「嘘喰い」が人気を博しているのは、その緻密に張り巡らされた伏線、複雑に織りなされる心理戦、そして独特の絵のタッチにあります。嘘喰いこと斑目貘が賭郎の中枢に迫る中で、様々な相手とスリリングなギャンブルを繰り広げていきます。時には大金を、時には自らの命を賭けて進められるその攻防の中で、読者の中でも人気の高い「エアポーカー」についてまとめました。
「嘘喰い」の概要
「嘘喰い」は、迫稔雄により週刊ヤングジャンプに連載されている作品で2017年2月現在、45巻まで発売されており、累計発行部数は450万部となっています。
あらゆる賭博を仲介し、圧倒的武力によりどんな賭博においても、敗者から勝者への取り立てを遂行する組織「賭郎」と、その賭郎に挑む天才ギャンブラー「嘘喰い」をめぐる物語です。
「嘘喰い」が人気を博しているのは、その緻密に張り巡らされた伏線、複雑に織りなされる心理戦、そして独特の絵のタッチにあります。
嘘喰いこと斑目貘が賭郎の中枢に迫る中で、様々な相手とスリリングなギャンブルを繰り広げていきます。
時には大金を、時には自らの命を賭けて進められるその攻防の中で、読者の中でも人気の高い「エアポーカー」についてまとめました。
アイデアルのボス「ラロ」と繰り広げたエアポーカー
エアポーカーに至った経緯
プロトポロスというオンラインゲームを現実化した仮想世界を舞台に、嘘喰いとラロは賭郎勝負します。
そこで事実上敗北したラロですが、システム運営への潜入、プロトポロス一般ユーザーの暴徒化などを利用して、嘘喰いの仲間の身(嘘喰いがプロトポロスでの勝負に勝利するには必要不可欠な存在)を拘束します。
そして、ついには嘘喰いを一対一の勝負の場に引きずり出します。
エアポーカーとは??
その勝負として賭郎が選んだのが「エアポーカー」です。
エアポーカーとは、水中で、圧縮空気の入ったコイン(BIOS)を賭け金として、ポーカーを行うゲームです。
嘘喰いとラロには、金属製の数字の書かれたカードが5枚配られていました。
そして、これらのカードを一枚選び場に提示し、お互いにBIOSをベットしていきます。
時に、プレーヤーが特殊な負け方をした場合には、「天災」と称して賭け金の倍層の支払が要求されます。
嘘喰い、ラロにゲーム開始時に開示されたルールはこれだけであり、数字の意味するところや、その勝敗の決し方については明らかにはされませんでした。
解き明かされていく法則
一回戦は、ルール不明のままに進行する「運」の勝負となりました。
そこでも、ラロはBIOSを大きく賭けていきます。
そして、計5試合のうち残りの試合をすべて降りても、どちらかの勝ちが決まることはないギリギリのボーダーラインまで、嘘喰いも賭けBIOSを上乗せするのでした。
結果はラロの勝利で、当初25枚ずつあったBIOSは、ラロ30枚、嘘喰い13枚となり、嘘喰いは序盤でのリードを許します。
続く二回戦では、法則を読み解き勝負では勝つものの、ラロの時間稼ぎによりオールインした嘘喰いは一度溺れかけます。
それでも執念で意識を取り戻し、戦線復帰します。
三回戦では、机に法則を刻むことで敢えてラロに法則を伝えます。
このエアポーカーは、持ち札に書かれている数字が五枚の手札の和になるようなポーカーの役を作り勝負するゲームだったのです。
嘘喰いはこの法則を教えることで、ラロの酸素消費量を増やす狙いでした。
並行して行われていた賭郎勝負
そして、勝負の後半で明かされますが、実はこの法則を机に刻み込むという行動には、もうひとつ重要な狙いが隠されていました。
実は、二人の持ち札の数字からポーカーの役を産み出しているのは、丁度嘘喰いとラロの上に隠された小部屋にいるハル(お屋方様)と梟でした。
ハルと梟も、ラロと嘘喰いと重複する形で賭郎に勝負の立ち会いを依頼したため、二組の勝負が並行して行われる形となったのでした。
ハルと梟は、何も見ずに、下で選ばれた数字から五回戦の役を作り続けなければなりませんでした。
そして、実際に命を賭けている下の二人と同様に、ハルと梟は下の勝負に連動したペナルティーが用意されていました。
負けた場合、勝者が指定した拷問と同様の痛みを脊椎に貼り付けた電極から味わうという常軌を逸したペナルティーです。
これは、プロトポロスという島が、かつて拷問のアウトソーシングをしており、このような秘密裏に開発された拷問器具が眠っていたことに賭郎が目につけのでした。
お屋形様であるハルの覚醒
そのような死ぬほどの拷問を神経で感じながら、五回戦のポーカー役を、一度使ったカードが重複しないように作り続けることは至難の業でした。
実際に、梟は四回戦でミスを犯してしまいます。ハルが正しく役を作っていれば、自動的にハルの勝利となるはずでしたが、その時ハルもミスを犯していました。
梟の予想に反し、再び役を考え直す機会が与えられ、今度は正しく役を選びます。それに対して、ハルは再び重複した誤った役を作り敗北してしまいます。
敗北した罰として、死ぬほどの苦しみを味わうハルですが、このゲームでの刺激がハルを覚醒させます。
実のところ、四回戦でのハルのミスは意図的なものでした。
なぜなら、五回戦での嘘喰いの持ち札25をストレートフラッシュにするには、重複する数字を四回戦で敢えて選択しない必要があったからです。
ここで疑問としては、なぜハルは嘘喰いの最後の持ち札の数字に気づくことができたのでしょうか?
それは、三回戦に嘘喰いが机に法則を刻み込んだ際に、上のハルに伝えられたものでした。
刻み込むリズムが、「HAL36だよ」というモールス信号になってたのです。
そして、この信号は梟も同様に読み取りましたが、その真意はハルにしか分からないものでした。
ハルというあだ名は、昔、嘘喰いとハルが行動を共にしていた際に嘘喰いがつけたものでした。
一歩先を行くハルの先見性を、IBMのコンピューターの名前がIBMのそれぞれの文字を一文字ずつ先に進めてつけられたことにちなんで「ハル」と呼ぶようになったのです。
このことは、当然ハルしか知らず、36という数字からそれぞれの桁を一文字進めた25が嘘喰いの切り札であることを読み取ります。
これにより、五回戦で見事ストレートフラッシュを作ることができたのです。
ラロを勝負に引きずり込んだ嘘喰い
ハルによりラロに勝てる役が作れたとしても、ラロが実際に勝負に応じてBIOSを賭けてこなければ無為に終わってしまいます。
五回戦突入時には、ラロの方がBIOSを多く所持しており、当然勝負から降りて残ったBIOSで嘘喰いとの呼吸の持久戦に持ち込むという選択肢もありました。
しかし、嘘喰いはレギュレーターの残圧メーターを勝負の序盤に破壊しており、酸素がないと見せかけて使いきったBIOSに酸素を温存している可能性がありました。
これを踏まえて、ラロは勝負に出ます。なぜなら、嘘喰いの25は、これまでの流れからはストレートフラッシュを作ることはできず、ラロの持ち札の方が強い役が作れたからです。
しかし、結果は嘘喰いとハルのコンビプレーにより、五回戦で勝負が決まることになったのでした。
最後に、ラロは酸素残量の擬装までもが嘘喰いのブラフであり、勝てる勝負を自らの選択の誤りで負けたことを悟りながら壮絶な最後を遂げるのでした。
こうして、嘘喰いは再び屋形越えの権利を得たのです。
参考元
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