川村元気のベストセラー小説を映画化した『世界から猫が消えたなら』。佐藤健と宮崎あおいを主演に据えて描かれた、透明感のある不思議な世界観が多くの世代から支持されました。
猫ブーム決定版
2010年代、急激に愛猫家が増えた訳
2010年代から、空前の猫ブームが続いていますよね。
テレビCMやゲーム、書籍などで猫を扱った商品が市場に氾濫しています。
TwitterなどのSNS上でも、猫好きであることをアピールする女子も増えていますね。
ペット頭数から見ても、犬の人気を追い抜こうという勢いで飼い猫の数が増えています。
関西大学によると、一連のブームには東京オリンピックを凌ぐ経済効果があると試算されています。
アベノミクスになぞらえた「ネコノミクス」なる造語が生み出されるほどです。
ペットとしての猫が急増した要因として、「散歩が必要ない」ことや、「飼育に犬よりもコストが掛からない」などの理由が挙げられています。
そこに透けて見えるのは、現在の住宅事情や高齢化世帯の増加です。
猫ブームは時代の必然といえそうですね。
周到なメディアミックス作品の投下
もともと映画プロデューサーとして『告白』や『悪人』『モテキ』などヒット作を多く手掛けてきた川村元気。
その彼が執筆した初めての小説『世界から猫が消えたなら』は100万部を超えるベストセラーとなります。
その人気ぶりから、文庫化と同時に映画化が決定しました。
ラジオドラマやオーディオブック、それにコミカライズもされた本作ですが、アパレルブランドとのコラボレーションも話題となりました。
各メディアをも巻き込んだ一大プロモーションが相乗効果を生み、興業的にも大成功を果たします。
猫ブームの真打ちとして登場した本作は、まさに時代を要約した象徴といえる作品です。
透明な空気感が幻想的なストーリーを彩る【映像の本領】
若手実力派俳優・佐藤健と宮崎あおいが初顔合わせ
人気実力ともに兼ね備え、俳優として各映像作品に引っ張りだこの佐藤健と宮崎あおい。
意外にも思えますが、この2人は本作が初めての共演作となります。
本編で余命を宣告される郵便配達員の「僕」と、そんな彼の前に姿を現す「悪魔」の二役を演じた佐藤健。
絶望のなかでどこか達観したような冷静さと、大切なものを失ってゆく過程で葛藤する繊細さを持つ主人公を見事に表現しています。
宮崎あおいもヒロインの少女「彼女」の心の揺れを時に力強く、時にやさしく演じています。
宮崎あおいならではの空気感は「彼女」の心のひだを精細に表現し、物語を彩ります。
本作の脇を固めるのは、映画好きの「ツタヤ」を演じる濱田岳や、「僕」の父親で時計職人の「父さん」役に奥田瑛二、主人公とともに猫を愛する病死した「母さん」役の原田美枝子と、豪華な顔ぶれが揃っています。
どこか懐かしさを感じさせる【映画の呼吸】
本作のストーリーは静かで美しい映像とともに流れていきます。
かつてのフランス映画や日本映画に見られた映像そのものの魅力が、独特な”間”で視野を切り取るのです。
小樽や室蘭、ブエノスアイレス、それにイグアスの滝でのロケが壮大な風景を目の前に見せてくれます。
「カロリーメイト」や「サントリーBOSS」、それに「グリーンダカラ」などの人気CMのディレクションで知られる永井聡が監督を務めます。
本作では、その実力をいかんなく発揮しています。
ストーリー上では、濱田岳演じる「ツタヤ」とのやりとりで語られる映画の話や、劇中での台詞は映画ファンであればシンパシーを感じてしまうものばかりです。
そういった部分からも、原作者の意図や嗜好が垣間見える作品となっています。
Story
「僕」は愛する猫のキャベツと共に暮らす、30歳の郵便配達員です。
あるときひどい頭痛のために病院に行くと、なんと脳腫瘍が見つかり、余命宣告を受けました。
絶望的な気分で部屋に帰ると、そこには「僕」そっくりの容姿をした「悪魔」が居ました。
彼は、大切なものをひとつ消せば、余命が一日延びることを「僕」に告げるのです。
「僕」は手元にあった電話を選びました。
むかし付き合っていた「彼女」。
2人の出逢いは一本の間違い電話からでした。
電話が消えると、2人の出逢いも消えてしまうことになるのですが……。
参考元
- ・参照リンク:映画『世界から猫が消えたなら』公式サイト
- ・参照リンク:ネコノミクス - Wikipedia
- ・参照リンク:『世界から猫が消えたなら』著者川村元気さんbestseller's interview第75回
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