今年の春公開の韓国映画3本が話題となっています。「哭声」「お嬢さん」そして「アシュラ」です。3本とも方向性の違う作品ですが、それぞれがそれぞれの方向にぶっ飛んでおり、現在の韓流映画の勢いを感じさせる3本です。今回はこの3本のうちの「アシュラ」を紹介します。
韓国のスター俳優が集結!
監督 キム・ソンス
アクション映画に定評のあるキム・ソンス監督が、金と権力と暴力にまみれた世界を描き出します。主人公役のチョン・ウソンとは4度目のタッグとなります。
刑事ハン・ドギョン役 チョン・ウソン
「私の頭の中の消しゴム」が有名な西島秀俊似のイケメン俳優ですが、今作では市長と検察という2つの巨大な権力の間に立たされる主人公を、文字通り体当たり演技で演じています。
後輩刑事ムン・ソンモ役 チュ・ジフン
最初は正義感に溢れていたものの、どんどん悪に染まっていく主人公の後輩を演じています。今作の中でいちばんキャラクターの振れ幅が大きい役を見事にこなしています。
市長パク・ソンベ役 ファン・ジョンミン
全ての悪の元凶である悪徳市長を演じるのは、現在の韓国のトップ俳優ファン・ジョンミン。彼の出演する映画は必ずヒットすると言われる程の国民的スター俳優です。同時期に公開されている「哭声」にも出演しています。
検察キム・チャイン役 クァク・ドウォン
脇役の多かった俳優ですが、日本では昨年公開された「弁護人」で権力の象徴である特高警察を演じ、国民的俳優になりました。「哭声」では主人公のダメ警察を演じ、そこでも共演したファン・ジョンミンとは今作では敵対する検察部長を演じます。
てんこ盛りなバイオレンス描写!
暴力の連鎖の行き着く先とは...?
この映画で起こる暴力が発生する原因は、本来ならば闇に埋もれているはずでした。刑事であるドギョンは市長の右腕として、汚職裁判で市長に不利な証言をしようとしていた弁護士を口止めします。
しかし、この工作が外にバレそうになる場面から少しずつ主人公の運命が狂っていき、市長と検察の抗争が勃発します。工作がバレそうになる場面には辺り一面ガスボンベが置いてあります。これは、これまで闇に隠れていた裏社会の暴力が今まさに爆発する、ということを意味しています。
中盤のカーチェイスに注目!
冒頭場面以降、ドミノ倒しのように暴力の連鎖は進んでいきます。これらのバイオレンス演出も凄まじいのですが、特に注目してもらいたいのは、中盤にドギョンが市長の部下が乗った車を追いかける雨の中のカーチェイスシーンです。
車の中から運転席のドギョンを撮っていると思ったら、そのままカメラは車の外へ行き、市長の部下の車の中を映します。そう思ったらまたカメラは車の外へ行き、再びドギョンの車へと戻ります。
アクション映画を撮り続けてきたキム・ソンスの発想と、現在の韓国映画の技術のレベルの高さを伺い知ることが出来るシーンになっています。
獣と人間の境目はどこだ!?
彼らは人間じゃない...。犬だ!
映画の冒頭のナレーションで、ドギョンが人間を犬に例える話をしますが、映画全体でそのことを表現しています。映画の背景音には常に犬の鳴き声が聞こえ、飼い犬が外の世界へ出ないような「フェンス」がこの映画には頻出します。
映画の冒頭、この暴力の連鎖が始まるきっかけのシーンは、それまでフェンスの内側にいた主人公たちが、フェンスを文字通り破るシーンです。これからフェンスの内側にいた飼い犬たちが野に放たれて恐ろしい惨劇が始まることを予兆させます。
ドギョンとソンモの関係はどうなる!?
劇中で唯一、「犬」ではなかったのは、映画の冒頭の後輩刑事ソンモでした。しかし、彼は市長の元で働くことをきっかけに悪に染まっていきます。兄弟のような仲だったドギョンとソンモの関係こそ、獣と人間を分け隔てるものだったのですが、それも壊れていくストーリーには哀愁が漂います。
怒涛の133分を体験せよ!
暴力だけではない、ブラックな笑いにも注目!
暴力だけでは観客も疲れてしまうのですが、いたるところでこの映画はブラックな笑いを入れて観客を楽しませてくれます。
市長がノーパンでいるところを手下がなんとか下着を履かせようと悪戦苦闘するシーンや、検察キム・チャインの常に相手を不快にさせる態度など、小ネタで笑えたかと思えば、暴力に戦慄し、全くスキのないバイオレンスエンターテイメントになっています。
133分を全く長く感じさせない作りになっています。体感したい方はぜひ鑑賞してみて下さい!
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