数々のヒット作を生み出している中野量太さんが監督・脚本を手掛けた、映画『湯を沸かすほどの熱い愛』。 「ホラーすぎる」と話題になった衝撃のラストの意味や見どころシーンを、熱い演技を繰り広げたキャストとともにご紹介します。
主演を務めた宮沢りえさんが日本アカデミー賞にて最優秀主演女優賞を、娘役の杉咲花さんが最優秀助演女優賞を受賞したことでも話題となった『湯を沸かすほどの熱い愛』。
どんな時も一生懸命で熱い心を持っている「お母ちゃん」の双葉。
そんな彼女が、突然末期のがんに倒れてしまうも、残された時間の中でできることをやり遂げようとする感動の家族の物語です。
ラストが衝撃すぎると話題になった理由や、素晴らしい演技を繰り広げたキャストの見どころシーンを解説とともにご紹介します。
『湯を沸かすほどの熱い愛』のあらすじ
オダギリジョーさん演じる夫の一浩が家を出てからおよそ一年が経ち、娘の安澄とふたりで一生懸命生きていた宮沢りえさん演じる双葉を中心として物語が始まります。
一浩が出て行って以来、家業だった幸野家の銭湯も営業できずにパン屋で働いていた双葉。
双葉が突然パート先で倒れ、精密検査の結果、末期のがんに侵されていることが判明します。
大切な一人娘の安澄がいる中で発見された末期がんでしたが、彼女は人生に絶望することなく持ち前の明るい性格から気丈に振る舞います。
そして、いま自分にできることを残された時間の中でやり遂げようと決めるのです。
夫の居場所を突き止め、優しくも弱い心を持った娘の安澄を強くさせ、営業休止中だった銭湯も復活させようとします。
そんな、必死に今という時を生きようとする双葉でしたが、彼女に襲いかかる不幸は病気だけではありませんでした。
末期がんに侵されていながらも、苦しくも痛快なほどに強く生きている双葉がいることで、周りの人々も大きく影響されていきます。
愛する家族のために双葉が残してくれたものとは一体なんなのでしょうか。
涙がこぼれてしまう感動ストーリーというだけでなく、何かを考えさせられる映画となっています。
ネタバレあり! ラストの火葬シーンに双葉の足が映ってる?!
ここからはネタバレがありますのでご注意下さい。
生きることを諦めなかった双葉でしたが、病状は次第に悪くなり、とうとう最後には病院で息を引き取ってしまいます。
通常多くの場合は、人が亡くなると霊柩車で遺体を運び、火葬場で火葬します。
しかし、『湯を沸かすほどの熱い愛』では双葉の遺体をなんと経営していた銭湯で火葬してしまったのです。
映画の最後には、銭湯の煙突からまるで血のような赤い煙が立ち上がり、『湯を沸かすほどの熱い愛』とタイトルが浮かび上がります。
生きていたころの双葉に影響されて人生を救われた人々が、感謝の気持ちを込めて銭湯で火葬したようですが、見ている人からは賛否両論が集まりました。
そんなホラー映画のように感じられるラストのシーンで「双葉の足が火の中に映っている」という声が上がりました。
実際には双葉の足を映像で確認できませんでしたが、衝撃的なラストだったため、見ている人の想像力を働かせたのかもしれません。
『湯を沸かすほどの熱い愛』見どころシーン① 安澄役・杉咲花の演技力が凄い!
双葉の娘である安澄役を演じたのは、演技派女優としても知られている杉咲花さんです。
父親だったはずの一浩が家を出て行ってから、母の双葉とふたりで暮らしていた安澄。
彼女は、美術で使用していたパレットを絵具でぐちゃぐちゃにされて制服を汚されるなど、学校でひどいイジメを受けていました。
必死に耐えようとしてた安澄ではありましたが、学校へ行くために必要不可欠である制服を隠されてしまいます。
そして、ついに学校に行かずに家に引きこもろうとしてしまうのです。
そんな娘を見た双葉は、心を鬼にしてなんとしてでも安澄に学校へ行かせようとします。
「戦わないとだめ。今逃げたら一生後悔することになる」と言い聞かせ、激しい戦いのすえ、安澄は学校へ行くことを決めます。
ジャージ姿で登校した安澄でしたが、授業中に先生から制服を着ていないことに指摘されます。
そこで安澄がとった行動は、なんと同級生の前で下着姿になって「制服を返してください」とイジメっ子たちに訴えかけることでした。
年頃の少女が男子生徒もいる中で下着姿になるなんて、性的な印象が強い映像になりそうですが、杉咲花さんの演技力によって安澄の「イジメと戦う覚悟を決めた」という思いがとてもよく伝わるシーンとなっています。
また、着けていた下着は母の双葉が安澄のためにと買ってくれたものでもありました。
衝撃的なシーンが数多くある『湯を沸かすほどの熱い愛』ですが、その中でも特に人々の記憶に残るような場面となっています。
『湯を沸かすほどの熱い愛』見どころシーン② 鮎子のパンツをドアノブにかけた理由
鮎子役を演じたのは、子役の伊藤蒼さんです。
鮎子は出て行った夫の一浩が戻ってきたときに連れてきた子どもでした。
ランドセルを背負いまだ幼い風貌の鮎子を、双葉は嫌な顔をせず受け入れ、安澄の妹として一緒に暮らすようになります。
しかし、鮎子は実の母に会いたいという気持ちが強く、自分の誕生日に母親のアパートまで一人で行ってしまうのです。
ひたすらアパートのドアの前で体育座りをし、母の帰りを待ち続けた鮎子でしたが、いつまでたっても母親は帰ってくることはありませんでした。
そんな鮎子を迎えにきてくれたのは双葉と安澄だったのです。
鮎子は長時間待ち続けていたため、双葉に抱きかかえられたときにお漏らしをしてしまいます。
ここで衝撃的なのが、双葉はお漏らしした鮎子のパンツを脱がし、何と鮎子の母親が住んでるドアノブにかけて「鮎子ここにあり!」と言って帰ったのです。
お漏らしした鮎子のパンツを脱がすまでは理解できますが、そのパンツをドアノブにかけた理由がよく分からないという人は多いかもしれません。
双葉は末期のがんに侵され、余命もわずかながらも必死に子どもを育てています。
娘を捨てた母親に対して、鮎子がアパートを訪れて「おしっこを漏らしてしまうほど長時間あなたを待ち続けていた」ということを強く伝えようとしたのでしょう。
見ている人を驚かせる場面となりましたが、双葉の性格や強い心を持ってることが分かるシーンとなっています。
『湯を沸かすほどの熱い愛』見どころシーン③ 松坂桃李演じる向井拓海の真実
『湯を沸かすほどの熱い愛』には、あの人気俳優である松坂桃李さんも出演しています。
松坂桃李さんが演じたのは、双葉が娘の安澄・鮎子とともにドライブ旅行へ出かけた時に出会った、向井拓海という青年です。
彼は北海道出身で地元からヒッチハイクをしながら旅をしており、話し上手で明るい性格なため楽しい時間を安澄や鮎子と過ごします。
しかし、本当の彼は双葉たちに見せた顔とは違うものでした。
北海道出身というのは嘘で、複雑な家庭環境から家出をして、人生の目標がないままただブラブラと旅をしながら生きていたのでした。
そんな悩める青年であることを双葉は見抜き、彼に「あなたは今から北海道に行くのが目標。北海道出身なんでしょ」と言って背中を押してあげます。
双葉の強く優しい心にふれた拓海は目標を達成したらまた会いに行くと言い、去っていきました。
松坂桃李さんは「僕にも拓海みたいな陰ってあるんです」と自身にも同じ部分があると役柄について語っています。
共感できる部分があるからこそ松坂桃李さんにしかできない心情表現がよく伝わるリアルなシーンに完成したのでしょう。
『湯を沸かすほどの熱い愛』まとめ
『湯を沸かすほどの熱い愛』の見どころシーンの解説をキャストと一緒にご紹介しました。
宮沢りえさん演じる双葉が病に屈することなく、余命わずかの時間の中で一生懸命生きようとしている姿はとても感動します。
また、これほどまでに家族愛を強く訴えかける映画は珍しいと言われるほど、「家族」を中心としたストーリーの構成となっています。
見終えたあともずっと心の中に生き続ける作品ですので、まだご覧になったことがない人はぜひ見てみてくださいね。
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