世界を魔法で魅了した、映画『ハリーポッター』シリーズ。物語の背景にある魔法の世界が、この映画の見どころのひとつであることは間違いありません。そんな『ハリーポッター』の世界観をつくり上げている“魔法”について、いろんな角度から掘り下げていきます。
映画『ハリーポッター』シリーズの魅力といえば、ストーリーもさることながら、作中に登場する多種多様な魔法です。
シリーズ第一作の『ハリーポッターと賢者の石』で、初めて映像化された『ハリーポッター』の世界を目にしたとき、素晴らしい魔法の数々に驚きと感動を覚えた方は多いはずです。
その後、シリーズを重ねるにつれ、成長するハリーが新しい魔法を体験するたびに、観客である私たちにも、新たな魔法の世界が広がっていきました。
そして、『ハリーポッター』に登場する魔法は、呪文ばかりではありません。
ここでは、呪文のほかにも、魔法使いの必須アイテムである杖や、魔法生物など、魅力的な『ハリーポッター』の世界の根幹をなす魔法について、掘り下げていきます。
世界を魔法で魅了した! 『ハリーポッター』シリーズのあらすじ
生後まもなく両親を失い、叔母夫婦の家に預けられたハリーは、やがて自分が魔法使いであることを知り、ホグワーツ魔法魔術学校に入学します。
ホグワーツでハリーは、ロン、ハーマイオニーという親友を得ます。
3人はホグワーツで毎年のように起こる奇妙な事件に立ちむかい、心身ともに成長していきます。
それに対し、両親の仇であるヴォルデモートは、事件を裏で操りながら少しずつ力を取り戻し、ついには肉体をも取り戻して完全復活を遂げます。
過去にヴォルデモートの襲撃からただ一人生き残り、彼が肉体を失うきっかけとなったハリーは、魔法界の希望です。
ふたりはいつか決着をつけなくてはいけない運命にあります。
ヴォルデモート率いる闇の魔法使いたちの軍団に対し、ホグワーツのダンブルドア校長を筆頭とする抵抗勢力・不死鳥の騎士団が立ち上がり、魔法界の闇と光が壮絶な戦いを繰り広げます。
ハリーポッターが学んでいる「ホグワーツ魔法魔術学校」とは?
『ハリーポッター』の世界では、魔法使いとして生まれた子どもは、魔法魔術学校に入学して、さまざまな魔法について学びます。
つまり、魔法はきちんと勉強して身につけるものなのです。魔法で何でもできる、というわけではないんですね。
作中に出てくるホグワーツの授業風景から、科目をピックアップしてみましょう。
・変身術 = マクゴナガル先生
・魔法薬 = スネイプ先生(『ハリーポッターと謎のプリンス』以降はスラグホーン先生)
・飛行術 = フーチ先生(クィディッチの審判もつとめる)
・闇の魔術に対する防衛術 = 事情により、毎年担当者が変わります
・占い学 = トレローニー先生
知識を得ることを目的とする科目から、運動センスがものをいう科目、呪文を使うことを主眼とした科目…と、さまざまです。
当然、生徒の資質によって、それぞれに得意不得意な分野がでてきます。
ホグワーツでの授業風景や生徒たちの学校生活には、私たち現実世界の学校生活と似ている部分があります。
その一方で、ホグワーツ自体は、たくさんの魔法が息づいている場所です。
敷地には、お化け柳のような魔法植物が植えてあり、番小屋に住むハグリッドは魔法生物を育てています。
校内では、ゴーストが徘徊し生徒たちと交流していますし、壁にかかった絵の中の人々は、しゃべったり動いたりしています。
なかでも圧巻なのが、城の大広間です。
天井は本物の空のように天気が変わり、行事の際には一瞬でテーブルにごちそうが現れます。
『ハリーポッター』シリーズの大部分は、このホグワーツが舞台となっています。
ホグワーツの持つ魔法の魅力が、『ハリーポッター』の世界観の大部分を担っているといえます。
魔法に包まれた環境と、現実世界の日常生活の融合が、そこにはあるのです。
魔法といえばこれ! よく使われる呪文一覧
魔法にもさまざまあるとはいえ、真っ先に頭に浮かぶのは、やはり呪文です。
ここでは、よく使われている呪文をいくつかご紹介いたします。
魔法の呪文その① <ホグワーツで習う[基本呪文]>
[基本呪文]ではありますが、応用がきくので、いろんな場面で登場するものをピックアップします。
“ルーモス・マキシマ”(強き光よ)
『ハリーポッターとアズカバンの囚人』の冒頭で、ハリーが何度も使っていたので、二年生までの間に習得した呪文でしょう。
“ルーモス”(光よ)だけでも使えます。いろんな場面で使われている、杖の先に光をともす魔法です。
“アクシオ”(来い)
離れた場所にあるものを自分のところに引きよせる呪文です。
『ハリーポッターと炎のゴブレット』の終盤でハリーが使っています。
その後も“○○、アクシオ”(○○よ、来い)という形で登場します。
魔法の呪文その② <戦いでよく使われる呪文>
『ハリー・ポッター』では、魔法使い同士での戦いのシーンも多く描かれています。
ここでは、そんな戦闘シーンでよく使われる呪文をご紹介します。
“エクスペリアームス”(武器よ去れ)
相手の武器を吹き飛ばす呪文。
うまく使える魔法使いは、吹き飛ばした杖を自分の手元に引きよせることもできます。
殺傷を好まないハリーたちがよく使用しています。
“ステューピファイ”(麻痺せよ)
相手を失神させる呪文。
『ハリーポッターと不死鳥の騎士団』にて、ダンブルドア軍団に参加した学生たちが練習していました。それ以降、戦闘時の主力になっています。
“エクスペクト・パトローナム”(守護霊よ来たれ)
幸福な記憶をもとに自らの守護霊を呼びだす呪文。
ディメンターを一掃するほど強力ですが、使いこなすのが難しい呪文です。
“アバダ・ケダブラ”(息絶えよ)
文字通り、相手を死に至らしめる呪文。
ヴォルデモートが多用していますが、強力な魔力がないと使用できないためか、映画の中でほかの魔法使いが使うケースは稀です。
魔法の呪文その③ <学校では教わらない呪文>
このほかにも、たくさんの呪文がでてきますが、なかには学校で教わらない、ちょっと変わった呪文もあります。
たとえば、“セクタムセンブラ”(切り裂け)という呪文は、スネイプが考案したものです。
また、『ハリーポッターとアズカバンの囚人』で登場する「忍びの地図」を閉じる呪文“いたずら完了”のように、秘密の合言葉的なものもあります。
呪文は覚えるばかりではなく新しく作ることもできるものなのです。
フレッドとジョージがつくる、魔法の道具
ロンの兄であるウィーズリー家の双子、フレッドとジョージは魔法製品の発明家です。
学生の頃から、いたずらに使う道具を作っていましたが、趣味がこうじて作ったものを売る店を開きます。
彼らは覚えた魔法を工夫して、実生活では役に立たなさそうな面白い道具を作っているのです。
いうなれば、新しい魔法製品を発明しており、現実社会の商品開発とよく似ていますね。
魔法は、使う人のアイデア次第で、これまでになかったものを生み出すことができるのです。
しかも、魔法研究の偉い学者でなくとも、新しい魔法の道具を生み出せるというところに、ハリーポッターの世界において、魔法がすごく身近なものであることがわかります。
魔法生物たちが実はたくさん登場している!?
『ハリーポッター』シリーズで魔法生物といえば、ハグリッド。
ドラゴンを育てようとしたり、ヒッポグリフを飼っていたり、アラゴグという大蜘蛛と友達だったりと、『ハリーポッター』世界のムツゴロウさん的な存在です。
そのほかに、物語に大きくかかわってくるものとして、ダンブルドアの不死鳥フェリックスや、ヴォルデモートがいつも連れている大蛇のナギニ、『ハリーポッターと秘密の部屋』でハリーと闘ったバジリスクなどが挙げられます。
しかし、物語と大きく絡んではいないものの、実はたくさんの魔法生物が映画には登場しています。
ホグワーツの裏の森に住んでいる、ケンタウルスやユニコーン。いたずら好きなピクシー。
『ハリーポッターと炎のゴブレット』に登場する、馬車を引っ張るペガサス。
湖の中のマーピープルなど…。『ハリーポッター』の作中では、さまざまなキャラクターを見つけられるはずです。
『ハリーポッター』シリーズでは、魔法生物はあくまで魔法世界を構成する一要素であり、その魅力はほかに比べて特にアピールされているということはありません。
ですが、続編の『ファンタスティックビースト』シリーズでは、魔法生物が魔法世界の新たな魅力として、前面に押しだされています。
『ハリーポッター』シリーズでも、魔法生物の魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。
魔法使いにとって杖とは、相棒? 武器?
魔法使いの必須アイテム、杖。
作中では、初めての杖は、ホグワーツ入学前にオリバンダーの店で購入するのが慣例です。
オリバンダー曰く、「杖が魔法使いを選ぶ」ので、杖にも意思のようなものがあり、よって、使う人との相性があるということです。
ハリーたち魔法使いは主に杖を介して魔法を使いますが、杖を使わない魔法もあります。
たとえば、ハリーがスネイプと特訓を重ねた“閉心術”(心を読まれるのを防ぐ魔法)は無言の魔法です。
瞬間移動する魔法、“姿現し”の時にも杖を使っているようにはみえません。
また、ロンのように杖を折ってしまったり、戦いの際に“エクスペリアームス”の呪文によって奪われてしまったりと、杖を失ってしまうこともあります。
そういう場合は、ほかの魔法使いの杖を借りて使うこともできますが、杖がうまくいうことをきいてくれないと能力を発揮できません。
前述した事例や、物語終盤においてヴォルデモートが“最強の杖”を探し求めることなどからみて、杖は魔法使いの力を引きだすためにとても重要なアイテムだといえます。
それだけではなく、杖は、“魔法使いであることの証”だと考えられています。
それがよく分かるシーンが、『ハリーポッターと死の秘宝Part1』にあります。
ドローレス・アンブリッジが魔法省にて、ある魔女をマグル生まれの容疑で裁こうとして、彼女の杖について尋問する場面です。
アンブリッジは「魔女でもないものが杖を持つなんてもってのほかだ、誰から奪った?」と執拗にたずね、杖を没収しようとするのですが、被告の女性は懸命に抵抗します。
杖を剥奪されるということは、魔法使いであるということを否定されたも同然なのです。
『ハリーポッター』の「魔法」まとめ
「ハリーポッター」シリーズの世界を彩る魔法について、いくつかの視点で掘り下げてみました。
まず、魔法は努力して学ぶものです。そのため、魔法でなんでもできるというものではありません。このあたりは私たちの現実世界と重なります。
呪文は新しく発明することもでき、同様に魔法を工夫することによって、新しい魔法の道具を作り出すこともできます。
そして、呪文によって誰でも使えるものとそうでないものがあります。
呪文を唱えるときによく使われる杖は、魔法使いが能力を発揮するための相棒というだけではなく、魔法使いの身分を証明するうえでも重要なアイテムだといえます。
さらに、さらりと描かれてはいますが、ハリーポッターの世界を表現するのに、魔法生物の存在は意外と大きいです。注目してみましょう。
物語の中では、魔法世界と私たちの世界(非魔法世界)は隣りあわせの世界です。
ふたつの世界は、ヴォルデモートが復活するまで、不干渉を旨としてバランスを保っています。
ふたつの世界が表裏一体であるという物語の設定と、魔法が万能の力ではないということが、観客である私たちにも、ハリーポッターの世界をリアルに感じさせているのではないでしょうか。
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