢れる名シーンです。

偶然を装ったように偽札工場を見つけたシーン

「ルパンを追って大変なものを見つけてしまった。どーしよーう」

出典：http://www.lupin-3rd.net/mx4d/

by 銭形警部

ルパンの捜査は認められていたものの、偽札に関しては国家間の問題があるとして、止められていた銭形警部。

ここは峰不二子と組み、ルパンを追ってたら、たまたま偽札造幣場を見つけてしまったという設定で、テレビ中継。

銭形警部の、一世一代の猿芝居でのセリフも名シーンとなっています。

ラストで花を飾った銭形の名セリフ

「やつは大変なものを盗んでいきました…あなたの心です。」

出典：http://www.lupin-3rd.net/mx4d/

by 銭形警部

ここでの名セリフは、『カリオストロの城』を観たことがなくても、知っている方も多いのではないでしょうか。

一緒に連れて行って欲しいというクラリスに、別れを告げたルパン。

一足遅くルパンを追ってきた銭形警部の、まんまと盗みやがってのひとことに、クラリスは、ルパンは何も盗んでいないといいます。

しかし、銭形警部はクラリスに、「やつはとんでもないものを盗んでいきました。あなたの心です。」

現代にも語り継がれている名セリフで、他の誰でもなく、銭形警部がいったからこその、名言となっているのです。

『カリオストロの城』のモデルとなった人物や場所は？

クラリスのモデルになった人物

本作に登場するクラリスは、モーリス・ルブランの小説『カリオストロ伯爵夫人』に登場している、ルパンの最初の妻、クラリス・デティールがモデルになっています。

『カリオストロ伯爵夫人』は、20歳のルパンの冒険が描かれた作品で、クラリスは、デティーグ男爵の一人娘。

ラウール=ダンドレジーと名乗っていたルパンと、クラリスは、将来を誓い合っていたという物語のヒロインです。


『カリオストロの城』では、ルパンとクラリスの儚い恋も描かれていますが、そこは世界の大泥棒ルパン三世。

小説のなかの恋のように、うまくいかないのですね。

岸壁にそびえる素朴で小さな街サン・レオ

『カリオストロの城』には、モデルとなっている場所や建物が実在します。


ルパンが、情報を集めたり、食事をしたりするシーンは、イタリア中部にあるサン・レオという田舎町がモデルになっています。

人口3000人ほどの小さな町で、巨大な岩を切り開いて作られています。それゆえに、サン・レオに向かう道は、1本しかないのです。

断崖絶壁の上に聳え立つ、サン・レオの町は、まるで中世の時代にいるような気持ちにさせられます。

また、素朴で美しい街並みにも目を惹かれます。

カリオストロ城はドイツのリヒテンシュタイン城がモデル

クラリスが幽閉されていた、カリオストロ城のモデルとなったのは、ドイツのネッカー川の断崖絶壁に悠然と立つリヒテンシュタイン城です。

崖の上に立つこの城には、隠し部屋も存在するといいます。また、城の装飾も『カリオストロの城』と似通っています。

崖の反対側は森で、広い敷地に建てられており、妖精の城という別名でも知られています。

14世紀に廃城となったリヒテンシュタイン城を活かしながら、歴史の記述に基づき、つり橋や塔などを再現しています。

ルパンはクラリスと再会していた!?

クラリスとルパンが、『カリオストロの城』で別れてから数年後、ルパン・トークによって、再会しています。

ルパンは、峰不二子の依頼で雑誌のインタビューを受けているという内容で、クラリスとの再会トークは、ルパンのひとり語りとなっています。


人でごったがえしたホテルのロビーで、ルパンを呼び止める声がして振り向くと、そこにはボディガードに囲まれたクラリスの姿が。

クラリスは、カリオストロ公国への、観光開発を依頼しようと、日本にやってきたようです。

もう少し話したかったけど、彼女は一国の王女で、自分はしがない泥棒。親しげにすると、クラリスに迷惑がかかってしまう。

手短に別れを告げ、ルパンは次元と五エ門の待つ、居酒屋へと向かいました。その夜のルパンは、ちょっぴりおセンチになって寝付けなかったようです。


この再会シーンは、音声ドラマとなっており、ルパン役を演じた山田康雄によって、吹き込まれた「クラリスとの再会」です。

『カリオストロの城』がMX4Dで再び蘇える！

2017年1月、『カリオストロの城』が、特殊効果による体感システムMX4Dで、劇場公開されています。

振動や風、シートも動くアトラクション型で楽しむことができ、お馴染みのカーチェイスシーンや、アクションシーンなど、MX4Dならではの臨場感を体験できます。


この機会にぜひ、クラリスとルパンに、会いに行ってみてはいかがですか？